保阪正康のレビュー一覧
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2025/12/19 保阪正康「あの戦争は何だったのか」
「太平洋戦争の総括」を日本はしてこなかった。[塩野七生氏]『失敗の本質』が名著と言われる。作戦の反省はあるが、『開戦』の総括はない。80年を経ると、やむを得なかった論が勢力を増やしてくる。
天皇の責任など幾つかのタブーを乗り越えてキチンとした総括が大事。出なければ、世代が変わるとまた同じ失敗を繰り返す。
1.国民皆兵 S19年800万人/人口7,500万人 うち職業軍人は5万人=超エリート
2.2・26事件(S11) 天皇親政を求めた青年将校
天皇の厳命で鎮圧するも、以降「テロの恐怖」「軍部の圧力」が社会を覆う
3.軍部大臣現役武官制 広田弘毅首相
軍の政治力 視野狭窄の軍部指導者
4.軍人勅諭・
戦陣訓S16年01月東條英機が示達
「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」
→多くの軍人・兵士を玉砕に追い詰めた サイパン・沖縄
5.南進の選択 関東軍特種演習は目くらまし(ゾルゲが通報)
海軍にも対米英強硬論者 石川信吾 富岡定俊 岡敬純
「石油備蓄不足」=実態は『機密』として隠蔽 →全体戦略作れない
5.戦争を始めても
「どう終わらせるか?」はなかった→無責任
⇒戦略はなし 戦術のみ -
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昭和史研究のスペシャリスト3人によるNHKラジオ番組『太平洋戦争への道』を刊行した本。
三人とも昭和史や戦争についてたくさんの著書を出版されており、どんな話になるのか期待感が高まります。
「なぜ日本は無謀ともいえる戦争に向かっていったのか?」歴史のifではなくwhyに浮かび上がってくる答えは何なのか?と興味を惹かれ手に取った作品。
本書で印象的だったのは6つの分岐点!
どの時点でも回避する術はあった。
が、色々な事情が重なり悪い方へ悪い方へ向かってしまった。
日清日露戦争の勝利で世の中は浮かれ、新聞やラジオが戦争を煽り、国民も便乗したり、クーデターや国連離脱など複雑な事情が重なって責任は軍部だけでなく国民にもあった。
そしてそれぞれのセッションの連携、機能がされていない。
どれだけの人が本当に国の行き先を憂いて行動していたのか疑問符?ばかりである。
なかでも日中戦争が泥沼していく過程は現在のロシアとウクライナを彷彿させます。
ある日突然戦争になり戦線が拡大していき、国際社会の経済制裁がむしろ事態を硬直化、先の見えない長期化させている状況は時代を越えて再現しているようにも感じた。
現代の指導者、私達がいかに歴史から学んでいないかを痛感させられた。
加藤さんの「戦争は分かりきった顔で近づいてくるわけではない」という言葉が心に残りました。
当時の人同様、世界の情勢、自国の内情など私は現代の日本人の無関心こそが最大の問題点ではないかと感じた。
憲法9条の意義や核の保有の是非などの山積みする問題に「自分には余り関係がない」と誰しもが思ってしまう節がある。
半藤さんの言うように「今の日本人も不勉強」だと思います。
なぜ関心が持てないのか?そこが一番の問題点なのではないだろうか?。
もしかしたら戦争は分かりきった顔をして少しずつ近づいてきているかもしれない。
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☆☆☆ 2025年8月 ☆☆☆
戦後80年の節目に手に取ってみた一冊。
昭和史を変えた「七大事件」として筆者は以下の7つの事件を取り上げている。
①五・一五事件
②二・二六事件
③太平洋戦争
④戦後の占領
⑤六十年安保闘争
⑥三島事件
⑦田中角栄とロッキード事件
この本を読んで特に印象に残ったのは「動機至純論」。つまり動機が行動を正当化するというものか。行為の善悪、方法はどうであれ、その行為に至った動機が純粋で至高のものならば一定の評価をする、という日本人の心に深く刻まれたメンタリティ。
「五・一五事件」や「二・二六事件」ではまさにその側面が現れたと言える。
また、東条英機という人物に関する記述も興味深かった。
視野が狭く、独善的、自省心のない人物。「昔、事ある時には全国で祈願祈禱を行ったのであるが、あれが精神統一と思ふ。思想統一だと思ふ。昔の人はよく考えているよ…」といった東条の発言を取り上げ、その人となりを論じている。
なぜ、東条のような人物が戦争という危機時にリーダーになってしまうのか、あるいは近衛といった人物が。現代の日本でも、僕たちがどんな人物をリーダーに選ぶべきか、歴史から学びたいと思う。
やはり戦前の①~③について特に考えさせられた。
もちろん④~⑦も重要な論考である。 -
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前掲とほぼ同名の新書だが、こちらは刊行が20年前に遡る。著者の世代も二世代ほど差があり、それは戦争を対象化する視線に現れる。本書では戦争をどう語るかよりも、やはり直接的に「何のための戦争だったのか」を(その説明の不在も含めて)検証するオーソドックスな構成となっていて、「大人のための歴史教科書」という副題に沿う作りである。
しかし一方で気になる点もいくつかある。冒頭の広島原爆碑の文言に主語がないとする批判は、今日では右派の戦後民主主義批判の定番であるが、本書の内容はあくまで戦前から終戦までであり、戦後の日米関係も含めた射程は見られず、言いっ放しのように感じてしまう。
海軍悪玉論の根拠とされる「石油備蓄量の隠蔽」は、では実際にはどれ程確保できていたかという答え合せがない。史実としては末期には松の根から油を取らねばならぬほど石油が不足したわけで、これを持って海軍が開戦を促したと結論するのは厳しい。 -
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アジア太平洋戦争を概観するのに、ちょうどいい良書。
軍部のあまりの愚かさに、読んでいて暗澹たる気分になる。
長期的な戦略は無し。
憲法と組織機構の欠陥。
エリート主義。
陸軍と海軍の対立、セクショナリズム。
調査・情報収集、その精査の軽視。
非科学と精神論。
人命の軽視。
etc.
東京裁判だけではなく、日本人が自分たち自身で、戦争犯罪者を裁くことをするべきだった。
そして、我々が本当に感謝し手を合わせるべきなのは、「英霊」ではなく、戦争に反対し殺された人々なのだ。
たとえ、ひとりひとりは微力でも、民衆が力を合わせて権力にはむかえば、戦争を止めることができたはずだ。
「避けられない戦争だった」や「原爆のおかげで終戦は早まった」など、著者の言葉には、飲み込めないものも多い。
石橋湛山についての本を読もうと思う。
夢想的かもしれないが、「小日本」として、平和で人権感覚のある国を築けたかもしれないと、これからの願いも込めて思うのだ。
追記
「原爆のおかげで終戦は早まった」という、米軍視点からの原爆投下の正当化は受け入れられない、とずっと思っていたが、途中に一文を加えることで、すんなり理解できることに気付いた。
つまり、
「原爆のおかげで…天皇と軍部が、近々、自分たちも一撃で死ぬ可能性が高いという事実にビビり…終戦は早まった」
のだ。
やっと理解した。本当の本当に、天皇も軍部も最低なクソ野郎だったということを。
玉音放送で何を語ろうが、何を書き残そうが、そんなものは、表面上のことに過ぎない。
要するに、あかの他人はいくら死んでもかまわないが、自分と家族が死ぬのは嫌だったのだ。
それが、本当の心の底の動きだが、それを自覚したら、自尊心が崩壊してしまうから、あたかも、庶民の生命と暮らしを尊重するかのような言葉で、それを隠したのだ。
そんな表層の言葉のごまかしに騙されるのは、「全滅」を「玉砕」、「撤退」を「転進」というごまかしに、騙されるのと同じことだ。
権力者なんか、1ミリも信じてはならない。
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2025/05/28「松本清張の昭和史」保阪正康・加藤陽子
松本清張は天才作家 学歴なく、40歳過ぎの作家活動、巨大作品集
世の中は単なる推理小説作家に押し留めようとするが、それでも偉大 テレビでドラマが何度も制作され、再放送されるのは彼しかいない。保阪正康氏は松本清張氏をさらに歴史学者としても大きな評価を明らかにした。アカデミズムや正統派は排除しているが。
特に「昭和前史1926年―1945年」の大東亜戦争は「日本の縮図」、ここを抜きにして日本史は語れない
①なぜ対米戦争を始めたのか
②大衆の戦争意識、戦争の当事者としての現場・現実
松本清張はアカデミズムとは別の視点で「昭和の歴史を紡いだ」
1.保阪正康と加藤陽子の評価ベクトルが重なる 権威主義の否定・権力の監視
2.「昭和史発掘」が最大のベストセラー200万部越え
3.2・26事件が山
4.天皇制は論じない 軽々に論じる者は「天皇制に逃げる」
5.2・26事件の叛乱将校に憤激した天皇も、事件後は軍部の妖性の前に無力化した。それが天皇制の本質。(松本清張)
6.ファシズムはデモクラシーについてくる(加藤陽子)
7.歴史という学問が専門家の独占になってはいけない。学問は国民全部のものです。(松本清張―加藤陽子) -
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日本は近現代において幾度となく戦争に踏み込んだ。日清・日露戦争は国力誇示の戦いであり、満州事変は軍部の独走、大東亜戦争は国を滅ぼす道だった。なぜ日本は戦争を選び続けたのか。その背景には国際情勢の圧力と天皇制を中心とする国家体制があった。
敗戦後の日本は戦争放棄を掲げ80年にわたり戦火を交えていない。これは戦争の清算がなされた結果なのか、充てがわれた憲法9条によってか、それとも偶然の産物か。戦後天皇制は象徴へと変わり戦争を主導するものではなくなった。
戦争の記憶は薄れつつある。歴史を振り返り戦争を避ける知恵を学ぶことこそが今の日本に求められているのではないか。
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太平洋戦争は侵略の歴史にも関わらず、反戦、平和などの言葉で、臭いものに蓋をして、あまりに無知となっている。本当にそう。
読んでいて、怒りが止まらなかった。
バカと言いたい。
自分の大切な人を戦場に送ること、どれだけ辛かっただろう。
なんのために戦っているのか、軍部の目的は一般人にはどうでもよく、こんなことのためにたくさんの命が犠牲になって怒りしかない。
あの戦争の中に、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。
戦術はあっても戦略がない。
なんのためにやっているのか、いつ終わりにするのか、次どうするのか、まるで考えず、プライドのため、ワンマン体制、傲慢な裸の王様の下、誰も意見できず、飼い慣らされる。
危機になれば、精神論で自己陶酔。
今もかたちを変えて続いてる。
独裁、社会主義はだめだ。民主主義の世界でよかった。