保阪正康のレビュー一覧
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大正初めから2・26事件までの歴史を解説
西暦ではなく和暦で事件の時期が説明されており、大正期は諸外国の動きに対して国内政治家がどう動いたかを中心に、昭和期は陸軍、特に関東軍の暴走ぶりを中心にされている。
教科書を読んでも分かりづらい経緯が丁寧に説明されていて読みやすいが、関東軍の動きの理由があまり説明されていない(考え方が合理的でないことを前提に論じられていることが理由なので仕方ないのかもしれない)ので、説明が平板に思えて教科書の副読本を読んでいる気分で読み進めていた。
大正デモクラシーを含め、政治家や軍以外の人たちの考え方も分かりづらく、当時の歴史から現代の政治を批判する素材は見つけや -
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太平洋戦争というと、軍がエスカレートして(柳条湖事件・盧溝橋事件)戦争を始め、引くに引けなくなり、軍人だけではなく民間人を含めた国全体で、「お国」のために戦う。という認識であった。細々とした点、知らなかったり認識が誤っていた点があった。(陸軍ではなく海軍、和平工作関係、ニ・二六事件がある意味発端)
目的のない戦争、終わりが決められていない戦争。
三国同盟、ハルとの交渉等何度も踏みとどまる機会はあり、それに気付いている者もいた。
国民はおろか、首相にも正しい戦局が伝えられずにいた。
自分がこの本を読んで思ったのは、
「本当にそうなのか?正しいのか?」と思えるような軸を身につけたいということ。 -
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●→引用、その他は感想
●前日の5日に近衛と軍事指導者達が天皇から、外交を第一にせよと言われたのならば、戦争を軸にしている項目の順位を変えるのが筋なのに、彼らは無視している。さらに明治天皇は日清、日露の戦争の時は 当初は強く反対していた。そういう事実を勘案していくと、軍事指導者には抑制した姿勢が必要だった。ところが彼らは天皇に二枚舌を使いながら、責任だけは天皇に押し付けたのである。天皇制ファシズムのからくりである。
● 東條が首相ポストに就いたのは、内大臣の木戸幸一と天皇の合意によると思われる。では二人はなぜ東條を信頼したのだろうか。理由はひとつに絞られる。表面上は天皇に最も忠誠を誓っている -
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・私たちは特攻隊の真情とはかけはなれた安全地帯に立って、なにやら心が洗われるような、仕立て上げられた美談を耳にして、あたかも歴史的な意味を持つかのように錯覚してきた。
こうした創作を受け入れてしまう素地を、日本人は持っており、特攻隊のシステムやその置かれた状況を正確に見据えることなく、お涙や感情で見つめている限り、永遠の0みたいなものが受け入れられ続ける。
・天皇大本営による「米英に対する宣戦の詔書」では、東亜の開放や大東亜共栄圏の確立などは、開戦の目的ではなかったし、そんな力は日本にあるわけはないと理解しており、「日本の光栄を保全」することしか考えていなかった。(詔書原案作成者による)
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コロナ禍の混迷の中、石橋湛山氏がクローズアップされる。
軍国主義の時代に合っても民主主義国家を主張。
戦後GHQにも屈しなかった。
その一貫した姿勢が、リーダーシップの強さとして求められている。
ただ本書は石橋湛山氏の今日的価値を表すのに成功したとは思えなかった。
本書の描くのは戦後日本政治の政争の歴史であって、政策の歴史ではない。それは戦後日本が、米国の傘の下、「小日本主義」でやってこれた結果である。まさに吉田茂総理が軽防衛・米国依存で「経済優先」の国家戦略の賜物である。
戦後復興のときに、自立・自尊を国家戦略とするのは、理念としてはあっても現実的ではない。
あのとき国民は飢えていた。
高度 -
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シリーズ第2弾。
昭和のキーパーソンを7人取り上げて、その人物評、エピソードをまとめたもの。
今回取り上げられているのは以下の7人。
1.三島由紀夫
2.近衛文麿
3.橘孝三郎
4.野村吉三郎
5.田中角栄
6.伊藤昌哉
7.後藤田正晴
7人中3人知らない、だと…!
無知をさらけ出してしまいました。
か、かろうじて半分以上は分かるからセーフ?
いちばん興味深く読んだのは田中角栄でした。
高校では日本史主選択だったんだけど、近現代史ってだいたい時間なくってさらっとになるよね。
だから田中角栄といえば、「今太閤、日本列島改造論、ロッキード事件」ぐらいの上っ面しか知らなくて。
改めて良くも悪くも影 -
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ネタバレ●→引用、他は感想
●かつて頭山が持っていた北海道の炭鉱が75万円で売れたそうだ。明治時代である。これを聞きつけた全国の頭山崇拝者たちが大喜びで、次々に頭山邸にやってくる。(略)頭山はどんな話にもいやと言わない。なんでも頼みを聞く。瞬くまに75万円は無くなった。(略)それでも頭山邸には居候を決め込む書生、壮士、無頼人が居残った。頭山の腹心が、こんな連中は追い出したほうがいい、そうでなければ先生の一家が野たれ死にしますよ、と忠告したという。すると頭山は次のように答えたと夢野は書く「まあそう、急いで追い出さんでもええ。喰うものが無くなったらどこかへ行くじゃろ」それまではここにいるといいさ、という -
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2020/10/03 負けてたまるか!日本人 丹羽宇一郎 保阪正康
1.リベラルアーツの意義 専門バカに任せると危険 倫理的判断 ex原爆のマンハッタン計画
2.シビリアンコントロールどころか軍事が政治を制す倒錯 専門知への敬意がない
全てが曖昧で、総無責任体制 大失敗から学ばない
3.安倍内閣の高い支持率 特に若い世代 経済政策・特に雇用拡大を評価
4.日銀の金融緩和 国債の購入、ETF・REITの購入 Exitをどうするか?→無い!太平洋戦争と同じ
5.日本社会の閉塞 戦略が小粒・縦割り 国体レベル→オリンピック・レベルへ
6.「知」への敬意が無くなった
昨日、日本学術会議の候補