保阪正康のレビュー一覧
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ネタバレ「大本営発表」という語は、力の強い者が不都合なことは隠して自分に都合のいいことだけを発表する意味で使われることが多い。しかし、それは単に虚偽や隠蔽ではなく、戦時における巨大な権力そのものでだった。国民を正常な感覚を失った酩酊状態に落とし込み、軍指導者自身が自らの発表で錯誤の連鎖にはまり、国そのものを解体寸前まで追い込んだ。
「主観的な願望を客観的事実にすりかえてしまうという心理構造」は今の日本でも時々起きているように思える。願望を持ちつつも現実を見て、そのギャップを冷静に把握して次の一歩を踏み出す、ということを当たり前にできるようになりたいものだ。 -
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昭和史を研究したお二人からの警告。今の日本の状況はかなりまずいよと。
現在のメディア同様、戦前のメディアもただ「売れる」という理由から、戦争の危機を訴える記事ではなく、戦争を煽る記事を書き続けたという。その方が「売れた」からだ。「売れる」ということは「求める」人たちが多数いるというわけで、しかしここを考えるとややこしくなるのでちょっと置いておくが、日本のメディアには「ジャーナリストというものは存在しない」ということをしっかりと心得た方が早いのではないか。
書くことで生計を立てている者に崇高なものを求める方が間違っているのだ。
もう1度言うが日本のメディアに「ジャーナリストはいない」し、「いたこ -
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ネタバレ近衛文麿の昭和20年2月の上奏文が堀田「方丈記私記」にも取り上げられていて、「敗戦自体はそれほどのことでもない」という箇所がこれでもか、とこき下ろされている。
確かに無責任極まりない話というのが大前提であり、そのことが本書「昭和史の一級史料」でも「近衛の妄想」という表現で示唆されているのだが、「史料を読む」というのは歴史のディティールをきちんと抑えようという話であるから、そのときの当事者の心理や人間関係の襞に積極的に分け入ろうとする。
著者らの姿勢には敬意を払った上で、でもなあ、とも思うのだ。分け入れば分け入るほど、例えば先ほどの近衛のトンデモ発言にもそれなりの背景があることがわかってくる。な -
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ネタバレ昭和史を語る際にいつも示唆を受ける半藤、保阪に右よりの中西が加わり、どのような討議になるのか興味深いところでした。昭和の大戦という際に、日米戦争を分けて、中国に対しては明らかに侵略戦争であったという半藤、保阪に対して中西は何となく曖昧な姿勢であると思いました。それだけに日本が反乱もなく、一致して闘っていけたのは米英に対して自衛=興国存亡の危機にあるという意識が強かったからだという一致した考えもなるほどと思いました。このタイトルではなく、「なぜ負けることが分っている戦争をしたのか」という観点から、日本の指導層に対する厳しい批判は今の私たちの姿勢(政治だけでなく、企業においてさえ)に反省させられる
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ネタバレ後藤田正晴という人が不世出の政治家であったことを新たに知ることが出来ました。徳島県の川島町から更に山奥へ行った田園の名門出身で、年の離れた末っ子として可愛がられて成長した幼年時代。兄の薦めで進んだ水戸高校。そして東大時代、内務省時代、警察庁、自治省の時代と豪腕のイメージを確立していく過程は凄みがあります。そして田中角栄との出会いから、昭和49年の参議院選挙における落選と金権候補烙印という大きな挫折がなぜ起こってしまったのか。そして政治家になった当初のタカ派のイメージが、いかに平和のシンボル、改革のシンボルとして自民党のみならず、社会党はじめとする野党からまでも信頼を得た存在になっていくかはドラ
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尖閣諸島国有化より前に出た本です。恥ずかしながら、僕は子どもにこの問題を正確に説明できませんでした。そこで本書でお勉強、と思った次第です。
「歴史問題」「領土問題」「政治問題」の違いを前提に、北方四島、竹島、尖閣諸島の状況、まとめ、そして解決案です。
早くしないと解決できなくなるぞ!というプレッシャー。
「塩漬け」も選択の一つだと考えていましたが、領土問題と原発事故には、通底する意識として、そのままじゃいけないとわかっていても、自分が担当しているうちは何も起きてほしくない、という「原発安全神話」に通底しているものがあるという指摘です。そう言われるちゃうとなあ。
ある第三極のトップの方の唐突発