あらすじ
7000名に及ぶ特攻戦没者。長い間、政治的なバイアスがかかり、彼らの真意は伝えられなかった。志願か、命令か。英霊か、犬死にか。主導したのは海軍か、陸軍か――昭和史研究の第一人者が、残された遺書・日記を丹念に読み解き、特攻隊員の真意に迫る。
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Posted by ブクログ
彼らが命を懸けて守りたかった日本になっているのだろうか。
自分自身も含め、日本国民として真っ当に生きられているのだろうか。常に自分自身に問い掛けたい。
同情や悲しみではなく、散っていった方々に胸を張れるような生き方をしたい。
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2004年の夏、鹿児島県の知覧町と加世田市(現・南さつま市)に行って来た。
特攻基地があったところだ。
ちょうどとても暑い日に訪れ、思いにふけた。
特攻に行った人たちよ、安らかにと。
その後この本が出版された。
「国を思って、あの人たちは特攻へ行った」
ある意味、英雄的な感じさえ私は持っていた。
この本によると、特攻へ行った人は、当時の指導者によって特攻へ行かされてし
まった犠牲者だという。
英雄でも、犬死にでもない。
犠牲者である。
私にとって、これは新鮮な論だった。
そうか、当然、犠牲者であるという考えが出てこないとおかしいじゃないか。
この本には、「きけ わだつみのこえ」に記載されていない「遺書」が載ってい
る。
そして、彼らの発言のメモも載っている。
「ああ、だまされちゃった」
…こんな発言も載っていて、驚きだった。
ただ、二度とあってはならないことには間違いない。
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特攻隊員自らの遺稿を通して彼らのリアルな心情を窺い知ることができる貴重な本だった。あの戦争を単純に美化してしまったら、かけがえのない彼らの人生と身を粉にしてようやくたどり着いた最後の境地、家族や友に対する愛を逆に軽視することにも繋がってしまう。
改めて戦争は酷いものだと感じた。
『日本社会は、そして日本人は戦争という軍事行動に向いていないとの実感である。私たちの国は、ひとたびこうした行動に走れば、際限のない底なし沼に落ちこんでいく性格をもっている。特攻作戦はまさにそうだったのだ。』(保阪正康)
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[ 内容 ]
志願か、命令か。
英霊か、犬死にか。
主導したのは海軍か、陸軍か。
―昭和史研究の第一人者が、残された遺書・日記を丹念に読み解き、特攻隊員の真意に迫る。
[ 目次 ]
1章 英霊論と犬死に論を超えて(知覧特攻平和会館 「反戦が目的」ではない ほか)
2章 なぜ彼らは死を受けいれたか(「必ず巧く命中せねば申し訳ない」 「ああッ、だまされちゃった」 ほか)
3章 もうひとつの『きけわだつみのこえ』(学徒兵たちはどのように死と向きあったか編集された遺稿 ほか)
4章 体当たり攻撃への軌跡と責任(太平洋戦争の目的 お粗末な戦争指導 ほか)
5章 見えざる陥穽、ナショナリズム(大西司令長官の遺書 大西ひとりの責任なのか ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
作者がちょっと感傷的すぎるのが気になる。特攻隊員たちに気持ちが入れ込んでしまうのはわかるのだが…。この本で指摘されているとおり、実は特攻隊員はほとんどが“学徒”だった。学徒ゆえにこの戦争に対する洞察や自分の死に対する悩みが、すごい深く哲学的だ。死を定められた彼らに同情を禁じえないが、その一方で生きる目的、死の意義が短絡的であるにせよできたことは、ひょっとすると、現代の悩める若者より幸せなことだったかもしれないと、不謹慎なことも考えたりした。
Posted by ブクログ
特攻兵たちは英霊なのか、犬死になのか。特攻はなぜ起こって、国民に容認されていったのか。国の動きと特攻兵が書き残した遺稿をもとに、特攻という悲劇の源流を探る。
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戦争について、あれやこれやと知識はあるものの、それらはあちこちから集まった断片的な知識にすぎなくて、実は総合的にまとめて体系的に学んだことってあまりないのではないか。戦争のあれこれについて、実は自分が思っているほど知らないのではないか、と最近思っていて、折に触れてこうした本を読むようにしています。
特攻については様々な見方で多くの本がありますが、膨大な資料をもとに信頼できる内容を書き上げるのはなまなかな話ではありません。それをやるのが保阪さんという作家だと思いました。特攻兵士たちが残した膨大な遺稿と、国に残っている特攻に関する膨大な資料を突き合わせて、なぜ特攻ははじまったのか、国民(臣民)たちはこれほど非道な攻撃をなぜ容認したのか、そして特攻兵たちは、心の中でどう思っていたのかを立体的に論じた良書だと思いました。
特攻については様々な角度から知ることも大切だと思っているので、本書の中で引用された書籍など引き続き読んでみたいと思います。しかし「きけわだつみのこえ」に続いてこんなの読んでいるので精神的にはかなりこたえます(夏だ)。
Posted by ブクログ
特攻と聞いて先ず考えるのは、将来有望な若者達が命令であれ自分たちの意思であれ、大きな爆弾を抱えて敵の空母や戦艦に体当たりする凄惨なシーンであり、彼らが一体何を考えながら死んでいったのかという事だ。無論、前者のような命令で言ったのであれば、最後まで命令者を恨んだまま逝ったのかもしれないし、後者、自分の意思であったにしろ、死への恐怖を克服する事が果たして出来たのであろうかという事を考える。
私たちは例えば病気などで余命を告げられ、死を目の前に控えた時、どの様な行動に出るだろうか。何を考えるだろうか。数日後、数時間後に水水盃を交わし、エンジン始動と共に整備兵の少年たちが、自機の周りから離れていく。離陸さえして仕舞えば後戻りなど出来ずただ迫ってくる確実な死、十死零生へと突き進む。後はひたすらに大きな獲物、敵空母を探して突っ込むだけである。脱出装置もなくパラシュートも要らない。旅立ちに際しては片道の燃料しかない。あわよくば敵の弾幕の前に突っ込む前に海へ落ちれば鮫の餌食にもなる。勿論大半の場合、無傷で落ちる事など無いだろうから、海に沈んで息が続く間、ただ苦しいだけである。何故彼らがそうした道を選んだのか。いや当時の日本が置かれた状況を考えれば、道を選ばざるを得ない彼らの心理を探っても、中々答えは見えてこない。
本書のスタンスはそうした彼らの心理に迫ろうとするものであり、また一つの回答を導き出している。決して喜び勇んで死ぬ様な、自分の命を軽んじる若者とは違う、当時のエリート大学へ進学し、将来にたくさんの夢を持つ普通の若者達である。彼らの遺書を集めた「きけわだつみの声」をはじめとする遺言の数々を読めば、普通に恋人や家族、友人を想い多くの国家や日本の情勢には聞き入れられない声なき声が聞こえてくる。その文章や死に挑んで残した辞世の句などを目にした時、日本は大変な財産を失った事に改めて気付かされる。もし彼らが生きていれば戦後日本の立て直しに活躍できたであろうし、家族や恋人は死への悲しみを味合わずに済んだはず。
だが、それ程優秀で惜しむべき彼らが旅立ちに際して考えた事は、きっと恐らく全ての悲しみや恐れ、この世への未練から解放され、自分に与えられた(与えられてしまった)運命を受け入れる事ができたのではないかと感じる。いや、そう考える事で彼らの多くは救われるのではないだろうか。
家族を想い、国を想い、未来の復興を信じて旅立った彼らを、現代社会に今に生きる我々が身勝手に想像する事も、批評する事も出来ない。本書もそうした身勝手さを出さない事に細心の注意を払いつつも、居た堪れない気持ち、悲しさを超越すべく筆者が筆をとった作品であると思う。
平和の礎とか、無駄死にとか、神として讃えることなど後世に生きる人間の勝手な考え方や行為であり、それのどれもが真実であるかはわからない。唯一正しいのは、戻ることの出来ない死への旅路を、それでも突き進み散って行った若者が居たという事実のみである。
何か読み終わった後に心にぽっかりと穴が開いて、そこから生暖かい空気がすーっと抜けていく様な感覚、尚且つ天井の一点を見つめるその画像が、滲んでぼやけて、窓から入ってくる光を乱反射させていく。
Posted by ブクログ
・私たちは特攻隊の真情とはかけはなれた安全地帯に立って、なにやら心が洗われるような、仕立て上げられた美談を耳にして、あたかも歴史的な意味を持つかのように錯覚してきた。
こうした創作を受け入れてしまう素地を、日本人は持っており、特攻隊のシステムやその置かれた状況を正確に見据えることなく、お涙や感情で見つめている限り、永遠の0みたいなものが受け入れられ続ける。
・天皇大本営による「米英に対する宣戦の詔書」では、東亜の開放や大東亜共栄圏の確立などは、開戦の目的ではなかったし、そんな力は日本にあるわけはないと理解しており、「日本の光栄を保全」することしか考えていなかった。(詔書原案作成者による)
大東亜共栄圏確立など後付けで言われるようになったに過ぎない。
・特攻隊員たちの遺稿からは「神」と祭り上げられることで、軍指導者への怒りとともに国民に対しても抜きがたい不信をもっていたことが読み取れる。
・特攻隊員が搭乗時に失禁する、腰が抜けて立たなくなる、失神してしまうという例は少なくなかった。整備兵たちが抱き起して操縦席に押し込み飛び立たせた。
メモ
Posted by ブクログ
「特攻」という名の、権力によって強制された「死」という、実に重すぎるテーマに踏み込んだ一作なのですが、やはりどうしてもメランコリックな論調が根底に流れてしまうところに保阪氏の「らしさ」を感じてしまいます。これは氏の良さでもあり、また、皮相的な見方をすればアキレス腱でもあるかと思います。
内容自体は事実関係が素描された良書と言えると思います。ただ、あえて難癖をつけるなら、やや「題名負け」しているような所も……(もう少し、書けたんじゃ無いかなぁ……)。
Posted by ブクログ
日本人があの戦争をとらえようとすると必ず特攻というものに行き着くだろう。
従来の二極論ではなく新たな決着をつけてこそ、この問題は解決される・・みたいな本
問題提起だけの印象を受けた
きっとそれはボクが読み足りなかったからだろう