保阪正康のレビュー一覧
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歴史を知ることの大切さを感じるようになった。それは大人なんだから、とか教養として、という部分もないわけじゃないんだけど、それ以上に今現在、自分の身の周りを考える上で重要な示唆があると感じるからだ。
五・一五事件の話があった。
首相が暗殺されたというあの事件で、殺された首相犬養毅の孫である犬養道子氏は、被害者の家族であるにもかかわらず、世間的には非難されたのだという。米を売ってもらえなかった、なんてエピソードが添えられていた。
被害者であるにも関わらず、同情的な空気とか、理屈に合わないものによって叩かれる、なんてことは今の世に、それも遠い報道の世界だけじゃなく、身の回りにもあるんじゃないだ -
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ネタバレ目次
・第1話 日本の〈文化大革命〉は、なぜ起きたか?
・第2話 真珠湾攻撃で、なぜ上陸作戦を行わなかったか?
・第3話 戦前・戦時下の日本のスパイ合戦は、どのような内容だったか?
・第4話 〈東日本社会主義人民共和国〉は、誕生しえたか?
・第5話 なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?
・第6話 占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかったか?
・第7話 M資金とは何をさし、それはどのような戦後の闇を継いでいるか?
・番外編 昭和天皇の「謎」
ちょっと文章が読みにくいというか、頭に入りにくかったけれど、全体的に面白かった。
日本の〈文化大革命〉とは、2.26事件から戦争まで -
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司馬遼太郎が書かなかった、書けなかった?昭和史。迫りくる欧米列強と対峙し、明治維新後、日清・日露を官軍の側から描けた司馬史観。
官軍・賊軍の確執、そして、統制派、皇道派と続く、昭和の軍閥の混乱。司馬史観では取り上げられない史実だ。
昭和史に詳しい、半藤、保坂コンビが、官軍・賊軍がどう昭和の戦争に突き進んだのかを解明しようとした著作だ。
基本的には、吉田松陰の思い描いた東アジア構想を具体化しようとした永田鉄山、石原莞爾。
そして、長州の天皇の権威を利用した、錦の御旗が、統帥権干犯へと繋がっているとの考え方が示されていた。
敗戦処理に携わったのは賊軍を出自とする軍人だ。
明治憲法下の最後の首相鈴木 -
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ネタバレ本当なら、全61巻、12000ページあるという「実録」そのものを読みたいところではありますが、さすがに躊躇してしまうので、とりあえず昭和史の研究家の何人かが語っているこの本で概略をつかんでおこうと思いました。
・そもそも「実録」を残すというのは、古代中国の皇帝が亡くなった時に編纂する伝統が生まれ、その後朝鮮やベトナムにも広がったものだそうで、それでも平安時代には世界中で途絶え、復活したのは「孝明天皇紀」。その後「明治天皇紀」が編纂され、今や日本にしか残っていない伝統とのこと。
・特に昭和天皇は、世界を相手に戦争を行った昭和という時代の帝であるということから、その時天皇はどう判断し、どう行動 -
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ナショナリズム=愛国心は、愛郷心のようなかたちで本来誰にでもあるものだ。が、権力と結びついているナショナリズムというものがあり、それが意図的に前者のナショナリズムを扇動し、政治的に利用しようとする構図がある。それがタイトルにある、日中韓でいま相互不信をかりたてているナショナリズムの正体だ。それぞれの国がどのような歴史的な背景でナショナリズムを持ち得、それがどのような意図で利用されているのか。太平洋戦争時の軍部が誘導した日本のそれ、共産党・国民党の対立が元になっている中国の反日教育、韓国人の誇りの高い国民感情、本書は、それらの主たる理由を簡潔に紹介し、それを正しく知ることなく、悪感情をもって自国
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2014年に刊行された昭和天皇実録についての対談集。少年時代の遊びや叱られたこと、乃木希典への敬慕。欧州遊学。摂政として国の舵取り。熱河作戦の阻止失敗。2.26事件への対応と石原莞爾への不信。三国同盟と松岡洋右。開戦への気持ちの変化と軍部への不信。嘘の上奏ばかりで短波放送を聞いて情報を得る。終戦工作と陸軍への説得。大元帥と天皇と大天皇。マッカーサーとの信頼。沖縄基地問題。A級戦犯の靖国合祀問題。実録は後世への歴史責任を果たす為、かなり中立に抑制的に書いてある。また天皇の生の感情も抑制的に書いてある。六国史に連なる国紀が書かれていることの重要性。24年掛けた大作に感謝。