保阪正康のレビュー一覧

  • 「昭和天皇実録」の謎を解く
    昭和史の研究家・半藤・保阪氏などの対談・鼎談集。昭和天皇の幼少期の意外な話から、摂政時代、そして昭和まで。実に豊富な記録が残っているのは歴史解明において有効だと思い、このような記録が発表されたことへの半藤氏たちの喜びが感じられる。一方であまり書かれなかったマッカーサーとの対談への不満も。戦争勃発後、...続きを読む
  • 東京が震えた日 二・二六事件、東京大空襲―昭和史の大河を往く〈第4集〉
    保坂さんが実際に関連したところをめぐりながら、2・26事件と東京大空襲について考える。よく出てくるフレーズが、”昔の面影はまったく残っていないが・・・”的なコメント。約80年前だとまったく残っていないんだなぁと感慨。
    話自体は、保坂さんが調べ上げた内容に基づくけど、ちょっと独善的なぶぶんもあり。自分...続きを読む
  • 日本原爆開発秘録
    マンハッタン計画の元となったウラニウムに関する諮問委員会がアインシュタインの申し出を受けたルーズベルト大統領により作られたのが1939年10月、ドイツがポーランドに侵攻したのが9月1日で第二次大戦は既に始まっていたことになる。ウランに中性子をぶつけると核分裂が起こることが実験的に確認されたのが193...続きを読む
  • 日本を変えた昭和史七大事件
    この事件に登場する事件って、同時代を生きた人に直接話を聞けたか聞ける状況なんだけど、生まれてないか、子ども時代の事件が多く、歴史の授業ではさっと流されることもあって、あまり知識がなかった。事件と同時代を生きていた人たちが、当時どう感じていたか、聞いてみたくなった。
  • 日本を変えた昭和史七大事件
    三章までの戦前部分は他の著作でも読んだことある内容のダイジェストなので面白くなかったけど戦後の四章以降は保阪さんの著作では読んだこと無いので面白かった。憲法制定と官僚の章は第三者的に憲法が米国の意向に沿って制作されたのを明らかにしている。私は(おそらく著者も)護憲派ですが、日本人が作ったかどうかより...続きを読む
  • 日中韓を振り回すナショナリズムの正体
     本書は、昭和史の大御所二人の対談である。「ナショナリズム」という妖怪を断罪する意見は、大いに説得力はあるが歴史の読み物としては、今ひとつ面白みに欠けるように思える。
     歴史書をある程度読んでいると、本書には新しい発見や知見は見いだせないように感じられて、物足りないのかもしれない。ちょっと、残念。
  • あの戦争になぜ負けたのか
    戦争の裏にあったエリートたちの多様な思惑や昭和天皇の孤独さ、特攻兵の上官たちの無責任さなどを知ることができ、新たな視点を得られた。
  • 昭和史再掘 〈昭和人〉の系譜を探る15の鍵
    昭和の様々な人物の四方山話。元々「諸君」のエッセイで掲載されていたものをまとめたもので特筆すべきところは無いが、昭和史に興味があるなら読んでもいいと思う。
  • 大本営発表という権力
    「大本営発表」という語は、力の強い者が不都合なことは隠して自分に都合のいいことだけを発表する意味で使われることが多い。しかし、それは単に虚偽や隠蔽ではなく、戦時における巨大な権力そのものでだった。国民を正常な感覚を失った酩酊状態に落とし込み、軍指導者自身が自らの発表で錯誤の連鎖にはまり、国そのものを...続きを読む
  • 参謀の昭和史 瀬島龍三
    実家の本棚の整理中に読む。非常に興味深いノンフィクションです。類書として、「沈黙のファイル」があります。類書と比較して、伊藤忠時代を丁寧に描いている点で、僕は、こちらの方が好きです。
  • 「特攻」と日本人
    犬死論も英霊論もどちらもあかんちゅうこと。◆「きけわだつみの声」の成立時期の背景も勘案するべき。◆◆美濃部正海軍将校のこと。
  • 参謀の昭和史 瀬島龍三
    著者の主張は一貫して、「瀬島龍三は大本営参謀として太平洋戦争にかかわったので説明責任があるのに、それを果たさずに逃げている」というものである。
    それは戦争時代の著述だけでなく、シベリア抑留時代、商社時代、臨調時代のすべてにおいて説明責任から逃げている、弾劾する。
    私は単純に、エリートの大本営参謀とい...続きを読む
  • そして、メディアは日本を戦争に導いた
    昭和史を研究したお二人からの警告。今の日本の状況はかなりまずいよと。
    現在のメディア同様、戦前のメディアもただ「売れる」という理由から、戦争の危機を訴える記事ではなく、戦争を煽る記事を書き続けたという。その方が「売れた」からだ。「売れる」ということは「求める」人たちが多数いるというわけで、しかしここ...続きを読む
  • 日本の領土問題 北方四島、竹島、尖閣諸島
    3つの領土問題、それぞれの経緯と問題点を明らかにする。筆者の専門が北方領土なのでそこだけ妙に情報量が多いのは置いておいて、それぞれ違ったアプローチが必要であるということは外交の素人にもよくわかる。
    尖閣諸島も石油があるとしても掘らなきゃわからないしねぇ。国と国とかでなくもっと大局的な判断ができる人が...続きを読む
  • 昭和史の一級史料を読む
    近衛文麿の昭和20年2月の上奏文が堀田「方丈記私記」にも取り上げられていて、「敗戦自体はそれほどのことでもない」という箇所がこれでもか、とこき下ろされている。
    確かに無責任極まりない話というのが大前提であり、そのことが本書「昭和史の一級史料」でも「近衛の妄想」という表現で示唆されているのだが、「史料...続きを読む
  • 昭和の名将と愚将
    対談形式なので読みやすく、内容は薄い。
    二人の会話の中で出てくる大戦時の指揮官の多くに実際会ってインタビューしている所が凄い。
    半藤一利だからこそ言える内容が多く、以降の本人と逢えなかった者には表現できないような仕草や言動の描写が有る。
    しかし、半藤氏がこの分野での大家過ぎて後進が育たず、本人にイン...続きを読む
  • あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書―
    このような歴史系の書籍を読むと、こっちの本ではこう書かれているのに、あっちの本では違うってことがたまにある。一つの出来事は視点によって何通りにも解釈されるとは歴史を語るときよく言われるが、できるかぎり沢山の人のフィルターから斜めに歴史を見たほうがいいなと思ったりする。

    内容に関しては、2.26事件...続きを読む
  • 日本を変えた昭和史七大事件
    文字通り、昭和史の中で筆者が7大事件としてあげる「五・一五事件、二・二六事件、太平洋戦争、占領、六〇年安保、三島由紀夫と楯の会事件、ロッキード事件」について記述した一冊。

    太平洋戦争と三島の件を同列に上げるのは若干無理があるものの、一貫して日本の国体について考えてる部分は同意できた。
  • あの戦争になぜ負けたのか
    昭和史を語る際にいつも示唆を受ける半藤、保阪に右よりの中西が加わり、どのような討議になるのか興味深いところでした。昭和の大戦という際に、日米戦争を分けて、中国に対しては明らかに侵略戦争であったという半藤、保阪に対して中西は何となく曖昧な姿勢であると思いました。それだけに日本が反乱もなく、一致して闘っ...続きを読む
  • 新編 後藤田正晴 異色官僚政治家の軌跡
    後藤田正晴という人が不世出の政治家であったことを新たに知ることが出来ました。徳島県の川島町から更に山奥へ行った田園の名門出身で、年の離れた末っ子として可愛がられて成長した幼年時代。兄の薦めで進んだ水戸高校。そして東大時代、内務省時代、警察庁、自治省の時代と豪腕のイメージを確立していく過程は凄みがあり...続きを読む