保阪正康のレビュー一覧
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司馬遼太郎が書かなかった、書けなかった?昭和史。迫りくる欧米列強と対峙し、明治維新後、日清・日露を官軍の側から描けた司馬史観。
官軍・賊軍の確執、そして、統制派、皇道派と続く、昭和の軍閥の混乱。司馬史観では取り上げられない史実だ。
昭和史に詳しい、半藤、保坂コンビが、官軍・賊軍がどう昭和の戦争に突き進んだのかを解明しようとした著作だ。
基本的には、吉田松陰の思い描いた東アジア構想を具体化しようとした永田鉄山、石原莞爾。
そして、長州の天皇の権威を利用した、錦の御旗が、統帥権干犯へと繋がっているとの考え方が示されていた。
敗戦処理に携わったのは賊軍を出自とする軍人だ。
明治憲法下の最後の首相鈴木 -
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ネタバレ本当なら、全61巻、12000ページあるという「実録」そのものを読みたいところではありますが、さすがに躊躇してしまうので、とりあえず昭和史の研究家の何人かが語っているこの本で概略をつかんでおこうと思いました。
・そもそも「実録」を残すというのは、古代中国の皇帝が亡くなった時に編纂する伝統が生まれ、その後朝鮮やベトナムにも広がったものだそうで、それでも平安時代には世界中で途絶え、復活したのは「孝明天皇紀」。その後「明治天皇紀」が編纂され、今や日本にしか残っていない伝統とのこと。
・特に昭和天皇は、世界を相手に戦争を行った昭和という時代の帝であるということから、その時天皇はどう判断し、どう行動 -
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ナショナリズム=愛国心は、愛郷心のようなかたちで本来誰にでもあるものだ。が、権力と結びついているナショナリズムというものがあり、それが意図的に前者のナショナリズムを扇動し、政治的に利用しようとする構図がある。それがタイトルにある、日中韓でいま相互不信をかりたてているナショナリズムの正体だ。それぞれの国がどのような歴史的な背景でナショナリズムを持ち得、それがどのような意図で利用されているのか。太平洋戦争時の軍部が誘導した日本のそれ、共産党・国民党の対立が元になっている中国の反日教育、韓国人の誇りの高い国民感情、本書は、それらの主たる理由を簡潔に紹介し、それを正しく知ることなく、悪感情をもって自国
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2014年に刊行された昭和天皇実録についての対談集。少年時代の遊びや叱られたこと、乃木希典への敬慕。欧州遊学。摂政として国の舵取り。熱河作戦の阻止失敗。2.26事件への対応と石原莞爾への不信。三国同盟と松岡洋右。開戦への気持ちの変化と軍部への不信。嘘の上奏ばかりで短波放送を聞いて情報を得る。終戦工作と陸軍への説得。大元帥と天皇と大天皇。マッカーサーとの信頼。沖縄基地問題。A級戦犯の靖国合祀問題。実録は後世への歴史責任を果たす為、かなり中立に抑制的に書いてある。また天皇の生の感情も抑制的に書いてある。六国史に連なる国紀が書かれていることの重要性。24年掛けた大作に感謝。
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一番身近な時代でもあるはずなのに、戦国時代や幕末などメジャーな時代以上に資料も揃っているはずなのになかなかその真相がわからない『昭和』。
正直、学生時代から自分が生きている時代であった昭和については関心が持てなかった。
歴史の授業でも最後の最後に飛ばすくらいで終わっていた時代。
今思うと、あえて飛ばされてたのかと勘ぐってしまう面もなきにしもあらずであるが。
そんな『昭和』にも年をとるにつれて興味が沸いてくるようになった。
なぜ、昭和に興味が持てないのだろうか?明治維新までの歴史というものには、その時代時代の『役者』に焦点が当たっているものの、昭和という時代を説明するにあたり、役者よりも歴史的 -
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日本が抱える3つの領土問題の本質について,分析しています。
特に,元外務省官僚だった著者の東郷氏が,当時,当事者として関わった「北方領土問題」について語っているのを読むと,「領土問題は,双方の歩み寄りが,色んな形で必要なんだなあ」ということがよく分かります。「両国間には領土問題は存在しない」「もともとここはうちの土地だ」なんて言っているだけでは,外交は進まない。
日本は「武力による問題解決をしない」と決めた以上,少しずつ前進する如かないのだと思います。
ナショナリスティックな構えだけで突き進むのは大変危険です。
本書を読んで,冷静な対処が一番大切なんだなあって思いました。
そして, -
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全部で2部構成、第1部は東郷和彦さんの主張が丁寧に、こってりと。
第2部は、お2人での対談という構成となっています。
その東郷さんは元外交官、佐藤優さんの上司として、
主に北方領土問題に携わってこられた方です。
凄く頭の良い方なんだなぁ、、と感じました。
それだけに、部下としてついていく方は大変そうだ、とも。
その東郷さんの主張、読み解くのはなかなかに骨でした。
一点して、保阪さんとの対談となった第2部はわかりやすかったです。
印象に残ったのは、徹底的にリアリズムを貫いているとの点でしょうか。
外交の最前線におられただけに、なんとも説得力のある言葉として響いてきました。
“交渉で決