【感想・ネタバレ】昭和史の核心のレビュー

あらすじ

日本人の心情と生活の根底には、鎖国時代に培われた実利主義が延々と生きている。しかしその伝統的実利主義を放棄してしまった時代があった。勝つ見込みのない戦争に突入した、昭和前期である──。戦争の悲劇が生まれた根本的な原因に迫るほか、令和の為政者が昭和史から学ぶべきこと、「報道されなかった東南海地震」「ローマ字社会になりかけた日本」などの昭和史秘史を紐解く。さらに、東京帝大時代に100メートル走の未公認世界記録を出した外交官藤井実、翼賛政治会を議会で批判した中野正剛など、語り継ぎたい日本人についても取り上げる。 (目次より)●「抽象的理想」の蔓延が日本の危機 ●永井荷風の虚無 ●報道されなかった東南海地震 ●ローマ字社会になりかけた日本 ●スターリンの北海道出兵計画 ●台湾の指導者の日本観 ●昭和天皇の摂政時代 ●「昭和8年」の警告 ●あさま山荘事件――戦前と戦後 交錯の瞬間 ●特攻に反対した部隊長 ●議会人の誇りを示した中野正剛 ●驚くべき世界記録を出した藤井実 ●自衛隊を出動させなかった赤城長官――60年安保 ●「半藤史観」継承へ

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Posted by ブクログ

筆者は、日本人のアイデンティティは実利主義で、
1. 鎖国時代に対外戦争を経験しなかったことで、共同体の中で生まれて死ぬまでそのルールを守っていれば過ごせた点、
2. 現世ご利益的で、自分たちの農村共同体を壊さないための知恵としての損得勘定が培われてきた点、から培われているとしている。
このあたりは最近読んだイザベラ・バードの日本紀行にも同様の記載があった。
「日本人は西洋の文明を取り入れるが、その文明の根本となる宗教などの考え方には興味を示さない。まるで実は要るが木は要らないと言っているようだ。」

本書で、日本人はゴールのある目標を達成するのは得意だが、道なき道を先導するのは苦手と言われているが、耳が痛い話。
太平洋戦争では騙されたと言う人も多いが、騙される方にも物事を正しく判断する素養のないのではと言う。
最近の世界の風潮、例えば、ガソリン車と電気自動車、脱原発と再生可能エネルギー、自国保護主義と他国への侵攻、など、世の中の立派そうな事を言うものこそ、騙されずに真実を見極める必要がある。

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2023年04月29日

Posted by ブクログ

ロシアのウクライナ軍事侵攻から、イスラエルのパレスチナ自治区へのジェノサイドとも言われる攻撃など、ここ数年は戦争を身近に感じる機会が増え、戦後80年が経過して世の中の大きな変換点に来ていると肌で感じる。

それまでの常識として、他国への軍事侵攻など、今の世の中ではお互いが抑制しあって起きるはずはないと思い込んでいたが、それが一度破られると、至るところで火種が大きくなってきていることを懸念する。また、為政者にも自国第一主義や保護主義を唱えるものが多くなってきていることにも不安を覚える。

当たり前のように二度と戦争は起こさないし、起こらないよう抑制されると思ってはいても、経済が悪化し、不満がたまり、何か歯車がズレて、それがどんどん大きくなっていくと、昭和の戦時中のような考えに行き着くのではないかと感じてしまう。

そうならないためにも、もう一度、戦争の悲惨さを思い知り、過去の過ちがどのように始まり、どのような結末に至ったかを考える機会を増やさなければと感じた。

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2025年06月16日

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