保阪正康のレビュー一覧

  • あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書―

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    近代史をあまり理解していない、特に太平洋戦争に付いては被害者としての歴史認識に偏っていないか、考えるさせられる
    改め戦争を捉え直す機会となった

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    2025年01月26日
  • 田中角栄の昭和

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    田中角栄の評価は功罪相半ばしている。著者は客観的にかつ冷静に分析している。田中角栄は、その人心掌握力、行動力において、並外れているが、残念ながら、政治家としての思想なり、理念がないことが、政治家としての凋落につながったと思う。また、日本の民主主義が大きく転換する一過程であったのだろう。

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    2025年01月24日
  • 戦争の近現代史 日本人は戦いをやめられるのか

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    保坂正康氏の戦争論。
    戦争論とは戦闘での勝ち負けではなく、いかに戦争を避けるのかを考えることが重要。

    台湾有事を今の視点だけで見てはいけない、共産党と国民党との争いの原因を日本の軍国主義が生み出し、それを無責任に放置した結果が今だという論理で矛先が日本に向かう可能性があるとの指摘は鋭い。

    ウクライナ戦争で核抑止力による平和という戦後の時代は終わり、21世紀型の新しい平和の論理が求められている。
    軍事費増強や核武装を叫ぶことは、先の大戦で払った犠牲の反省の上に立ったものとは言えない。

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    2025年01月18日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    激動の62年間の昭和。その時代のうねりの中どのようにお過ごしになられていたのか、昭和天皇の息遣いに耳を傾ける。一国の主人として、戦争にどう立ち向かったのか、どう終わらせようと思ったのか、昭和天皇のお気持ちに心を重ねることに意味があるように思う。

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    2024年08月14日
  • 石橋湛山の65日

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    audible 。何人もの左派と思える人が高く評価する石橋湛山とはどのような政治家であったのか。なるほど自分の知る歴代の保守政治家とはかなり違っている。安倍何某などのエセ保守など足下にも及ばない人物のようだ。
    しかし政局の中での泳ぎ方はどう見ても民主主義者じゃない気がする。国民より自分の今の政治家たちと同じに思えた。

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    2024年06月06日
  • 続 昭和の怪物 七つの謎

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    三島由紀夫、田中角栄、後藤田正晴といった、政治家や政治思想に縁深い昭和の人物七人を取りあげている。本人に直接だったり、関係者への丹念な取材と人脈を生かして七人の人物像を掘り下げる。

    それぞれの見方によって人の評価も大きく変わる。七人全員ではないが、この時代の大物達は一言で表すなら「清濁併せ呑む」の印象が残る。

    特に田中角栄の章はわかりやすく、面白かった。田中は庶民の欲望をよく理解していて、そして庶民の側は金権まみれが糾弾されると自身の欲望の肥大化を恥じて田中を批判した、というくだりは日本人の国民性をよく表現している。

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    2024年05月25日
  • テロルの昭和史

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    日本が軍国主義化して、戦争の時代に流れ込んでいくプロセスについては、過去にも何冊が読んで、大きな流れは理解しているつもりであったが、これはテロルという切り口でまとめた本。

    テロル=恐怖がだんだんと社会全体に染み込んでいく感覚というのは、客観的な記述の歴史書では今ひとつピンとこないところであったが、この本は、著者の長年のインタビューなどの積み重ねもあり、リアリティを感じた。

    昭和前半の歴史において、「なぜ、日本はアメリカとの勝つはずのない戦争を始めたのか?」「なぜ日本は軍事独裁的な政治体制になったのか」という問いは、日本だけをみてもダメでドイツやイタリア、ソ連などを踏まえた上で考える必要があ

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    2024年05月21日
  • 松本清張の昭和史

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    没後30年。今も人気の衰えぬ松本清張の歴史観を分析する。「昭和史発掘」「日本の黒い霧」。第2部の対談が秀逸。第1部は2006年出版の「松本清張と昭和史」の一部修正。

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    2024年03月30日
  • 近代日本の地下水脈 Ⅰ 哲学なき軍事国家の悲劇

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    第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る時期に、政治・政党関係者、財界関係者へのテロが相次ぎ、反面、民衆の軍へのシンパシーが高まっていったのは、江戸時代末期から続く「攘夷」の地下水脈を背景としているのではないか、とするくだりには納得した。

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    2024年02月08日
  • 陰謀の日本近現代史

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    ●戦争指導の内幕がよくわかる一冊。
    ●天皇の命令は中々書かないから読めて良かったと思う。特に年上の陸軍大臣、参謀総長から舐められていたのは悲しい話。東条だって怪しいもんだし、当時の天皇の心中はいかほどのものか。信用できない家臣に囲まれることほど、辛く情けないものはない。
    ●後半はかなり具体的な名前が出てくるからかなり興味深い。つくづく歴史を記録することの困難さを実感する。神の視点はないわけで、どうしても客観性が怪しくなる。結局、長生きした連中にいいように修正される可能性もあるわけだね。
    ●昭和の戦争指導はひどいもんだ…かなり頭のいい人たちもいたはずなのにこんなことになってしまって…本土上陸作戦

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    2023年12月23日
  • 石橋湛山の65日

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    つまり、首相であった65日間にではなく、その前の民間の言論人であった時代、大臣になった時代になした言動から、評価されている人なんだな。
    この人がこんな短い期間ではなく、三年、あるいは安倍さんのように長期に渡って在任していたらどんな時代になっていたのだろうか。
    外交面でも本当にバランス感覚に長けていた人のようだから、今のロシアにどのように処するのだろう。
    ただ、今いない人のことをたらればでいくら論じて見ても現実は変わらないわけだから、次の石橋湛山を見つけまたは生み出さない限り、良くはならないのだろう。

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    2023年10月12日
  • 歴史の予兆を読む

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    ウクライナ戦争、帝国主義の動き、気候変動、社会変革など、現代社会が抱える問題を、歴史から学ぶ姿勢で読み解こうとする対談。今は大きな変換点にあることを感じるが、お二人が指摘されているように、もっともっと日常的に、ファクトに基づいた議論が、普通に行われる社会であることがまずは大切だと思う。

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    2023年06月26日
  • Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想

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    札幌市内への越境通学。1つ違いの中学生二人はやがて現代史研究家と保守的思想家となる。

    30年時を経て分断されるまでの2人の関係を回想する私小説的な作品。

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    2023年06月20日
  • 歴史の定説を破る あの戦争は「勝ち」だった

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    興味深い視点で書かれた本です。
    戦いには負けたけど復興して勝った…ユニークな視点ですが、納得です。
    そう考えると日本は勝ったと言えます。
    逆に日清戦争、日露戦争は負け…妥当だと思います。
    勝ったことで完膚なきまでに叩き潰されたと言っていいでしょう。

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    2023年06月12日
  • Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想

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    ネタバレ

     もはや東大を西部さんが辞めたことや、右翼的な言論家として活動していたことすら、既に忘れ去られている気がする。そのような活動に関する記述には、それほど。
     それよりも、保阪さんとの係わりが読ませる。
     評伝ではないまので、西部さんの生涯についてはよく分からないのだけれど、人間性については伝わるところが大きい。

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    2023年06月05日
  • 歴史の予兆を読む

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    逃げ切れる世代と、逃げ切れない世代。

    本書内で登場するのですが、
    私はちょうど間ぐらいかもしれません。

    いまの20代以下は本書の中の「逃げ切れない世代」だし、
    池上さんたち60代以上は「逃げ切れる世代」なんでしょう。

    年金制度だって、何十年も前からお金を徴収していたはずなのに、なぜ今になって財源足りませんとなるのか。
    戦争だって、今更する必要あるのか。
    日本は敗戦国として覚悟をもって主体的になれているのか。

    鬼滅の刃の話題は、ちょっと飛躍しすぎでしょと思いましたが。苦笑

    たくさんの頭が良い人たちが考えてつないできたはずのものが、結局すべて詰んで破綻を迎えるって。
    振り返れば分岐点、潮

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    2023年05月07日
  • 昭和史の核心

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    筆者は、日本人のアイデンティティは実利主義で、
    1. 鎖国時代に対外戦争を経験しなかったことで、共同体の中で生まれて死ぬまでそのルールを守っていれば過ごせた点、
    2. 現世ご利益的で、自分たちの農村共同体を壊さないための知恵としての損得勘定が培われてきた点、から培われているとしている。
    このあたりは最近読んだイザベラ・バードの日本紀行にも同様の記載があった。
    「日本人は西洋の文明を取り入れるが、その文明の根本となる宗教などの考え方には興味を示さない。まるで実は要るが木は要らないと言っているようだ。」

    本書で、日本人はゴールのある目標を達成するのは得意だが、道なき道を先導するのは苦手と言われて

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    2023年04月29日
  • 日本人の宿題 歴史探偵、平和を謳う

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    1.勝ったという経験は、人間を反省させないし、利口にもしません。
    2.教育によって国というのは立つんです。経済によっては立たない
    3.大きく変革するときに、人間というものは正体を現すんですよ
    4.残しておけば、あとの人が真実に近づくことができます

    どれも、うんうん、と頷きながら読んだが、ウクライナ侵攻が続く今、考えているのは、なぜ、ロシアがウクライナへ侵攻したのか、ということだ。
    その要因は、いくつもあるだろうが、そのうちの一つに、ロシア(当時のソ連)が第二次世界大戦においてナチスに勝利した、という記憶があるからではないか、と思う。ソ連は、この戦争を「大祖国戦争」と呼び、その栄光を讃え続けて

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    2023年03月07日
  • 近現代史からの警告

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    昭和の恐慌とそれに対する無策が国民の青年将校の国家改造運動へ正当性を与え、軍ファシズムへとつながっていった

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    2023年01月29日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    ネタバレ

    対談集。
    著者 : 半藤一利 中西輝政 福田和也 保阪正康 戸高一成 加藤陽子
    さまざまな視点から、太平洋戦争について、どんな経緯で、誰がどんな動き・発言をしたか、などを語り合う。
    読んでいると、果たして、どうして、あんな戦争が起きてしまったのか(止められなかったのか)、やめられなかったのか、いったい、どれくらいの方が亡くなられたのかと思うと、いたたまれない。
    「なぜ負けたのか」というより、勝ち負けよりも、なぜ戦争を始めてしまったのか、もっともっと検証していかなければならないと思う。

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    2023年01月21日