【感想・ネタバレ】松本清張の昭和史のレビュー

あらすじ

社会派推理の開拓のみならず、小説、ノンフィクション、古代史、現代史など、領域を自在に超えた執筆活動を展開し、「国民作家」の名をほしいままにした松本清張。その膨大な仕事のなかでも、自らの同時代史に取り組んだ『昭和史発掘』『日本の黒い霧』は重要な柱といえる。清張は、軍部をはじめとする国家権力、二・二六事件で蹶起した将校たちにどのような眼差しをむけていたか。占領期に起きた不可解な事件をいかに捉えていたか。没後30年を経て、清張史観はいかに評価されるべきか。松本清張から「時代の記録者」としてバトンを託された著者が清張史観の核心を平易な文体で伝える。阿刀田高、加藤陽子各氏との対話を収録。

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Posted by ブクログ

2025/05/28「松本清張の昭和史」保阪正康・加藤陽子
松本清張は天才作家 学歴なく、40歳過ぎの作家活動、巨大作品集
世の中は単なる推理小説作家に押し留めようとするが、それでも偉大 テレビでドラマが何度も制作され、再放送されるのは彼しかいない。保阪正康氏は松本清張氏をさらに歴史学者としても大きな評価を明らかにした。アカデミズムや正統派は排除しているが。
特に「昭和前史1926年―1945年」の大東亜戦争は「日本の縮図」、ここを抜きにして日本史は語れない
①なぜ対米戦争を始めたのか
②大衆の戦争意識、戦争の当事者としての現場・現実
松本清張はアカデミズムとは別の視点で「昭和の歴史を紡いだ」
1.保阪正康と加藤陽子の評価ベクトルが重なる 権威主義の否定・権力の監視
2.「昭和史発掘」が最大のベストセラー200万部越え
3.2・26事件が山
4.天皇制は論じない 軽々に論じる者は「天皇制に逃げる」
5.2・26事件の叛乱将校に憤激した天皇も、事件後は軍部の妖性の前に無力化した。それが天皇制の本質。(松本清張)
6.ファシズムはデモクラシーについてくる(加藤陽子)
7.歴史という学問が専門家の独占になってはいけない。学問は国民全部のものです。(松本清張―加藤陽子)

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2025年05月29日

Posted by ブクログ

没後30年。今も人気の衰えぬ松本清張の歴史観を分析する。「昭和史発掘」「日本の黒い霧」。第2部の対談が秀逸。第1部は2006年出版の「松本清張と昭和史」の一部修正。

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2024年03月30日

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