あらすじ
国家を滅亡の淵まで追い込んだ「あの戦争」から八〇年、同時代史として語られてきた昭和史は、これから歴史の中へと移行する。二・二六事件、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇……時代を大きく変えた八つの事象を、当事者たちの思惑や感情を排して見つめ直す時、これまでの通説・定説とはおよそ異なる歴史の真相が浮かび上がる。いったい、日本人はどこで何を間違えたのか――昭和史の第一人者による衝撃の論考。
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Posted by ブクログ
戦後80年日本は平和を享受してきた。私自身もその中で豊かさを享受してきた1人だが、日本の平和は日米安保つまりアメリカ軍に守られた歪んだ平和という事実がある。
日本は2度と戦争はしてはいけないという意見を否定する人は少ないだろう。そのための手段が左派と右派で大きく異なる。
筆者は唯物史観をベースとした左派も皇国史観をベースとした右派も否定し、あくまで実証主義をベースとして歴史を客観的にみるべきと主張する。
日本はペリーの来航以来、戦前も戦後も現在も良くも悪くもアメリカの影響を受け続けている。
無批判に戦前の軍国主義を否定し、戦後民主主義を肯定するのは思考停止であり、自分の頭で平和とは何か、どうやって実現するかを考え続けろと言われている。
Posted by ブクログ
著者が東條英機は優秀ではあったが人の心がわからなかった、といい、田中角栄は学はなかったが人の心がわかったと評している。敗戦後に生まれた私は、当然のごとく平和を享受しているが、その平和は現実には米によって守られている、という事実は認めなければならない。そして経済復興も。
ずっと昭和史を追ってきたという老境の著者の達観したような筆致も好感が持てた。
Posted by ブクログ
表題に対する答えは書かれていないようだ。わずかに、「戦後」という括りをなくすべきということが書かれているが、それはそうとしてそれだけでは分からないだろう。
「あの戦争は何だったのか」のまとめとして、後進帝国主義による先進帝国主義への自滅的挑戦だったという。その通りであろう。
もしどこかで踏みとどまっていればいったい今どうなっているのか、考えてみたい。
日中戦争について、「中国の巧妙な罠に嵌ったという見方もできる」というが、それは少なくとも始めたあと、やめられなくなった時のことではないのか。