【感想・ネタバレ】なぜ日本人は間違えたのか―真説・昭和100年と戦後80年―(新潮新書)のレビュー

あらすじ

国家を滅亡の淵まで追い込んだ「あの戦争」から八〇年、同時代史として語られてきた昭和史は、これから歴史の中へと移行する。二・二六事件、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇……時代を大きく変えた八つの事象を、当事者たちの思惑や感情を排して見つめ直す時、これまでの通説・定説とはおよそ異なる歴史の真相が浮かび上がる。いったい、日本人はどこで何を間違えたのか――昭和史の第一人者による衝撃の論考。

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Posted by ブクログ


真説、なんて書かなくても、著者の歴史認識は極めてまっとうで、
ナショナリズムが吹き荒れる現代に、
しっかり足元を固めてものを考えるにはぴったりの新書になっている、
と私は思う。

昭和100年、、、

日中戦争から大東亜戦争、そして敗戦、アメリカの占領下、高度成長、バブル、
そして失われた30年、
大雑把にはそんな流れか。

その100年を、戦争、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇という切り口で
分析している。

戦争を止めることができなかった当時の空気。
ドイツ降伏後は世界中を敵に回して戦争を続け、
優秀な学生を特攻隊に送り込む狂気。
敗戦後の東京裁判の理不尽さ。
東條英機はヒトラーほどの権力はなかったし、小物だったことがよくわかる。
というか、当時も今も大物なんていやしないのか。
ある意味唯一の大物田中角栄はアメリカにたてつこうとして刺された。

高度成長が、ベビーブーマーたちを仕事に就かせないととんでもないことになる、
という官僚の思いから生まれたように読めるところはちと違和感がある。
しかも官僚が軍人への復讐心を持つ、というのも。
もちろん個人個人はそうだろうが、陸軍の組織が今の官僚のもとになっている、
と私は理解しているので、自己撞着というか、自己否定というか、、
だったらいっそ組織解体して出直せ、と言いたい。

昭和天皇はよくわからない。間違いなく戦争責任はあったわけだが、
彼を処罰してしまえば、とんでもないことになるというアメリカの思い。
今の上皇の素晴らしいお話を聞いたことがある身としては、
きっと昭和天皇も相当の教養をお持ちなのだろうと思うが、
いずれにしても歴史の渦中にいらしたお方。
翻弄された、とすら言えるだろう。
そもそも明治天皇の前は全く存在感がなかったものの、
薩長が江戸幕府をひっくり返すために担ぎ上げた天皇制。
ペリーとハリスに太平の世を奪われ、開国せざるを得なかったとはいうものの、
どうも明治政府の在り方は好きになれぬ。
それを後生大事に考える輩も。

なぜかその人たちは今のアメリカべったりと親和性がいい。
右翼なら国の独立性が大事だろうに。
なぜかなぜかそうではない。
アメリカなんて、日本を守る気なんてさらさらないはず。
もともとそうだったものを今までは建前で維持してきた。
しかし、トランプはそんなものをかなぐり捨てて、
ビジネスだけでものを言う。
そんな国の言うなりになってはまずいはずだ。
前にも書いたが、日本を敗戦国とした体制の国連がトランプによって
解体されそうなのは賛成するが。

しかし、、
要は経済力。
経済に余裕があるから武力を増強できる。
アメリカは60年代はものすごく裕福だったのに、
ベトナム戦争からケチが付き始めた。
カネが無くなった。
それを今またやろうとしている。
しかも金は各国が出せ、という。
意味不明だ。

日本は武力を増やす前から勝手に衰退してしまった。
この上増やしたらどうなるのか。

過去を振り返り、立ち返るべき時。

そんなときにトランプがホルムズ護衛参加要請してきている。
その相手が高市首相。
彼女は岸田に比べればクレバーかと思っていたが、
どうも言動からそうでもなさそう。
迎合しそう。
危ない。


まえがき

第一章 「昭和一〇〇年」とは何だったのか――左翼史観に歪められた歴史の見方
近代日本を形づくった皇国史観/唯物史観とアメリカ的な実証主義/半藤氏の四〇年周期説、胡耀邦が語った八〇年周期説/暴力革命、革命純化、板垣は裏切り者/マスコミと教育現場を支配した左翼的史観/歴史を見る目を歪めたマスコミと文化人/自分史、日本史、人類史――三段階の歴史観/左翼系知識人の偽善/「東條について書くなんて右翼だ」/ジャーナリズムに対するアカデミズムの傲慢/記憶を父として、記録を母として/歴史に向き合ってものを書くこと

第二章 「あの戦争」とは何だったのか――大きな戦略に呑み込まれた日中・対米戦争
一五年戦争、太平洋戦争、アジア太平洋戦争/辛亥革命に日本はどう関わったか/国家統一に向けた中国の大戦略/イギリスの先進帝国主義の原価計算/国民党の軍事指導者が明かした抗日戦の真相/華族になりたい一心から国家を破滅に導いた/失われた武士道という倫理/対米戦争とは何だったのか――近現代史の俯瞰図/近代化の手本はアメリカではなくプロイセン/対中政策をめぐって高まった日米の軋轢/アメリカへの最大の援軍となった「本土決戦」/対米関係に支配され続ける国/対アメリカ観を再構築できるか

第三章 「二・二六事件」とは何だったのか――狂信者たちの目的は達成された
ファシズムへの導火線、新統制派の実権掌握/事件と共産主義者を結ぶ点と線/「天皇と一体化」という危険な精神構造

第四章 「東京裁判」とは何だったのか――平和と人道という名の下の復讐
天皇を訴追しないと決めたマッカーサー/隠された事実を晒す大掛かりな情報公開/訴状を押し戴いた被告たち/大きな無理を抱えた検事団の起訴状/自分の首を絞めた敗戦前後の資料焼却/戦争よりも虐殺行為への復讐が目的/パル判事の「日本無罪論」を否定する/「これでアメリカと戦争をやったのか!?」/ソ連の証人になった「昭和の参謀」瀬島龍三/法務省地下に埋もれた資料が語ること/「東條を真人間にしてあの世に送った」

第五章 「高度成長」とは何だったのか――経済官僚が挑んだ軍人への復讐戦
「政治の季節」から「経済の時代」へ/平時の予算の組み方を知らない大蔵官僚/高度成長を取り仕切った「短現」出身者/七〇年安保とは高度成長のアダ花/復讐戦の終焉から低成長の時代へ/歴史の法則性と準備運動

第六章 「田中角栄」とは何だったのか――大衆の生贄にされた無作為の社会主義者
際立った三つの特徴/昭和天皇の前で話しまくる/キッシンジャーを激怒させた「アメリカ離れ」/『日本列島改造論』の先見の明、狡猾な大衆のエゴイズム/支持率七〇パーセント、驚異的人気の秘密/「国のためになど死んでたまるか」

第七章 「昭和天皇」とは何だったのか――時代の象徴にして人間天皇という二面性
明治・大正天皇の分裂から昭和天皇の一体化まで/象徴天皇にして人間天皇へ、苦渋の変身/日本人として理解すべき天皇の二面性/近代天皇制への理解不足

第八章 「戦後八〇年」とは何なのか――言葉の呪縛と思考停止の時代
中国訪問で「あなたはなぜ謝罪しないのか」/「した部隊」と「しなかった部隊」の違い/政治的プロパガンダより生身の証言/モラルが逆転した戦争体験を聞くルール/歴史認識は食い違うのが当たり前/報道と戦争は今も昔も相性がいい/自分の意思と関係のない「世代の宿命」/日本人は本当に「わだつみのこえ」を聞いたか/「国のために死ぬ」というアンビバレンス/「一国平和主義」「平和憲法」への自省はあるか/「戦後」「戦後民主主義」に潜むエゴイズム/新しい戦争観と平和理論を構築できるか/「戦間期の思想」を持たなかった国

あとがき

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2026年03月16日

Posted by ブクログ

証人の裁判での証言だけじゃなくて、その裏側にで本当の事を言っている人がたくさんいるって事。東京裁判は、半分肯定、半分否定。高度経済成長は、大蔵官僚、経済官僚が、軍部を中心に復讐戦争を戦ったと言うのは、腑に落ちた。

0
2026年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そこそこ知ってるつもりで生きてきた
実際は何も知らないし
ただただ戦争は反対だと言ってきた
情けない
傲慢さと無知の知を思い知られる

1番ぞっとした所
中国戦線で床候を出す。30人いれば30人の
ほとんどが殺される。任務の上で殺されるのは
仕方がないとしても、その後が問題なんだ。
殺されて、両の腕と脚が切られた
ダルマのような死体が20〜30メートル間隔で
道端に並べられていて、中には性器が切られて
口に突っ込まれたのもある。
行軍する日本兵たちはそれを見て気がおかしくなる。
それを知るからこそイギリスは中国奥地で戦争など
しなかった

漫画キングダムの六大将軍さながら
精神的な極限でこのような事件が起こる
そりゃ何かが起こる予感はあるし実際起きている

人類は戦争によって発展し思想や科学の恩恵をうけて
生活しているのは事実である
原爆を落とされたアメリカを
復讐するなんて言う人は聞いた事がない

ここに至るまで日本人は戦争から距離を置いてきた
のだから、知恵や教訓にとどめず、理性や知性に
置き換える作業をしなくてはならないと思う。
新しい理念が必要だ
それができるのが日本の皆様である
これがこの本の結論

高度成長期の田中角栄さんの箇所もすごくよかった
これは本当に素晴らしい本だった
星7あげたい本

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2025年12月23日

Posted by ブクログ

戦後80年日本は平和を享受してきた。私自身もその中で豊かさを享受してきた1人だが、日本の平和は日米安保つまりアメリカ軍に守られた歪んだ平和という事実がある。
日本は2度と戦争はしてはいけないという意見を否定する人は少ないだろう。そのための手段が左派と右派で大きく異なる。
筆者は唯物史観をベースとした左派も皇国史観をベースとした右派も否定し、あくまで実証主義をベースとして歴史を客観的にみるべきと主張する。
日本はペリーの来航以来、戦前も戦後も現在も良くも悪くもアメリカの影響を受け続けている。
無批判に戦前の軍国主義を否定し、戦後民主主義を肯定するのは思考停止であり、自分の頭で平和とは何か、どうやって実現するかを考え続けろと言われている。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

著者が東條英機は優秀ではあったが人の心がわからなかった、といい、田中角栄は学はなかったが人の心がわかったと評している。敗戦後に生まれた私は、当然のごとく平和を享受しているが、その平和は現実には米によって守られている、という事実は認めなければならない。そして経済復興も。
ずっと昭和史を追ってきたという老境の著者の達観したような筆致も好感が持てた。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

日本人は世界から見てどこか異質のように思う。状況を見て取れないというか、物事の本質を見抜けない。先の戦争も軍部の暴走が引き起こしたことだが、国民が納得したものであったのか?いつのまにか戦争に巻き込まれていた感がある。今の現状に似ていないか?

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

保阪さんてこんな人だっけ?
大丈夫か?どうしちゃったんだ保阪正泰と言う気持ちになる本。
乱れぶりを楽しめるといえばいえる。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

表題に対する答えは書かれていないようだ。わずかに、「戦後」という括りをなくすべきということが書かれているが、それはそうとしてそれだけでは分からないだろう。
「あの戦争は何だったのか」のまとめとして、後進帝国主義による先進帝国主義への自滅的挑戦だったという。その通りであろう。
もしどこかで踏みとどまっていればいったい今どうなっているのか、考えてみたい。
日中戦争について、「中国の巧妙な罠に嵌ったという見方もできる」というが、それは少なくとも始めたあと、やめられなくなった時のことではないのか。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

2025/09/22「なぜ日本人は間違えたのか」保阪正康
著者の「昭和史への見識・真摯さ」
多くの戦争経験者からヒアリング、その実証性に敬意。
ただしオーソドックスであり、国内事情に傾斜し、世界事情は弱い。
(『武藤章』の切れ味はない)

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2025年09月22日

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