【感想・ネタバレ】昭和の怪物 七つの謎のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年11月10日

180810昭和の怪物 七つの謎 保阪正康 ☆☆☆
「東條英機」ナンバーワン! 石原莞爾・瀬島龍三が勉強になった
犬養毅・渡辺和子・吉田茂も良かった

1.東條英機 選んではならない首相「自省がない」
昭和天皇と木戸内大臣の奇策 自己保身が国を滅ばした
(1)軍人の偏狭さ①精神論が好き②妥協は敗北③...続きを読む事実誤認は当たり前
⇒安部晋三首相と似ている(14)凄い大胆な発言 選んではならない
(2)人事大好き 東條人事こそ陸軍最大の誤り
私情がらみの人事 諫言の士より服従の部下 口を挟まない幕僚
(3)東條の大いなる勘違い
あくまで軍事的勝利を目指す、天皇は戦争に負けるより「国体護持」「皇統を守る」
国家指導者の懸念を理解できなかった(保坂氏は無視というが)
①勝算無く三年八ヶ月もなぜ戦争を続けたのか?
②東條は軍事独裁体制を布いたが、責任は誰が負うと考えたか?
東條は軍人 戦うことしかできない
(4)東條の精神論
戦争は、負けたと思ったときが負け
⇒日本に負けはない 国家が滅びても負けを認めない
(5)理念無き戦争を行なったツケ 軍人にこの国を任せたツケは日本の未来を縛る
軍人は戦争の真の意味を理解していない
⇒この章だけで十分重かった

2.石原莞爾 軍人としてスケールが圧倒的に大きい
満州事変の戦略判断は見事 ソ連スターリンが動かない読み
しかし前例を作ったことの影響は結局日本を滅ぼしてしまった
敗戦の際に、東亜の道義は消えない、くじけてはダメと 拓銀破綻とDNAに似ている

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Posted by ブクログ 2018年08月21日

平成という時代のが終わろうとしている今、戦前、戦後の昭和の時代に何が起こり、誰がどんな判断をしてきたのかを2018年の今こそ知らしてくれる一冊。

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Posted by ブクログ 2018年07月29日

講談社現代新書今月の新刊。丁寧なインタビューと一次資料の読み込みにより昭和史の謎に迫る。第1章の東條英機についても予断を排してその存在を再構築していく様が白眉かつ痛快。2章以下は 石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂。2018年必読の書。
以下本文p13-14より 東條英機論

…とにかく強...続きを読む引で、自分に都合のいい論理しか口にしない。(中略)いわば人間形成が偏頗なのである。こういうタイプの政治家、軍人は三つの共通点を持つ。「精神論が好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」(中略)(その点では安倍晋三首相に似ているともいえるが)。(中略)つまるところは「自省がない」という点に尽きる。(中略)その行き着く先は国家存亡の危機である。

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Posted by ブクログ 2021年02月22日

東条英機や吉田茂など6人の人物にフォーカスして、昭和前期の歴史を読み解いた本。

本書は関係者への取材や文献記録などをもとに、昭和前期(戦前)に起こった出来事に関係する6人の人物を中心にして昭和前期の歴史をひもといていきます。

歴史から教訓を導き出すことは、未来をより良くするために必要なこと。私た...続きを読むちは昭和前期の歴史から何を学ぶべきか。何を教訓にすべきか。そのことを本書は教えてくれます。

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Posted by ブクログ 2019年07月07日

面白い。一気に読んだ。特に犬養道子氏と渡辺和子氏のエピソードは心に迫る。元号が変わり昭和が歴史になりつつある今、こうした切り口の書物は大変意義深いと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年02月28日

昭和史は私の世代の歴史教育では把握し難いものがあって、あまりよくわかっていないため、本書は興味深く読んだ。側近へのインタビューを通じて提示されるそれぞれの人物像が新鮮。良いところ(悪いところ)ばかりでないのが良い。一部救いのない人もいるが…

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Posted by ブクログ 2020年06月26日

面白い面白いと聞いていたけど、これはスゴ本だ。下手なスパイ小説や戦争モノを読むよりよっぽどヒリついててスリリング。

東條英機、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂についての膨大なインタビューをもとに、それぞれに問題提起をしつつ実像に迫っていく本。

東條英機はホンモノのクズだったっていうの...続きを読むは本当に膝の力が抜けるくらい悔しいというか腹が立つというか。全くのグランドデザイン無しに非科学的な思想のみでこいつは一体何人の人間を死に追いやったのか。「東條英機とは戦争というものを全く理解していなかった日本陸軍という組織の結晶のような存在である」という風な批判が引用されていて、なるほどそれならば確かに学ぶべき貴重なサンプルではあると思う。

犬養毅の孫娘である渡辺和子氏( 前ノートルダム清心学園理事長)の回顧は胸が熱くなった。この方の著作も読んでみたいと思う。

それにしても・・・五・一五事件、ニ・二六事件という軍人の蜂起で政党政治が崩壊し軍部主導の統治が始まり大東亜戦争を引き起こし、そして『日本のいちばん長い日(岡本喜八監督版)』をこの間観たのだけど、玉音放送の寸前まで日本軍はクーデターを起こしている。

日本人が「軍人」という職につくと本当に始末が悪い。そしてそれを嫌というほど自覚しているから今の憲法があってシビリアンコントロールの仕組みが出来上がってるというのに、日の丸に富士山デザインのマスクを着けたり、背広を脱いで自衛隊の訓練に参加したりする、内向きコミュニケーションしかし取れないSNS大好き中学生みたいな馬鹿が自衛隊トップを務めたりしている現実にはウンザリだ。

この本を読み、『日本のいちばん長い日』『ザ・レポート』『マーシャル・ロー』を観て悟った。日本という国は、日本人は、この国の政治は「軍」を持てるほど成熟していない。

「次も」絶対に失敗するから、軍は持たない方がいい。

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Posted by ブクログ 2018年10月15日

保阪正康の著作には、昭和史の大きな流れを扱ったものと、小さいポイントを掘り下げたものと2タイプあるが、これは後者のカテゴリーに入る。昭和の歴史を見つめた当事者の聞き書きをもとに、深層に迫っていく。いささか重箱の隅をつついている感は否めないものの、年表や出来事を羅列するだけが歴史の綴り方ではないとも思...続きを読むうから、これはこれで正解なのだろう。

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Posted by ブクログ 2018年10月02日

平成が終わる中、今一度昭和史、特に戦中、戦後と社会が大きく変わった時代のリーダーたちを知りたくてこの本をとった。
東条英機の文学や哲学、学問を軽視する姿や逆の立場であった石原莞爾など、時代は違えど人間として、現代人にもi-eyところはあった。
特に瀬島龍三のエピソードにあった、平気で一次情報の文書を...続きを読む書き換える姿勢は、現代の官僚と通じるぶぶんがある。70年賀状たった今でも、変わらないところはあるのだと感じた。

ただし、各エピソードに出てくる事件や物事など、ピンと来ない部分がある。それは自分がまだ歴史の理解が足りない部分である。
今、未来を考えるにも、過去も学ばなければいけないと、再認識した一冊です。

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Posted by ブクログ 2018年09月30日

半藤一利と並ぶ昭和史研究の大家である著者が、太平洋戦争の目撃者たる東条英機、石原莞爾、吉田茂ら6名の人物に焦点を当て、それぞれの謎について、膨大なこれまでの研究成果をもとに著者なりの真相仮説を提示する。

特に重点を置いて描かれるのは東条英機と石原莞爾の二人であり、この二人に対するパートで本書の半分...続きを読む弱が占められている。東条英機と石原莞爾の対立関係、というよりも東条の石原に対する怖れや、石原莞爾が描こうとして理想の社会とは何だったのか、そうした問に、具体的かつ百科全書的な著者のこれまでの昭和史の知見がフルに援用されながら、ストーリーが語られる様は見事で、知的好奇心を多いに満たしてくれた。

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Posted by ブクログ 2018年08月07日

紹介されている人物、いい面だけでなく悪い面も書かれてあり、引き込まれやすかった。東条と石原の比較がやはり面白い。なぜ日本は戦争に走っていってしまったのか、戦争が始まってもなぜなかなか終わらせることができなかったのか、という点でも再確認でき勉強になった。

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Posted by ブクログ 2021年12月12日

最近長らく船戸与一の「満州国演義」シリーズを読んでいて、そこに出てくる人物の実像にも触れられそうだと読んでみた。論じているのは、東条英機、石原莞爾、犬養毅(犬養道子)、渡辺錠太郎(渡辺和子)、瀬島龍三、吉田茂といった面々。
一番面白かったのは石原莞爾(とそれを追い落とそうとする東条英機)。この人のこ...続きを読むとはもっと知ってみたい。この人が東条英機を凌いでいたら昭和12年あたり以降の日本はどうなっていただろうと思わされる。石原と吉田茂が対していたらどうなっていただろうかとか、なかった日本史を思ってしまう。
また、目からうろこが落ちるような話としては、二・二六事件のとき目の前で父を殺され、後年シスターになった渡辺和子が、著者が「お父上の命を奪った人間が悪いのではない。もっと大きな構図があり、その中で事件が起こったということでしょうか。そのような考えに達しているということになるのでしょうか」と問うたのに対し、「二・二六事件は、私にとって赦しの対象からは外れています」とこたえたこと(p.175)。赦しきれないことを渡辺もずっと抱えて生きてきたのだろう。あまりなことはしてはいけないなと感じたしだい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年11月14日

最近昭和史を改めて勉強しており、何冊か読んだ上で保阪氏の著書にトライ。結果、難しいところも多々ありつつも理解出来、非常に面白いと感じた。(逆にいうと初見でこの本は厳しいかも…)

東条英機、石原莞爾、犬養毅など、興味深いものばかりだったが、
ニ・ニ六事件で父を惨殺された渡辺和子さんの「ニ・ニ六事件は...続きを読む私の赦しの対象から外れている」という言葉が衝撃的だった。
もちろん良い意味での衝撃なのだが、いやそうだよなと。そう思うからこそあの生き方が出来たんだろうなと、ひしひし感じました。

そして無知ゆえ、犬養毅の息子・犬養健さんがゾルゲ事件に巻き込まれていたことを初めて知った。その首謀者の尾崎からソ連切手を託されていたっていう、もう昭和史の中枢にいないと出来ない体験をしている道子氏の、「世間とはこういうもの」(お母様の発言なのだが)という言葉が突き刺さる。いつの時代も一緒。なんでテロの被害者側が傷つかないといけないのかね。

なんだろうな、昭和史って正直すごくセンシティブというか、扱いにくいし難しいからこそ、学校や世の中できちんと教えていかなあかんと私はずっと思っておるのです。人の考え方や、その人で構成される組織がここまでおかしくなると、ここまで国は変わっていくということが、もう滲み出て実感出来るのが昭和史というか。ニ・ニ六事件や五・一五事件なんて今の視点から見たら恐ろしすぎる事件だけど、これが起きて当たり前の世界が日本にあったという、それはきちんと教えないといけないんじゃないかなぁと、私はつくづく思っております。(ただの呟き)

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Posted by ブクログ 2021年09月26日

面白いけど、昭和史の基礎知識が必須です。
私は勉強不足だったので、携帯で調べつつ読みました。
あの時代、あの事件の生き証人からインタビューしているので迫力がある。

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Posted by ブクログ 2019年10月11日

文字通り、戦中戦後に活躍した日本人の政財界の人について綴った一冊。

これまで知ることのない戦中秘史を知ることができた。

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Posted by ブクログ 2019年08月17日

☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆


第一章 東条英機は何に脅えていたのか
第二章 石原莞爾は東条暗殺計画を知っていたのか
第三章 石原莞爾の「世界最終戦争論」とは何だったのか
第四章 犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか
第五章 渡辺和子は死ぬまで誰を赦さなかったのか
第六章 瀬島龍三は史実をどう...続きを読む改竄したのか
第七章 吉田茂はなぜ護憲にこだわったのか


昭和史を学ぶ上で、保坂氏の著作は非常にわかりやすい。
特に瀬島龍三の章は興味深く読めた。

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Posted by ブクログ 2019年01月27日

教科書で学ぶ歴史は、ほんの一断面に過ぎず、その評価は常に変化、進化していく、そんなことを思い知らされる。
思い込みによる認識を排し、多面的に物事をみることの大切さを改めて感じさせられる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年11月08日

昭和初期から中期にかけて活躍した、怪物といわれる人たちを深く掘り下げた一冊。大好物の一冊。学校ではなかなか学ばれない昭和史の最も濃い面を暴露している。

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

石原莞爾や東條英機など、今まで深く知ることのなかった昭和の時代を動かしてきた人物の考え方を学ぶことができた。

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Posted by ブクログ 2020年06月28日

昭和。特に戦前や終戦直後の出来事は、徐々に歴史の奥底に追いやられて行くのを感じる。
当事者が寿命を迎え次々と亡くなっていく中で、歴史の証人が減っていくのだからしょうがない面もある。
しかし逆に言うと、関係者が生きている今の内にこそ、正しい歴史認識を植え付ける必要があるのではないだろうか。
そこから現...続きを読む代に生きる我々が学ぶべきことは、本当に多いのではないだろうか。
著者はそんな使命感で筆を取り続ける。
やはり東条英機と石原莞爾の項目は日本人として必読だと思う。
(もちろん他の書籍でもいいが、この二人の行動言論を考察すること自体に非常に意味がある)
なぜ日本人は勝てない戦争を始めたのか?
さらに、なぜ日本人は敗戦確実になっても戦争を止められなかったのか?
今もって本当に不思議だ。
なぜあそこまでボロボロになり、国民があんなに死んでいるのに、戦争を止めることが出来なかったのか?
広島長崎に原爆が落とされ、その直後の御前会議でも、戦争継続と敗戦受諾が二分して全く結論が出なかったというのだから恐れ入る。
そんな事があるのか?
どう考えても負けは決まっているのに?
単に「日本人の特性」という言葉で語って済む話なのだろうか?
今の会社でも全く同じだ。
スクラップ&ビルドがどうしても出来ない。
「この仕事意味あるの?」ということですら、止めることが出来ない。
意味がないことでも容認して続いてしまう。
これは最早日本人の病気と言えるのではないだろうか?
確かに日本は国家として世界一長く継続している国である。
歴史あるヨーロッパ・中国ですら、何度も国は滅び滅ぼされの繰り返しだ。
国家として約1500~2000年間継続しているのは、世界中で日本だけ。
これは勿論誇る事であるが、あまりにも「守ること・継続すること」に固執をしているのも事実かもしれない。
しかしながら、国際社会が大きく変化していく中で、今まさに戦争当時のような「不安定な状態」と言えるのではないだろうか?
コロナウイルスだって、まったく想像が出来なかった。
こんな世界が訪れるとは思いもしなかった。
そういう意味で、想像力の欠如も日本人の特性かもしれない。
ゼロ戦の性能を最大限引き上げるために、装甲を極限まで薄くする。
これらも敵から攻撃されることを全く想定していないからこそと言われている。
日本人の特性は確かにあるかもしれない。
しかしそれでは負けて滅んでしまうのだ。
そうならないためにどうするのか?
馬鹿な行動を繰り返さないためにも、歴史から学ぶことは多数あるのだと思う。
(2020/6/27)

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Posted by ブクログ 2018年11月18日

昭和史に興味があり読んでみたが、正直ある程度の昭和史に知識がないと読み込みが浅くなる感じがした。なので7つの謎と言われても何故それが謎なのかすらも分からないので、私には少々ハードルの高い本となった。ただ、この中に出てきた石原莞爾はもう少し調べてみようと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月25日

「謎」であるかは別として、昭和史の特定の人物をわかりやすく取り上げてくれる。序盤の東条英機と石原莞爾の対立は興味深い。

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Posted by ブクログ 2023年06月23日

東條英機、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂といった昭和史の著名人を手際よくまとめた労作です。
特に、戦中最も日本の舵取りが重視された局面で、最もつけてはいけない人物がトップに配置されてしまった、それが東條英機です。当時イケイケドンドンの陸軍を代表する東條が任命されたのは、強硬派の東條によ...続きを読むって軍内を統制させるという「毒をもって毒を制す」意図があったからだが、器の小さい東條は自分に反発する有能な人材をことごとく左遷させ、彼の周りにはイエスマンしか残さなかった。彼は精神論にとり憑かれ、妥協や譲歩は敗北、従って理論的思考よりも前進あるのみという亡国思想の権化だった。彼の迷言「戦争は負けたと思った時が負け」で多くの命が無駄に失われた。
東條英機と犬猿の仲だったのが、東條より4年後輩の石原莞爾。石原は理論派でかつ直言居士なので、東條が最も嫌悪した人物です。歴史にイフはありませんが、せめて石原が東條より先に生まれてくれていれば、東條の様な人物が軍内で重用されることはなかったのではと思われます。
続く、五・一五事件で殺された犬養毅と二・二六事件で殺された渡辺錠太郎の娘渡辺和子の章は必読です。軍人テロで文字通り命懸けだった政治家の毅然とした態度は感動的ですらあります。
一方で、国益よりも我が利権を優先する今の政治家の体たらくぶりが余計に悪目立ちします。

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Posted by ブクログ 2019年02月11日

戦中のことが勉強になった。
話が飛んだりするんで、時系列的に整理するのが難しい感じやったけど、憲法改正が国会で大きな問題になっとる中、大平洋戦争のことは日本人として知っておいた方がいいかな、と思って読んでみた。もっと知っておかんならんなぁ。

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Posted by ブクログ 2019年02月06日

東条英機、石原莞爾、犬養毅、瀬島龍三、吉田茂たち昭和を代表する人物たちについての驚くような事実。東条が首相になった理由、東条と石原の確執の遠因、石橋が日中戦争・太平洋戦争に反対の立場だったこと、犬養毅が最後に放った言葉「話せば分かる」は実際には「話を聴こう」だったとの孫・犬養道子の証言。犬養一族の前...続きを読むで犬養について話をする著者への道子の反応は実に興味深い。道子は日本人のありのままの姿を見ようとしているためとの著者の感想が瀬島のソ連スパイ説の真相と大きな嘘の数々、小説「不毛地帯」の壹岐正に自分を重ねようとして日付まで嘘をついていた!吉田茂にとっての憲法9条の重要性。著者の冷静な視線での記述が鋭く歴史の陰の部分を明るみに出してくれているように感じる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年01月25日

【書評】歴史を学び、人のふり見て我がふり直しませんか?『昭和の怪物 七つの謎』

日本の歴史は皆学校で習うが、つまるところテストのための暗記科目と化している。
ただ歴史から学べることは多くあり、「人のふり見て我がふり直す」のにうってつけの科目である。
本書では歴史の教科書で語りきれなかった、歴史的人...続きを読む物の人間面を浮き彫りにする。

特に注目なのが、「東條英機」と「石原莞爾」の比較だ。
東條は自分の味方だけで人事を固めたり、課題を精神論で解決しようとしたり、とても国のトップになるような人ではない。
対して石原は東條とは真逆の思考である。
それがために、東條とは対立している。

石原は兵士を「人間」として扱い、東條は「軍備」として扱った。
今の社会に必要なリーダーは石原の方であることは明らかだろう。
本来必要とされている力が、人間関係によって発揮できないことで歴史が大きくマイナスに動く。
これほど悲しいことはないだろう。

繰り返すが、「歴史を学ぶ」ということは決して過去の出来事を暗記することではない。
過去の出来事を知り、「自分だったらどうするか」ということを考えることが大事なのではないだろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年01月01日

瀬島龍三の事が書いてあるので買ったが、今まで詳しく知らないままになっていた石原莞爾についても知ることが出来て良かった。他にも犬養毅の孫娘、二・二六事件で銃殺された渡辺錠太郎の末娘にスポットを当てて、歴史を紐解いている。犬養毅は話せばわかるなんて言ってなかったんだ、、、興味深いエピソードも多数ありとて...続きを読むも面白い。

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Posted by ブクログ 2018年09月08日

近現代史はあまり好きではなく、ましてや小説でもなく、ましてや戦中・戦後は一番嫌なのですが、なぜか興味を引かれ読みました。前提として当時の人物、組織、事件なんかをわかっていないと理解しづらいなと思いました。途中、やっぱり受け付けなくて飛ばし読みしたところも多いです。ただ当時の軍の中にも多面的な見方をで...続きを読むきる人たちは大勢いて、戦争回避する動きもあったのに結局はそうはならなかったのが残念です。今も昔も大きく物事が見れない自分本位な人が戦争をしたがるんだなと思いました。

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著者のスタンスが…。た

匿名 2023年10月21日

著者である保阪氏は、昭和史に関して膨大な著作が有るので「説得力」が有るのは確かだ。

しかし、人間と云う生き物は凡そ、初めからまっさらな視点で歴史に向き合えるとは限らない、と云う事も又事実なのである。

例えば別書の「吉田茂」の著作等では、自身の先入観が入り込み、見落とす筈が無い様な彼(吉田茂)の失...続きを読む策も「目を瞑ってしまう」部分が見受けられ、結局自分の主観的考えから“一次史料”を探してしまう為、詳しい事実関係を知らない読者には《史料が指し示す真実》と成ってしまう事が度々在ったのだ。
これでは、NHKやTBSが作る「ドキュメンタリー番組」とさして変わらない内容になってしまう可能性が、全く無いとは言えない。
例えば、つい最近見付かった史料では、ソ連側の方も相当に甚大な損害を被っており、ノモンハンでの出来事が《全くのデタラメ作戦》では無かった事も判明しているのだ。つまり、ただの“犬死作戦”では無かったと云う事だ。

勿論、著者が「一から十まで嘘を書いている」等と言う積もりなど更々無いが、この様にどんな専門家でも一定の《バイアス》が掛かってしまう事が有ると云う危険性を鑑みて、何でも鵜呑みにせず「セカンド・オピニオン」の様に他の研究者の著書とも突き合わせて読むよう、読者の方々には気を付けて頂きたいと、老婆心ながらお伝えしておきたい。

#深い #じれったい #共感する

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