あらすじ
昭和史研究の第一人者が、積み重ねた取材から東條英機、、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂が残した謎に迫る。
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Posted by ブクログ
最近昭和史を改めて勉強しており、何冊か読んだ上で保阪氏の著書にトライ。結果、難しいところも多々ありつつも理解出来、非常に面白いと感じた。(逆にいうと初見でこの本は厳しいかも…)
東条英機、石原莞爾、犬養毅など、興味深いものばかりだったが、
ニ・ニ六事件で父を惨殺された渡辺和子さんの「ニ・ニ六事件は私の赦しの対象から外れている」という言葉が衝撃的だった。
もちろん良い意味での衝撃なのだが、いやそうだよなと。そう思うからこそあの生き方が出来たんだろうなと、ひしひし感じました。
そして無知ゆえ、犬養毅の息子・犬養健さんがゾルゲ事件に巻き込まれていたことを初めて知った。その首謀者の尾崎からソ連切手を託されていたっていう、もう昭和史の中枢にいないと出来ない体験をしている道子氏の、「世間とはこういうもの」(お母様の発言なのだが)という言葉が突き刺さる。いつの時代も一緒。なんでテロの被害者側が傷つかないといけないのかね。
なんだろうな、昭和史って正直すごくセンシティブというか、扱いにくいし難しいからこそ、学校や世の中できちんと教えていかなあかんと私はずっと思っておるのです。人の考え方や、その人で構成される組織がここまでおかしくなると、ここまで国は変わっていくということが、もう滲み出て実感出来るのが昭和史というか。ニ・ニ六事件や五・一五事件なんて今の視点から見たら恐ろしすぎる事件だけど、これが起きて当たり前の世界が日本にあったという、それはきちんと教えないといけないんじゃないかなぁと、私はつくづく思っております。(ただの呟き)
Posted by ブクログ
昭和初期から中期にかけて活躍した、怪物といわれる人たちを深く掘り下げた一冊。大好物の一冊。学校ではなかなか学ばれない昭和史の最も濃い面を暴露している。
Posted by ブクログ
【書評】歴史を学び、人のふり見て我がふり直しませんか?『昭和の怪物 七つの謎』
日本の歴史は皆学校で習うが、つまるところテストのための暗記科目と化している。
ただ歴史から学べることは多くあり、「人のふり見て我がふり直す」のにうってつけの科目である。
本書では歴史の教科書で語りきれなかった、歴史的人物の人間面を浮き彫りにする。
特に注目なのが、「東條英機」と「石原莞爾」の比較だ。
東條は自分の味方だけで人事を固めたり、課題を精神論で解決しようとしたり、とても国のトップになるような人ではない。
対して石原は東條とは真逆の思考である。
それがために、東條とは対立している。
石原は兵士を「人間」として扱い、東條は「軍備」として扱った。
今の社会に必要なリーダーは石原の方であることは明らかだろう。
本来必要とされている力が、人間関係によって発揮できないことで歴史が大きくマイナスに動く。
これほど悲しいことはないだろう。
繰り返すが、「歴史を学ぶ」ということは決して過去の出来事を暗記することではない。
過去の出来事を知り、「自分だったらどうするか」ということを考えることが大事なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
瀬島龍三の事が書いてあるので買ったが、今まで詳しく知らないままになっていた石原莞爾についても知ることが出来て良かった。他にも犬養毅の孫娘、二・二六事件で銃殺された渡辺錠太郎の末娘にスポットを当てて、歴史を紐解いている。犬養毅は話せばわかるなんて言ってなかったんだ、、、興味深いエピソードも多数ありとても面白い。
Posted by ブクログ
近現代史はあまり好きではなく、ましてや小説でもなく、ましてや戦中・戦後は一番嫌なのですが、なぜか興味を引かれ読みました。前提として当時の人物、組織、事件なんかをわかっていないと理解しづらいなと思いました。途中、やっぱり受け付けなくて飛ばし読みしたところも多いです。ただ当時の軍の中にも多面的な見方をできる人たちは大勢いて、戦争回避する動きもあったのに結局はそうはならなかったのが残念です。今も昔も大きく物事が見れない自分本位な人が戦争をしたがるんだなと思いました。
匿名
著者のスタンスが…。た
著者である保阪氏は、昭和史に関して膨大な著作が有るので「説得力」が有るのは確かだ。
しかし、人間と云う生き物は凡そ、初めからまっさらな視点で歴史に向き合えるとは限らない、と云う事も又事実なのである。
例えば別書の「吉田茂」の著作等では、自身の先入観が入り込み、見落とす筈が無い様な彼(吉田茂)の失策も「目を瞑ってしまう」部分が見受けられ、結局自分の主観的考えから“一次史料”を探してしまう為、詳しい事実関係を知らない読者には《史料が指し示す真実》と成ってしまう事が度々在ったのだ。
これでは、NHKやTBSが作る「ドキュメンタリー番組」とさして変わらない内容になってしまう可能性が、全く無いとは言えない。
例えば、つい最近見付かった史料では、ソ連側の方も相当に甚大な損害を被っており、ノモンハンでの出来事が《全くのデタラメ作戦》では無かった事も判明しているのだ。つまり、ただの“犬死作戦”では無かったと云う事だ。
勿論、著者が「一から十まで嘘を書いている」等と言う積もりなど更々無いが、この様にどんな専門家でも一定の《バイアス》が掛かってしまう事が有ると云う危険性を鑑みて、何でも鵜呑みにせず「セカンド・オピニオン」の様に他の研究者の著書とも突き合わせて読むよう、読者の方々には気を付けて頂きたいと、老婆心ながらお伝えしておきたい。