【感想・ネタバレ】関口宏・保阪正康の もう一度! 近現代史 戦争の時代へのレビュー

あらすじ

日清・日露戦争に勝利し、朝鮮半島、南樺太、そして南満州鉄道を手に入れた日本は、強大化した軍事力を背景に一等国の仲間入りを果たした。
迎えた大正時代は、政争に始まった。山縣有朋を筆頭とする明治の元勲・藩閥勢力と、議会政治の確立を目指す勢力が激しく争い、民衆もそれに呼応して護憲運動が起こった。
まもなくヨーロッパで第一次世界大戦が勃発し、ロシア、ドイツで革命が起こって帝政が崩壊すると、日本はその間隙を縫うようにして権益を確保しようと目論む。ドイツが支配していた中国の港湾都市・中国を強引に奪い取り、シベリアにも出兵した。
日本は、「遅れてきた帝国主義国家」となった。国力の伸長を国民も支持し、陸軍の暴走を追認する形で、軍事国家への道を歩み始める。
天皇の体調が思わしくなかった大正後期には軍事行動を自重していた陸軍も、昭和に改元されると、すぐさま満州事変を起こし、さらに柳条湖事変によって中国大陸の奥深くへと侵攻していく。
傀儡国家・満州国建設のため、清朝のラストエンペラー溥儀を天津の日本租界に匿い、日本の保護下に置いた。さらに男装の麗人と言われたスパイ・川島芳子が溥儀の妻・婉容を言葉巧みに連れ出し、満州国建設の準備を進める。
一方国内では血盟団事件、五・一五事件など要人をターゲットにしたテロ事件が続発、ついには、東京に戒厳令が敷かれる二・二六事件が勃発する――。
新興国・日本が経済力と軍事力に自信を深め、欧米列強に伍する新たな一等国として成り上がろうとした、野望の時代。
目的のためには手段を選ばずあらゆる謀略を駆使し、目を覆うような残虐行為が横行する一方、華やかな大正文化が勃興した大正~昭和11年初頭までを描く、大人気シリーズ待望の第二弾。

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Posted by ブクログ

 BS-TBSで毎週土曜日正午から放映されているテレビ番組の文章版である。内容は基本的なものを時系列に追いかけていくもので平易、わかりやすいというのが本書のいちばんよいところだろうか。批判的なばかりではなく、当時の状況や人々の心理も想像したやりとりが展開されていく。
 我々は歴史に学ぶことを忘れないよう、本書のような記憶が欠かせないのである。

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2022年01月29日

Posted by ブクログ

BS-TBSの番組を書籍化したものの第二弾。

特筆すべき内容はないもの、その時代の空気などを伝えてくれたので勉強になった。

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2022年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

関口氏と保阪氏の対談で進んでいく一冊。
わかりやすくて大正〜昭和史をザックリ知りたい人にはオススメの一冊。
教科書には載らない話などもちらほらで、「尼港事件」(ロシア革命時、出兵していた日本に対しロシアのパルチザンが日本人を虐殺した事件)
なんかはお恥ずかしながら全く知らなかった…。
教科書にも載せるべきだと思うんやが。

大正天皇と昭和天皇の話も良かった。
体調を崩されてから、昭和天皇が摂政として務められてたらしいけど、
やっぱり天皇にも自分なりの権威というものがあるんやね。
摂政としての仕事をどこまでやっているか、という点をすごく気にされていたエピソードに納得でした。

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2023年08月23日

Posted by ブクログ

大正初めから2・26事件までの歴史を解説
西暦ではなく和暦で事件の時期が説明されており、大正期は諸外国の動きに対して国内政治家がどう動いたかを中心に、昭和期は陸軍、特に関東軍の暴走ぶりを中心にされている。

教科書を読んでも分かりづらい経緯が丁寧に説明されていて読みやすいが、関東軍の動きの理由があまり説明されていない(考え方が合理的でないことを前提に論じられていることが理由なので仕方ないのかもしれない)ので、説明が平板に思えて教科書の副読本を読んでいる気分で読み進めていた。

大正デモクラシーを含め、政治家や軍以外の人たちの考え方も分かりづらく、当時の歴史から現代の政治を批判する素材は見つけやすい。軍組織内部の統制、文民統制の大切さがよく分かる。

クーデター(未遂)や紛争が頻発するとても抑圧された社会の雰囲気だったことが容易に想像できるのに、マスコミが機能していないと一般市民としてはどうしようもないものか。

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2022年09月03日

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