中島らものレビュー一覧
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天下の大酒豪、中島らもさまの作品である。帯には「すべての酒飲みに捧ぐ」「どうしても酒を飲まずにはいられない人生について」などとあり、不穏なことこの上ない。そしてアルコール依存症だけにアルコールと薬物についての考察は一読に価値あり。
解説の町田康さんは、「人はなぜ破滅を恐れながら破滅を目指すのか」という問いに対しての問答が書いてあると解説している。
これは体験記なのだろうか?小島さんなる小説家が主人公なのだが、まずγGTP1300、結膜真っ黄っき〜の、皮膚に黄疸まで出てて、入院を言い渡されると、入院までの1-2時間で向かいの酒屋でワンカップ酒2つを平らげる。入院患者あるあるなのだが、常人の発想ではない。
尿量計測を言われて、コーラみたいな色で少ししか出ないからと水道水を混ぜる。きゃあああ〜と絶叫してしまう。保険医療で入院はドブにお金を捨ててるようなもんだ。そもそも10年間毎日ウィスキー1本飲んでるんだもん!自殺じゃないとするとなんなのか。
薬など効かないから、安静、睡眠、高タンパク食をしっかりと言われてるのに、固形物は受け付けないと食べない。入院日の夜に振戦が始まる。が、幻覚は見ないで済んだらしい。あれは相当ツライときく。
8日目になってフケが出てきた。タンパク質がようやく細胞の新生に回り始めたらしい。風呂に久々に入る。
だいぶ身体が楽になってきて、病院内を徘徊していると霊安室があったので入ってみたら、同室のアルコール依存症患者が死体清拭用のアルコールを飲んでいた。勧められたが断る。しかしこの後、何かしているとあそこにアルコールがあると頭に浮かぶようになってしまった。
肝生検、しばらくお腹が痛くてしかも体力が低下する。結果的に重度の脂肪肝でまだ肝硬変ではないとわかる。体力がついてきたので、小一時間くらい散歩するようになったら、今度はお腹が空いて眠れなくなった。我慢できずに蕎麦屋に入ってビールを飲んでしまう。飲んだらあっという間、次は日本酒。気がついたら蕎麦もほとんど食べずにバーに来ていた。
病院に帰ると… -
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1巻: 民俗・呪術学の権威である大生部教授が手品師の仕掛けを暴く奇術師ミスターミラクルの協力のもと、新興宗教にのめり込んだ妻逸美を救出するお話。(トリックに似ているとされてるのは多分この1巻だけ。)
2巻: TV取材クルーと同行して本場の呪術調査のため物語の舞台がアフリカに広がる。文化的に呪術師には調停者としての高い地位があり、本物の力に触れていく。その中でも別格の力をもつ呪術師と邂逅する。
3巻: 別格の力を持つ呪術師の力の根源に触れた大生部教授たちはこの呪術師と対決することになる。人知を超えた力を持つこの呪術師に対してどう立ち向かっていくのか。
笑いや皮肉が聞いていてシリアスな部分もコミカルな部分も盛り込まれていてとても面白く読めた。主人公の大生部教授はシリアスな場面でもアルコールの話ばかりしていて、憎めない雰囲気も○。トリックのように明かされる仕組みを期待すると2-3巻で思ったものと違うかもしれないですが、ストーリー、キャラクター性に興味があれば、また酒好きな人もぜひ! -
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前巻の『ガダラの豚1』を「今まで読まなかったのが本当にもったいない」と紹介したが、結論から言うと、2巻もやっぱり面白かった!
1巻で登場した多彩なキャラクターたちは、今度は呪術の本場・アフリカの大地で大暴れすることになる。
映画やドラマの続編は、スケールアップに失敗すると一気に失速しがちだが、本作はその点がとにかく上手い!
舞台は小さな日本から、スケールの大きなアフリカへ。
一介のマジシャン崩れが行っていた奇術まがいを暴く物語だった前作から、今作では「村全体が呪術師」という、より奇怪で大掛かりな話へと転じていく。
人員も、今回はTV撮影という設定上、撮影スタッフや流暢な関西弁を話す現地案内人、さらにはアフリカで活躍する本物の呪術師まで加わり、舞台・登場人物・物語のすべてがオーバーに拡張されている。
しかし、ただ派手になるだけでは終わらない。
現地の呪術は、亡くなった神父の残した日誌を読み解くことで少しずつ明らかにされ、登場人物たちもこれまでの経験を経て精神的に成長している。
派手さと地に足のついた描写の緩急が、非常にいいバランスで構成されていると感じた。
また、1巻で回収されなかった伏線――教授の娘の死についても、ここで見事に回収される。
一方で、教授の家系の謎や道満君の「目覚め」など、新たな伏線も張られており、3巻でそれらがどのように回収されるのか、続きを読まずにはいられない。 -
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なにこれ、めちゃくちゃ面白い。今まで読まなかったのが本当にもったいない。
実は中島らもさん、今回が初読。
本作は文庫本三部作の一冊目で、第一部は主人公・大生部(おおうべ)教授のテレビ出演と、妻がハマってしまった新興宗教のインチキを暴くエピソードが中心になっている。
登場人物はとにかく多彩で、第一巻はその紹介や登場にまつわるウンチクがたっぷり。
まだ本格的に活躍しないキャラクターも多いが、背景設定が異様に濃く、人物の書き分けが鮮明なのでまったく退屈しない。
大物風に登場したのに、いきなり修行に失敗する大阿闍梨。
呪術を専門とする一風変わった民族学者の大学教授。
少林寺で鍛えた助手。
一番まともそうな立ち位置なのに、新興宗教にハマってしまう妻。
妻に似た美男子の息子。
自称ニンフォマニアの美人セラピスト。
超能力少年・清川くん。
ミスターマリックを思わせる名前のマジック種明かし専門家。
チンピラ相手に無双するガチムチなテレビプロデューサー。
とにかく盛りだくさんで、情報量が多いのに楽しい。
一巻を読み終えたところで、ようやく主要な演者が揃ったという印象で、ここから物語がどう展開していくのかが気になって仕方ない。
早く続きが読みたくて、うずうずしている。
本作が発表されたのは1996年。
日本では、あのオウム真理教事件をきっかけに新興宗教への関心と警戒感が一気に高まっていた時期でもある。
そう考えると、本作で描かれる新興宗教や「信じること」の滑稽さと危うさは、単なるフィクションではなく、当時の空気を鋭くすくい取ったものに思えてくる。 -
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ネタバレテレビの企画で大生部一行はケニアへ。
そこは呪術が生活の一部として存在する社会。
住民全員が呪術師の村クミナタトゥで一行は強力な呪術師バキリと遭遇する。
現代ホラー小説を知るための100冊の一つだがホラーのジャンルに収まらないジャンルミックス的なエンタメ大作。しかしかつて村に住んでいたスコット神父の日記の箇所は紛うことなくホラー。登場人物たちのやり取りの多くがユーモラスなだけにこのシーンの怖さが際立つ。
タイトルの意味を忘れていたがこの巻に記述がある。聖書からの引用。イエスが人に取り憑いた悪霊に出ていけと命じ、悪霊たちは人から豚へと移動したあと崖から海へ飛び込んで死んだ。その出来事があった土地がガダラだった。 -
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世にも珍しいドラッグ・エッセイ。
阿片やヘロインなど誰でも聞いたことのあるメジャーなドラッグや、ガマ(カエルだよ!)やサボテンなどイロモノまで。題材の物珍しさはさることながら、やはりらもさん、文章がうまい(当たり前。作家ですから)!グイグイ読ませるし、たまに吹き出してしまうくらいユーモラス。同じく作家の娘・さなえさんの名前が出てくるのも、ファンとしては嬉しい。
ちょうど『ガダラの豚』を連載していた頃(1987〜1988)のエッセイなんだけど、この頃の神戸ってすごく治安悪いんだなと。おしゃれな街のイメージなのに…こわい、神戸…こわい、関西…ブルブル
ドラッグなんて、これまでもこの先も縁がない身としては体験談はかなり貴重。怖いもの見たさと純粋な好奇心でページを繰る手が止められなかった。それにしてもご本人、大変な体験をよくぞレポートしてくれましたよね。とある翻訳者さんなどへの辛辣なコメントも、「これ、大丈夫?」と心配になりつつ面白い。
ご本人、途中面白くない箇所ありというようなことを書いている。言われてみれば少し中弛みしてるのかな?と思わなくもないけど、全編通して面白かったし、だいたい一篇10ページ前後なので、隙間時間にサクッと読むのに向いていると思いますですよ。