中島らものレビュー一覧
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宗教にのめりこんでしまった妻を救うため、テレビタレントとなった呪術研究者が、手品師と手を組み謎の宗教団体へと挑む――。
本作は、オカルトと科学、信仰と虚構といった“相反する世界”を真正面から描き出す。“奇跡”と“ペテン”のエンタメ宗教サスペンスです。
呪術研究者×手品師というクセの強いコンビが宗教団体に挑むという構図がまず強烈で、この組み合わせの妙が、後のドラマ『TRICK』などにも通じるエンタメの原点を感じさせます。「理屈では説明できないものを、どうにか理屈で納得させたい」――そんな人間の根源的な衝動を物語に昇華している点に惹かれました。
作中では、呪術研究者・大生部の視点を通して、テレ -
Posted by ブクログ
アルコール依存症(アル中)についてちょっと知りたかったし、タイトルもかっこよかったので読んでみました。思いの外面白かった、加えてすごく良い小説だったかも。、作者を調べたらもう亡くなっていた。作者自身もアル中の過去を持ち入院していたときにこの作品ができたと書いてあったので実体験でもあるのですね。名言というか「ハッ」とさせられる言葉も本当に多くて特に好きなのは天童寺さやかがアル中の主人公である小島に対して「生きようとしてても運悪く死んでしまう人たちの中で生きたいの。生きる意志を杖にして歩いていく人たちの流れの中にいて、そんな人たちのためだけに泣いたり笑ったりしたいの(以下略)。」って場面が好き。
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Posted by ブクログ
夏といえばホラーという気分だったが、本作は、編集も著者も自他に認める「B級ホラー」。B級と開き直る所が既にホラーではない。ほとんど、ホラー映画のパロディで行きますよ、という宣言だ。というか、そもそも中島らもが書いている時点で、半分おふざけ。例えば、集まって、怪談話をし合う。中島らもが話をする番だ。絶対この人、オチをつけてくるだろうと。
期待通り。いや、期待以上。お笑い要素は期待通りだが、ホラー部分は期待を裏切られて、ちゃんと怖い。ちゃんと怖い事に安心するという不思議感覚。いや、正確には怖いというより、次がどうなるのか、ワクワクするような展開(ちなみに今回は再読だったのだが)。
で、深い。ホ