中島らものレビュー一覧
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Posted by ブクログ
お葬式にはある種日本独特の雰囲気がある。
形式的になってしまう反面、親戚縁者が故人を通して新しくつながっていくような、実は前向きな儀式。
それをコメディにするって言うのはある意味タブーなのだけど、
うまく表現すればこれほど味わい深くできる日本的題材はないのかもしれない。
お通夜の後、仏さんを目の前にして、残された人々が思い出話で盛り上がる。
そのネタを提供するのが、酔っ払った落語家たちだから、これは面白い。
自分も画面の前でお猪口で日本酒を呷りながら、座の一員となって耳を傾けている気分。
いつしか宴会のように唄えや踊れやの、寝ずの番。
ラストの唄あそびのシーンに湧き起こる泣けて笑える感情はい -
Posted by ブクログ
ネタバレせつない傑作です。
もう、名言抜き出しだけで良いと思いますので。
ぜひ読んでください。
「ただ、こうして生きてみると分かるのだが、めったにない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、「生きていてよかった」と思う夜がある。一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。」≪僕に踏まれた町と僕が踏まれた町‐中島らも≫
「『人の命は地球より重い』とよく言うけれど、そんなものは嘘っぱちだ。地球の方がやはり重い。ただ、その人の。およびその人を愛する人にとってみれば、地球なんてオレンジ1個よりも軽いかもしれない。」≪僕に踏まれた町と僕が踏まれた -
Posted by ブクログ
ネタバレ葬式が好きだ。とか言うと語弊があるかもしれないが、私個人の率直な感想として、盛大な結婚式よりも盛大な葬式の方が5000倍くらい心を動かされる、ということ。結婚式挙げて離婚する人はいるけど、葬式挙げて生き返る人はいないから。
通夜葬式が終わるまで仏前の線香とろうそくを絶やさないように番をする「寝ずの番」。
私も親戚に不幸があると必ず自ら志願して(貫徹に耐える体力があるから)遺体と祭壇の前に陣取ったものだが、本書のような馬鹿馬鹿しくも温かい夜は当然ながら未だ体験したことがない。
「故人を偲ぶ」という思いが根底にちゃんとあるなら、酒盛りでもカンカン踊りでも春歌合戦でも何でもありなんじゃないか、と