角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初、街の物語かと思った。
架空の街だけど、人物や出来事になにか象徴的な意味を与えるような。
いわば隠れた主役が街というか。
ところが、短編集の一作目、冒頭で、違っていたと気づいた。
「待ち」の物語だったのか!
夫に浮気され、その浮気相手を尾行せずにはいられない女性。
不倫の関係で、相手が関係を清算しないのでいつまでも結婚できず、ただ意地悪になっていく女性。
昔の栄光を忘れられず、自分はこれで終わるはずじゃない、と思い続けるくすぶっているモデル。
姑にいびり続けられ、認知症になった姑を施設に送り出して複雑な感慨を持つ兼業主婦。
最初はいろんな境遇の女性の鬱屈をよく取り上げるものだなあ、と思っていた。
でも、だんだん読み進めていくと、話の内容が混乱してくる。
どれも都会の(というか、都内中央線沿線の街の)、アラフォー女性の話。
手触りというか、生活のディテールがおんなじなのだ。
だから、きっと女たちの境遇が違うにもかかわらず、似通った印象になるのだろう。
さすがに今時、ただ受動的に「待つ女」の物語でもない。
職を持ち、それなりに自立しているのだけれど、今の女性たちだからこその閉塞感を掬い取ろうとしている、のかな? -
Posted by ブクログ
いわゆる、厨二病というやつですかね。
自分には世界を変えるような、そんな力があるような気が半分している。
半分だから、開けっぴろげに皆に語れるような物語にはならないんだけど、後から自分の中で思い出すと、アンタ半分もそんなつもりでいたのかよ、っていう恥ずかしいドラマ(笑)
「パーマネント・ピクニック」では、同級生が自殺した出来事を、友則というボーイフレンド?と共有していく中で、自分もいろんな面倒事を置いて死んでしまおうと考える。
友則は共感しているのか、下心なのか、今ひとつ分からない。そんな二人が心中しに出かけるのだけど、気持ちにどうにもズレがある。
いや、主人公は至って真面目なのだ。
進路も、家族も、老いも、捨て去りたいのだ。
でも、巡り巡って、後から恥ずかしいドラマと化しているような、そんな気がする。
「放課後のフランケンシュタイン」は、いじめの加害者側の心情を描いている。
その存在を認識してしまったときの、どうしようもない嫌悪感、苛立ち。
攻撃せずにはいられない衝動。
これをどこに向けるか、強さはどうかは人それぞれだけど、あーなんか腹立つー!っと理不尽に感情をぶつけてきた過去あるある。
ただ、攻撃性を被虐性が上回る展開は、なかなかゾッとする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレフリーター文学、と呼ばれているらしい。とにかく細かい金勘定が妙にリアルなんやけど、考えるべきことは他にあるやろ、と心の中でツッコミが止まらない。
34歳と35歳のフリーター同士の同棲生活。男の方のヤスオは典型的ダメ人間で、基本的には働かない、やっと就いた仕事も数日で辞めてしまうという有様。生活費を折半しようという取り決めもなし崩し的に破られている。タイで知り合った同じような人種を勝手に家に居候させたり、失業手当の受け取りを意味のわからない理由で放棄したり。とにかくあかん奴なのである。
主人公の女は働いているものの、なぜかこんなヤスオをあるがまま受け入れているようだ。消費者金融で金を借りたり、たかってくる母親を正そうとしなかったり、生きることに対する真剣さが皆目見当たらない。いや、やっと真剣になったと思えば、年下の男の子に救いを見出そうとしたり…。ヤスオの態度はどうかと思うがまだ“あるある”で、この女の態度はありえない“怖さ”があった。
日本にも貧困にあえぐ人たちがたくさんいる。一応大学までの教育を受け、平凡ながらも就職した自分の周りにはあまり見当たらないが、見当たらないからと言ってなきものとして考えていなかったか。この小説にはフリーターの苦渋を伝えようという意図はないが、やっぱりうんと考えさせられるものはある。
彼らに足りないのは、お金でもなく、仕事でもなく、情報や教育や思考なのかななんて思った。 -
Posted by ブクログ
人生ベストテンと設定するのは、べストテンをあげるためにいつも人生を振り返り、上からベストなイベントを10個に絞り込むのではなく、平凡な人生イベントから比較すると「これはベストテンとしてのイベントだ」というイベントをひねり出すことである。であるから、気持ちによりその順番が入れ替わることがあり、これがベストテンなら人並み以上だと思えるはずだというイベントなのだ。
つなり、それだけ平凡な人生であることを受けいれているわけで、たいていの人生はそんなものに違いない。だからうんうん、とうなずけるのであり、感動するわけでもないが共感は誘うのかもしれない。
しかし、メニュウと「ウ」を入れてしまうのが気になる。時代なのか趣味なのか主張なのか。