はやみねかおるのレビュー一覧
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「先輩、ぼくの推理を聞いてもらえますか?」―幽霊が現れる下宿、
地縛霊の仕業と噂される自動車事故、学校のプールに出没する河童…。
大学一年生井上快人の周辺におきた「あやしい」事件を、
キテレツな先輩長曽我部慎太郎、幼なじみの川村春奈とともに
解きあかす!
ジュブナイルのミステリーキング・はやみねかおるが贈る、
ちょっぴり不思議な青春キャンパス・ミステリ、ついに登場。
マンガみたいなお話。
先輩は変な刺青が消えると推理が冴え渡り、幼馴染の春菜は
正真正銘の霊能力者。
主人公は努力はするがまったく救われない設定だったり。
けど・・・そんな中で遭遇する事件。
解答も一本筋が通ってるんですよ、これがまた。 -
Posted by ブクログ
“わたしはきく。
「お菓子がなかったら、わたしたちを食べる気ね?」
「いや……そこまでお腹はすいてないから。」
右手をヒラヒラふる幻影師。お腹がすいてたら、食べる気なのか!
「ほんとうは、お菓子よりも、もっとちゃんとした食事がほしいな。ぜいたくをいうつもりはないけど、京風の石狩鍋なんか最高だね。あと、きなこをまぶした揚げパンもいいな。」
細かいリクエストをする幻影師。
「幻影師って、いじきたないんだ……。」
美緒のつぶやきを、地獄耳でききとる幻影師。
「いじきたないとは、失礼だね。グルメと表現してほしいな。」
「スルメ?」
「グルメだ!」
美緒のことばにいい返す幻影師。二年生とおなじレベルでいい争わないでほしい。
幻影師が、立ちあがった。
あらためて見ると、ずいぶん背が高い。百九十センチ近いんじゃないかな。真っ黒な背広を着て、夜なのに黒いサングラス。そして、針金人形みたいにやせている。
年齢は……よくわからない。何歳にも見える、不思議な人だ。
「ぼくは、こういう者だよ。――よろしくね。」
上着の胸ポケットから名刺をとりだす。うけとれというのだろう。
わたしは、おそるおそる手をのばし、その名刺をとった。
マグライトの光で、書かれた字を読む。
『名探偵 夢水 清志郎』”
夢水さんの新シリーズ。
性格が相変わらずだなぁ。
単純だけど、ちょっと怖くて薄ら寒い。
“「みんながうそをついてる理由がわからなかったからだよ。一人や二人じゃない、たくさんの人がうそをつく。そこには、なにか重大な理由があるんだ。」
わたしは、考える。
彼女の家にいたおばさん、クラスの友達、先生……。
「ひょっとして、レトロシティの人たち全員が……。」
わたしのことばに、教授がうなずく。
中島さんにかけた電話。あれも、ほんとうはジャパンテレビにつながってなかったとしたら……。コントロールセンターの人が、うそをついたことになる。
わたしは、町を見る。
楽しそうにとおりすぎる人。黒い排気ガスを出し、ゆきかう車。
ゾクリとする。
まるで、怪物の腹の中にいるような恐怖。
美緒が、わたしの手をにぎる。わたしも、にぎり返す。
ところが、教授はちがった、うっすらと笑みをうかべている。
……教授は、楽しんでるんだ。ルイが消えた謎を前にして、うれしくってしかたないって顔だ。” -
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“大岩が歩いた。
絵の少女がふえた。
花の色が赤くかわった。
階段の数が十三段にへった。
理科室のがいこつ標本がおどった。
ボールが、ひとりでに階段をのぼった。
プールの水面に、女の人の顔がうつった。
こうして、大奥村小学校の七不思議は、すべてわたしたちの前にその姿を見せた。”
あっさりと。
現実的にちょっと無理があるんじゃない?と思ったりもしたけれど。
はやみねさんの描く主人公の少女像と探偵役の少年像が好きだな。
“わたしは、コウくんとの待ち合わせ場所の大奥小にいった。
大奥小の校庭も人だらけ。こんなとき、小さいコウくんをさがすのはたいへんだ。
そう思ってたら、コウくんのほうで、わたしを見つけてくれた。
「よく、すぐにわかったわね。」
「だってワコさん、背が高いんだもん。すぐわかるよ。」
傷つくせりふだ。それにしても、なんとなくコウくんのイメージがいつもとちがう。
「コウくん、ゆかた着てきたんだ。」
「うん。おばあちゃんが、ワコさんはぜったいゆかたを着てくるだろうから、おまえも着ていけって……。」
さすが、コウくんのおばあさん。よく、わたしがゆかたを着てくるって、わかったわね。
「いこ。」
コウくんが、わたしの手をとった。
大奥村大花火大会の開催をつげるアナウンスとともに、一発めの花火があがった。” -
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“「世の中にとって値打ちのないものなら、なんでもぬすめるっていう、すごい大怪盗だという話だね。」
ご隠居にいわれて、西沢のおじさんはうれしくなってしまい、
「いやあ、それほどでも。」
と、髪をかきあげました。
「なにも、おまえさんが照れることはないんだよ。で、ものは相談だが、その道化師に、ゆうれいをぬすんでくれるよう、話しちゃもらえないかい?」
「えーっ!」
「お礼のほうは、町内会がだすといってくれてる。」
「でも、ゆうれいは苦手で……。」
西沢のおじさんがことわろうとすると、
「べつに、おまえさんに、ゆうれいをぬすめっていってるんじゃない。」
と、ご隠居がいいます。
「だけど、道化師<ピエロ>だって、ゆうれいは苦手なんじゃないかな……。」
「なに、ばかなこといってるんだ。」
ご隠居が、がははと笑います。
「道化師っていやあ、ぬすむのに不可能はないっていうくらいの大怪盗だ。ゆうれいが苦手なんて、いうわけない。」
おじさんは、にげ道がないのを知りました。”
非現実と少しの無茶の入り混じった短編続きのあっさりした本だと思ったら。
最後のオチに思わず鳥肌。
このオチ好きだわ。
“おなじころ、わたしもこまっていました。
長いあいだ書いてきた物語の主人公が病気にかかってしまい、あと一か月で死んでしまうのです。
わたしは、そんな悲しい話を書きたくありません。
考えたすえ、わたしは道化師に相談することにしました。
“道化師に不可能はない”といわれている男のことです。きっと、この状態をなんとかしてくれるでしょう。
というわけで、わたしは西沢書店にきました。” -
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“「……ああ、へいきだよ」
ぼくは、かるく頭をふっていう。
だいじょうぶ。さっき見たのは、なにかのまちがい。いまが現実なんだ。
現実……。
そのことばに、ぼくの心臓がドクンと打つ。
いまが、ほんとうに現実なのか?これが、現実なのか?
ぼくは、まわりを見る。サングラスのカメラを通して見る世界。これが現実……。
いま、ぼくが見てるのは、ほんとうの世界なのか?
ぼくは、サングラスに両手をかけた。
「内藤さん……?」
ジュリアスが、サングラスの前に立った。
ぼくは、うなずく。
「だいじょうぶ。だいじょうぶだから――」
あぶなかった。サングラスをはずしたら、ゲームオーバーになるところだった。”
前までの話を曖昧にしか覚えてないせいで、前にもでてきてそうなユラが何者かわからなかったり。
「時見」も前に何かに出てこなかったけな?
夢の中のような話。
三分クッキングの件が地味に怖い。
あと、ゲームの内容は実は見せられているものだという内人の推理の件とか。
“ぼくは、自分が映らない鏡を見つめる。
どうして、自分と麗亜さんが映らないんだ?――いつもなら、こういうことを考えるのは創也の役だ。
でも、その創也は、現在ゲームマスター。謎解きをたのむわけにはいかない……っていうか、この謎は、創也が用意したんじゃないのか?
こうなったら、自分で謎を解くしかない。
よし!
ぼくは、頭の中で創也になりきっていった。
「いっつぁ、しょうたいむ!」”