野﨑まどのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『怖い』
300ページを一気に読んでしまうことくらいざらにある。読み終わるのが惜しいと思う作品だってたくさん出会ってきた。でも野﨑まどの作品は違う。早く終わって欲しい。自分に主導権のない夢を永遠と見せられているような。まだ終わらないのか。まだ、読まなければならないのか、そんな恐怖が襲ってくる。
コミカルでもシニカルでもない、よくわからなければ、簡単に何かに例えてしまえるような、100円で買えるスナック菓子のような。騙されないと意気込みながら、300万を持って銀行のATMに走らされるような。わかりやすく例えようとするとなにも伝わらない。脳を洗われるような怖い。
『本を閉じて、私は』
安 -
Posted by ブクログ
過去作から順番に読んだ方が良いと勧められて読んだが、まさにその通りだと感じた。
単に過去作のキャラクターが出てくるという代物ではなく、それぞれの物語、テーマが本作の重要要素として織り込まれている。
本作を完成形として、逆算して過去作を書いていたとしか思えない見事な作り込みだ。最初から掌の上で踊らされていたような感覚すら覚える。
ミステリとして読んだら納得いかないだろうが、これはどちらかと言えばSFだ。
ラノベ調といつもの超展開を受け入れる必要はあるが、中身は深遠なテーマを取り扱う読み応えのある作品である。
隠れシリーズ物の完成度としては、随一ではなかろうか。 -
Posted by ブクログ
鴨が偏愛するコミック・アーティスト、弐瓶勉氏の代表作「BLAME!」を元ネタに、現代日本を代表するSF作家が腕を振るった二次創作アンソロジー。
「BLAME!」を読んだことのある方ならお分かりの通り、あの作品は世界設定が全てです。その世界の中で、どれだけ物語を展開できるかが腕の見せ所なわけで、プロのSF作家としても面白いお題だったんじゃないかと思いますねー。収録された5作品は、どれも全く異なるテイストの作品でありながら、ちゃんと「BLAME!」の世界の中で展開しており、なおかつ幅広いイメージを読者の眼前に提示します。「BLAME!」の世界観の揺るぎなさ(換言すると、細かいところは各自の想像に委