野﨑まどのレビュー一覧
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アムリタの頃とはもはや作家としてのステージが違いすぎる。
題目によって熟考し(本書においては、自殺、死、政治、法律、権利、人の在り方等大きく纏めると善悪について)、著者なりのイデオロギー、または問い。物語性を持たしたうえでそれらを我々に顕示している。私たちは考えなければならない。
小さなコペルニクス的転回があった。
私は自殺について、最初は物語にでてくる世間一般の答えしか持ちあわせていなかった。
ただ今は違う。それをここで遺すほどのことでもない気がするので割愛するが、著者の出した答えにも納得している。続くことが善、終わることが悪。
そう定義してみると、あらゆることがしっくりとはまる感覚がある -
Posted by ブクログ
野崎まど ここにあり
デビューから全ての作品(計5作)がこの作品の為の序章でしかなかった
自分の生活がかかっているものでこんなことをする作者、日本の歴史で今現在存在しないだろう
(マニアックに言うと肉薄したのは黒い仏だけだとおもう)
面白いとか、面白くないとかそんな話どうでもいいんですよ
仕事で大事に作り上げた物をこんなことできる地点でこの作品は忘れるべきでないトンデモ小説なことは異論ないと思います
というか、「2」ってタイトルと設定思いついたとしてもそれをこれだけの長編で描き切り過去のファンを捨てかねない内容
いや本当に、普通ではない 傑作なのかはわからん -
Posted by ブクログ
AIが進化し過ぎた未来、そこは人間の"仕事"が全く存在しない世界だった。
AIが作る娯楽を享受し、AIによって生活を支えて貰うことが当たり前。服選びもその日の遊びも生涯を共にする相手すらもAIが判断する方が優れているという認識が当然であり、迷う必要性もない。
この本の中で、人類は"判断力"を失っている。
判断力がないということはつまり、物事を考えるためのベース、脳内で報酬系関数の競合が抑制されているということを意味する。朝起きてから夜寝るまで、推奨活動プロセスを常時AIがサポートしている世界では悩む機会がなく、悩むことで獲得される確立的選択で得られる報 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙に書いてある 「仕事 君はなぜ、働くのか?」という言葉に興味を持ったのと、装丁に惹かれて、購入した1冊。
舞台は、二二〇五年。仕事は人類がするものではなく、AIがするものになってしまっていた。
現代では、AIの技術が世界的に発達して来ている。
そのため、AIによって、仕事が奪われる時代が近い将来訪れる。このことが話題になっている。
そのため、日本もいつか本当にそうなってしまうのかもしれないと感じながら、読み進めていった。
タイタンと内匠が、「仕事とは?」「働くとは?」ということを考えている時に、私も、この問題についていた。
最後の内匠が導き出した「仕事とは」の答えを聞き、ようやく -
Posted by ブクログ
この『2』を読むために、先人の助言に従って前作5冊を順番に読んできた。どの作品もそれぞれにテーマがあり、独立した物語として十分に楽しめるものばかりだった。
しかし、『2』を読み進めていくうちに、これまでの物語すべてが一つの構想のもとで緻密に繋がっていたことに気づかされる。
登場人物の再登場は、単なるファンサービスではない。
『2』という舞台に向けた“役作り”として、過去作が存在していたかのように感じた。
物語の構造が徐々に姿を現し、過去作をも取り込んでようやく辿り着ける読後感は、なかなか得がたい読書ならではの体験だったと思う。
「創作に触れる前後で人は別人になる。」