野﨑まどのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何もかもが規格外、という褒め言葉がふさわしい作品。素晴らしい小説には、人の精神を高揚させる力があることを、読者自身の身をもって教えられることになるだろう。
前巻のあの終わりを引き継いで、次の巻がいきなりアメリカから始まるというのが、まずもってぶっ飛んでいる。正崎の登場を期待する読者にさっそくの先制パンチというわけだ。
何事もなかったかのように、淡々と。長い分量を割いて、アメリカの登場人物の描写が始まる。その描写や演出ひとつ取っても、憎らしいほど丁寧に書かれている。やがて、自分が知らず知らずのうちにこのアメリカ人たちに感情移入していると気づく頃、満を持して現れる正崎のかっこよさといったら。 -
Posted by ブクログ
評価:☆5
自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂されるつかみどころのない性格の女性、最原最早の監督作品だった。
変わった彼女と主人公とのどこかずれた軽妙なやり取りを中心とした笑いのセンスは野崎まど劇場にも通ずるものがあって笑えたww
だが本作の見所はそこではなく(そこも魅力だが)、天才、最早の常軌を逸した天才ぶりにある。
それは感動や称賛を超えて畏怖を感じさせ、狂気とも言える真相にぐいぐい引き込まれた。
最後の最後まで予想出来ない展開に進んでいくので読んでるときの緊張感が半端じゃなかった。
後味的にはもっとスッキリする作品の方が個人的に好みではあるんだ