野﨑まどのレビュー一覧
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ネタバレすごい。
小説を読むことそれ自体が、全宇宙に共通する自然法則そのものである。
この小説が現れたことによって、なんだか時代の移ろいを感じた。あれだけ無条件に肯定されてきた「文章を読む、小説を読む」という行動でさえ、現代社会では読者の心に暗い影を落とすようになってしまったとは。
ひとたびSNSを開けば、そこには自分の完全上位互換がそこらじゅうに存在するように思えて、娯楽に時間を割くことがあたかも罪であるかのように囁かれる。そんな世の中でこの小説は摩訶不思議な理屈だとしても、それを許してくれる理由を与えてくれる。
それは自然なことだから。 -
Posted by ブクログ
読んで気持ちが少し楽になったので星5にした。野崎さんの本2作目。書き手として技量のある人なんだと思った。場面というか、エピソードとエピソードの切り替えのたぶんテクニックなんだと思うけど。病みつきになった。前作に共通して読みやすい感じも好きだった。それに、僕の読書スタイルというか、本に求めることとして自分の問題を解決してくれることを期待していて、必ずしも解消するわけではないけど、一つの答えを示してくれるので満足度も高い。そういうジャンルの本ってなんて探せば良いんだろう。よく分からないけど、今のところ野崎さんの本だとハズレがないので、また何かのタイミングで読みたいな。今は積み本が多いのであれだけど。新しいことを取り入れることの大切さ。意味。理想を言えば、小さい頃から始めたかったと今はすごく思う。小さいときからできていれば良かったと思うけど、社会人になってそれも最近になって自分が新しいことを求めてる一面があることに気づいて、周りの人よりは遅いかもしれないけど。それでもいろんなことを取り込み、集めていこう。そう思った。
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ネタバレモジャ屋敷に、夏休み中入り浸りたい。
私はときどき、自分の家に知らない部屋がある夢を見る。どの扉も自由に開けられる。モジャ屋敷にも同じわくわくを感じた。一冊開くたび、自分の知らなかった物語を浴びられる。
小学六年生の内海集司と外崎真は、屋敷で本を読み、自分たちでも物語を書く。外崎の小説は評価され、内海は才能の差に打ちのめされる。やがて内海は「自分は書かない」と言い切る。
ここは正直、あまり共感できなかった。内海の気持ちが高揚する場面で、地の文は驚くほど饒舌になる。私には書きたい欲求が溢れているように読めた。自分なら、才能の差に打ちのめされても書きまくる。
作中の「意味とは外から見えないもの」という言葉を、私は作者と読み手の関係にも当てはめた。作者の意図をそのまま受け取れるとは限らない。それでも、自分がなぜその言葉に引っかかったのか、そこに何を見つけたのかは考えたい。そして、その読みを書く。
2025年に読んだ本のなかで、もっとも影響を受けた小説だった。本書を読んで、書評をきちんとアウトプットしようと思った。内海は「自分は書かない」と言う。しかし、私は書くことを諦めたくはない。 -
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好きな人に、本交換で貸してもらった。読むのに1ヶ月半くらいかかった。しかし、読んでる時間はとても充実して、学生の頃の少年ジャンプを見てる気持ちになった。
私が好きな作品は朝井リョウさんの「キトヴィオラの今」、小川哲さんの「落ち着いて」、一穂ミチさんの「おやすみなさい、小羊ちゃん」、三浦透子んの「悪と友達」だった。
読んで1ヶ月前のものもあって忘れていたものもあったが好きな作品は、人の視点によって悪が変わる印象も持った気がする。いろんな人の悪の作品を見たが悪があれば、必ず正しさも現れる。受け手側は悪と感じてるが、行った人は正しいと思ってることもあり、人の感情って面白いなと思った。 -
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『GOAT』第2号(特集は「悪」)です。前回の特集「愛」との対比がいいです。前回から引き続きの作家さんや初掲載の作家さんなど今回も盛り沢山で、また1ヶ月かけてチマチマ読み、完読しました。
「悪」ならではのエンタメ・ミステリー色強め傾向で、様々な視点の「悪」へ真正面から向き合って本領発揮する作家さんの作品に、読み手も吸い込まれます。加えて、様々な視点の「悪」とは言え、最近の社会情勢を反映した「悪」が多い気がしました。
明確な悪意がないにも関わらず、知らぬうちに「悪」に加担してしまっているケースなど…。これは他人事ではなく、改めて歪な社会構造と我が身の振りを省みざるをえません。日常に潜む「悪」、それも無自覚なだけタチが悪く恐ろしいです。
いつ当事者になってもおかしくない、いや、もう当事者になっているかもしれない…と、自分や社会を見つめ直させてくれる作品群でした。第1号以上に文芸誌という範疇を超えて、内省と啓蒙の役割を果たしているように感じます。
装丁もまた新たな企てが見て取れました。巻頭の朝井リョウさんの紙、なんと「NTラシャ漆黒」という名だそう。この究極の黒い紙にシルバーの文字が載っている…。凄いとしか言いようがなく、朝井リョウさんのドヤ顔が目に浮かびます。
読んでよし、買ってよし、見てよしの三拍子揃いはそのままに、また新たな(著者・作品との)出会いや視野の拡大がありました。加えて、苦手な並行読書にも少しは慣れてきた気がします。「手元にいつも『GOAT』」を継続していきたいと思います。 -
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面白かったです。野崎まどさんの作品は「タイタン」ではじめて読みましたが、さかのぼってこちらの本も読んでみました。満足しています。
まず舞台が良い。1000年以上の歴史を持つ古都京都を舞台にSFを書くというギャップ。本書の設定として、2081年、世界は超情報化社会になっていて、人造の脳葉「電子葉」の移植が義務化されている世界が描かれています。つまり人間の情報処理能力が格段にあがっているわけですが、それに加えて、国民1人ずつの「情報格」なるものが設定されているという設定も興味深い(いわゆる情報格差社会)。
レベル0から3が一般市民で、最高レベル6は内閣総理大臣などごく少数の人間にわりあてられていますが、情報格が高いほど、アクセスできる情報が多く、他人にさらされる情報が少ない。反対にレベル0は生活保護者などが該当し、アクセスできる情報はほとんどないが、自身の情報はほぼすべて他人にさらされているという設定。そのようななか、情報庁で働く主人公が恩師のつくったコードをきっかけにある少女に出会うという物語ですが、タイトルにもあるように「知るとはどういうことか」を問うている本とも言えます。あらゆるものがデータ化され、それを処理する超高性能プロセッサーが脳内に埋め込まれているとしたら、「知っている/知らない」の差は、意図的・制度的に作られた情報格というゲートウェイの差だけになるのでしょうか?「すべてを知る」とは何を意味しているのかを考えさせられます。舞台設定、ストーリー、登場人物すべてがあわさって読後感がとてもよい作品でした。 -
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とにかくはちゃめちゃに良コスパな文芸雑誌第二弾。今号はテーマを「悪」と定め、悪にまつわる様々な物語が読める。
収録作品の中の上村裕香著「全身政治家」がめちゃくちゃ人を喰った話で面白かった。
とにかく顔がいい若きシゴでき市長から直々に生い立ちについてのインタビュー記事の依頼を受けた主人公。しかし話を掘り下げていくと奇妙な齟齬に気づく。勇気を出して本人に伝えると…。とにかくこの市長のキャラがいい。ビジュ良すぎる顔でシリアスに暗い生い立ちを語ってからのこのオチはもはやコント。しかしこれによって主人公が自分自身の過去と対峙する展開はちょっと感動してしまう。
こういう話大好き。 -
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ネタバレこりゃすげえや…
舞台は2081の日本。
PCや携帯は過去の産物と化し、人の脳には”電車葉”が埋め込まれ、街中に情報読込物質が塗布された、まさに超情報社会。
情報庁に勤める”クラス5”の は、電子脳ならぬ”量子脳”を埋め込まれたクラス9の”道終知ル”が掲げるある目的に付き添います。
•どこにいても何をしてても他人に筒抜けのクラス0から、場合によっては違法に当たる行為も正とされるクラス5,6まで、情報についての階級分けが行われた世界線は不穏感たっぷりで少し怖い!
•”知る”ということに対して作中で線密な考察が興味深かった!
•電子脳を介して情報によるバトルが展開され、ワクワクが止まりませんでした。
•ラストシーン、亡くなる直前の子供の「死んだ後の世界なんて、子供でも知ってるよ」という台詞が、知ルが死後の世界から生き返ったことの暗示として描かれていて激熱すぎた。