野﨑まどのレビュー一覧
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好きな人に、本交換で貸してもらった。読むのに1ヶ月半くらいかかった。しかし、読んでる時間はとても充実して、学生の頃の少年ジャンプを見てる気持ちになった。
私が好きな作品は朝井リョウさんの「キトヴィオラの今」、小川哲さんの「落ち着いて」、一穂ミチさんの「おやすみなさい、小羊ちゃん」、三浦透子んの「悪と友達」だった。
読んで1ヶ月前のものもあって忘れていたものもあったが好きな作品は、人の視点によって悪が変わる印象も持った気がする。いろんな人の悪の作品を見たが悪があれば、必ず正しさも現れる。受け手側は悪と感じてるが、行った人は正しいと思ってることもあり、人の感情って面白いなと思った。 -
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『GOAT』第2号(特集は「悪」)です。前回の特集「愛」との対比がいいです。前回から引き続きの作家さんや初掲載の作家さんなど今回も盛り沢山で、また1ヶ月かけてチマチマ読み、完読しました。
「悪」ならではのエンタメ・ミステリー色強め傾向で、様々な視点の「悪」へ真正面から向き合って本領発揮する作家さんの作品に、読み手も吸い込まれます。加えて、様々な視点の「悪」とは言え、最近の社会情勢を反映した「悪」が多い気がしました。
明確な悪意がないにも関わらず、知らぬうちに「悪」に加担してしまっているケースなど…。これは他人事ではなく、改めて歪な社会構造と我が身の振りを省みざるをえません。日常に潜む「悪」、それも無自覚なだけタチが悪く恐ろしいです。
いつ当事者になってもおかしくない、いや、もう当事者になっているかもしれない…と、自分や社会を見つめ直させてくれる作品群でした。第1号以上に文芸誌という範疇を超えて、内省と啓蒙の役割を果たしているように感じます。
装丁もまた新たな企てが見て取れました。巻頭の朝井リョウさんの紙、なんと「NTラシャ漆黒」という名だそう。この究極の黒い紙にシルバーの文字が載っている…。凄いとしか言いようがなく、朝井リョウさんのドヤ顔が目に浮かびます。
読んでよし、買ってよし、見てよしの三拍子揃いはそのままに、また新たな(著者・作品との)出会いや視野の拡大がありました。加えて、苦手な並行読書にも少しは慣れてきた気がします。「手元にいつも『GOAT』」を継続していきたいと思います。 -
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ネタバレ「仕事」とは、一言で説明できるものなのか。
至高のAI・タイタンによって、人類が「働かなくていい」世界になった未来。趣味で心理学を研究していた内匠成果が任されたのは、不調をきたしたAI・コイオスの心理カウンセリングという、思いもよらない「仕事」でした。
AIをカウンセリングするという設定の意外性に、まず引き込まれます。中盤からの展開は予想がつかず、野崎まどさんらしい、いい意味での裏切り。
根底に流れるのは「仕事とは何のためにするのか」という、単純なようで答えの出しにくい問い。それが終盤で静かに浮かび上がってくる構成に、思わず息をのみました。
なにより印象に残ったのは、カウンセラーとAIという関係を越えて、対等な存在へと変わっていく内匠とコイオスの姿。人とAIの間にも、こうした絆が育ちうるのだと感じさせられます。
読み終えたあと、自分にとっての「仕事」まで、静かに問い直したくなる作品でした。 -
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面白かったです。野崎まどさんの作品は「タイタン」ではじめて読みましたが、さかのぼってこちらの本も読んでみました。満足しています。
まず舞台が良い。1000年以上の歴史を持つ古都京都を舞台にSFを書くというギャップ。本書の設定として、2081年、世界は超情報化社会になっていて、人造の脳葉「電子葉」の移植が義務化されている世界が描かれています。つまり人間の情報処理能力が格段にあがっているわけですが、それに加えて、国民1人ずつの「情報格」なるものが設定されているという設定も興味深い(いわゆる情報格差社会)。
レベル0から3が一般市民で、最高レベル6は内閣総理大臣などごく少数の人間にわりあてられていますが、情報格が高いほど、アクセスできる情報が多く、他人にさらされる情報が少ない。反対にレベル0は生活保護者などが該当し、アクセスできる情報はほとんどないが、自身の情報はほぼすべて他人にさらされているという設定。そのようななか、情報庁で働く主人公が恩師のつくったコードをきっかけにある少女に出会うという物語ですが、タイトルにもあるように「知るとはどういうことか」を問うている本とも言えます。あらゆるものがデータ化され、それを処理する超高性能プロセッサーが脳内に埋め込まれているとしたら、「知っている/知らない」の差は、意図的・制度的に作られた情報格というゲートウェイの差だけになるのでしょうか?「すべてを知る」とは何を意味しているのかを考えさせられます。舞台設定、ストーリー、登場人物すべてがあわさって読後感がとてもよい作品でした。 -
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とにかくはちゃめちゃに良コスパな文芸雑誌第二弾。今号はテーマを「悪」と定め、悪にまつわる様々な物語が読める。
収録作品の中の上村裕香著「全身政治家」がめちゃくちゃ人を喰った話で面白かった。
とにかく顔がいい若きシゴでき市長から直々に生い立ちについてのインタビュー記事の依頼を受けた主人公。しかし話を掘り下げていくと奇妙な齟齬に気づく。勇気を出して本人に伝えると…。とにかくこの市長のキャラがいい。ビジュ良すぎる顔でシリアスに暗い生い立ちを語ってからのこのオチはもはやコント。しかしこれによって主人公が自分自身の過去と対峙する展開はちょっと感動してしまう。
こういう話大好き。 -
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ネタバレこりゃすげえや…
舞台は2081の日本。
PCや携帯は過去の産物と化し、人の脳には”電車葉”が埋め込まれ、街中に情報読込物質が塗布された、まさに超情報社会。
情報庁に勤める”クラス5”の は、電子脳ならぬ”量子脳”を埋め込まれたクラス9の”道終知ル”が掲げるある目的に付き添います。
•どこにいても何をしてても他人に筒抜けのクラス0から、場合によっては違法に当たる行為も正とされるクラス5,6まで、情報についての階級分けが行われた世界線は不穏感たっぷりで少し怖い!
•”知る”ということに対して作中で線密な考察が興味深かった!
•電子脳を介して情報によるバトルが展開され、ワクワクが止まりませんでした。
•ラストシーン、亡くなる直前の子供の「死んだ後の世界なんて、子供でも知ってるよ」という台詞が、知ルが死後の世界から生き返ったことの暗示として描かれていて激熱すぎた。 -
Posted by ブクログ
BS番組「あの本読みました?」の文芸誌特集で取り上げられているのを見て興味を持ち、まずはこの第2号を取り寄せました。
朝井さん、一穂さんをはじめとする既読の作者だけでなく、名前は知っていても未読の作者もずらーッと並ぶラインナップで、「もっと読んでみたい」という気持ちが駆り立てられました。
特に今号では「悪」をテーマにした短編に引き込まれました。話の中身も紙質を含めた本の装丁も興味深く、ウキウキしながらページを捲っていきました。
雑誌をこんな気持ちで読むのは、幼いころに手にした漫画の月刊誌以来ではないかなと思ってしまいました。第3号の方ももちろん手に取りたいと思います。