野﨑まどのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
筒井康隆とかそこらへんのメタ的手法を使ったスラプスティックコメディを意識したものと思われる。その中身はまあ、読めばわかるよ。良識ある読者はガツンと殴り付けられて、気づいた頃には身ぐるみを剥がされているだろう。ちなみに、これを芸人のネタ本と考えるのは間違っていると思う。確かにある側面ではそう見えるかもしれないが、それでバスジャックをどう説明する気なのか。これは本という媒体であることを最大限に利用したコメディ短編集であり、故にいわゆるフリップ芸との共通項が発生するものの、どちらが集合として大きいかは微妙な差で野崎まど劇場なのではないか。
あとがきが最も好きかもしれない。妖精電撃作戦も生活感があって好き。元ネタはナジカ電撃作戦か。
追記
笹本裕一の妖精作戦か…恥ずかしい -
Posted by ブクログ
勇者を迎え撃つ魔王や、ライオンになりたがる女子高生、リアルな森の音楽隊、陶芸家のインタビュー記事、将棋の中継まで、シュールなセンスにあふれたライトノベル短編集。
ここ最近で最も面白いと感じた本。読みながら思わず吹いてしまった。よくこれだけ多様なものが書けるなと思うくらいタイトルもテーマもバラバラ。でもどれもシュールな笑いを提供してくれる。文章の完成度が高いのに、まさに文章力の無駄づかい(笑)。
没ネタまで掲載するあたり、そでの解説のとおり「編集部の正気を疑う」。目次に載っていない作品が三つほど隠れているのも面白い。個人的に完全にツボ。続編(あるのか?)も期待したい。 -
Posted by ブクログ
評価:☆5
「電撃文庫MAGAZINE」で好評連載中のユニークすぎる短編が文庫化。死体を探しに行く検死官、対局にペットを連れてくるプロ棋士、勇者を何とかしたい魔王、若頭、サンダーファルコン、ビームサーベル、ライオン、うげげげと喋る牛、電撃文庫の妖精等、変態的(?)な登場人物たちが繰り広げる抱腹絶倒の物語の数々をお届けする、編集部の正気を疑う短編集ここに登場!
この本を許せたとき、君は一つ大人になる――。
うーん、何から書いていいのやら…
とりあえず、これはライトノベルではないということは言えます(笑)
記号や図などをあれだけ多用する本見たことないしw
とても新鮮で楽しめましたが、イラスト要素は好き嫌い分かれるかもしれません。
全体的にシュールな設定や会話劇が非常に上手く、ツボに入った自分は笑いっぱなしでしたww
こんなに笑ったの久々かもw
何というか、笑いを狙いすぎてないような、どこか気の抜けたような笑いっていうんですかね…的外れな説明かもですが、とにかく面白いのは確か。
お気に入りはラーメン戦争の話。あれ笑わない人とかいるの?ww
アポロ囲い、プロのプレイヤー、ダブルクリップ(特大)命、MST48、TKGRからのWS、ダーク白山羊、ライオン部…語句だけ抜き出すと意味不明ですが、これが面白いんですよ!w
この独特な感じは言葉では上手く説明できませんw
また、割と好みが分かれるタイプの笑いだと思います。
ただまだ一巻しか出てないので、読んでみるのもいいのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
野崎 まど の書き下ろし『小説家の作り方』
しがない小説家に届いた女性からのファンレター。
彼女からの依頼は、小説の書き方をレクチャーしてもらいたいというもの。
その不思議な女性との交流から、思わぬ展開へ・・・という物語
後半は、まさかこんな展開になるとは!と驚いた。
いろんな伏線が張られていたんだ、と最後まで読んで納得!
文系小説かと思いきや、おもいっきり理系へ!
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【内容(「BOOK」データベースより)】
「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです―」。駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。出向いた喫茶店にいたのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという紫に、物実は「小説の書き方」を指導していくが―。野崎まどが放つ渾身のミステリー・ノベル改め「ノベル・ミステリー」登場。
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【目次】
I. 読者
II. 卵
III. レクチャー1
IV. レクチャー2
V. レクチャー3
VI. レクチャー4
VII. 誕生
VIII. この世で一番面白い小説
あとがき
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Posted by ブクログ
野崎まど「ファンタジスタドール・イヴ」は傑作。野崎まど劇場を読んでいただけに、女体に対する主人公の想いや純文学風の文体は最初、悪ふざけにも見えたがガチな作品だった。…文体については多少の悪ふざけ要素はあるだろうけれどw ただ、作品のテーマに相応しい語り口調であるのは確か。
文学的・哲学的なSF作品というと「テクノロジーと倫理」という問題はよく出てくるが、この作品ではSFを背景にしながらも、人間自身を描いているのが面白い。人に言えない異常性に苦しみ、だからこその罪悪感や孤立感に苦しむという、誰しもが持つような苦しみが描かれる。
笠野と遠智の二人の友人の対比もよかった。大兄は自らの異常性に苦しむ遠智に共感するが、笠野らを愛すべき友人とも思えるんである。そして、中砥の最後の一言がなんともいいじゃないですか!どうしても自分の異常性ばかりに目が行ってしまうが、実は程度の差なのかもしれない。
とにもかくにも素晴らしい中編小説でした。や、女性の造形が持つ魅力というのは、男にとってはこれくらい強烈なものなのですよw しかし、主人公の名前といい、組織名での笑いといい、著者がどこまで本気で悪ふざけなのか分からん!という部分はあるw いずれにせよ、今年一番のインパクトかも。
…ちなみに、アニメのファンタジスタドールは1話をほんのちょっとみただけですはいw アニメを知らない方でも、思いっきり楽しめる小説です。 -
購入済み
ネットで何でも分かる時代だから
主人公が生きる時代では、人類は脳にもう1つの演算装置である『電子葉』の装着が義務づけられており、ネットの情報がまさにSF的に、日常的に展開される。人々は仮想レイヤーを街に表示させながら歩くことができる……そんな時代だからこそ、主人公の恩師の残した一人の少女が証明するのだ。何でもすぐに調べられて、『知っている』と『調べる』のタイムラグがないそんな時代に。
それでも人間は、見て聞いて触って知るのだと。
本文は大きく分けて2部構成である。
1つは主人公が少女に出会うまでの、万能情報社会。
1つは出会ってからの、新しい階梯へ進む少女との、万能だと感じていたはずの情報化社会について。
我々はネットを通じて様々なことを知る。
しかしうすうす気づいては居ないだろうか?
『本当に知りたいことはネットにはないのではないか』と。
漠然と抱き続けてきた感傷をこの本は刺激する。
知識と知恵と体験と経験とはそれぞれ何もかも違う。
そんな思いを抱いているなら、ぜひこの本を読むべきだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説とは何か。なぜ人は小説を読むのか。
小説を読むという行為そのものを、無条件に肯定してもらえたような読後感を得られる作品だった。
壮大なテーマを扱いながらも、文体はかなり読みやすい。物語の軸となるのは、内海と外崎の小説を介した友情である。
ともに小説を愛する二人だが、外崎はやがて書く側へと進み、内海は読む側にとどまる。その対照的な立ち位置は、「内」と「外」という名前にも象徴されているようだ。
内海は外崎の文才を認め、自分にはない才能だと理解しているが、一方で「読むだけでいいのか」という問いを抱え続けている。その答えを、時空を超えて外崎が届けてくれるという構図が感動的。
終盤は唐突にファンタジー色が強くなるが、あえて虚構としての性格を際立たせたようにも思える。そして、外崎が届けた答えが、私たちの読んでいるこの『小説』そのものになっているというメタ構造が巧み。
「小説とは何か」を問い続けた物語が、最後には小説そのものによって答えを示す。壮大な物語の末に提示される読書観には、やや物足りなさも感じたが、その仕掛けが友情物語のクライマックスとしても機能しているところがおもしろい。