ファンタジスタドール イヴ

ファンタジスタドール イヴ

小説・文芸
660円 (税込)

3pt

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「それは、乳房であった」男の独白は、その一文から始まった――ミロのヴィーナスと衝撃的な出会いをはたした幼少期、背徳的な愉しみに翻弄され、取り返しようのない過ちを犯した少年期、サイエンスにのめりこみ、運命の友に導かれた青年期。性状に従った末に人と離別までした男を、それでもある婦人は懐かしんで語るのだ。「この人は、女性がそんなに好きではなかったんです」と。アニメ『ファンタジスタドール』前日譚

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ファンタジスタドール イヴ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    プリキュアのようなアニメのメディアミックス作品と思わせておいて、この倒錯した話はまったく・・・さすが野埼まどです。『それは乳房であった』から始まる話はなかなかないね。

    0
    2020年07月17日

    Posted by ブクログ

    深夜アニメ「ファンタジスタドール」の前日譚だ。
    が、イブを読むのにアニメの方を見る必要はおそらくない。俺も見ていない。読後にアニメの方の概要を見て、あまりの雰囲気の違いに二度見するくらい関係ない。

    すべての話が最後の一点に向けて加速するためにあるような物語をブラックスワン型と自分の中で呼んでいるのだけど、イブもこのブラックスワン型だ。


    ファンタジスタドールイブはある少年が学者を志し、大学生活を経て研究者となり、歴史を変えるような偉大な発明をするお話だ。今思い返してみれば、これは何を創りだしたのかが最後に分かる偉人伝のような話で、まさしくその一点に向かうために主人公の人間関係や苦悩が書かれている。

    複雑な家庭に育ち、ある失敗から修行者のように学問に没頭した彼は大学で自分の人間性に疑問を持つようになる。仲良くしている同期や、自分を慕う後輩にすら膜のような隔たりを感じ、自分が人間のふりをした別の何かのように思う。その一方で同期と一緒に飲む楽しさや、負けず嫌いな後輩と科学について話す時間の得難さが本物であるとも感じる。世界を変えうる研究をしながら、自分は人間か、いや人間になれるかと彼は悩む。

    彼の人生の節目には必ずそれに大きく関わる女がいて、その時々の女性との関係が主人公である彼に大きな影響を及ぼす。大体身をよじるような結末を迎えるのだけど、そのどれもが主人公を科学者として加速させ、常人には決して辿りつけない「本当の目的」に向かわせる。その「本当の目的」こそが主人公の根本的な問題点であり、主人公が歴史に名を残す理由なのだ。


    すげえ、純文学みたい。

    すべての加速が終わって病院のベッドでうなずくシーンがとてもすごくいいのだけど、タグをつけるとしたら謎の感動だと思う。その直後の「帰りたまえ」も心情は今までの流れで十分分かるし初見では違和感なかったけど一旦素に戻るとおもしろおじさんペアすぎる…

    全世界から有能なバカが集まっちゃった話ではあるんだけど、実際にがんばれば手に届く位置にそれがあったなら。全世界からジークジオンとつぶやく声が聴こえることでしょう。倫理観とか捨て置け。

    0
    2015年01月09日

    Posted by ブクログ

    野崎まど、「know」に続くハヤカワ2作目。体裁や文体などあらゆる面で古典を意識しているかのようで、新しくなっているなあと感じた。太宰の「人間失格」を感じた人は多いでしょう。ただ、ジャンル的に言えばSFなので、古典とSFとの融合的な部分を強く感じた。

    0
    2013年12月22日

    Posted by ブクログ

    野崎まど「ファンタジスタドール・イヴ」は傑作。野崎まど劇場を読んでいただけに、女体に対する主人公の想いや純文学風の文体は最初、悪ふざけにも見えたがガチな作品だった。…文体については多少の悪ふざけ要素はあるだろうけれどw ただ、作品のテーマに相応しい語り口調であるのは確か。

    文学的・哲学的なSF作品というと「テクノロジーと倫理」という問題はよく出てくるが、この作品ではSFを背景にしながらも、人間自身を描いているのが面白い。人に言えない異常性に苦しみ、だからこその罪悪感や孤立感に苦しむという、誰しもが持つような苦しみが描かれる。

    笠野と遠智の二人の友人の対比もよかった。大兄は自らの異常性に苦しむ遠智に共感するが、笠野らを愛すべき友人とも思えるんである。そして、中砥の最後の一言がなんともいいじゃないですか!どうしても自分の異常性ばかりに目が行ってしまうが、実は程度の差なのかもしれない。

    とにもかくにも素晴らしい中編小説でした。や、女性の造形が持つ魅力というのは、男にとってはこれくらい強烈なものなのですよw しかし、主人公の名前といい、組織名での笑いといい、著者がどこまで本気で悪ふざけなのか分からん!という部分はあるw いずれにせよ、今年一番のインパクトかも。

    …ちなみに、アニメのファンタジスタドールは1話をほんのちょっとみただけですはいw アニメを知らない方でも、思いっきり楽しめる小説です。

    0
    2013年11月19日

    Posted by ブクログ

    アニメがあって、その前日譚が本書らしい。アニメは見ていない。この作家の登場人物の思考描写が毎回ユニークなものでとても興味深く拝見している。
    私にはない発想にいつも驚く。本作品も期待を裏切っていない。

    0
    2024年04月29日

    Posted by ブクログ

    え?これアニメだと美少女日常系なの?嘘でしょ?と感じてしまった、「ファンタジスタドール」というアニメの前日譚を書いた小説。アニメは見ていないのだが、これを読んでいるとてっきり鬱々としたSF作品かと思った。

    そう、本作はエンタメSF版私小説とでも言おうか、根暗な主人公の一人称で語られる展開や言葉選びや音引きの使い方など、大正期から昭和初期の純文学を思わせるのだ。その癖読みやすいのだから、著者の筆力に脱帽だ。

    男女間に限らない、情愛と心の距離と体の変化、その機微もよく描かれ心が痛む。

    0
    2017年09月19日

    Posted by ブクログ

    父子家庭に育ち、幼少期から使用人、同級生、など身近な女性たちと性に纏わる背徳的な思い出を重ねながら、それを払拭するかのように研究に打ち込む主人公と、その前に現れる、婚約者に裏切られた過去を持つ同僚。研究室の後輩女性を巡る主人公の想い、そこから導かれるものとは。

    これまでの「THE野崎まど節」のようなテイストではなく、どこか純文学や古典SF小説の香りのする文体。最後の最後の活字遊びが野崎風味?(でも多分野崎氏オリジナルの発想ではなく、メディアミックスありきの設定として前提に決まってた部分なんだろうな)

    0
    2016年02月16日

    Posted by ブクログ

    野﨑さんが書く、と聞いて事前にアニメもちょっとチェックしておいたくらい楽しみにしていたのに、購入後積んでる間に見失って悲嘆にくれていましたが、このほど発見。面白すぎて泣きそう。
    純文系シリアスギャグ素晴らしいです。
    主人公と遠智さいこう。
    とりあえず、\ファンタジスタッドー/

    0
    2014年06月18日

    Posted by ブクログ

    戦前かと勘違いするような古風で淫靡な雰囲気。女体に固執し、懊悩するマッドサイエンティストの独白が綴られます。女という生き物に絶望した彼が禁断の人体生成術の研究に至るまでの物語です。
    しかし…やめとけばいいのに、元のアニメを見て…脱力しました。
    この小説の尤もらしい物理学の結果があの理想のヨメ⁈ 人間捨ててまで、まさに狂気の所業ですね‼︎
    シリアスを貫く高度な笑い、嫌いじゃないです。

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    2014年06月10日

    Posted by ブクログ

    野崎まどの名に惹かれて購入。アニメは未視聴。

    女性の身体、特に乳房に複雑なる感情を抱く青年が、人間であることから離れ、初めてのドール・イヴを作るまでの話、だと思う。だと思う、と書いたのは、後半は推測でしかないから。人間らしい生き方を教えてくれた親友と好意を抱いた女性から離れ、高次元の思考を持つがまともな人間とは軸がずれている青年と女性生成を目指す。まるで太宰治の人間失格を読んだかのように、自らの異常性の吐露と人間になろうとしてならなかったことなどが書かれる。アニメも見たくなったが、この小説にあるような重厚で秘めたような、ともすれば暗い告白をするような雰囲気はないのだろう。明るい女の子達のキャッキャうふふを見せられた日には堪らない。

    とても良い作品でした。本に厚みはないが中身が薄いとは全く思わなかった。

    0
    2014年04月26日

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