宮本昌孝のレビュー一覧
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宮本氏らしさ満載の時代活劇。勘五郎の仇討ちに始まり、松江藩のお家騒動を巻き込み、最後はカラクリ屋敷での大立回り。旗本の佐四郎、忍びの萩中喜八、相撲取りの釋迦ヶ嶽雲右エ門と身分も所属も異なる猛者が30人の御庭番衆と戦う場面は鳥肌もの。火を放ったシーンはドキッとしたが、そこで平賀源内かと関心。
実在の人物や史実を驚くほど広げていくのが改めて上手いと思う。この点は私が好きな高橋克彦氏と非常に似ていると思う。そして黒幕にも一捻りあったのが良い。今放送中の大河ドラマ『べらぼう』を見ていると田沼と武元の対立がよく分かり面白い。
“やはりお前か、白眉毛…” -
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烏梅新九郎・駿河守護今川義忠が遠江遠征中流れ矢に当たり亡くなる。今川家で息子龍王丸と小鹿範満の家督争いが始まる。伊勢新九郎は足利幕府と今川家の取次ぎ役を担っていた。姉北川殿の息子龍王丸を後継ぎにするべく奔走する。
さかしら太郎・高坂昌信、山縣昌景を近習に従えた武田信玄。そこに甲斐の地侍の若者馬場信春、内藤昌豊が信玄に挑発的な言動をとる。信玄は甲斐の国で父信虎の下廃嫡の危険に晒されていたが老臣板垣信方、甘利虎泰、飯富虎昌の助けを借り信虎追放に成功する。老臣達が表舞台から去った後若き日の4人が四天王となり武田家を支えてゆく
いくさごっこ虎・末息子故に父為景に林泉寺に預けられた上杉謙信。林泉寺では実 -
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室町後期の足利将軍家を中心とした短編7篇。後半4作は「剣豪将軍義輝」のスピンオフ作品。本編にどっぷり嵌ったため期待大だったが、期待は超えなかった。綺麗に終わっていたのでどうしても蛇足に感じてしまった。
最後の「遺恩」は義輝を登場させず恩を引き継ぎ遺された者が活躍するというコンセプトは良かったが、風箏で締めるのは少し消化不良。十兵衛や與一郎以外は皆退場しているのでこれしかなかったのだと思うが。
その他だと「紅楓子の恋」が良かった。山本勘助と武田信玄の正室の三条の方の恋。恋というほど二人は接しないのだが恋としか呼べない関係性と、勘介が残した楓の枝から紅楓子と名付けるネーミングのセンスが光って