中沢新一のレビュー一覧

  • 今日のミトロジー

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    本書は、週刊現代に連載されたエッセイの中で、現代の日常に現れるミトロジー(神話的要素)を紹介しています。例えば、東京オリンピックのスケートボード競技での「ゴン攻め」などの新しいタイプの解説や、『進撃の巨人』における人肉を食する描写が取り上げられており、後者はレヴィ=ストロースの『われらみな食人種(カニバル)』へのオマージュとして示唆されています。

    中沢新一さんの卓越した洞察力により、このようなミトロジーとの共鳴を見出すことは容易です。しかし、それが中沢新一さん独自の力技に過ぎないのか、それとも現代において本当に不可欠な作業なのか、という疑問が残ります。つまり、こうしたミトロジー的思考が、今の

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    2024年08月14日
  • 別冊NHK100分de名著 「日本人」とは何者か?

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    意外と面白かった。ここでの中沢新一が「失敗の本質」を取り上げての、日本人の傾向を指摘する箇所は、「失敗の本質」を読んでいたとこもあり、腑に落ちた。

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    2024年06月09日
  • 新版 縄文聖地巡礼

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    坂本龍一強化月間でこちらを。
    面白かったし、ちょくちょく入る坂本龍一の写真が格好良いし、取り上げられている場所に旅行で行ってみたいなあという気持ちがわいています。

    中沢「…死の問題をいろんなかたちで世界のなかに取り入れていくことが戦略上、重要なんですよね。生きている人間の世界は、「ある」か「ない」かっていうバイナリ思考に陥りがち。でも「ある」でも「ない」でもない、もっと根源的な「生命力に満ちた死」があるわけで、それを組み込むと3の世界になっていく。世界はバイナリではなくトリニティの構造に変わっていく…」(p.51)

    中沢「神話の想像力と、資本主義や科学技術へと分かれていく原点は。エコロジス

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    2024年04月14日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    地形に意味あり。神社の場所、聖地の意義。理由が有る、ひとは続いているコトが、地図見ておもいました。確かに人事の近くは、遺跡が多いし。

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    2024年04月03日
  • 熊から王へ カイエ・ソバージュ(2)

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    引き続き面白いです。

    …スサノオは「人食い」であった大蛇を倒すことができました。すると大蛇の持ち物であった「人食い」の特性は、スサノオの所有に移ることになり…古代人の思考では、食べることとセックスすることは一つです。スサノオは土地の首長の娘を性的に食べることによって、二重の意味で「人食い」としての王の特質をあらわしてみせています。…このとき剣は、社会の内部に自然の権力が組み込まれるプロセスをあらわすものとして、王権の象徴となります。(p.197-198)

    原初、神は熊であった
    というのも面白かった。し、アイヌに「熊送り(イオマンテ)」という儀式があるんだなあ…テディベアが大好きな私もそうい

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    2024年03月19日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    こちらも今更ながら読みだしている中沢新一のカイエ・ソバージュ!学生時代に『野生の思考』やら『生のものと火を通したもの』やらを読んだはずなのだけど、正直あまり覚えていないんだよなあ、いつかそちらも再読せねばなりません。

    さて本作、講義の内容の書き起こしということもあって、とても読み易かったし、そういわれてみたら確かに?ということの連続が面白いということ、もし人間が既にそこまで物事を考えて何かに意味を持たせられている・見いだせているのなら、創作できる余地など少なくない…?と思うなどしていました。

    豆の神話学(p67~)
    豆というものが、男性の中の女性的なものと、女性の中の男性的なものを表し、男

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    2024年02月24日
  • 新版 縄文聖地巡礼

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    著者、中沢新一が、音楽家、坂本龍一と縄文にかかわりのある土地への巡礼を行った際の対談。一読では理解しきれない面もあったが、アースダイバーと併せて読むとよいと思う。

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    2024年01月04日
  • 熊を夢見る

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    あちら側の世界について、左脳的な思考で辿り着こうとしている印象。
    自然と人間が渾然一体となった世界を根底として世を眺めることの重要さを認識した。

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    2022年11月22日
  • フィロソフィア・ヤポニカ

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    <微分的人間>-とは?   -2012.04.26記

    パスカルは、
    未熟な人間だけが旅を好むのであって、
    成熟した人間は、部屋の中にじっとしていて、
    そこに無上の幸福を感じることができるのだと考えていたから、めったに旅をしなかった。
    微分は曲線上の接線の方向と大きさを切り出してくる。
    しかしそれは運動の根源ないし予料をしめすものではあっても、
    まだ空間の中に実現される運動や移動そのものではない。
    部屋の中でじっとしていることの好きな成熟した人間は、
    この微分の状態を、無上の幸福感を持って生きることができるのだ。
    それはこの微分には欠如というものがなく、方向と大きさを持った力がすきまなく充

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    2022年10月23日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    地形学・地理学に宗教学の要素を取り入れて、時系列の物語をその土地に見出していこうとするアースダイバーの概念を世に問うた宗教学者のアースダイバー東京編(増補改訂)。

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    2022年09月02日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    現実を失ってでも、バーチャルの世界へ入ってしまおうとする可能性を、常に持っている生き物なのです。私たちの心は、現実の世界の豊かさや複雑さを、五感を通して受け入れようとしていますが、同時に心の中の完全に自由なバーチャルな領域に呑み込まれたいとも思っています。

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    2022年05月30日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    「サッ」は死を意味する古代から言葉である。「サカ」、「ミサキ」。。。東京は縄文時代には温暖化により海面が現在よりも高く、東京の低地の多くはまだ海の中にあった。東京の街の成り立ちについて、縄文時代の地図から考えて散策をする。このような形で考察した著書はこれまで見たことがなかった。新宿、渋谷、三田、皇居、東京の街が縄文時代からどのように発達してきたかが良くわかった。

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    2022年03月02日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    借りを返すために生まれたわけじゃない。でもそういう仕組みの社会だから、洞察して、わたしが何を本当に欲していて与えたいのか、考えながら生きていきたい。

    以下要約↓

    金額が高いものは、果たして価値があるものなのか。逆も然り、安いものは価値が低いのか?
    もちろん、金額が高いからたくさんの人の手で作られて丹念にっていう商品もあるのだろうけど、それは僅かの芸術家だけで、そういうものはタマシイが込められてる、作者によって。

    ハイブランドのアクセサリーや洋服、高い車、これらはその作者の満ち満ちたエネルギーやタマシイが本当にあるのか、モノが誰かの手に入る時、作者は心から与えたいと思っているのか。
    この「

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    2021年04月07日
  • 大阪アースダイバー

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    中沢新一(人類学者、宗教学者ほか)著「大阪アースダイバー」を読みました。
    かなり面白く、かつ、うさんくさい本。

    大阪のまちの全てについて解明しているわけではなく、
    上町台地、船場、ミナミ(難波~天王寺、西成)、そして渡辺村について古代、いや、それよりもっと前の時代から含めて読み解いています。

    例えば、「お笑い」の始まりは上町台地「玉造」にあった、という話。
    そこには初代の四天王寺が物部守屋の霊を鎮魂するために建てられ、
    そこで密儀の参加者は一斉に「ワッハッハ」と笑った。
    それは、生命力の一部が宿っている体の部分を安全に分離する作業であった、とのこと。

    今日のヨシモトの笑いは、ミナミの焼き

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    2021年03月15日
  • 日本の大転換

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    釈迦が悟ったのは「縁起」であると言われる。
    世の中は縁によって起こり、あらゆるものが関連し合っているという思想である。
    そこから、生物との共生や自然との共生という思想にもなる。
    しかし、一神教の思想は全く異なる。
    縁で紡がれているはずの人間社会に、それを超越した神を持ち込んだのが一神教、すなわちユダヤ教、イスラム教、キリスト教である。
    そして、宗教が力を失ったいま、拝金主義と科学信仰がはびこっている。
    拝金主義の温床は資本主義だ。
    そして、資本主義は縁でつむがれていた社会に「神の見えざる手」を持ち込んだ。つまり神を持ち込んだのだ。
    さらに、科学信仰の真骨頂が核エネルギーであり、これは「神の領域

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    2020年10月07日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    東京の地形学とそれにまつわる歴史。洪積台地か沖積低地かで、ヒトはそこに何を作り、どんな文化を育むかが変わってくる。北ムサシの近辺に生まれ、南ムサシの近くに住んだことがあるだけに、そこに生まれたドラマは何か感慨深い。

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    2020年09月12日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    日本国憲法第九条をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきかを語った対談本。

    憲法改正の議論で注目されるのは「憲法九条」のこと。理想論と現実論、どちらか一つに偏るのではなく様々な視点から憲法九条について考えることが重要です。

    そして、歴史を通して戦争とは何か、平和とは何かを改めて考える必要もあります。

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    2020年08月10日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    上京してから2年目の今だからこそ
    読んでよかった。街の見方が少しだけ変わる。

    ひとつ、地理的な説明を期待していたので
    予想よりも人物の歴史や霊的な観点からの
    考察が多めで、個人的興味はそそらなかった。

    たまに出でくる表現が急にエロチック。

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    2020年04月14日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪は東京とはずいぶん違った発展の仕方をしたらしい。
    大阪に行く前にこれを読んでおくと、景色がちがって見えるはず。(コアラ)

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    2020年02月15日
  • 増補改訂 アースダイバー

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    東京の地形と暮らしの歴史と人々の心の有り様をリンクさせて縦横無尽に論じた「アースダイバー」(2005年)の増補改訂版です。当時、「縄文の大地を裸足で感じる」みたいな中沢新一っぽい言い回しに痺れて、東京散歩が新鮮になりました。洪積層と沖積層、山の手と下町、水の記憶と性産業、都市を見つめる目線に、出来事ベースの歴史だけではなく、人の潜在意識への妄想が加わりディープになったのを覚えています。考えてみれば、「ブラタモリ」のヒットとか、地形マニアとか、「せんべろ」などの下町巡礼とか、そんなこんなのきっかけが「アースダイバー」だったのかもしれません。今回の増補改訂には下町周りが補強されています。洪積層と沖

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    2019年04月28日