中沢新一のレビュー一覧

  • 憲法九条を世界遺産に

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    本の存在は気になってたけど、なんとなく避けてたもの。爆笑問題は好きだけど、その本ってどうなのよ、みたいな変な身構えがあったりして。でも、読んでみて恐れ入りました。ニュース番組やらで色々意見するってだけでもかなりの知識が必要なのは自明だし、更にはそこにトンチも働かせようとなると、そら並大抵では無理ですわな。憲法第九条の堅持も含めて、暴走内閣の抑止効果を強く期待します。

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    2016年02月22日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    田中光の言動はテレビで見る限りまったく同意できないものだったが、意外なことに九条に関してはリベラルな意見をしっかり持っていたので驚いた。宮沢賢治と田中智学、石原莞爾の関係から平和憲法を語るとは。実によく本を読んでいるし、深く考えている。TVでのコメントはやはり芸人としての立場をわきまえた悪ぶりだったようです。中沢新一の解説が非常にバランスが良く、九条の理解が深まったのは収穫だった。2006年の発行だが今、まさに読むべき状況になってしまった。

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    2015年06月01日
  • 対称性人類学 カイエ・ソバージュ(5)

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    5冊のシリーズの中で、話口調が少なく一番読みやすかった。
    昔、中学校の頃に自分の中に仏教が流行っていたことを思い出した。ちょっと、内容にノスタルジー。
    自分は分裂症気質なため、意図的に非対称的な考え方をするように心がけて、秩序を保っているとことがあると思う。

    音楽でいえば、
    ロック=非対称的 ヒップホップ=対照的かな。

    それにしても、人間は無意識においても2項対立からは逃れられないのか。

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    2015年03月21日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    日本国憲法第9条と宮沢賢治との関係が私にとっては初めてのことで驚いたが、宮沢賢治のことを一面的にしか捉えられていなかった私にとってはいい示唆を与えてもらったなと素直に感じているところである。

    太田光さんがおっしゃった
    「この憲法は、アメリカによって押しつけられたもので、日本人自身のものではないというけれど、僕はそう思わない。この憲法は、敗戦後の日本人が自ら選んだ思想であり、生き方なんだと思います」(p56)
    というコトバに、全てが集約されているんじゃないかなと。

    2016.09.06再読

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    2016年09月06日
  • 熊から王へ カイエ・ソバージュ(2)

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    国家「クニ」が野蛮であることは不可避であり、自然・動物に敬意を払う精神構造を捨てた「文明」は野蛮を土台にして発生している。
    何故、現代文明を我々はこれほど歪に感じるのか。文化的に遅れていると言われる原始宗教に惹かれるのか。それは遠い昔、縄文まで遡る頃に、そのような、真に文明的な社会が存在していたからである。
    首長・将軍・秘密結社・シャーマン。
    首長は「集団の緊張を和らげるもの」「自分の財物を惜しみなく与えるもの」「弁舌さわやかなもの」。さらに歌・踊りの能力も重要であり、現代のミュージシャン(の語り)が若者の心をつかむことの共通性。

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    2014年11月22日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    人類最古の哲学は「神話」である。
    シンデレラは、もっともポピュラーなペロー版、「本当は怖い」のグリム版、最古の中国版を経て、本来の神話がネイティブアメリカンによって再生される。さらにオイディプス神話ともつながるという、壮大なSFを読んでいるよう。
    そして最後に神話を様式だけ、情報として消化することに対して警告を放つ。
    都市、情報空間の中だけでジブリ映画のような神話様式を消費する私たちは自然と断絶し、自然からの恩恵を受けられなくなるのだ。
    かぐや姫の子安貝から「燕石」の普遍的な意味。
    ピタゴラス派の掟から「ソラ豆」のもつ二元性。

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    2014年10月21日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    贈与とは愛なんだ、という中沢新一の話が印象に残った。

    以前、『ケルトの宗教 ドルイディズム』の中にある中沢新一の文章を読み、この人はすごい、と思った。
    それからゲンロンカフェで行われた東浩紀と中沢新一の対談を聴いて、中沢新一にさらに興味を持った。

    たまたま家にあったこの本を手に取ったのには、そういいう経緯がある。

    僕は次に、中沢新一の『カイエ・ソバージュⅠ 人類最古の哲学』を読んだ。
    これらかも、彼の本を読むつもりだ。

    中沢新一は、今の僕が求めている何かを与えてくれるような気がする。

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    2014年09月24日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    憲法九条を世界遺産に

    精神土壌の、無思考、思考停止、
    素直に自分が思ってることを表現すると世の中からバッシング抹殺されかねない、いじめ、
    西欧の合理主義やモダニズム→田中智学→危機的な日本の新しい方向性を示そうとした、
    虐げられているもの弱いもの声を出さないものの声を聞き取らなければならない25

    作者の意図と違うところで感動が生まれることの幅は芸術作品の力である
    同じ場所にいても違う世界をみている、
    誤解を伴ったディスコミュニケーションで世界は成り立って豊かになっている、
    宗教法国家による単一の意味付けは世界との間に齟齬を生じる、
    戦争の大きな概念正義こそが結果として人を

    宮沢賢治

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    2014年06月19日
  • 大阪アースダイバー

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    自分の生活圏、大阪が、それほどに海だったんだ!ということがまず一番のオドロキだった。海民が作った町・・・などなど。歴史を知ると自分の暮らしが豊かになる気がする。この本に出てきた名所を順番に訪ねたい。

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    2013年12月29日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪は水の都である。という一文から始まる司馬遼太郎の小説があったと思う。何だったか思い出せないのだが、
    私事ながら、秋から大阪に単身赴任している。東京と比べると大阪は本当に平べったい。坂がない。地下鉄の出口案内に並ぶのは、橋や堀のつく地名ばかり。高低差を愛でるタモリ氏やスリバチ学会の会員だったらつらい都市だろう。

    東京の地形の記憶を扱った前作のアースダイバーを読んだのは、2006年頃。大阪をテーマにした本書が出版されたことは知っていた。暫く手を出さないでいたのだが、大阪暮らしに慣れる意味でも読んでみた。

    土地勘がない心配は杞憂だった。舞台になるのは殆ど上町台地ばかり、北は大阪城から南は住吉

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    2013年12月22日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    実に、日本国憲法とは、一瞬の奇跡であった。それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と、二度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人との、奇跡の合作だった。しかし今、特に九条は次第に輝きを奪われつつあるように見える。この奇跡をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきか。
    芸でそれを表現しようとする太田と、その方法論を歴史から引き出そうとする中沢。
    宮沢賢治を手がかりに交わされた二人の議論の行き着く先は…。

    中沢)宮沢賢治はディスコミュニケーションを乗り越えたいと思っていた。
      他人の苦しみが自分の苦しみである状態を造りあげたいと思っていた。
      世界を一つにするとい

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    2013年11月16日
  • 日本の大転換

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    面白かった。資本主義の「次の世界」を知りたくて、読んだ本。中沢新一の本は初めてちゃんと読んだ。結局最後が「地域通貨」と「エネルギー利用のモジュール化」なら、こんなくどくど同じこと繰り返し書かなくても、もっと端的に読みやすくすればいいのに。

    元々は「すばる」に掲載されたものだそうですが、その元は恐らく講演録?なんですかね?だからこんなダラダラしてるのかな。

    頭の良さそうな人が頭の良さそうな人の本を読んで満足するための本、みたいで気持ち悪い部分もあった。

    何かに引用が載っていたのがきっかけで読んだんだけど、忘れた…

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    2013年06月12日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪市東住吉区で生まれ育った私には、とても説得力のある分析だった。筆者の大阪へのシンパシーと造詣の深さがひしひしと感じられた。あとがきの指摘も全く同感。今、大阪は歴史と伝統文化の重みを理解しない某為政者の、学歴では測れない教養と品性の欠如に振り回されがちである。しかし大阪人は賢明にも違和感を感じ始めている。

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    2013年05月15日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    憲法記念日なので、思い出して今さら読んだ。日本国憲法は66年前の今日施行された。

    いちばん印象的だったのは、九条の理想を掲げるのは、軍隊を明文化するよりも覚悟のいることなのかもしれない、という部分。

    自分は、ある種矛盾を抱えたこの憲法九条を大事にして、変えずにいたい。少なくとも、一時的な盛り上がりとか時代に合ってないとかの理由だけで、安易に改憲側になりたくないって思った。

    あと印象的だった部分は、

    ・宮沢賢治が戦争に加担するかのような考え方を持ってたこと

    ・賢治は人と人だけでなく、人と動物との間の対立を乗り越えようと理想を追い求めたこと

    ・平和とは突き詰めると愛とはなにかという問題

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    2013年05月11日
  • 大阪アースダイバー

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    「縁(有縁)」と「無縁」という観点から商人の社会とそれ以外の権力社会(大名を頂点にした農耕、封建社会など)をとらえるとスッキリ。大阪に行ったときの違和感のようなものが中沢新一さんのアースダイビングのテクニックで爽快にとき明かされていて目から鱗。想像力で補完されているところが多いから[「アースダイバーの推論」p215など]、魅力的で説得力があっても冷静に読む必要はある。もちろんみんなができるアースダイビングの、中沢さんが大阪にしたらこうですよという一例だ。

    個人的には「死(墓地)」と「セックス」が都市のつくりで密接に結びつく縁があることに前作から惹かれ続けている[p128]。理屈で言われ続けて

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    2013年03月28日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪の住吉で生まれ育った人間として、面白く読めた。

    けどそれでも行ったことのない場所もたくさんあって、
    まだまだ大阪を知らないなぁと思った。

    その昔、朝鮮半島南部から西日本全体にかけてが
    一つの文化圏だったという概念は僕にとっては新鮮だった。

    でも地理的にも心理的にも感覚的にそれはよくわかる。
    西日本は、心理的には東日本よりも半島や大陸に近い。

    そして政治都市ではない大阪は、「市民」の都市だ。

    独自の価値観とバイタリティに自信を持っていい。

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    2013年01月28日
  • 大阪アースダイバー

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    東京編よりもっと面白かったかも!最初から読んでいって挫折しそうな場合は「第三部ミナミ浮上」から読むのがオススメ。大阪へ行くのが楽しみでならない。大阪在住の方はもちろん、旅行や出張で大阪へ行く方も是非その前に手にとってもらいたい。東京には持ち得ないそのダイナミズムに触れ、虜になること間違いなし。

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    2013年01月15日
  • 大阪アースダイバー

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    アースダイバー(東京版)とは違う。
    奈良の地層が気になる。
    上町台地そんな高いっけ?こじつけに思えるところ多いが惹かれる。

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    2013年01月03日
  • 大阪アースダイバー

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    アースダイバーの大阪編。前作と併せて読むと、面白さは倍増される。

    大阪という都市は、南北に王の生命力が放射されるアポロン軸で、太陽が動く東西に権力者によらない生と死のディオニュソス軸がある。そのため東西の通りに、別軸の生命のエネルギーが満ち溢れている。
    また、ナニワの砂州に育った商人文化は、血縁を超えて貨幣でやり取りする超無縁社会である。
    その他、歴史を紐解き、差別問題、大阪のディープな地区の成り立ちについても切り込んでいく。

    東京の権力におもねる都市の成り立ちと、大阪の無縁の原理の上に成り立つ都市では、根底に流れる考え方が違う。感覚的なものだが、それを認識できたことが大きな価値だったと思

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    2012年12月31日
  • 野生の科学

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    読みごたえあり。社会や人間、世界、宇宙を幾何学的に図形的にとらえようとする方法論が面白い。構造主義的手法。
    数学的手法を用いた人文的言説が面白いのはそれに説得力があるからなのかもしれないな。エッセイ的な人文書というのはあまりに多い。それでもいいし、それではいけないと言っているわけではありませんよ。ただ、形(数的構造)に着目するのは、「有効な」気がするんです。論理性を持っている。応用が利きそうで、示唆に富む。

    「科学も宗教も同じである」とはよく言われています。仕事上、割と「科学」側の人と接することが多いのだけれど、このことを意識的にか、無意識的に抱えている人というのが一定数いることを体感してい

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    2012年12月16日