中沢新一のレビュー一覧
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神話は、具体的な世界との関わりの中で生まれれる。
この本の中で紹介されるいくつかの神話を読んだとき、たしかな感動があった。
なぜ僕は今、神話に感動するのか。
きっと、僕が、具体的な世界に目覚めはじめているからだろう。
これまで浸ってきた、観念の世界から脱出しつつある。
神話と宗教の違いが、この本では語られる。
神話は具体的な世界をもとに生まれる。対して宗教は観念の世界である。
ああ、今まで自分がやっていたことは、宗教だったのかもしれない、と思った。
また、著者は現在流行しているアニメやゲームの物語は、神話的であるが、神話とは異なるものであるという。
アニメやゲームの物語は、神話の「様式 -
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憲法についての対談集ですが、引用したい部分がたくさんあります。中沢はともかく、太田光って頭いいなあ。見直した。九条ってのはそのまま守ったら侵略されちゃうような「不可能な理想」だから、世界で唯一のもの。だから、理想を何とか守るために「自衛隊」みたいな拡大解釈が必要になる。世界中がこの憲法を持てば、人間社会のレベルが一段上がる可能性を秘めたこのユニークな憲法を捨てて「普通の」憲法にしちゃうってのはまずいでしょ、っていうのが骨子。確かに世界遺産は「他で代替出来ない貴重なもの」なんだから、平和憲法もその一つ、っていうのはなるほどで、この提案をした太田はすごい。あと、九条があるから、日本人は憲法や国際紛
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カイエ・ソバージュシリーズの第一巻を買ってから8年も経ってしまったが、ようやくいま、全五巻を読み終えた。8年の間、理解できなくなっては投げ出し、暫くして最初からまた読み直すという繰り返しであったが、不思議と途中で諦めようと思ったことは一度もなかった。
これは私だけの感覚なのだろうか。長い時間、理屈を考え続けていると、だんだん頭が熱くなってくることがないだろうか。私にはそのとき同時に、脳の表面は活発に動いて熱くなっているけれども、脳の奥の方は、実はちっとも動いていないのではないかという実感が残っている。
中沢新一が「流動的知性」だとか「対称性思考」などと定義し、言葉を尽くして説明しようとしている -
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僕自身は改憲論者の部類に入ると思う。
憲法九条の素晴らしさを憲法の中にはみとめていない・・・という立場だ。
本書はお笑い芸人の太田光と人類学者の中沢新一の対談本。
憲法九条を「平和憲法」として諸手を上げて礼賛する平和主義者とは違って、その危うさや幻想、理想、非現実性をしっかりと認識した上での護憲の話になっている。
冒頭に宮沢賢治の矛盾を孕んだ平和思想を取り上げて、それを手がかりに憲法九条を語っているところがそれを象徴しているように思える。
憲法九条を護りたいと思っている人にも、または逆に改めたいと思っている人にも、多くの示唆を与えてくれるおすすめの本。
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中沢新一の新著である「日本の大転換」では、この大きな転換期に基づく新しいライフスタイルがなんなのか、そしてどのうような未来図を見出さなくてはいけないのかが短めではあるが解説されている。
ところで、ぼくはこれまでブログなどで何度も主張してきたが、この原発事故はもともと人間には手に負えないモノをさも知ったふうにして取り扱った結果であり、そして取り返しのつかない状況もまた結果である。ぼくらはこの結果を踏まえ、脱原発の方向で新しい生き方を模索してくしかない。
そのことを中沢新一は肯定的にさらに具体的な可能性を導きだしてくれていることに、すこし気が楽になった。未来は明るいわけではないが、そんなに暗く -
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雑誌『すばる』6・7・8月号に連載されていたときから注目していた論考ですが、そのときとったレジュメとレビューの下書きが、例のたなぞうの終了騒動(!)のドサクサでどこかに紛失してしまって、途方に暮れています。
でも、もし見つからないなら、何としてももういちど再考して、かたちとして残したいと思います。
これは、3・11以降に生きる私たちの持つべき世界観として、地震学者や医療救命関係者や原子力発電所関連の専門家や精神分析家や環境学者や経済学者や企業経営者や芸能人などが、それぞれの専門分野と思い入れを持って思索し行動して問題定義されたなかでも、とりわけ、もっともすぐれて重要な人類的視点で書かれた考