中沢新一のレビュー一覧
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核反応がその他のエネルギーとはかなり違うというのは、改めて指摘されてみるとなるほどと納得のいく話だった。そしてなぜに人が原子力開発に手を付けるのかと思いめぐらすと、そこには資本主義のいきわたった地上でなんとなく感じている貧富のゼロサム感が大きいんじゃないだろうか。結局貧しき者があって富める者がいる、全体でここからのレベルアップがまだあるのか、と人類が思う先行き感の不安がそこにあると思う。
そこで再認識させられたのが太陽の存在。この無限の闇広がる宇宙空間に燦々と降り注ぐ贈与。結局、化石燃料も生命の源泉も太陽光輻射があたえるエネルギーに依る。今後テクノロジーの発展が人にとって相対的に無尽蔵で対価を必要としない熱源から効率的にエネルギーを取り出せるとしたら、確かに資本主義とはちがうスキームが生まれるかもしれない。
でも一神教と原子力開発を結びつけるのはちょっと...と思うだけど。 -
Posted by ブクログ
選挙前に憲法でも考えるかねえ、
ってことでコレ。いまさらー
憲法から脱線しまくって
スピリチュアルな話しをしている部分は、
恐ろしいほどつまらないです。笑
最初の方は読み飛ばした方が賢明かと。
ただ太田光の、憲法九条の矛盾や
非現実性を理解しながらそれでも
「そっちの方が面白いじゃん」
と喝破する思想には、衝撃すら受けた。
そりゃ、面白いわ。。(いろんな意味ですよ。念のため)
いずれにせよ憲法九条は
国民投票にかけて信を問うべき問題だと思う。
国民の衆愚性や現状の見識も含めて、ね。
それまでやっぱ、安倍政権は倒しちゃだめだ。
考えさせられる部分はすごい多いんだけど、
最初のあまりのとっつきにくさや内容構成が
本として終わってると思うので星3つ。 -
Posted by ブクログ
思想家、中沢新一さんによる脱原発、新エネルギー社会論。
いわく、元来、生物の活動は、生態系内で太陽エネルギーをエネルギーに変換することにより営まれてきた。原発はこれに反し、生態系外から太陽と同じ核反応を直接生態系内に持ち込んだもので、もともと無理がある。また、全てを経済的価値に置き換えて評価する資本主義と、エネルギーを外部から持ち込む原発は親和性が高い。また、生態系内の事象の相互連携ではなく、絶対的なエネルギー源を志向する点で一神教的発想に近いという。
今回の震災を契機に、日本は率先して生態系内でのエネルギー循環型社会に変換すべきで、それとともに行き過ぎた資本主義も人々のつながりや贈与、交換をベースにしたものに置き換わって行くという。
思想としてはとても刺激的だし、面白い。自然と親和性を取り戻した自然エネルギー循環型社会に対して異論は誰もないだろう。しかし、問題は実現性と時間である。既に現実として目の前に高度資本主義社会が存在し、人々が生きている。氏は従来の経済的価値観で考えてはいけないというが、もう少し現実と擦り合わせながら実際には物事を進めていかないことにはどうにもならないだろう。 -
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憲法9条の背景について、多面的な見方をしているかはわからないけれど、よく分かる、読みやすい本でした。
歴史の先生や親から、日本国憲法はアメリカから押し付けられたものだというのを聞かされたなぁと思い出しました。
9条廃止の声がたまに出る中で、私は戦争なんてダメ!残すべき!と思っていたけれど、なぜ廃止が駄目なのかとか、9条の良いところ悪いところを知っていることは大事だよなーと。
それとは別に、死の表現を避けないかつての日本人の文化を改めて素敵だなと思った。生と死の間にもっと積極的に考えなければいけないことや、ヒントもたくさんがある気がする。 -
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その純粋な形式としての科学は、徹底的に非対称性の論理を駆使して、再現性を確保しようとする。そこでは「同一律」「矛盾律」「排中律」といったアリストテレス的論理学の原則に忠実に、防衛的に、瑕疵なきよう推論や証明が行われる。他方、『人類最古の哲学』で検証してみたように神話は「二項操作」によって「対称性の論理」を働かせている。この神話的思考によって現実の非対称性を補完しようとする実際的な取り組みであるとしたのだった。
対称性の思考を統一しようとする野心的なカイエ・ソバージュシリーズの最終回は神話的思考から始まって、無意識、<1>の魔力、仏教、幸福、経済といったラジカルな人間的活動にその領域を広げながら展開されていく。対称性の人類学が未知の形而上革命の試金石たりえるのか。これから楽しみである。 -
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『イカの哲学』以来の中沢新一の本だが、やはりこの人の言説は全て「宗教」ががかっている。思考の抽出の仕方が特殊であり、懐かしくもあり、今は遠い世界の話のようにも思える。3・11以後の日本文明のあり方が、これまでのあり方は変わるという意見には納得するが、「贈与」という思考手段にこだわり演繹的に自論を提示していく方法は、回りくどくもったいぶった生活とかけ離れた世界である。
エネルギーを8つの段階に分け、原子力エネルギーは当然第7段階ととらえ、これからのエネルギー政策を第8段階として遂行していくという意志は認める。現在も小型原子炉開発は先端技術として研究されるべき技術である。それを完全否定するのではなく、原子力発電という技術自体が自然界にあるまじき姿であり、それを勇気をもって捨てていくための思想的バックボーンであろうと心がけているのだろう。それには大いに賛成する。
本書が、あらゆる具体的な事象を通り越して形而上の「思想」として、完成させるための第一歩であるのならば、巷でまかり通るインチキ思想をもここに収斂されていくだろう。中沢新一はいろいろな意味であやしさもあるのだが、こういう立ち位置で世界と対峙する日本人がいてもいいと思う。 -
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贈与の可能性についての考察。
いかにして外部を引き入れ、この世界を活性化させるかというように読んでしまえば
彼の意図とはずれるのだろうけれど。
それでも、安直に「無の領域」などと言ってしまえば
霊的な言葉と戦うことになる。
その戦いは覚悟の上だったとしても、ヒロイックな感傷を携えては駄目だ。
広大な他者の領域、そこに種を播く。
じっくりと真摯に腰を据えて水をやり、耕す。
恩寵ではあるが、奇跡ではない。
それらはあらかじめ無数に存在していた。
常にすでに寄り添っている。亡霊などという言葉に騙されてはならず
数多の未来が今ここに眠っているのである。 -
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曼荼羅がどうだとか、そういう話もあったような気がします。
「はじめに」の部分で、河合隼雄さんが難しい本ではないというような
ことを書かれている。
しかし、それでも、ところどころ難しいです。高校生くらいから読める
とは思いますが、ちゃんと理解するのは難しい。
専門書に比べるとずっと簡単なんだろうけれど。
語る上での仏教との距離感が良かったです。
科学として仏教を見てみたり、心理学から仏教を見てみたり、
仏教にこう、視界を狭めて解こうとしている本ではないです。
学識があるお二人だからこそ、いろいろな視点から仏教を眺めることが出来る。
そのお二人会話を見守るような本ですね。
知らないことが多くて刺激になりました。 -
Posted by ブクログ
憲法九条に関するような、核武装や世界平和や日本のポジションに関しては、論じられていない隙間がこれだけあるんだぞということを、爆笑問題の太田さんと作家で学者の中沢新一さんが示してくれるような本です。発想と知識を織り交ぜて話し合っているようなところもあって、創造的対談とも言えたかもしれない、はっきり覚えていないけれど。
戦争=圧倒的な暴力。
「悲惨なもの」と従来は考えられてきたが、
悲惨なものなんて弱気なことを言ってないで、
大義のために戦えという風潮が起こりそうな気がする。
勝てば官軍なんだから、太平洋戦争みたいに負けなければいいんだという論理も。
超大国のアメリカがついてるんだから、もう負けることはないだろうと、
そういう算段で戦争に向かって歩いていくことになりそうな気もする。
例えば、ナチスドイツみたいな国がまた現れた時に、
連合国軍側として戦うことが出来ないから憲法9条を変えようと
いう話もあるかもしれない。世界の主要国の一つになった日本が、
そういう場合に戦わないのは国際関係上好ましくないという話。
ナチスドイツというよりも、現在の場合はテロリズムとの戦いなんだろう。
また、八紘一宇という考え方の、怖いくらいの魅力が恐ろしい。
そういうことを考えてから読むといいのがこの本じゃないかな。
もう9条が改憲されることをちょっと諦めているようにも読めてしまうところがある。
斜にかまえた読み方かもしれないけれど。
戦争は人を殺しておいて正義だという。それはないんじゃないか、と。
日常において、他人を傷つけることに慣れてしまっていることが、目を曇らせる。
人間関係の形成には多少のケンカが必要だとは思うのだけど、
それが鈍らせ、見誤らせるものもある。人を傷つけることに関してだ。
人を傷つけない言い争いのようなケンカがある。
そして戦争は、国と国とのケンカじゃない。
人々と人々の殺し合いなのだ。
『ダイ・ハード』なんていう殺しばかりの映画を観てきた人間が
いうのもおかしいように読めるかもしれません。
あれはフィクションであって、映画であって、現実ではないですからね。
そんなに楽しんだわけでもないし。と言い訳しておく。