【感想・ネタバレ】純粋な自然の贈与のレビュー

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Posted by ブクログ 2010年01月25日

素晴らしい。

純粋な自然の贈与
という言葉は、重農主義者のものだそうだ。

ここに扱われている全ての短編を貫いて、
この純粋な自然の贈与が溢れている。

大好きな、
カイエソバージュシリーズに連なる思想が、
すでにここにわかりやすく取り出されている。

そして、どの文もとても美しい。

中沢新一の...続きを読む文体、好きなんだなあと改めて思った。

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Posted by ブクログ 2011年05月22日

冒頭の「序曲」に、この本の主旨はほとんど語り尽くされている。
人類学で有名な「贈与の循環」を「ものを結びつけるエロスの力」と位置づけ、これに対し「「もの」と「ひと」、「人」と「人」の間に距離をつくりだし、分離する」という「売買」のシステムを対置させる。
後者の市場の論理は、網野善彦さん(中沢新一氏の...続きを読む「おじさん」らしい)の、「市場」を「日常の世界での関係の切れた「無縁の場所」」とする指摘(『日本の歴史をよみなおす』)から敷衍されたものだろう。
本書では特に「贈与」をめぐって思考がおしすすめられる。
『カイエ・ソバージュ』の前に書かれたものらしいが、ひとつの考え方として、「思考」の冒険記として、おもしろかった。

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Posted by ブクログ 2013年11月16日

内容は大変に興味をひかれるのだけれど、
どうしてかしらん肌に合わないところがある。
アプローチの違いの問題かな。
定かではなけれども。

インディアンがひどく交際好きで浪費を好むように見えた。インディアンは、たくさんの贈り物を交換し合い、もらったら必ずお礼をしなければ気のすまない人たちだ

インディ...続きを読むアンの思考法では、贈り物は動いていなければならないのである。贈り物といっしょに「贈与の霊」が、ほかの人に手渡された。そうしたらそれを別の形をした贈り物にそえて、御返ししたり、別の人たちに手渡したりして、霊を動かさなければならない。

贈与の霊が動き、流れていくとき、世界は物質的に豊かだし、人々の心は生き生きといsてくる

ところがピューリタンは、博物館に収めたり、貯めたりする。自分の身の周りに集まってきた贈与の霊の力を、彼らは蓄積し、使わないように所有してしまった

人間の魂の幸福は、つねに大地を循環する贈与の霊とともにあるもの

人が人に、贈り物をする。そのとき贈り物となったものと、それを贈ったり、もらったりするひととの間には、深い実存的な絆が発生する。贈られたものは、人格の一部となり、人は他者の人格ないし魂の一部を、受け取るのだ

贈与も売買も、同じくらい古い起源をもつ。共同体の中ではたがいに売り買いはしなかった

ある人が別の人に、何の見返りを求めることもなく、何かを贈る。それに応えて、贈り物を受け取った人は、価値において見劣りしないものを、送り返す。そこには霊の受け渡しがおこる

自分の身体をほかの生き物に捧げつくす修行

存在とは贈与する者である

藝術的創作の本質を、贈与としてとらえる。「あの風」が、私の言葉を語る身体を通過していった。

人間に対する不信や、支配欲、そしてなによりも流動するものへの恐れの気持ちがあるところには、贈与の霊の動きはおこらない。死への恐れ。

人間は心のうちに流動する霊を持っていて、それは生きているときに、「なかまのあいだをあちこちと出歩く」。つまり、人間同士がたがいに言葉を交わしたり、理解や感情を通わせたりするたびに、目には見えない霊が流動をおこして、個体と個体の間につながりをつくりだしている。ところが、人間の中には、生きていたときのマーレイやすくるーじのように心の内部からこの霊を、いっこうに発動させなかった人がいる。

亡霊は、生きていたときに自分の前には幸福への可能性が開かれていたのに、かたくなに他の個体への霊の流動をこばんでいたおかげで、それをみすみす失ってしまった

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Posted by ブクログ 2011年07月17日

贈与の可能性についての考察。

いかにして外部を引き入れ、この世界を活性化させるかというように読んでしまえば
彼の意図とはずれるのだろうけれど。

それでも、安直に「無の領域」などと言ってしまえば
霊的な言葉と戦うことになる。
その戦いは覚悟の上だったとしても、ヒロイックな感傷を携えては駄目だ。

...続きを読む広大な他者の領域、そこに種を播く。
じっくりと真摯に腰を据えて水をやり、耕す。
恩寵ではあるが、奇跡ではない。

それらはあらかじめ無数に存在していた。
常にすでに寄り添っている。亡霊などという言葉に騙されてはならず
数多の未来が今ここに眠っているのである。

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