中沢新一のレビュー一覧

  • いま、ここにある神話

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    ネタバレ

    「現代的事象の奥で活動する神話的思考」を解き明かすというコラム集のような本。漫画やアニメから芸能人、時事ニュースまで、様々な物事が題材になっている。人里に現れた熊のくだりやアナーキズムの話など首をかしげてしまうような論も多少あるし、全体的に物事に著者の思想を根拠なく過剰に読み込んでいはしないかと思うのだが、「現代的事象の多くの領域で、旧石器時代に花開いて以来人類の共通財産となってきた神話的思考が、あいかわらずの活力を維持し続けている」という著者の思いには共感するところがある。しかし、扱う漫画は今どきだけどヤハウェをエホバと表記しているあたりかなりご高齢なんだろうなと思ったら、やはりだった。そうなれば細かいところには目をつぶるべきなんだろうか。

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    2026年08月15日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    はじまりの哲学=神話。
    そこに分け入り、
    新たなまなざしを得る一冊。

    中石器時代。
    人間の文化のあらゆる領域で
    「組織化」が行われた、という。

    この時期に生まれ、今に続く「神話」は
    「感覚の論理」を用い、
    感覚素材を論理的に組み合わせ、
    世界の意味や人間の実存について
    考え抜こうとしている、そうだ。

    言わば、感覚の弁証法。

    この本の中で、印象的な部分は
    後半で詳細に語られている
    「燕石」と「シンデレラ」。

    神話は世界中で同じ構造の物語が
    違うバージョンで語られる。
    オリジンはないという。

    地域の特性や民族の特徴などによって
    神話は伝播した場所で違うバージョンとなる。
    そのすべてがオリジンであり、
    そのすべてに通底する真実がある。

    それを中沢は「燕石」と「シンデレラ」を
    題材に明らかにしていく。

    「鳥の巣あさり」は
    性的な意味をもつ。

    燕はある特別な石を
    海辺から運んで巣の中にしまっておく。
    その石は鳥の眼の病気を
    治す力をもっているとされている。
    燕石を身につけた女性は、
    安全に子どもを出産できるといわれる。

    そして、さまざまな事物に
    新たな意味が吹き込まれる。

    そこで明らかになってくるのが
    「生」と「死」を仲介するものたち。

    「豆」「水界」「燕」「かまど」「ヘーゼルの木」

    世界中のシンデレラの神話をたどると
    こうしたものたちが
    「生」と「死」の仲介として
    立ち現れてくる。

    シンデレラの別バージョンでは
    シンデレラの願いを叶えるのは
    なくなった母であり、
    ここに「死「と「生」があり、
    「かまど」が「ヘーゼルの木」が「豆」が
    二つの世界を仲介する。

    さらにはシンデレラが
    なぜ片方のガラスの靴を
    残していったのか、についての
    衝撃的な指摘が。

    なくした靴という決定的な細部に、
    死者の国(王子の王宮)へ行ったものの
    印であることが示される、という。

    脱ぎ捨てられた片方の靴、
    それは彼女に打ち込まれた
    死者の王国の刻印であり、
    それを求めて王宮から
    使者が使わされたのである。

    他界に行ったり、
    戻って来るものは
    動物、人間、あるいは
    両者の混ざり合ったもの
    ――歩行の不均衡という印をつけられる。

    つまりは。
    王子との結婚は
    「生」と「死」の仲介であり、
    決して現世的な幸福
    という読み方だけで
    推しはかれない深さがあった。

    「生」と「死」。
    この分かちがたいもの。
    その仲介、境界に出現するものたちと、
    そこから立ち現れる神話を通して、
    人々ははるかなる昔から両者のあり方を
    考え続けていたのだ。

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    2026年07月29日
  • アースダイバー 神社編

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    Geminiに薦められて読んだ。
    地元埼玉の県章としても馴染み深い勾玉(まがたま)の起源を、縄文・弥生時代の出雲から学ぶことができた。
    縄文・弥生時代の対照的とも言える違いを、勾玉を通して深められて嬉しい。歴史がひとつなぎになるような喜びを覚えた。
    その勾玉を現代のハローキティーに例える筆者のセンスにあっぱれ。

    ランナーとしては、走っている道の下に別の時間が流れているような感覚を今後得られるのは深みが出て嬉しい。どこにだって歴史があって今がある。東京という人工的な都市も、古代の地形や信仰のレイヤーの上に成り立っている。

    また、現代ではフィクショナルなものとして扱われている神話を、実地をもって集積した地形・気候・生態系のデータベースとして再定義していることも興味深い。
    科学とフィクションを二項対立させずに、神話という形式で別のロジックで世界を精密に読んでいた人たちと捉えることはより実態に則しているのではないかと思った。

    読む上での注意点が一点。本書では史実と考察の境目が明確に示されていないため、教科書的なものとして読まないことを推奨する。あくまでも趣味の読み物として捉えるととても面白い。

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    2026年02月23日
  • 精霊の王

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    よくわからないのに最後まで読んでしまった。
    不思議に面白い。
    もっと易しい言葉で書けないものですかね。

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    2025年06月13日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    知識は必要だと思った。
    知らないで死ぬより、知って死にたい。

    物事を知り、考える為には知っている事が必要だと思った。知らないこと程罪な事はないと思う。

    是非は何ともいいがたいが、大いに議論すべき内容だと思った。

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    2025年04月06日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    #講談社選書メチエ #中沢新一 #カイエソバージュ 愛と経済のロゴス


    純粋贈与という概念を加えた 贈与論の講義録


    贈与論から 経済学の価値増殖に展開し、贈与原理の無効化により資本主義が発生するとした


    富の増殖過程でなく、冨の源泉が「神や自然」から離れ、人間が支配する貨幣と商品の市場によることを批判する論調。「緑の資本論」の序論となっている


    純粋贈与は、2巻の「熊」と同様に 「神や自然」と同義だと思う。2巻3巻に共通しているのは、権力や富が神や自然から 人間の内側に移っていること

    著者のメッセージは
    人間が求めるべき「富」は、交換により生まれる貨幣でなく、贈与や純粋贈与から生まれる「霊力」「自然からの贈り物」「たましいの豊かさ」である、ということだと思う


    贈与の原理がなければ、人間と人間、人間と自然の間に「愛」の関係は生まれない


    贈与
    *贈り物が循環する円環をつくる
    *円環の上を贈り物と返礼が循環することによって、人間のつながりが発生する

    純粋贈与
    *贈与の円環を飛び出したところに現れる
    *モノを受け取ることを否定し、モノの物質性や個体性は、受け渡された瞬間に破壊されることを望む
    *贈ったことも、贈られたことも記憶されることを望んでいない〜いっさいの見返りを求めない
    *目に見えない力によってなされる


    資本主義は
    交換の原理によって贈与の原理を無効化させ、貨幣のもつ能力をフルに利用して、ありとあらゆるものを商品とした上で、労働力を使って、富の増殖を図ろうとしてきた









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    2025年03月11日
  • ジオサイコロジー 聖地の層構造とこころの古層

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    ジオ、サイコロジー
    心理学と地理学、人が生きてきた道を辿るとそこには宗教観や生きてきた人類学的なことが関わってくる。
    そういったことがよく分かる本でした。
    何かがすぐにこの本から得られるかということではなくて、人とはどういったものなのかな。ということを滲ませながら人は生きているということがわかる本なのかなと感じます。

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    2023年11月27日
  • 神の発明 カイエ・ソバージュ(4)

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    世界各地の土俗的習慣などから、所謂大麻などを利用してのトリップや瞑想などの行動から、人智を超えた次元を見るというか感じる事から、神というものが生み出されて行くという事でしょうか。
    初めての分野なので理解が及ばない所もあるが、興味深い話でした。

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    2023年08月19日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    中に含まれている神話や説明は面白いものの、自分がどこか騙されているような、無理やり引っ張られている感が否めず、流されて読んでいるだけではだめだ、考えなければ……と思わされる一冊だった。

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    2022年10月31日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    ネタバレ

    初期マルクスの「経哲草稿」には、愛に触れたこんな一節があるとは些か不意をつかれた感がした。
    「きみが愛することがあっても、それにこたえる愛をよび起すことがないならば、換言すればきみの愛が愛として、それにこたえる愛を生み出すことがないならば、きみが愛する人間としてのきみの生活表現によって、きみ自身を、愛された人間たらしめることがないならば、きみの愛は無力であり、一つの不幸なのである。」

    これはまさしく愛の互酬性、贈与としての愛の言説ではないか、と。自分自身を愛するのではなく、他者を愛することによって、かえって自分自身が愛される人間になるという、愛についてのこの謂いが格別特殊なものでもなく、ごく自明の言質というべきなのだが、マルクスの言というだけで、私が抱いてきたマルクスへの既視感を逸脱して、私にはかなり新鮮に映るのだから奇妙なことではある。

    本書で中沢は「資本論」に結実していくマルクスの思考は、その出発の時点では贈与論の思考をあらわに表に出しながら展開されていたものとし、マルクスは最後まで贈与論的な思考に支えられていたと想定したうえで、マルクスの思考の背景に流れる、愛の互酬性、贈与としての愛を読み解き、貨幣の交換原理に互酬と純粋贈与の贈与論を対置させ、すでにグローバル化してしまった資本主義社会に対抗し、これを突き抜けうる人間世界の理論を構築しようとする。

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    2022年08月21日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪の街の歴史を紐解く。古代海だった時代から考察が始まる。
    近ごろ歴史博物館に行くことが多く、奈良の歴史にロマンを感じていましたが、なんの居住地大阪もすごい。笑いと死の関係性から発達したお笑い文化なんてどこの街にもない観点が面白かった。

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    2022年07月17日
  • ポケモンの神話学 新版 ポケットの中の野生

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    ポケモンがなぜ特別なコンテンツなのか知りたくて本著を手に取った。人間が持っている本質的な感性や幼年期の心の働きに大きく関連しているということは理解できた。ただ一方で、「他のコンテンツと何が決定的に違うのか」は理解できず、消化不良な感じもした。きっとGBというインフラと言っても良いくらいの共通ツールを試用しているところや、キャラクターデザイン等が複合的に影響してのことだとは思うが、ではなぜ「他の類似コンテンツ」は現在のポケモンの地位に到達できなかったのか?ポケモンよりも他のゲームに「はまっていた」自分としてはその点を明示してもらうことを期待してしまった。

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    2022年03月03日
  • アースダイバー 神社編

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    アースダイバーや大阪編は既読。
    本書は、ちょっとアチコチ引っかかる処が多かった。

    ・弥生人を揚子江以南の苗族出身として、漢民族の支配から逃げたゾミアとしているけれど、遺伝子情報ではウラル海辺りの北方出自のはず。確かに稲作は揚子江以南から伝わったと聞くけれど。
    弥生人の到来と漢民族が支配を広げた時期も合わないのでは。
    ・太陽神が女神になったのは、持統天皇が古事記、日本書紀を作らせたから。それ以前は男性神アマテルだったのでは?
    ・日光感精説話を南方系の海洋民のものとしているけれど、これは北方騎馬民族の伝承じゃないの?
    ・金太郎は太陽神の子供としているけれど、山の神とヤマハハの子供でしょう。後の文章では太陽神と海の神、山の神が同一視されたとあるけれど、それは海洋族にとっての話だよね。
    ・九州から丹後半に至った磯部族が伊勢湾の磯部族に再会したことになるわけだけど、どうして同族と認識できたんだろうか。丹後で籠神社を祀ったのは、海部氏か和仁氏じゃなかったっけ。伊勢神宮の歴史を考えるとそうかなとは思うけれど、不思議に思う。
    ・尾張氏も磯部氏の出だという。纏向の元ヤマト政権にも尾張氏は参加しているよね。磯部の出って本当?

    そんなわけで、中沢氏のロマンに酔えない読書となりました。まあ、安曇氏の信州進出は面白かったかな。

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    2022年01月30日
  • 森のバロック

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    南方熊楠の事が知りたくて購入したけど、一冊目にしては少しハードルの高い内容だった。前書きにある通り伝記ではなく、その思想を掘り下げ後継していくことに主眼が当てられている。それを正確に理解しこれだけの書籍に仕上げる中沢さんも凄いと思うが、南方マンダラなる思想に辿りつき、この時代から広く俯瞰した視点をもっていた熊楠さんはとても先進的で異端だったのだと思う。

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    2021年05月01日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    世界のさまざまな地域や文化に伝わるシンデレラ物語のヴァリアントを紹介しながら、「人類最古の哲学」である神話的思考の世界にせまる本です。同時に著者は、神話と哲学、宗教とのつながりを解き明かそうと試みています。

    本書における著者の議論は、レヴィ=ストロースの「野生の思考」(pensee sauvage)に依拠しています。「野生の思考」とは、生のもの/腐ったもの、乾燥したもの/湿っているもの、熱いもの/冷たいものといった対立する感覚的事実を、論理を操作するための項として利用して組み立てられる思考のあり方を意味しており、著者はこのような発想にもとづいて、シンデレラ物語の中に生と死とを媒介する中間項の存在を追いかけていきます。

    ピュタゴラス派では、豆を食べることが禁止されていました。著者はその理由についての考察をめぐらせ、神話の論理のなかで豆は生と死とを仲介する両義的な存在だったことに着目します。ピュタゴラス派は、そうした両義的なものを排除することで神話的な思考を葬ろうとしたのではないかと著者は主張し、このことが神話的思考と哲学的思索の境界を確立することにつながったのではないかと論じられています。

    また最終章では、『リグ・ヴェーダ』に登場する「ソーマ」という神がベニテングタケを指すという説が紹介されています。著者は、幻覚作用をもたらすベニテングタケを用いた儀礼をおこなっていた神話的な世界が忘れ去られたために、「神」を観念的・抽象的に純化した新しい時代の「宗教」と呼ばれる営みが成立したのだと述べています。

    シンデレラ物語という親しみやすい題材が採られており、また比較的わかりやすいことばで説明がなされていますが、危うさを感じさせる議論を通じて、われわれの思考の臨界点に接近しようとする著者の議論に特有の魅力を十分にあじわえる内容です。

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    2020年02月20日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    尊敬する人のそのまた師匠がお勧めの書籍として挙げていたというので一気に通読。

    勝手に哲学書だと思っていたので、徹頭徹尾神話の読み解き方に終始し、その語り口調が親が子に聞かせるような平易な説明文章であることをずっと不思議に思っていたのだが、読み終えてから「はじめに」に目を通したところこれは大学の講義の書き起こしだとのこと!しかも学部2・3年向け。納得。

    本書は非常にわかりやすい「神話学入門」書であり、先に述べたように学部生向けに講義として組まれたものを書き起こしたものであるので、時にユーモアを交えながら興味深く神話を読み解ける大変親切なものになっている。

    神話に出てくるキーとなる単語をひとつひとつ拾って意味合いを掘り下げ、時代背景と文化を解説しつつ他国の同意味の物語との比較検証を丁寧に行っていくことにより、神話が伝えたかった哲学・メッセージに着地するロジックをとる。

    メインとして扱われている神話は「シンデレラ」。
    シャルル・ペロー版とグリム版は原文和訳を読んでおり、ペローのあまりに表層的なハッピーエンドっぷりに辟易し、グリム版のどぎつい目には目をっぷりに引いていたが、第6章「シンデレラに抗するシンデレラ」において、著者がミクマク・インディアン版シンデレラを用いつつ、その辟易した部分をズバリ指摘してくれたことが実に爽快だった。

    やっぱそうだよね、インディアンって最高だぜ。

    一章から読み進め、最後に序章→はじめに、と読む順番がなんとなくいいように思う。

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    2019年12月26日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    宮沢賢治は童話を書きつつも軍国主義者の思想に染まっていた。戦争を二度と起こさないぞという意思が結集して奇跡が起きた。これが日本国憲法だった。
    アメリカからも、実は憲法改正を求められている?
    軍を持つ覚悟はあるか?国民が殺されても覚悟は?
    時系列的に、網羅的にもっと憲法の歴史と考察が知りたいと思った。思想的な話が多かった。

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    2019年09月06日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪の地理を知らずあまり具体的な実感が湧かないのが残念ですが、前著の東京編に劣らず面白かった。東京より人の歴史が重層的で大阪は深いんだなぁと。

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    2019年05月21日
  • チベットのモーツァルト

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    仏教におけるチベット・タントリズムと、ポスト構造主義におけるドゥルーズ的な生成の思想をつなぐ、著者の知的冒険が展開されている本です。

    著者は、みずからの思索の軌跡を説明するにあたって、ヤキ・インディオの呪術師のもとで修行した体験を記述したC・カスタネダの議論を参照しています。カスタネダは学生時代、シュッツの現象学的社会学をラディカルに推し進めたガーフィンケルのエスノメソドロジーを学んでいました。エスノメソドロジーでは、この現実は相互主観的に構成されたとみなされることになります。彼らにとって社会学調査は、人びとが当然視していることを疑問に付し、そこに亀裂を入りこまる「現象学的苦行」の場だと考えられます。しかしカスタネダは、あらゆる常識に対して疑問の目を向けるエスノメソドロジーとは逆に、呪術師との対話のなかでみずからのよって立つ足場が疑問の淵に投げ入れられるという体験を記述しています。

    とはいえ、意識変容の体験を通して「現実」の根底にある無意識の領域にめざめたとカスタネダが語っていると理解するならば、それは誤りといわなければなりません。むしろ、そうした二元論を宙吊りにし「世界を止める」ことの会得がめざされていたというべきでしょう。幻覚体験は根源的な世界経験などではなく、そうした二元論を抜け出すための「戦術」だと理解される必要があります。

    そして、チベット・タントリズムにおいてもこれとおなじことがめざされていると著者は考えています。チベット・タントリズムの修行を通して著者自身が獲得した経験は、クリステヴァのことばを用いて説明するならば、フェノ=テクストとジェノ=テクストのたえざる往還運動が起こっている意味生成の「場所」(khora)へと身を開き、さらにはみずからの身体をそうした「場所」とすることだということができるでしょう。

    著者は、本書のなかで仏教の中観を論じつつ、「誰でもできる脱構築」ということばを使っています。そのことばの安易さには正直なところ同意できないのですが、仏教の「戦術」的な性格をそれなりにうまくいいあてているように思えることもじじつであるように思います。

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    2018年07月15日
  • 熊から王へ カイエ・ソバージュ(2)

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    (01)
    各章には,やや長めに神話や説話が引用されている.その多くに熊が登場する.また,その多くは,環太平洋の北半球地域で採集された話である.
    モンゴロイドなどの族の環太平洋北部の大陸間移動と,熊の生態学的な分布が重ねられ,そこに生まれた人類と獣の交流の物語(*02)に,あるべき普遍の倫理を読もうとする.自然,文化,文明をめぐり企図された倫理は,しかしながら,説得力を欠くようにも読まれた.
    旧石器から新石器へと技術(テクネー)が変化した際に,象徴操作や流動的知性というアビリティが備わったと,著者はいう.ニューロン組織の進化があったとする.脳科学的にこの理解が正しいのか検証されているのかは分からないが,留保も必要な議論のように感じた.

    (02)
    インディアンやエスキモーが語る個別の神話や続けられてきた儀式の細部は,楽しい.著者による一次的な解説は,うなずける点も多い.種族のルーツ,動物との婚姻譚,自然と文化の間の贈与,鉄などの武器の聖性,季節と学年制度の関係など,示唆的である.

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    2018年06月12日