あらすじ
子どもたちの「野生の思考」は、電子ゲームの世界にこそ息づいている――。大ヒット作「ポケットモンスター」の分析により、現代人の無意識と野生に迫ったゲーム批評の金字塔。新たな序文とともに新装復刊。
※本書は、2004年に新潮文庫として刊行された『ポケットの中の野生 ポケモンと子ども』を改題のうえ加筆修正し、新たな序文を収録したものが底本です。
また、電子書籍化にあたり、許諾等の理由からイラストの一部を掲載しておりません。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「かつて虫取少年だったぼくたちから、現代の虫取少年へのメッセージ」
小学校の3、4年の頃だっただろうか、今では記憶も定かではないが、私はドラクエ5にハマっていた。
初めて触れたRPGであったことは憶えている。
それ以上に私を魅了したのは、「敵モンスターを仲間にして共に戦うことが出来る」というシステムだった。全てを失いヘンリーと共に旅に出てから、モンスター達は頼りになる仲間として心の支えになってくれた。強烈な個性と多様な「とくぎ」で最後まで一緒に戦ってくれた。
ドラクエ5をクリアして喪失感を抱きながらどれくらいの月日が流れただろうか。そんな矢先、私はポケモンに出会った。
私が夢中になったモンスターを仲間にして冒険をする、というシステムをメインに据えたゲームに当然のように没入したのは今でも鮮烈に憶えている。
本書は、レヴィストロースなどの構造主義人類学の観点からポケモンが現在のような巨大コンテンツになった理由を考察している。前半インベーダーゲームとエロスとタナトスとの関連はドラマチックに大きな気づきを与えてくれた。
後半の解説を読んでいくと、他の類似コンテンツはなぜポケモンになり得なかったのかがおぼろげながら見えてくる。
構造主義らしい難解な文章はわかりやすいテーマからは想像しにくいが、本気でポケモンを考察した骨太な一冊。
Posted by ブクログ
ポケモンがなぜ特別なコンテンツなのか知りたくて本著を手に取った。人間が持っている本質的な感性や幼年期の心の働きに大きく関連しているということは理解できた。ただ一方で、「他のコンテンツと何が決定的に違うのか」は理解できず、消化不良な感じもした。きっとGBというインフラと言っても良いくらいの共通ツールを試用しているところや、キャラクターデザイン等が複合的に影響してのことだとは思うが、ではなぜ「他の類似コンテンツ」は現在のポケモンの地位に到達できなかったのか?ポケモンよりも他のゲームに「はまっていた」自分としてはその点を明示してもらうことを期待してしまった。
Posted by ブクログ
中沢新一といえば中学校くらいで虹の理論を読んで
こういうモノを書いて見たいと思わせつつも、
あまりにも胡散臭すぎて直視するのが恥ずかしいそんな作家であった。
今回もポケモンの神話学ということで
胡散臭さは満載ではありますが、
率直に言って氏がポケモンを満喫しているのがよく分かってわりとなごむ。
おおむねフロイトの話で目新しさはないものの、
ゲームとデータで構築された世界に文化としての意味を与えたのは
ひとつの道しるべとして評価できるかもしれない。
消費される対象というだけではなく、
生産される場としてインベーダーゲームから辿っていくのは、
いかにもアカデミズムの手つきだが、
この人は根が山師だからまぁ、いいんではないか。