中沢新一のレビュー一覧

  • チベットのモーツァルト

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    本書のキーワードを一つあげるなら「間(あわい)」ということになろうか。存在と非存在の間。男と女の間。発話と沈黙の間。意味形成性の間。──その微妙なあわい、空性をすり抜けて、意識の自然、大いなる歓び、大楽に辿り着かん。……こうして無理矢理要約するとまるで妖しげなカルト宗教書のようだが、本書はジュリア・クリステヴァを軸にポスト構造主義思想とタントラ密教の教えを互いが互いの添え木となるようパラレルに展開しながら、現代社会が繰り出す足枷をすり抜けて真に自由に今を生きる知恵を提示しようと試みる。浅田彰が『構造と力』や『逃走論』で「クラインの壺型社会」からの「スキゾフレニックな」「逃走」という極めて抽象的

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    2010年06月03日
  • 虹の理論

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    本書は、切り出すことが困難である。なぜならそれは、脳の連合野だからである。視覚や聴覚に関する一時の感覚中枢や、身体運動を起こさせる一次の運動中枢なら、切り出せといわれれば、私にだって切り出せないことはなかろう。しかし、連合野は、そうした特定の具体的機能を示す中枢を切り出した「後に残る」部分として、定義されるものである。文句をいうわけではないが、切り出しにくいこと、おびただしい。

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    2010年04月03日
  • 森のバロック

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    南方熊楠の思想についての本。
    本草学と夢の思考と野生の思考は多様な領域をアナロジー
    分類の博物学からシステムとしてのオートポエーシスへ
    森のエコロジーは公楽論理の原神道マンダラ郷土
    ニルヴァーナと幽霊と高次元と粘菌

    中沢新一の本のなかでは一番読み応えがあった。一人の人間についてここまで粘っこく書いているのは他にない。それだけ南方熊楠は捕まえきるのが困難な多様な存在だったのだろう。こんな人間がいたことにわくわくしてしまった。中沢新一の以後の対称性人類学に繋がる一冊。

    粘菌は動物でも植物でもなく、性別も持たず、生と死も曖昧な存在。

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    2010年03月22日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    本当の豊かさとは? 資本増殖の秘密とは? 貨幣と魔術、愛と資本主義。全体性の運動としての経済と精神の構造は同一。資本主義の彼方に出現する「未知の贈与論」を探究する。

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    2010年01月10日
  • 対称性人類学 カイエ・ソバージュ(5)

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    これは、かなりすごい本だった。
    この本を読むと、何故、神話や夢というのは、冷静な思考からしてみたら不可思議な形をとって表現されることが多いのかということが、とてもよくわかる。
    もう、世界の見え方がすっかり変わってしまうぐらいに衝撃的な内容が、当たり前のように整然とまとめられた上で、語られている。

    アリストテレス式の論理学や、コンピュータの演算では、「人間である」と「ヤギである」は同時には満たされることはない。それが、あらゆる論証をおこなう上での、大前提であり決まり事であるけれども、神話の論理というのは、その点を完全に無視して、「AでありBである」を矛盾なく受け入れる。同じ場所に、複数のものが

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    2020年07月15日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    構造主義的神話論。メインはシンデレラ伝説。確かに面白いんだけど、ちょっと読み易過ぎかな。。。もうちょっと歯応えがあっても良いような気がする。入門書としてはお勧め。

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    2009年10月04日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    中沢新一さんのシリーズ第三段。今回は経済について。三位一体モデルと同じ構造をしている経済のシステム。そしてそれは…

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    2009年10月04日
  • 対称性人類学 カイエ・ソバージュ(5)

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    全5巻の最終巻。「人間/自然」「精神/肉体」「理性/感情」のような二項対立的思考の機能不全ぶりを突く。
    「至高性」は「彼岸」にあるのではない。わたしたちは常にそれにアクセスしている。

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    2009年10月04日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    人類的分布をみるシンデレラ物語分析がなんとも興味深い。全てを疑い穿りかえす思想家だの宗教学者だの文化人類学者だのがいてくれるから、世の中は面白いのだと気付かされるのだ。

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    2009年10月04日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    シリーズもあと2作で完結。相変わらず面白かったけど、頭が悪くてなんとなくの雰囲気しかわからない。
    しょせん私は文科系。

    でも、「贈り物」とは奥が深〜い、というのだけは良くわかりました。

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    2009年10月07日
  • チベットのモーツァルト

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    すごーくおもしろい
    でもすごーくむつかしい
    社会学(?)の用語が満載で呪文のよう。
    日本語で書いてあるはずなのに
    ああもっと勉強しておけば良かった、、、

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    2009年10月07日
  • 対称性人類学 カイエ・ソバージュ(5)

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    圧倒的非対称が支配するこの世界で、対称性が支配する神話や古代宗教について考えることは、とても有意義なことです。

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    2009年10月04日
  • 精霊の王

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    よくわからないのに最後まで読んでしまった。
    不思議に面白い。
    もっと易しい言葉で書けないものですかね。

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    2025年06月13日
  • 憲法九条を世界遺産に

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    知識は必要だと思った。
    知らないで死ぬより、知って死にたい。

    物事を知り、考える為には知っている事が必要だと思った。知らないこと程罪な事はないと思う。

    是非は何ともいいがたいが、大いに議論すべき内容だと思った。

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    2025年04月06日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    #講談社選書メチエ #中沢新一 #カイエソバージュ 愛と経済のロゴス


    純粋贈与という概念を加えた 贈与論の講義録


    贈与論から 経済学の価値増殖に展開し、贈与原理の無効化により資本主義が発生するとした


    富の増殖過程でなく、冨の源泉が「神や自然」から離れ、人間が支配する貨幣と商品の市場によることを批判する論調。「緑の資本論」の序論となっている


    純粋贈与は、2巻の「熊」と同様に 「神や自然」と同義だと思う。2巻3巻に共通しているのは、権力や富が神や自然から 人間の内側に移っていること

    著者のメッセージは
    人間が求めるべき「富」は、交換により生まれる貨幣でなく、贈与や純粋贈与から生

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    2025年03月11日
  • ジオサイコロジー 聖地の層構造とこころの古層

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    ジオ、サイコロジー
    心理学と地理学、人が生きてきた道を辿るとそこには宗教観や生きてきた人類学的なことが関わってくる。
    そういったことがよく分かる本でした。
    何かがすぐにこの本から得られるかということではなくて、人とはどういったものなのかな。ということを滲ませながら人は生きているということがわかる本なのかなと感じます。

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    2023年11月27日
  • 神の発明 カイエ・ソバージュ(4)

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    世界各地の土俗的習慣などから、所謂大麻などを利用してのトリップや瞑想などの行動から、人智を超えた次元を見るというか感じる事から、神というものが生み出されて行くという事でしょうか。
    初めての分野なので理解が及ばない所もあるが、興味深い話でした。

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    2023年08月19日
  • 人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1)

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    中に含まれている神話や説明は面白いものの、自分がどこか騙されているような、無理やり引っ張られている感が否めず、流されて読んでいるだけではだめだ、考えなければ……と思わされる一冊だった。

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    2022年10月31日
  • 愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュ(3)

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    ネタバレ

    初期マルクスの「経哲草稿」には、愛に触れたこんな一節があるとは些か不意をつかれた感がした。
    「きみが愛することがあっても、それにこたえる愛をよび起すことがないならば、換言すればきみの愛が愛として、それにこたえる愛を生み出すことがないならば、きみが愛する人間としてのきみの生活表現によって、きみ自身を、愛された人間たらしめることがないならば、きみの愛は無力であり、一つの不幸なのである。」

    これはまさしく愛の互酬性、贈与としての愛の言説ではないか、と。自分自身を愛するのではなく、他者を愛することによって、かえって自分自身が愛される人間になるという、愛についてのこの謂いが格別特殊なものでもなく、ごく

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    2022年08月21日
  • 大阪アースダイバー

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    大阪の街の歴史を紐解く。古代海だった時代から考察が始まる。
    近ごろ歴史博物館に行くことが多く、奈良の歴史にロマンを感じていましたが、なんの居住地大阪もすごい。笑いと死の関係性から発達したお笑い文化なんてどこの街にもない観点が面白かった。

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    2022年07月17日