小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ時は2025年。砂漠・海底・高山・南極・・・過酷な環境下での建設を得意とする日本企業御鳥羽総合建設に新しい仕事が依頼された。桃園寺グループのエデン・レジャーエンターテイメント(ELE)社が要求してきたのは、なんと月面基地の建造だった。
しかし建築資材を月に打ち上げるには想像以上の費用かかる。その額およそ一兆二千億円。莫大な輸送費のコストを下げるためには、天竜ギャラクシートランス社が極秘で開発中の新型ロケットエンジン、トロフィーが必要不可欠だ。日本企業三社による予算一千五百億円、工期十年の巨大プロジェクトが始まった。
御鳥羽総合建設を育て上げた社長御鳥羽拓道、熱意溢れる若手社員青峰走也、天竜ギャラクシートランス社を創設した野心家八重波竜一、トロフィーエンジンの生みの親である泰信司、ELE社の特別監査員保泉玲花、中国の月面基地滞在隊員達。多くの人間とNASAや世界までもを巻き込んだ第六大陸プロジェクト。その中心にいたのは、桃園寺グループ会長の孫娘、桃園寺妙、プロジェクト開始当時十三歳の少女だった。
月面基地建設のためのステップ―調査・設計・開発・輸送・施工―が緻密に進められていく描写は、近未来SFというよりまるでヒューマンドラマのドキュメンタリーを見ているよう。資金調達、妨害工作、デブリ、事故、世論など次々に表面化する問題を乗り越えて、第六大陸が完成に近づく工程には目が離せない。国家の宇宙開発機関ではなく、日本の民間企業に月面基地の建設を行わせることによって、人類の月進出・開拓の夢を別の切り口から魅せてくれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ数々の困難を乗り越え、月面基地は完成に近づく。
『第六大陸』は日本企業による月面開発の苦労話に終わっていない。月の地中からは謎の金属繊維質が発見されるし、怪電波が検出されたりもする。そしてラストでは、地球外知的生命体による巨大建築物が月面に現れ、その施工者が月に向かってきていることが明らかになる。
地球外生命体の存在がなければ、大風呂敷を広げるわけでもなく、SFとしてはまとまりすぎた小説になってしまっただろう。だがそれだけでも十分通用するリアリティが『第六大陸』にはあったと思う。残念ながらちょっとドキュメンタリーの人間臭さと、突如現れるスターロードの異質さとのバランスが取れてない気がする。第六大陸建設の描写には力を入れたのに、未知の施工者に関してはその実態を暴くことを放棄してしまっているような。