小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ファーストコンタクトを描いた短編集。SFというよりはラノベっぽい。
「都市彗星のサエ」:小彗星を脱出したいワンパク少女が、同じ願望を持つクールな少年と出会う冒険活劇。テンポが良くて分かりやすい。
「グラスハートが割れないように」:小型の癒しアイテムであるグラスハート。体に抱いて祈るとおなかが空かないという、いかにも胡散臭いが、その正体は...
こういうアイテム実在しそうだな。
「静寂に満ちていく潮」:電気的な感覚信号をネットワーク共有することによる多感覚的性交の話。おかしな言葉遣いをする異星人が出て来てドタバタと交わる様は筒井康隆先生の小説っぽい。
「占職術師の希望」:腕を振る様子から -
Posted by ブクログ
なんだかまた続きがありそうな感じ。楽しく読んだけど、ぶっ刺さりはしなかったのと、価値観がひっくり返る感じは1巻の方が良かったかも知れない。
勿論舞台からして徹底的にSFではあるんだけど、今回特に「サイエンス・フィクション」っぽかったのは、あるベッシュを捕まえるところ。彼らの生態を解き明かすところは、エンタメしてるのに科学的な謎解きで良かったな。それだけじゃなくて、この辺りまであんまり良いところなしだったけど、ようやく本領発揮というか、自由な発想過ぎて余人に御しきれず軽視されがちなテラが、それに合わせられるだけのダイオードと組んで目を見張るような成果を上げる、というような、この作品の基本的な -
Posted by ブクログ
改変歴史SFに特化した短編集。テーマが一貫しているので、SFアンソロジーの中でも読みやすい部類かと思います。
中でも印象的なのは、伴名練さんの「20001周目のジャンヌ」。様々な思惑のもとジャンヌダルクの火炙りをシュミレート上で繰り返すという酷い話なのですが、結果としてシュミレーション上の歴史改変に止まらず、実際の歴史にも影響を及ぼすという流れがとても興味深かったです。ラストの展開も綺麗で、印象的な作品でした。
異常論文に掲載された「解説──最後のレナディアン語通訳」もそうでしたが、こういった作風も描けるところが伴名練さんの大きな魅力ですね。他作品も素晴らしかったですが、この作品を読めただ