小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あらすじにもある通り、全五篇の短編集。
「フリーランチの時代」は地球外生命体の手によって、人類が不老不死を取得する話。「Live me,ME」は事故で脳死一歩手前までいった少女が機械に自分を移す話。「SlowLife in Starship」は個人用宇宙船乗りの話。「千歳の坂も」は医療の飛躍的な進歩で寿命がなくなった世界の話。「アルワラの潮の音」は時砂の王からのスピンオフ。
内容は異なりますが、すべて不老もしくは不死を様々なテーマとアプローチによって描いています。
個人的に一番面白かったのが「アルワラの潮の音」。
作者らしい話だと感じたのは「SlowLife in Starship」。無機質 -
Posted by ブクログ
良くも悪くもまさにSF小説。
こんな設定を良く考え付くなーと思いつつ、なんというか、この本全体に対してある感情を抱く。
それは、人間はあくまで「容器」に過ぎない、という点。
幸か不幸か、この作品に登場する主人公たちは、ある事故的なものにより、人間以外への存在へと姿を変えていく。
その共通する姿とは、肉体的な死から逃れた形となっている。
食べ物をとらないと動けない、病気もする、大きな怪我をすれば死んでしまう。
そして未来が不定である以上、これらは常に付きまとう問題である。
(もちろん、それあるゆえに人はその日その日を生きていこうとする、という解釈もあるのだが)
思うに、作者はこの問題こそが -
Posted by ブクログ
ネタバレ小川一水、初の短編集。
四篇ともどれも趣きが異なっていて飽きが来ない。
ギャルナフカの迷宮
反社会的な政治犯として一枚の地図とともに地下迷宮に落とされた元教師テーオ。地下には人数分の水場ときのこみたいなものが生える餌場しかない。生き残るために水場と餌場の記されている地図の奪い合いが起こり、人々は疑心暗鬼になっていた。一部の人間は、食べ物を求める欲望を抑えきれずに、野蛮な生肉食いと化していた。テーオはこの無秩序な迷宮に、文明的な社会を作ることを決意した。
閉鎖された厳しい環境下での生への渇望がナマナマしくてエグい。嫌いじゃないけど。
老ヴォールの惑星
巨大な海の惑星。その表面に生きる知