【感想・ネタバレ】第六大陸1のレビュー

あらすじ

西暦2025年。極限環境下での建設事業を得意とする御鳥羽総合建設は、巨大レジャー企業から新たな計画を受注した。工期は十年、予算一千五百億円、そして、建設地は月――。機動建設部の青峰は月面の中国基地へ現場調査に赴くが、そこは想像を絶する苛酷な環境だった。月面開発計画「第六大陸」全二巻着工!

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Posted by ブクログ

近未来の月開発をテーマにした、小川氏の得意とする技術系SFとなっており、タイトルは、月を5大陸に続く(南極大陸に代わる)第6の大陸と位置づけたものだそうです。

おそらく多大な事前研究を経て描かれた舞台設定なのでしょう。

本当に実現するのではないかと思えるほどリアルなプロジェクトストーリーとなっています。

ある施設を月面に建設するという計画を立てた少女を中心に、主人公を含め様々な職業に従事する者たちが、計画の実現に向けて奮起し、数々の困難に対処してゆく。
予算は1500億円――果たして月世界に最初のその施設は建設されるのか?

本書を通して思ったことは、ただ空想で書くのではなく、実際に足を方々へ運んで、インタビュー等を重ねて出来上がっているからこそ、現実味を帯びてくるということです。

これは私たちのビジョンであってもそうです。

ただ思い描くだけでなく、今できることを一歩ずつ取り組んでいくからこそ現実味を帯びて、結果的には遠くまで行けるのだと思います。

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2019年04月24日

Posted by ブクログ

こんな面白い本を書く人がいたなんて知らなかった(実は既に「天冥の標Ⅰ」を購入済みだった-未読なり(^^ゞ
分野としてはクラークの「楽園の泉」の系統。

近未来2025年資源の枯渇から世界が平和主義に舵をとり、経済的には元気を取り戻した日本のゼネコン、御鳥羽総合建設と国産ロケットの夢にこだわって民間のロケット打ち上げ会社を営む天竜ギャラクシートランス社が中部地方にあるレジャーランドを核にアミューズメント産業に取り組むエデン・レジャーエンターテイメント社の依頼により、月面に結婚式場を建設する事業に取り組む話。

と書くとなにやら奇想天外な話に聞こえるが、現在に技術の発展系で実際にそんなことが可能ではないかと思わせる話である。

既に、月面に人類が降り立ち、地球の軌道上では宇宙ステーションでの長期滞在も果たし、月までロケットを飛ばそうという時代である。世界中が紛争をやめて一丸となれば月面基地の建設はおそらく今現在でも可能ではなかろうか。
本書の中で著者はかなり綿密なリサーチで実現の可能性を語っている。もちろん今すぐ実現が可能というわけにはいかないので「お金や重さの数字の桁をいじってありますが」と本巻のあとがきで著者自体が暴露はしているのである。また、「トロフィーエンジン」という便利な発明が出てきてこちらも「楽園の泉」と同じパターン。

技術的な考察とアイデアに加え、ストーリーが面白いのです。先ずは真のクライアントが桃園寺妙という物語が始まるときには13歳の少女。一大コンチェルンの一人娘で天才少女、それが故に友達になってくれる人がいない(と本人は思っている)さらに母の死をめぐっての父親との確執そんなゴールデンタイムのドラマみたいな動機が元になっているプロジェクト。総予算一千五百億円、期間十年で月面に作るのが結婚式場である。そんな話を2巻の長編に膨らませるのであるから著者の実力や如何であります。

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2015年01月25日

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ーーー西暦2025年。サハラ、南極、ヒマラヤ、極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽総合建設は、新たな計画を受注した。依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算1500億、そして建設地は月……。
月面の中国基地へ、現地調査に赴いた機動建設部の青峰が目にしたのは、想像を絶する苛酷な環境だった―民間企業による月面開発計画「第六大陸」全2巻着工!


裏表紙を読んだ瞬間レジに並んでいた、小川一水の長編

しっかりと踏みしめられる物語の設定から、重力6分の1のSFの空へと飛び立つ過程がきちんと描かれていて好印象。

「月に行って商業施設をつくる」
SF作品としては、ともすれば控えめにも思える目標。
それに伴う様々な課題がシビアにシミュレートされ、なおかつ夢を見させてくれるSFの楽しさと絶妙にバランスをとっている。

強いて欠点をあげるとすれば、後半〜終盤のイングーの登場が少し唐突に思えたぐらいか。

立ち塞がる壁を次々クリアする、経済小説的な側面もあるように思った。


「飛べ。速く、高く。」

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2013年01月13日

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著者の作品の最初に読んだ作品。
月面開発「プロジェクトX」をよりエンタテイメントな感じにした作品で、
とても面白かった。

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2012年02月06日

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全2巻。
月に行けます――
月に基地を「建てる」小説です。文字通り、建設予定地の下見から、資材の運搬から、コンクリートの製造やら電力の確保やらも含めて全部、 建設業者とロケット業者とテーマパーク会社がやります。極めてシビア。でもすごくわくわくする。それにやっぱり日本人が活躍するのが嬉しいじゃないか。たぶん現実はこんなに甘くない。でも目指す方向はこうでありたい。宇宙に生まれ、曲がりなりにも知性を備えた生命として。

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2010年11月12日

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これぞSF。細かい用語はちょっとわからなかったが、すごく面白かった。キャラ設定がラノベ臭い所を除けば文句なし。最高。

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2012年01月09日

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飛躍のない科学技術に基づいて書かれた近未来SF小説。優れた宇宙開発についての考察、未来技術の描写が現実感を増している。宇宙開発に携わる技術者のみならず、多くの人に読んでもらいたい作品である。夢のある未来が、力を与える。

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2009年10月04日

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時代設定は西暦2035年。現在よりもやや進んだ科学力の設定が巧みで、まずそこに興味をそそられる。後半、第六大陸の意味が明かされていく下りでは、まさに第六大陸ですなぁと、大いに納得してしまった。

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2009年10月04日

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小説版プロジェクトX、といった感じ。月に結婚式場を造るというプロジェクトは果たして成功するのか?
 とても読みやすい文章で、サクサク読めます。

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2009年10月04日

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小川一水作品に最近はまっています。一番好きなのはこれ。プロジェクトXのような達成感と前向きさがステキです。

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2009年10月04日

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日本の重工業メーカーが月面基地を作るお話。
今でもある技術をベースに描いているので突飛な話にはなっていない。技術者にお薦め。

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2009年10月04日

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ネタバレ

日本の民間企業が大富豪の資金援助の下で月面基地を開発する「第六大陸」。ロマンがあるねぇ。
スポンサーとなるのは大富豪の娘さん。基地をつくる目的がなかなか明かされないが、結婚式場とはニヤリ。巻末でさらなる目論見がほのめかされかれて、そして動き出すあの大国...
第一巻は建設着工までが描かれていて、土木やら建設やら泥臭い現場仕事に光が当たっているのがなんだか嬉しい。

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2023年05月15日

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第六大陸1、2
理系の娘に薦められて読んだ。SFは大昔に読んだブラッドベリ以来か……?
月に進出するという夢物語が、そのための経費の捻出や、技術開発、政治的駆け引き、マスコミの騒ぎっぷりなどの描写で、リアリティーあるストーリーになっていると思う。
これを機会に、他のSFも読んでみようかという気になる
ただ、2の最後の方は、むしろファンタジーのようだ。

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2012年09月11日

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人類が月面にその第一歩を印したのが69年の夏。不鮮明な画像の中を飛び跳ねる様に動いていたアポロ11号乗組員のことは今も鮮明に覚えている。その時、次は火星だと誰もが信じていた。しかし72年を最後に月面に立った者は居ず、有人火星探査の夢もほぼ潰えた。これは技術的問題ではなく巨額の投資に見合う目的を見出せないからである。本作は、ある種の月面建築物を日本の民間企業が請負い、幾多の困難を一歩一歩克服していく様子がリアルに描かれる。工期10年との絡みもあるのであろうが天才中学生がヒロインという点にやや違和感を覚える。

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2012年02月12日

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月に民間の会社が商業施設を建てる、近未来が舞台のハードSF小説。
わかりやすいくハラハラさせられる演出で、山あり谷ありで飽きません。
ハードSFならではの科学的根拠なども、しつこくない程度で良かったです。
ちょっとプロジェクトXの雰囲気があります。

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2011年09月07日

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この作者の作品を読むのはこの作品で2作目です。

月に人類が足を踏み入れたのは確かに自分が生まれる以前のことになります。
が21世紀はどんな未来?と言うフレーズで必ず描かれていた宇宙空間における人間の生活はまだ達成されてないですね。そう言われてみれば。

星新一さんのショートショートに自分の好きな短編があるのですがそれを思い出しました。
その短編は宇宙に出かけていった地球人が地球と同じような知的生命体を持つ惑星に到着し、その高度な文明に驚くと共になぜこれほどの文明を持ちながら宇宙へと進出しなかったのですか?と問うのです。するとその星の人は自分たちは自分たちの住む星の環境を整備することに忙しくて(砂漠化をなくしたり、飢餓を救ったり)宇宙に出る余裕が無かった。あなたたち(地球人)はそれだけの余裕のある星なのですね、と答えるというお話。

個人的には宇宙科学物、大好きです!死ぬまでに一度位大気圏を突破してみたいかな~とかも思いますが別に地上にへばりついたままでもまぁいいかなとも思ってます。(どっちやねん)

作品自体はとても面白かった。確かに人類の科学技術を持ってすれば後一歩のところに来ているのかも知れない。その前に地球環境のインフラを整えなくてはね~。作中少し触れられていた選挙区の廃止と地域の癒着廃止、あと土木工事の根本からの改革は大賛成です。早く実現すればいいのに。(笑)

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2011年07月19日

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一見して非現実とも思える話だけど、現実味のある内容とそれに挑む人々の姿がなかなか面白い。この手の話が好きな人にはたまらないかも。続きが楽しみ。

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2011年04月14日

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未来が見えない…携帯やインターネット、ロボット開発など科学技術の革新は日々進んでいるのに、我々はその先にある未来のあり方を捉えている訳ではない。(鈴木力さんのあとがきを参考にさせてもらっています)そんな私達にひとつの道を示す小説です。
民間企業が、月面開発して第六大陸という施設を作る途方もない目標に向かう話です。主人公たちが、経済、政治、宗教、国家などあらゆる困難を乗り越えていく過程に強く惹かれます。
さすが小川一水さんだけあって、綿密な取材による裏付も上手く織り込んでいるので、科学技術小説としても一級品です。かと言って
カチンコチンのハードSFではないところも好感が持てます。
とにかく、人間は目的があってこそパワーを発揮する生き物だと痛感。何の目標も示せない今の政治家や官僚に文句を言うばかりではなく、自分で目標を作って努力しようと!という気持ちにさせられる作品でした。

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2011年04月11日

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55年間の停滞を脱し、月面を目指し、そこに建造物を建てる企て。
しかも、国家プロジェクトではなく、私企業としての試み。
そんな道具立てで描かれる群像劇。
個性豊かな登場人物達が魅力的。
特に、企業のトップに立つおっさんたちがかっこいい!
ヒロインがやや魅力に欠けていたのが残念。

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2011年01月24日

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「第六大陸(1)(2)」小川一水
宇宙もの近未来SF。ハヤカワ(JA)文庫。メタリック。

非常に綿密な裏付けと情報量にややとっつきにくさはあるものの、斬新かつ身近な物語として読めるSF。適度に壮大で適度にリアリティがある内容が好印象。
いやあ、とにかくこの人は理系だろうなぁ。とても硬質なストーリーです。良い意味で。

人類は自らが進化するより早く、自分達の生きている環境を変化させることによって生きながらえてきた生き物、なんだそうです。どこかでみたことの受け売りなんですが。
そのフロンティア精神に支えられて過酷な月面環境に挑む日本の技術者達と、彼らの中心にいる天才少女の奔走が読ませどころ。
この作品、作者は現代の宇宙開発技術が「ちょっと背を伸ばせば届く物語」と書いています。その絶妙なバランスが読者の心をくすぐるのでしょう。

実は本作、僕が所属している研究室の先生に教えてもらった作品なんです。宇宙物理の助教授ですよ。だから多分プロの視点からみてもなかなか面白いSFなんだと思います。
宇宙開発好きにはおすすめ。ちなみにカバーは「プラネテス」の幸村さんです。(4)

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

建設会社が月面開発と、それだけ聞くとかなり突飛な内容。
でも読んでみるとしっかり考えられた設定でなるほどなーという感じ。

ちょっとヒロインのキャラクターが安易すぎる設定な気はするけど、面白かった。

月面試料採集のシーンでちょっとハヤブサ思い出した・・。

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2010年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時は2025年。砂漠・海底・高山・南極・・・過酷な環境下での建設を得意とする日本企業御鳥羽総合建設に新しい仕事が依頼された。桃園寺グループのエデン・レジャーエンターテイメント(ELE)社が要求してきたのは、なんと月面基地の建造だった。

しかし建築資材を月に打ち上げるには想像以上の費用かかる。その額およそ一兆二千億円。莫大な輸送費のコストを下げるためには、天竜ギャラクシートランス社が極秘で開発中の新型ロケットエンジン、トロフィーが必要不可欠だ。日本企業三社による予算一千五百億円、工期十年の巨大プロジェクトが始まった。

御鳥羽総合建設を育て上げた社長御鳥羽拓道、熱意溢れる若手社員青峰走也、天竜ギャラクシートランス社を創設した野心家八重波竜一、トロフィーエンジンの生みの親である泰信司、ELE社の特別監査員保泉玲花、中国の月面基地滞在隊員達。多くの人間とNASAや世界までもを巻き込んだ第六大陸プロジェクト。その中心にいたのは、桃園寺グループ会長の孫娘、桃園寺妙、プロジェクト開始当時十三歳の少女だった。


月面基地建設のためのステップ―調査・設計・開発・輸送・施工―が緻密に進められていく描写は、近未来SFというよりまるでヒューマンドラマのドキュメンタリーを見ているよう。資金調達、妨害工作、デブリ、事故、世論など次々に表面化する問題を乗り越えて、第六大陸が完成に近づく工程には目が離せない。国家の宇宙開発機関ではなく、日本の民間企業に月面基地の建設を行わせることによって、人類の月進出・開拓の夢を別の切り口から魅せてくれる。

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2023年03月08日

Posted by ブクログ

苦手なSF部はナナメ読み(^_^;)

泰と妙のエピソードは泣きそうだった。

小川一水、やっぱり好き。

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2014年01月01日

Posted by ブクログ

月に結婚式場を作るという、ちょっとバカバカしい話ではありますが、その過程は結構リアリティがあって、宇宙開発ものが好きな人には受けるかなあと思いました。個人的にはあまり面白いとは思いませんでした。

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2013年12月12日

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 “国際社会の流れは、協調と融和に向かっている。世紀初頭に中東で巻き起こった、アメリカとイスラム諸国の戦争も、時の合衆国大統領が世論に押されて無様な退陣劇を演じたことで、沈静化した。以来、むやみと軍事力を行使する国は、世界中から白い目で見られるようになった。いかに南沙の原油がほしいといっても、そのために戦争を起こすのは割に合わない。
 これまでの遺恨はそれぞれ我慢して、なんとか平和協力の道を探ろうという合意がなされた。五ヵ国合弁の南沙開発公社が発足し、暗中模索の末に考え出されたのが、まず資源利用とは関係のない施設を南沙に建設し、戦争を抑止するシンボルにしようという案だった。”(p.26-27)

冒頭で説明されるこの世界の超近未来が、現実と余りにかけ離れていて悲しくなった。2003年の時点では、こういう夢を描くことがまだ可能だったのに、世界は真逆の方向に進んでいる。

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2013年07月16日

Posted by ブクログ

極限環境下での建設工事を専門に請け負う会社が主体の月面開拓物語。月面基地を作る時は結局はどこかの国の天才とか、大金持ちがバックアップして民間が主体にならないと国主体ではダメなのかもしれないなぁとか思ったり…

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2013年05月23日

Posted by ブクログ

すごくいい!
走也くんと妙ちゃんの関係も素敵だし、月に行くというありきたりかもしれない設定でも夢に溢れてる(*´▽`*)

続きを楽しみにしてます!

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2013年05月10日

Posted by ブクログ

近未来の日本の割に設定がファンタジックだが、現代の我々に近い会社員の立場の視点から描いた壮大な宇宙開発ということで興味のひきたつ内容だと思う。

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2011年07月27日

Posted by ブクログ

題材はとても面白いと思う。タイトルも秀逸。
ちょっと説明が長いわりにトラブルがあっさり解決してしまう印象なのがマイナス。
もっとドタバタじたばたさせてよかった。
あとヒロインの妙にそれほど魅力を感じなかったのもなあ。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

これはいいローファンタジー.
地続きのSFっていうのかなあ.
着想は突飛かもしれないけれど,そこに向かって現実から一歩ずつ組み立ててるから,違和感がない.

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2009年10月04日

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