【感想・ネタバレ】フリーランチの時代のレビュー

あらすじ

〈さあ、僕たちの幼年期の終りがやってきた! 『老ヴォールの惑星』に続く傑作短篇集〉火星基地でのあっけないファーストコンタクトから、宇宙開発時代ニートの日常、そして超遠未来のとある目覚めまで――全5篇収録

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Posted by ブクログ

「小川一水は『老ヴォール』あたりから火星人に乗っ取られていたんだよ!」
「なんだっ(r/散々
火星人全滅を名作扱いしてきたんだから人類滅亡させられても仕方ないよね

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2019年01月12日

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ーーー火星やまと基地の隊員4名が体験した、あまりにもあっけないファーストコンタクトを描く表題作
いつのまにか不老不死を獲得してしまった人類の戸惑い「千歳の坂も」
そして傑作長篇『時砂の王』に秘められた熾烈な闘いを描くスピンオフまで
心優しき人間たちのさまざまな"幼年期の終り";を描く全5篇収録。


小川一水二冊めは短編集。
こういう「日常系SF」とでも言うべきやつも結構好きやな。明確な敵がいるわけでもなく、必然ドンパチもまずない。
SFにもいろいろある中で、俺がやっぱりSFが好きな要因には、登場人物が進歩に対して前向きなことがあげられると思う。

この中では、表題作かLive me Me が面白かった。最後のスピンオフは、やはり「時砂の王」本編を読んでからがいいでしょう。

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2012年12月30日

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自分も考えたことのある題材を扱っていた『Live me Me.』に特に圧倒された。本当にすごくてまだうまく言葉が出てこない。

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2011年04月13日

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あっけなく不老不死を得てしまった人類の話ということで、
開始数10pで不老不死を得てしまう展開の早さにびっくり
とはいえ、その後の人類の死に対して色々書かれていたので大変面白うございました。
不老不死を得てそれで終わりだとちょっとSFとして話投げすぎじゃないかね・・と思ってしまうので。

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2009年10月07日

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全五篇が入っていますが、その根底には小川一水という作家の持つあっさりとした文体の色が出ていながらも、その題材の持つ多様性が飽きさせない力を持っていました。
特に、アルワラの潮の音という短編が面白く、大昔の太平洋アジアの島々を舞台に繰り広げられる青年の成長譚とエイリアン退治の組み合わせはかなり惹きつけられた。

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2025年06月03日

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地球幼年期の終わりを彷彿とさせる
短編集を詰め込んだ小川一水の作品。

どの作品も面白いが
1の『フリーランチの時代』
5の『アルワラの潮の音』が特に面白い。

フリーランチの時代の、
「無料の昼食は存在するのよ」
という下りは
『月は無慈悲な夜の女王』へのオマージュで
思わずニヤリとしてしまう。

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2025年04月14日

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ネタバレ

小川一水さん作品の3つめ。おもしろいわ。

「フリーランチの時代」:ファーストコンタクトなのに全くドラマチックでないところがいい。生きるか死ぬかの選択でアッサリとエイリアンになることを選ぶシーンがいい。

「Live me Me」:事故で肉体を失い、辛うじて残っていた脳の活動をシステムに差し出すことで身体を卒業して生きていく。肉体を失った後の自我、感情、愛の行方が感動的。

「Slowlife in starship」:宇宙船で暮らすニートの話。宇宙船の中で猫を追いかけたりとか、まったりした感じがいい。

「千歳の坂も」:科学と医学の発達により、延命処置が寿命を追い越すようになった時代。健康維持法が制定され、老いてはいけないことになった。老いる者には老化税や健康責任税が課され、役所の人間が不老不死処置にやってくる。死ねないって怖い。

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2023年05月05日

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ネタバレ

どれも面白かった~。読みやすい。

『フリーランチの時代』
「私は人類をたいらげたい」と物騒なことを言ってるけど、食べたい、同一化したい、という意味なんだと掘り下げられて面白かった。コメディ。同一化することで、メリットはデメリットは?と素朴に進んでいくのが良い。問題を生じるだろうけど、それは置いといてな感じで進むのも面白かった。軽く読める。

『Live me Me.』
機械の自分ではなく肉体のほうに語りかける母親を見るのは辛いなと思った。機械化する段階での、コマ数でのやりとりなど面白かった。ゲームやパソコンの進化を見ているよう。
魂や思考を電気信号と突き詰めればそうなるが、機械に自我が宿るのも良かったな。記憶を蓄積し、思考の経験によって生まれたということかもしれない。
私の連続性。どこから、いつから、を考えると恐ろしいが、肉体は無いんだし、私は私であるという認識と承認を繰り返すしかない。

『Slowlife in Starship』
あらすじにニートってあるけど、ニートじゃないような。フリーターとも違うし、しいていうなら個人事業主が適当かと。めっちゃ働いてるじゃんとしか。外部の人間との折衝を断っているという意味で使いたかったのかな。
ミヨへの扱いが、本当に機械?感情ある?と疑いの余地を残しているのが面白い。そしてそれをちゃんと自分がそう受け取っているだけかもしれないと自覚するのも良かった。
組織のスピノールと個人の集合体のベルターという世界観が面白かったな。
ベルターが存続できる理由は技術の進歩による完全な自給自足生活なんだろうけど、やっぱりうっすら社会的つながりというか、セーフティが無いと個人の存続は難しいと思うんだよな。
最小単位のまま生きていける世界っていうのはそれはそれでユートピアだと思う。弱くても一人で生きていける世界になって欲しい。
はやぶさが出てきたのが良かったが、ちょっと出してみた感が否めない。意味を汲み取れなかった。現代と地続きであるというフックだったのかな。

『千歳の坂も』
最後まで読んでから、タイトルの意味って二年坂、三年坂から来てる?と思ってしまった。ただの思いつき。
不老不死にさせられる、という社会が面白い。自殺薬が魅力的に見えた。
人口増加で大変なことになるんじゃないかと思ったけど出生率はどん底っていうのが、自然の力なのかなんなのか。学校教育が衰退するな。
また、定命と非定命の戦いも面白かったし、なんだかんだ、安瀬と羽島が何度も顔を合わせて会話を繰り返すのが良かった。
ディストピア社会なのにどこかとぼけた面白さ。

『アルワラの潮の音』
冒頭の人間の正体を忘れていたので、ラヴカの憎しみが面白かった。ク・プッサ視点だと好きな女の子という描写ながら、あれ?飲まず食わずで踊らされるのひどいな?とか、母親に売られた?つらとか思える箇所もあり、しかし見過ごしていた。確かにつらいしひどい。憎むの超わかる。
人間を養分にしてETが繁殖するのがめちゃくちゃ気持ち悪くておぞましくて吐き気を覚えながらも興奮した。
科学を知らないながらも、よくわからないすごいものを魔法として捉えているからこそアレクサンドル達を受け入れられたんだろうな。適応が早い。
ファーストコンタクトモノのようで面白かった。

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2021年06月14日

Posted by ブクログ

面白かったです。未来の話、過去の話。
「千歳の坂も」がとても好きでした。いつのまにか不老不死を獲得した人類が辿る混乱と争い…老衰や病死が無くなるのと引き換えに、老いているから新しいものに目が向かなくなって産業も衰退するというのは現実感がありました。死なないから新しく命を生み出すのも一握りの人々で。
そんな世界で、不老不死になることを拒否した人物と、彼女を追い続ける役所の男の、何百年ものお話。
「お互いによくもまあここまで」となるラストが好きでした。羽島さんも安瀬さんのなぜ生きる、いつ死ぬ…が知りたくてずっと、それこそ姿が変わってまで、何十光年もかけてたどり着いたと思うと。途轍もない時間でした。
「Live me Me.」「アルワラの潮の音」も好き。「時砂の王」を読んだのは昔々だったけれど、こちらもハードな古代SFでした。

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2021年04月15日

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SF。短編集。
粒揃いの作品集。どの短編も良い。

「フリーランチの時代」
ファーストコンタクト。軽く読めて良い。

「Live me Me.」
医療。人間と機械の境界。

「Slowlife in Starship」
スペースオペラ。これも軽い。AIのキャラが好き。

「千歳の坂も」
不老不死。森博嗣さんのWシリーズに似た設定。近未来はこうなるのかも。ディストピアですね。

「アルワラの潮の音」
長編『時砂の王』のスピンオフらしい。世界観もストーリーも濃密。長編も期待大。個人的ベスト。

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2018年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひょっとして隠れたテーマって「生きるということ」ってことなんだろうか?
感想書く直前にふと思ったことですが。

『老ヴォールの惑星』の次に買ったのはまた短編集でした。
なかなか長編を買う踏ん切りがつかなくて(^-^;

話によって重さに違いがあるので読み進めるスピードは
変わりましたけどどの話も面白く読めました。
お気に入りは究極の自分探し「Live me Me」と
活動的ひきこもりのささやかな一歩「Slowlife in Starship」

表題作の「フリーランチの時代」は軽さに似合わぬ重いテーマが色々考えさせるから好きなんだけど、もうちょっと長い尺で読みたいかも。
「千歳の坂も」が一番困惑したというか。不老不死になってしまったが故の葛藤やら問題というテーマが結構ずしっときて
まだ消化しきれてない感じ。
『時砂の王』のスピンオフ「アルワラの潮の音」は安定の面白さ、『時砂の王』もそうだけど映像で観たいわぁ(笑)

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2015年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作「フリーランチの時代」は、正直よくわからなかった。しかし、2篇目の「Live me Me.」には圧倒された。私が子供の頃から大好きなアン・マキャフリーの「歌う船」シリーズ、特にマーセデス・ラッキーとの共著の「旅立つ船」を思い出しながら読んでいたが、その主題に法律を絡ませるとこうなるのか、と新鮮な驚きがあった。

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2011年10月23日

Posted by ブクログ

面白かった。小川一水さん、間違いなく短編が超生きる人。
あんまりドギツく無いSFでありながら、これまでのSFへの憧憬を同時に感じられるのがステキ。

サクッと1stコンタクトをした「フリーランチの時代」、
現代風接続された女とでも言うべき「Live me Me.」、
事実はSFより奇なりな「Slowlife in Starship」、
ハーモニーっぽさを感じる(勿論こちらが先)「千歳の坂も」、

どれもナイスでした。
00年代の日本っぽさが現れていると言うか何というか。
時砂の王も読まないといけないらしい。

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2011年02月22日

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ファーストコンタクト、サイバーパンクといったSFのメインテーマを扱っていて、
SF入門に最適かも。海外古典と違って日本語なので読みやすい。

「フリーランチの時代」
火星調査員たちが体験する異星人とのあっけないファーストコンタクト。
ライトすぎる「幼年期の終わり」。あっさりさっぱり。

「Live me Me」
事故で動けぬ体となった少女が、ロボットの肉体を手に入れる。
彼女の脳と遠隔接続され、あたかも彼女のように動くロボット。
はたしてそれは彼女と=だと言えるのか?

「Slowlife in Starship」
太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常。
現代日本の若手作家ならでは。多大な共感を持って読む。

「千歳の坂も」
人類が不老不死を手に入れ、死ぬことが許されなくなった未来のお話。

「アルワラの潮の音」
『時砂の王』外伝。SFファンタジー。どこかの星、いつかの時代で。
太平洋の島々に住む諸部族は、盟約を交わし、争いなく暮らしていた。
しかし、盟主アルワラの民のもとへ、反乱の知らせが入った。
鎮圧に向かうアルワラの戦士たちだが、その行く手には不穏な影が…。
本作品を読んでみたくなった。

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2010年10月22日

Posted by ブクログ

予想外の手触りというか予想外に好みだったのでしばらく既刊を追いかけて読む。淡々、というか、さらっとけっこうえらいことになってないですか、という状況と、意外なくらい優しい真っ当で楽しそうな頼もしい人たち。

あはは、と笑って三奈は千石の手を握り、ダンスに出るように引いた。(一番好き。軽やか。読んでて楽しい話。人類ってなによ、とか、どこまでが「人」か、とか気になってる話なのでそのうちまた読む)
「フリーランチの時代」

人間は想像力を、いくらでも捨ててしまえるのだ。画面に映っただけの虚像に、強い思い入れを抱いてしまえるほど。/いまやそこが私の魂の座。どんなことをしてでも守らなければならない。(難しい。難しさが楽しい。自分と自分、自分がどこまでか、をきっちり時間をかけて理解して最後にああいう方向で走っていく彼女が頼もしくて描き方が好きだ。)
「Live me Me.」

ダメだろう、それは。なんというか。申し訳なさで胸が塞がる。(不意打ちでタイムリーにはやぶさが出てきた、しかも行方不明で帰還できなかったことになってた、のでとても楽しく読んだ。これを読んで確信したけどカバーの説明が今一つ合ってない。多分何十字かでは説明しづらい。とりあえずしっかりコミュニケーション取れてるような、そうでもないようなミヨとの関係が読んでいて快い感じがした。)
「Slowlife in Starship」

私は、仕事を続けた。(何かをするために生きている人と、きちんと死ぬため?に生きているのか、生きていることに目的はない、人の話。恋愛でも友情でも敬意でもないんだろうけど愛情の話ではあるような。さらっと過酷な世界で淡々と自分なりに生きている、生き続けて死なない、人たち。面白い。)
「千歳の坂も」

そんな悲しいことはもうごめんだ。そんな憎らしいことはもう止めなければ。(時砂の王より先にこっちを読んだけど問題なさそう。動機がきっちり伏線はってあったのが良かった。しっかり生きてる人たちの話。メッセンジャーがやたら疲れてるのが良いなあと思う。)
「アルワラの潮の音

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2010年06月16日

Posted by ブクログ

お手軽に読める短編が詰まった一冊。「自分はどこまでが自分なのか」など、各作品のテーマは興味深いものばかり。次々と雰囲気の違う作品が出てきて、コース料理を平らげていくように、飽きずに楽しく読み進められました。
スピンオフ作品が載っているので、「時砂の王」を読んでいるとさらに楽しめます。

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2010年02月12日

Posted by ブクログ

5話入った短編集。
表題作は、続きが気になるようなご想像に任せますでいいような。
悩ましい。
それとやっぱり、「時砂の王」スピンオフである「アルワラの潮の音」がよかった。
せつない…

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

「I IKITETA YOKATTA」
「YOU IKITERU GANBA」

(Live me Me. P.59-60)

短編集。最後の一篇は長篇のスピンオフだとか。

表題作は、ちょっとお気楽に過ぎる…と思ったが、
「甘い話には裏がある」を前提にしたよな読みだったかもとちょっと反省。
全体を通して感じたのは、徹底した「生」の肯定。
読むと前向きな気持ちになれます。

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2010年06月06日

Posted by ブクログ

SFの中のSFという感じです。
いままでこんなことを考えたこともなかったってことに気付かされます。
もちろんただの物語としてもとてもGood!

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2009年10月04日

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フリーランチとはどういう意味かと思ったら、まじでフリーのランチだった。slowlife in starshipが、SF界のニートって感じで面白かった。この設定でライトノベルとかSFほのぼのコメディとか、いくらでも話が広がりそう。

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2023年06月30日

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短編集、やっぱり小川一水はどんどん上手くなってるなあという印象。昔のも良いけれど、なんというか曖昧さがあるというか今ほどキレがないような。時砂の王のスピンオフが読めたのは嬉しい。

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2018年01月01日

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小川一水としたら普通という感じ。
「Live me Me.」が一番面白かった。
「Slowlife in Starship」でのハヤブサの言われようが結構笑える。2006年の作品だが、その時点でハヤブサに注目していたのか。

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2013年04月06日

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 かなり良い作品。再読しよう、と決意するに足りる濃い話だ。満足。

 オープニングの「フリーランチの時代」は、タッチが軽めなんだが、テーマは深く重い。ファーストコンタクトものとしてはかなり異質だが、逆にあり得る感じ。

 次の「Live me Me」が素晴しい。オープニングに続き、人とは、生命とはってところに目的地がある感じ。

 続く「Slowlife in Starship」は再読候補。展開が遅く、読み飛ばしてしまった。さらに、「千歳の坂も」もいい話だと思うのだが、だるい展開が酔った状態では受け付けずパス。この二作品は読むタイミングが悪かった。

 気合い入れてラストの「アルワラの潮の音」。好きな背景では無いものの、驚きの展開がなかなか気に入った。切れ味鋭いいい作品だ。

 とにかく、お気に入りが増えて嬉しい。他の短篇集も漁ろう!

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2012年07月12日

Posted by ブクログ

宇宙人のチカラで不老不死になってしまった火星探検隊を描いた『フリーランチの時代』、事故で脳を人工臓器とした少女を描いた『Live me Me.』、宇宙のニート生活を描いた『Slowlife in Starship』、人類が病死や老衰死から解放された世界を描いた『千歳の坂も』、『時砂の王』のスピンオフ『アルワラの潮の音』。

人は死ぬ。故に人は完全には自由になれない。では不老不死になったら、真の意味で自由を手に入れたら、人類はどうなるか。それが本作のテーマでした。「フリーランチの時代」とは面白い。でも、まあ、衰退するんじゃないかなあ。不老不死にも関わらず。そういった意味では、“自由”とは空想上の概念なんだろうな。

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2012年07月01日

Posted by ブクログ

「老ヴォールの惑星」ほど「すごい!」という感じはなかったけど、最後のちょっと長い話が面白かった。「時砂の王」の外伝とは気づかなかった・・・。

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2010年04月22日

Posted by ブクログ

このひとの文章はさらさらっと読みやすくて、あっという間に読んでしまいました。どこかで読んだような、なんだか懐かしいような気がするのは何故かしら。『アルワラの潮の音』がベスト。次は何を読もうかな…と未読本の山を見てみたら、なんと「フリーランチの時代」がもう一冊あったよ。とほほ

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2011年08月06日

Posted by ブクログ

あらすじにもある通り、全五篇の短編集。
「フリーランチの時代」は地球外生命体の手によって、人類が不老不死を取得する話。「Live me,ME」は事故で脳死一歩手前までいった少女が機械に自分を移す話。「SlowLife in Starship」は個人用宇宙船乗りの話。「千歳の坂も」は医療の飛躍的な進歩で寿命がなくなった世界の話。「アルワラの潮の音」は時砂の王からのスピンオフ。
内容は異なりますが、すべて不老もしくは不死を様々なテーマとアプローチによって描いています。

個人的に一番面白かったのが「アルワラの潮の音」。
作者らしい話だと感じたのは「SlowLife in Starship」。無機質なハウスキーパー型のミヨがとても人間臭いのが面白い。長編も読んでみたいけど、短編だからこそうまくまとまっているんだろうなぁ、と思いました。

一番印象に残ったのは表題の「フリーランチの時代」
アーサー・C・クラークの幼年期の終わりを別のアプローチから実現させたのがこの短編。ようは、宇宙人と出会って、人類は新しいステップに進むのですよ、的な。ただクラークの幼年期の終わりが、滅び行く人類という種の、一種の悲哀があるのにたいし、本短編はどこまでも軽やか。

気になるのは、火星にいた地球外生命体は「人」という存在に興味があって接触してきたのに、人に不老不死を与えてしまってはそれが変容するんじゃないのかなー、ということ。それとも、その程度は些事だって言うことなのか。うーん。

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2015年04月10日

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不老不死をテーマにした短編五本収録
全体的に小粒と感じてしまったのは正直なところだけど、不死を得てしまった人類の行く末まで描いた「千歳の坂」は良かった。
他は『時砂の王』の外伝的な話などは、ファンにとって(私もですが)は面白いのではと思う。

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2009年11月13日

Posted by ブクログ

良くも悪くもまさにSF小説。
こんな設定を良く考え付くなーと思いつつ、なんというか、この本全体に対してある感情を抱く。

それは、人間はあくまで「容器」に過ぎない、という点。

幸か不幸か、この作品に登場する主人公たちは、ある事故的なものにより、人間以外への存在へと姿を変えていく。
その共通する姿とは、肉体的な死から逃れた形となっている。
食べ物をとらないと動けない、病気もする、大きな怪我をすれば死んでしまう。
そして未来が不定である以上、これらは常に付きまとう問題である。
(もちろん、それあるゆえに人はその日その日を生きていこうとする、という解釈もあるのだが)

思うに、作者はこの問題こそが、人間の可能性を閉じてしまう原因であり、人間の形のままとどまることが、人間の存在意義を狭めてしまう、と捉えているのではないか。

それでもなお、これら異質の存在に生まれ変わった主人公たちが、人間の形のまま存在し続けるという点において、肉体から逃れたいと願いつつ、その肉体にとどまりたいという考えを汲み取ることが出来る。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

小川一水さんの新刊でてる〜と購入しました。
今回のお話は自分的にはちょっと…かな?

短編集ということを失念していてなんとなく次の話に最初の話がつながっているのかと思い、途中まで読んでそんなはずはなかった、と気が付きました。迂闊。

明るく楽しく、軽く。簡単に読めるのでちょっと出かけるときとか良いですね〜
最後の時砂の王の世界観のお話がちょっと切なくて好きでした。

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2009年10月07日

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