小川一水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ主に宇宙が舞台のSF短編集全6話。
ライトノベルっぽい軽い文体だが、重たくて考えさせられるテーマもあり、面白かった。
一番心に残ったのは、表題作「青い星まで飛んでいけ」。
絶滅した地球人類の遺志を継いで、異星人を探し宇宙を旅する人工知能宇宙船団のファーストコンタクト物語(地球人類は全く登場しない)。
人見知りな異星人と戦争になってしまったり、下等な生命体を滅亡するまで何万年も見守り続けたり。
コミカルで非現実的な寓話風に描きながらも、テーマはたぶん、危険を冒しても、何度失敗しても、「知らない人に出会いたい」「新しい世界に出て行きたい」という「好奇心」こそが人間の本能なんだ、みたいなこと。
SFって非現実的だけど、だからこそシンプルに人間の本質を描けるんだな、と改めて感じさせてくれた。
それと、異星人とのファーストコンタクトを描いた作品では、「意思疎通」「異文化理解」「既存の価値観への疑問提起」がテーマになることが多いのだけど、それって現代でも外国・異業種・立場・世代の違う人とコミュニケーションするときに、多かれ少なかれ課題となるもの。
最近、中国やタイへ行って、課題を乗り越えて意思疎通できた時の喜びや、文化の違いを知ることの面白さを肌で感じたのだけど、これってSF小説を読んだときの感覚に通じるものがあるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
西暦2231年の木星トロヤで、宇宙船内に閉じ込められた二人の少年。一方2014年、日本のコロロギ岳では、とんでもない来訪者が訪れ、天文学者の百葉(ももは)と水沢は、閉じ込められた少年たちを救う手助けをすることになるのだが…
もっと分かりやすく、この小説の説明をするなら、200年越しの人命救助! 200年後に閉じ込められる少年たちを、いかに現代から救うか、ということがテーマです。
百葉たちはどうやって200年後にメッセージを残すかに苦心します。メッセージを受け取ることは、可能なのですが、それに対し返信しようとすると、200年先にも残っている形で、伝言を残さなければならないからです。
200年先にも伝言を残すには、いろいろな人間が世代を超えて、メッセージを残し、伝えるようにしなければいけません。そして、そうした動きは歴史を変えることにもつながっていきます。
そうした壮大な動きが、二人の少年を救うためだけに行われる。単純な動機なのにスケールが壮大で、それが読んでいてとっても素敵だと感じました。
読んでいて思い出したのは映画『オデッセイ』と『火星の人』。一人の宇宙飛行士を救うためにあらゆる人が頑張るその作品と、この『コロロギ岳~』には、共通のバイタリティが、根底にあるような気がします。
時空を超えて紡がれる、人間の善意の物語だったと思います。
第45回星雲賞〈日本長編部門〉 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3巻にしてようやくのSF展開。ひと段落してきたところで少し気になりだしたのが人が死にすぎる安易な展開。舞台となる時空が広大なので登場人物が使い捨てになりがち。あと、意外性を追求するあまりに話の作りが荒く、その「実は」って設定は本当に必要なの?みたいなところもボチボチ。あと人称も雑で、それが輪をかけて「実は」展開を安っぽくしちゃってる気がする。
隔離された集団同士が接触した際のウィルス交換のリスク。大航海時代に実際に起きていた問題だけど、SFの世界では不思議と忘れられていた概念だったかも。この辺をリアルに言及してるのは面白いと思った。
呼吸(酸素)不要=真空でも大丈夫、って誤解が後を絶たないというか。ちょっと残念。気圧の問題は人体にとってもっと深刻なはずなんですが。