小川一水のレビュー一覧

  • 風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記 上

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    SFというカテゴリーの中ではまぁ、ファーストコンタクトものなのですが、話の主軸は14世紀ドイツにおける「まちづくり」を巡るファンタジー。
    まぁ、いうほど歴史は知らないんであまり名状できたものではありませんが、当時の「都市」はその他の村落(荘園)なんかとは支配体系とか制度とか、いわば世界が違う極めて特殊な空間であったはずで、そういう意味をおそらく含んだ「まちづくり」なるものを描いたこの作品は現代の、特にその境界さえ不明確でなんだかイマイチ特性も無い「都市もどき」みたいなのが延々と続く関東平野に住む人間には非常に刺激的に映るわけです。

    あとは、要所要所で現れて(当時でいう)「奇蹟」を引き起す

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    2012年04月30日
  • 天冥の標 IV 機械じかけの子息たち

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    2巻とは違う意味で衝撃的。ほんとうに真面目に性と生を語るSF作品。性っていうか交わ…。
    3巻の少し後の時代設定で、一巻でも登場した生体アンドロイド《恋人たち》の生まれた背景やその存在意義について描かれます。冥王斑患者の少年と《恋人たち》の交流や、《恋人たち》を排斥しようとする組織の暗躍。ストーリーは面白かったんですが、《恋人たち》が主役なので、とにかくそういう描写が多くて人には勧めづらい…。
    とりあえずこの巻の存在によってシリーズの映像化は遠のきましたね。
    救世群や恋人たち、ダダーのメニーメニーシープへと至るつながりが、少しだけ形を持ってきたような気がする。一巻を読み返さねば。

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    2012年04月15日
  • 群青神殿

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    昔の作品らしいのだが、初読。作者が若い時だけあって、人物造形などが如何にも漫画チックでステレオタイプな感じがあるとともに、国家間のせめぎあいが如何にも同じくステレオタイプで、書き込みは甘いものの、若さゆえの物語の引っ張り方とスピード感が良いため、読後感はなかなかよろしい。

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    2012年03月06日
  • 導きの星Ⅱ 争いの地平

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     ここにきて地球人の外文明観察官は、宗教の勃興と共にとうとう神に祭りあげられてしまいますw ……まぁ、歴史上のターニングポイントに現れて、彼らから見れば「奇跡」のようなことをやってしまえばそれは当然「神」となるわけですが、この巻の終盤で近代科学が発達し、宗教の絶対性が打ち砕かれた後にどのように「神」の扱われ方が変化していくのかはなかなか見物です。
     それに、黒皮族の住む北限列島のうち、唯一白猛族が手中に収めた島であるウハリルがまた政治地理学的に面白そうなところで是非行ってみたい!w 冷戦下の香港みたいな感じでしょうかね。

     あと、外文明支援省の裏で動く様々な集団の様子もこの巻では垣間見え、い

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    2012年02月29日
  • 妙なる技の乙女たち

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    軌道エレベーターが建設され、企業城下町に覆われた島を舞台にした近未来SF。タイトルからわかる通り、「働く女性」がテーマなのが面白く、連作短編集のようになっているので読みやすい。
    宇宙服のデザイン、軌道エレベーターのキャビンアテンダントなどなど、未来の職業が面白い、それ以上に、それぞれ頑張る女性たちに非常に萌えてしまう1冊でした。

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    2012年02月23日
  • 第六大陸2

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    こんな話が読みたかった。ハードSFと言うと相対性理論や量子論的宇宙論がバンバン出てきて内容理解に四苦八苦するものを想像しがちだが、本作は物理学理論ではなく最新の工学技術を基盤にして、もしかしたら既にありえたかも知れない世界を描いている。性善説に基づく希望の物語であり、『宇宙には国境がない』の言葉通り、月では米中日が国家の壁を越えて協力し合う。月を目指す少女の動機が父娘間の葛藤(それも父親を責めるのは酷な)であると言うのが些か玉に瑕ではあるが全体的には良く出来た作品と言えよう。今年最後は『下町ロケット』で〆!

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    2013年03月11日
  • 第六大陸1

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    人類が月面にその第一歩を印したのが69年の夏。不鮮明な画像の中を飛び跳ねる様に動いていたアポロ11号乗組員のことは今も鮮明に覚えている。その時、次は火星だと誰もが信じていた。しかし72年を最後に月面に立った者は居ず、有人火星探査の夢もほぼ潰えた。これは技術的問題ではなく巨額の投資に見合う目的を見出せないからである。本作は、ある種の月面建築物を日本の民間企業が請負い、幾多の困難を一歩一歩克服していく様子がリアルに描かれる。工期10年との絡みもあるのであろうが天才中学生がヒロインという点にやや違和感を覚える。

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    2012年02月12日
  • 導きの星Ⅰ 目覚めの大地

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     恒星間航行を実現した地球から、遅れた外惑星オセアノの文明を正しく導くべく派遣された「外文明観察官」の働きを描いた開発援助(?)ストーリー。……っていうと辣腕の観察官が活躍する話のようですが、この物語では狩猟採集段階の文明のただ中にシャトルを墜落させ、観察対象であるスワリスと期せずして接触してしまいます。
     こういう「遅れた文明への介入」では小さな差違が後々の歴史に大きな影響を及ぼすことが(物語の設定上)よくある話で、今回の主人公もご多分に漏れず、良かれと思った介入がだいたい裏目に出てしまいます。果たしてこの惑星(オセアノ)の文明はどのような道程を辿るのか、第2巻以降に期待したいところです。

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    2012年02月12日
  • 群青神殿

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    海洋SF!読後感もスッキリ!キャラクター達も活きいきと描かれていて、とても楽しく、途中苦しく(主人公、ヒロイン的葛藤な意味で)読めました。

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    2012年01月02日
  • 群青神殿

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    朝日ソノラマ版も読んだはずなのに忘れまくっている。
    小川一水の話はいいね。読み終わった後が気持ちいい。

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    2011年12月20日
  • 第六大陸2

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    自分の中ではこれが小川一水の真骨頂だし最高傑作だと思う。
    最後がちょっとハリウッド的な展開になるのがアレですが、ムーンライトマイルとか好きな人なら、たまらない面白さがある。

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    2011年12月17日
  • 第六大陸2

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    友人から薦められたSF小説。出てきます、科学ガジェットが、物理宇宙が! だけどこの作品でいちばんいいのはね、もう交じりっけなしに「あー、やっぱり人類って、宇宙いきたいよねーっ!」っていう情熱とワクワクとキラキラのトキメキが、散りばめられていることですよ!

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    2011年12月12日
  • 妙なる技の乙女たち

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    単行本として販売された際、すごく読みたいと思いながら、文庫になるのを待っててを出さなかった。ようやく文庫化されたので、楽しみにすこしずつ読もうと思って、結局ググっと読んでしまった。
    赤道下にリンガ島という舞台を設け、軌道エレベータを設置する。島は宇宙開発に関係する多国籍企業で埋め尽くされ、活況を見せる。その島で様々な仕事についた女性たちの、気持の良い生きっぷりをいかにも小川一水という一途さで書いた快作。
    SFというジャンルにふってみたが、SF的なのは軌道エレベータがある、というくらいなもので、実際は普通の小説に近い…様な気もするが、シチュエーションもそうか、SFでしか描き得ない様なものかもしれ

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    2011年12月25日
  • フリーランチの時代

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    表題作「フリーランチの時代」は、正直よくわからなかった。しかし、2篇目の「Live me Me.」には圧倒された。私が子供の頃から大好きなアン・マキャフリーの「歌う船」シリーズ、特にマーセデス・ラッキーとの共著の「旅立つ船」を思い出しながら読んでいたが、その主題に法律を絡ませるとこうなるのか、と新鮮な驚きがあった。

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    2011年10月23日
  • 天涯の砦

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    宇宙ステーションを見て「でっかい隕石がぶつかったらどうなるんだろう?助かるのか?怖いなぁ」と思ったことがある人。いるでしょう?


    このSFはまさにそんな状況に陥った究極のサバイバル小説であります。


    宇宙は自然ではあるけれども、地球にあるような人や生物を包み込む暖かいものではありません。


    そこに存在できるのは生命ではない人工物やそれを身に着けた生物のみであり、何も身に着けないものは宇宙に出た瞬間、圧倒的な暴力にただ蹂躙され消え去るのみ。


    その暴力と壁一枚隔てて行われるサバイバルは、まさに宇宙系SFの醍醐味と言えるでしょう。


    終盤の終盤まで望みがない状況が続きますが、それをどのよ

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    2011年09月28日
  • 疾走! 千マイル急行(下)

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     脇道に逸れることができない鉄道網で繋がれた都市国家が立ち並ぶ大陸。やや語弊はあるかもしれませんがコレってかなりRPG的な世界。そんな世界で、とある事情より旅に出なければいけなくなった豪華列車、プラス装甲列車のお話。
     装甲列車ってあまり物語の中で描写されたものを見たことがないのですが、互いに一直線に突っ込んで行かざるをえない装甲列車同士の戦闘シーンはなかなか興味深いもの。それに(著者もあとがきで述べていますが)長距離列車が持つハレの側面もうまく描かれているように思えます。
     全体的な話の流れとして、「衰亡した強者」みたいなものがあって、でも最後にはそれを乗り越えて大団円(とまではいかないにし

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    2011年09月12日
  • 疾走! 千マイル急行(上)

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     脇道に逸れることができない鉄道網で繋がれた都市国家が立ち並ぶ大陸。やや語弊はあるかもしれませんがコレってかなりRPG的な世界。そんな世界で、とある事情より旅に出なければいけなくなった豪華列車、プラス装甲列車のお話。
     装甲列車ってあまり物語の中で描写されたものを見たことがないのですが、互いに一直線に突っ込んで行かざるをえない装甲列車同士の戦闘シーンはなかなか興味深いもの。それに(著者もあとがきで述べていますが)長距離列車が持つハレの側面もうまく描かれているように思えます。
     全体的な話の流れとして、「衰亡した強者」みたいなものがあって、でも最後にはそれを乗り越えて大団円(とまではいかないにし

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    2011年09月12日
  • 群青神殿

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    小川一水らしい勢いがある海洋冒険小説。商船をおそう未知の海洋生物がでてきて、最初日本人は関心を持たないのだが、よく考えたら海のライフラインをたたれたらまったく成り立ちませんでしたとさとるような描写が秀逸。
    ちょっといやらしいあたりも毎度ながら、ご都合主義的だけどちゃんとハッピーエンドで終わるところ、気分転換に最適です。昔の作品で、最近の筆力には負けるのであえて星4つ。

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    2011年09月11日
  • 第六大陸2

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    月に民間の会社が商業施設を建てる、近未来が舞台のハードSF小説。
    わかりやすいくハラハラさせられる演出で、山あり谷ありで飽きません。
    ハードSFならではの科学的根拠なども、しつこくない程度で良かったです。
    ちょっとプロジェクトXの雰囲気があります。

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    2011年09月07日
  • 第六大陸1

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    月に民間の会社が商業施設を建てる、近未来が舞台のハードSF小説。
    わかりやすいくハラハラさせられる演出で、山あり谷ありで飽きません。
    ハードSFならではの科学的根拠なども、しつこくない程度で良かったです。
    ちょっとプロジェクトXの雰囲気があります。

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    2011年09月07日