小川一水のレビュー一覧
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読むならば、甘いと言われ様が、やっぱり最後には希望に溢れたものが良い。
それがどんなに夢物語だろうが、その夢物語があるから最後にほっとできる。
頑張る男の子がいて、頑張る女の子がいる。
頑張る男がいて、頑張る女がいる。
どんなに苦難があっても、手を取り合える仲間がいる。
黙々と努力する姿に、付いてきてくれる人はいる。
裏切りがあっても、それ以上に強い絆もある。
小川一水氏の本には、何時もそれがある。
彼の題材とする世界は、どこか状況が硬質な世界なのに甘い。最終的には、甘っちょろいぜっ!って言われてしまうかもしれないけど、経緯がかなり硬質なのだ。
だから私は彼の描く硬質な長い世界を、安心して歩い -
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「第六大陸(1)(2)」小川一水
宇宙もの近未来SF。ハヤカワ(JA)文庫。メタリック。
非常に綿密な裏付けと情報量にややとっつきにくさはあるものの、斬新かつ身近な物語として読めるSF。適度に壮大で適度にリアリティがある内容が好印象。
いやあ、とにかくこの人は理系だろうなぁ。とても硬質なストーリーです。良い意味で。
人類は自らが進化するより早く、自分達の生きている環境を変化させることによって生きながらえてきた生き物、なんだそうです。どこかでみたことの受け売りなんですが。
そのフロンティア精神に支えられて過酷な月面環境に挑む日本の技術者達と、彼らの中心にいる天才少女の奔走が読ませど -
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これはSFでありながらもサバイバル小説と思って読んだほうが楽しい一冊。それとアレですね、地球からちょっとだけ宇宙にある「軌道ステーション」という設定がいい。何万光年も離れた他所の銀河の手足が何本もあるようなキャラクターも出てこず、舞台も日本企業の持ち物なので、キャラがオール日本人のみというのも自然。
何万光年離れてても、手足が何本あっても、面白ければ良いけど、こういったサバイバルストーリーでその設定をやられると、その世界観を理解し、飲み込むだけでしんどい。でも、この作品はそうした手順を必要としないので展開もスピーディー。とはいえ、SFには必須の「この物語世界(背景)を知る」という手続きも、登場 -
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天冥の標第3章。
2章は現代アウトブレイク小説で、3章は太陽系開拓期になっている。
だんだんと1章に到る路は整備されていくようで、どう路を整えるか興味深い。
この時点だと救世群が冥い状態のままで、読者的に2章の後を引いて可哀想な感じが強いです。
小川さんは、私がSFに望む「何か変化のあった環境での人の営み」を構成して書くことに長けていて、毎度とても面白い。
今回一番端的なのはアンチ・オックスの一統の生活だが、何故そうなったかというエピソードも小川さんらしく、いくつかのサバイバル系の短編を思い出す。
最終的にはダダーとミスチフの戦いに収斂しそうな感じではあるが、そこに乗っかる人々の歴史の積み -
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ファーストコンタクト、サイバーパンクといったSFのメインテーマを扱っていて、
SF入門に最適かも。海外古典と違って日本語なので読みやすい。
「フリーランチの時代」
火星調査員たちが体験する異星人とのあっけないファーストコンタクト。
ライトすぎる「幼年期の終わり」。あっさりさっぱり。
「Live me Me」
事故で動けぬ体となった少女が、ロボットの肉体を手に入れる。
彼女の脳と遠隔接続され、あたかも彼女のように動くロボット。
はたしてそれは彼女と=だと言えるのか?
「Slowlife in Starship」
太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常。
現代日本の若 -
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予想外の手触りというか予想外に好みだったのでしばらく既刊を追いかけて読む。淡々、というか、さらっとけっこうえらいことになってないですか、という状況と、意外なくらい優しい真っ当で楽しそうな頼もしい人たち。
あはは、と笑って三奈は千石の手を握り、ダンスに出るように引いた。(一番好き。軽やか。読んでて楽しい話。人類ってなによ、とか、どこまでが「人」か、とか気になってる話なのでそのうちまた読む)
「フリーランチの時代」
人間は想像力を、いくらでも捨ててしまえるのだ。画面に映っただけの虚像に、強い思い入れを抱いてしまえるほど。/いまやそこが私の魂の座。どんなことをしてでも守らなければならない。(難し