小川一水のレビュー一覧

  • 疾走! 千マイル急行(下)

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    読むならば、甘いと言われ様が、やっぱり最後には希望に溢れたものが良い。
    それがどんなに夢物語だろうが、その夢物語があるから最後にほっとできる。
    頑張る男の子がいて、頑張る女の子がいる。
    頑張る男がいて、頑張る女がいる。
    どんなに苦難があっても、手を取り合える仲間がいる。
    黙々と努力する姿に、付いてきてくれる人はいる。
    裏切りがあっても、それ以上に強い絆もある。
    小川一水氏の本には、何時もそれがある。
    彼の題材とする世界は、どこか状況が硬質な世界なのに甘い。最終的には、甘っちょろいぜっ!って言われてしまうかもしれないけど、経緯がかなり硬質なのだ。
    だから私は彼の描く硬質な長い世界を、安心して歩い

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    2011年02月16日
  • 第六大陸1

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    55年間の停滞を脱し、月面を目指し、そこに建造物を建てる企て。
    しかも、国家プロジェクトではなく、私企業としての試み。
    そんな道具立てで描かれる群像劇。
    個性豊かな登場人物達が魅力的。
    特に、企業のトップに立つおっさんたちがかっこいい!
    ヒロインがやや魅力に欠けていたのが残念。

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    2011年01月24日
  • 第六大陸1

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    「第六大陸(1)(2)」小川一水
    宇宙もの近未来SF。ハヤカワ(JA)文庫。メタリック。

    非常に綿密な裏付けと情報量にややとっつきにくさはあるものの、斬新かつ身近な物語として読めるSF。適度に壮大で適度にリアリティがある内容が好印象。
    いやあ、とにかくこの人は理系だろうなぁ。とても硬質なストーリーです。良い意味で。

    人類は自らが進化するより早く、自分達の生きている環境を変化させることによって生きながらえてきた生き物、なんだそうです。どこかでみたことの受け売りなんですが。
    そのフロンティア精神に支えられて過酷な月面環境に挑む日本の技術者達と、彼らの中心にいる天才少女の奔走が読ませど

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    2019年01月16日
  • 天涯の砦

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    これはSFでありながらもサバイバル小説と思って読んだほうが楽しい一冊。それとアレですね、地球からちょっとだけ宇宙にある「軌道ステーション」という設定がいい。何万光年も離れた他所の銀河の手足が何本もあるようなキャラクターも出てこず、舞台も日本企業の持ち物なので、キャラがオール日本人のみというのも自然。
    何万光年離れてても、手足が何本あっても、面白ければ良いけど、こういったサバイバルストーリーでその設定をやられると、その世界観を理解し、飲み込むだけでしんどい。でも、この作品はそうした手順を必要としないので展開もスピーディー。とはいえ、SFには必須の「この物語世界(背景)を知る」という手続きも、登場

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    2019年01月16日
  • 天冥の標 III アウレーリア一統

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    天冥の標第3章。
    2章は現代アウトブレイク小説で、3章は太陽系開拓期になっている。
    だんだんと1章に到る路は整備されていくようで、どう路を整えるか興味深い。
    この時点だと救世群が冥い状態のままで、読者的に2章の後を引いて可哀想な感じが強いです。

    小川さんは、私がSFに望む「何か変化のあった環境での人の営み」を構成して書くことに長けていて、毎度とても面白い。
    今回一番端的なのはアンチ・オックスの一統の生活だが、何故そうなったかというエピソードも小川さんらしく、いくつかのサバイバル系の短編を思い出す。

    最終的にはダダーとミスチフの戦いに収斂しそうな感じではあるが、そこに乗っかる人々の歴史の積み

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    2019年01月16日
  • 天冥の標 III アウレーリア一統

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    IとIIの中間に位置する時代の話である。今回の内容で以前のシリーズの話のつながりがおぼろげながらわかって来た気がする。
    IIに較べて悲壮感のようなものが感じられないのは、未来を舞台にしているからだろうか、瀬秋のキャラクターが影響しているからだろうか。結構重要人物が死んでいるのであるが、どちらかというと戦闘ものという感じで楽しめる話だった。登場人物にそれぞれ個性があって興味深い。

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    2019年01月16日
  • 第六大陸1

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    建設会社が月面開発と、それだけ聞くとかなり突飛な内容。
    でも読んでみるとしっかり考えられた設定でなるほどなーという感じ。

    ちょっとヒロインのキャラクターが安易すぎる設定な気はするけど、面白かった。

    月面試料採集のシーンでちょっとハヤブサ思い出した・・。

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    2010年11月29日
  • 導きの星IV 出会いの銀河

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    未開の星野知性体を神の視点で文明を育成するというシミュレーションゲームを小説にすると、こんなに面白くなりましたという傑作。というか、文明を育てるのと、戦略も含めてこの世界設定で面白いゲームが出来そうだなぁ。まぁ、ゲームが出来てもこの小説の面白さには敵うまい。伏線を生かして、心温まるエンディングに、日本のSFにまだ読んでない傑作はたくさんあるんですね。読んでない人は読むべし。

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    2010年11月13日
  • 天涯の砦

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    宇宙空間で脱出サバイバルは息苦しかったー面白さも手伝って先を急いでしまう。
    極限状態においても簡単に「一致団結!」と行くはずもなく、思惑はそれぞれ、だけど登場人物誰にも同調できず、この辺がイマイチ。もうちょっと突っ込んで曝け出してほしかったな。

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    2010年10月26日
  • フリーランチの時代

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    ファーストコンタクト、サイバーパンクといったSFのメインテーマを扱っていて、
    SF入門に最適かも。海外古典と違って日本語なので読みやすい。

    「フリーランチの時代」
    火星調査員たちが体験する異星人とのあっけないファーストコンタクト。
    ライトすぎる「幼年期の終わり」。あっさりさっぱり。

    「Live me Me」
    事故で動けぬ体となった少女が、ロボットの肉体を手に入れる。
    彼女の脳と遠隔接続され、あたかも彼女のように動くロボット。
    はたしてそれは彼女と=だと言えるのか?

    「Slowlife in Starship」
    太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常。
    現代日本の若

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    2010年10月22日
  • フリーランチの時代

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    予想外の手触りというか予想外に好みだったのでしばらく既刊を追いかけて読む。淡々、というか、さらっとけっこうえらいことになってないですか、という状況と、意外なくらい優しい真っ当で楽しそうな頼もしい人たち。

    あはは、と笑って三奈は千石の手を握り、ダンスに出るように引いた。(一番好き。軽やか。読んでて楽しい話。人類ってなによ、とか、どこまでが「人」か、とか気になってる話なのでそのうちまた読む)
    「フリーランチの時代」

    人間は想像力を、いくらでも捨ててしまえるのだ。画面に映っただけの虚像に、強い思い入れを抱いてしまえるほど。/いまやそこが私の魂の座。どんなことをしてでも守らなければならない。(難し

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    2010年06月16日
  • フリーランチの時代

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    お手軽に読める短編が詰まった一冊。「自分はどこまでが自分なのか」など、各作品のテーマは興味深いものばかり。次々と雰囲気の違う作品が出てきて、コース料理を平らげていくように、飽きずに楽しく読み進められました。
    スピンオフ作品が載っているので、「時砂の王」を読んでいるとさらに楽しめます。

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    2010年02月12日
  • 天涯の砦

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    これは良いサバイバルSF。宇宙ステーションが事故で大破したぜ! 生存者はそれぞれ別の区画に閉じ込められ、その区画の外には真空が広がってる。通気ダクトでコミュニケーションをとって生き延びろ! というすばらしさ

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    2009年12月03日
  • 天涯の砦

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    SFが読みたくて本屋で適当に買ったもの。
    おもしろくて一気に読めました。
    功とキトゥンが…すきです……。

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    2009年10月17日
  • 復活の地3

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    甘いラブに落とすのではなく、こういう同志的な繋がりというのはとても良い。それでいて無二の存在とお互いに思っているのがなおさら。留学後のスミルとセイオがどのようなやりとりをするのか想像するだけで楽しい。
    あとシンルージの視野の広がりが素敵だった。

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    2009年10月13日
  • 復活の地1

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    第六大陸が期待はずれだったのであまり期待はしていなかったけど、これは良いね。びっくりした。
    ちょっと現実世界のあれこれを強く喚起させすぎている部分もあるけど、面白い小説だった。
    ただ、災害の場面でモブの描写が多すぎるところは個人的にはマイナス。
    キャラはどれも魅力的でもっと見てみたいと思う。
    続きにも期待。

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    2009年10月07日
  • 天涯の砦

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    平たく言って、宇宙を舞台にした災害小説……というのでよいのかな。
    単なるサバイバルというわけでもなく、登場人物それぞれの思惑とか背景とかも絡み合い、ハラハラしながらどんどん読み進めてしまいます。

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    2009年10月07日
  • 第六大陸2

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    幸村誠氏の表紙に釣られて買いました
    物語は、栄光と挫折の少々リアルで「星を継ぐもの」の雰囲気も残し
    NHK BSでアニメ化したら面白いとは思います。
    もう少し、脇の人間のドラマを描いたら
    妙ちゃんのクールさのエピソードと走也さんの理想的優しさを描いても
    良いのでは、と思います。
    ただ、これ上下巻ではなく1、2なのね。
    3がくるのか?

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    2014年10月05日
  • フリーランチの時代

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    5話入った短編集。
    表題作は、続きが気になるようなご想像に任せますでいいような。
    悩ましい。
    それとやっぱり、「時砂の王」スピンオフである「アルワラの潮の音」がよかった。
    せつない…

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    2009年10月07日
  • フリーランチの時代

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    「I IKITETA YOKATTA」
    「YOU IKITERU GANBA」

    (Live me Me. P.59-60)

    短編集。最後の一篇は長篇のスピンオフだとか。

    表題作は、ちょっとお気楽に過ぎる…と思ったが、
    「甘い話には裏がある」を前提にしたよな読みだったかもとちょっと反省。
    全体を通して感じたのは、徹底した「生」の肯定。
    読むと前向きな気持ちになれます。

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    2010年06月06日