永田和宏のレビュー一覧

  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    本当かよ!?というようなことが私たちの細胞内で起きていることを改めて興味深く知ることができた。かつ、まだわかっていないことの追求の楽しさ、喜びを垣間見た。わたしも生涯探究心を失わずにいきたい。

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    2021年08月15日
  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    ネタバレ

    とにかく名著である。なにをもって名著とするか。自分にとっては、読後まで延々と続く鎮めようのない興奮がその証である。身体が打ち震えるかと思うほどの知的興奮だ。

    宇宙の誕生が140億年前、太陽系と地球の誕生が46億年前、そのあと6億年が過ぎてようやく生命が誕生し40億年の月日が流れた。淡々とした日々の暮らしの中では、この悠久の時間の流れに思いを馳せることはまずない。40億年の重みを体感するような出来事にそうそう出会わないからだろう。しかし本書を読み痛切にその重み、いや凄みを感じ世界観が一変してしまった。まさに衝撃であった。地味なタイトルで、古本屋でろくに内容をチェックもせずにさくっと買ったものな

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    2021年03月21日
  • 知の体力(新潮新書)

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    大学の課題としてあまり前向きな気持ちで読みはじめたわけではない一冊だったが、自分がこれまでに得てきた見識を綺麗に言語化されたような、非常に明快で学ぶ意義の本質を絞り出した本だった。
    各章どれもが腑に落ちる内容であり、大学入学前にぴったりな一冊だった。

    しかしあえてこの本の趣旨に沿って自分なりに疑問点を挙げるとするならば、本文II部4編の自分「らしさ」の捉え方に違和感を感じた。
    自分「らしさ」とは、必ずしもそれが自分たらしめるための呪縛ではない。その人の経験の中で気付いた新たな自分の側面を、忘れず取っておくための袋のようなイメージを私は持った。

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    2021年03月21日
  • 知の体力(新潮新書)

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    1ページとして読み飛ばせない。色々深くて考えさせられて味わい深い1冊。

    京都大学は諸君に何も教えません。諸君が自分で求めようとしなければ、大学では何も得られない。

    高校までは先生が知っているはずの答えと自分のものが一致すれば正解という世界。
    だが、正答は1つしかないと思うのは危険。答えのない質問もある。何一つ絶対的な答えというものがない実社会。問いがあって答えがない、宙吊り状態に耐える知性。答えがないことを前提になんとか自分なりの答えを見つけようとする意思。

    小さい子供は〈他者〉を知ることによって初めて〈自己〉というものへの意識が芽生える。「自我の芽生え」は他者によって意識される自己への

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    2021年03月21日
  • 学問の自由が危ない

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    どの論考にも強い危機感が示されている。なかでも内田樹氏の論考はもっとも説得的だった。私が近年感じている「政権はまじめにやっていない」という印象はなぜ引き起こされるのか、これを読んで得心した。異議申し立てという人間の力を奪う数々の営みが粛々と進んでいる。

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    2021年02月28日
  • 学問の自由が危ない

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    学問の自由は私たちの生活とも関係している。学問をすることが自由なのもあるが、学問はそれ自体国の権力から自由で独立したものでなくては、また再び、戦争に使われる可能性がある。過去の過ちを繰り返さないという学者の決意から生まれた学術会議の経緯を知っていれば、今回の件は学者集団にとって、赤信号であるとともに、私たちの身にも危険が近づいていることを示している。
    さまざまな学会から声明が出され、報道を賑わせたが、最近また忘れられそうになっている気がしてならない。しかし、このことは決して忘れてはならない。
    個人的には内田樹さんの部分が、自分が薄々感じていたことをはっきりと明文化して提示されたようで戦慄が走っ

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    2021年02月17日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    齋藤孝先生の「読書の全技術」でおすすめされていたので読みました。
    短歌とは、五七五七七の、百人一首の...といった程度の学校で習っただけの知識しかありませんでした。
    まず、字数は五七五七七に縛られなくてよいこと、花や景色を歌ったものばかりではないことが新鮮でした。現代の日常生活のことが、時に生々しく歌われています。旦那さんの名前をまるごと詠んだ歌もあったり。
    夫婦となり、子供がいて仕事があり、そんな中でもお互いへの思いや不満や悩みを歌を通して開示しあう。もしも夫婦で小説家であったなら、ここまで直ではない。短歌だから、率直な気持ちを表現できるのだろう。

    手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が

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    2021年02月13日
  • 歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―

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    ★5.0 2021.02.09

    歌人であり科学者でもある永田和宏氏とその妻の歌人河野裕子氏の最期の10年を綴ったエッセイと短歌の数々。
    壮絶と静謐という両極端を夫婦だけでなく家族で過ごす日々が書かれている。
    夫婦の深い愛が惜しげも無く描かれており、激しく心を掴まれるものだった。

    ↓↓↓内容↓↓↓
    その時、夫は妻を抱きしめるしかなかった――歌人永田和宏の妻であり、戦後を代表する女流歌人・河野裕子が、突然、乳がんの宣告を受けた。闘病生活を家族で支え合い、恢復に向いつつも、妻は過剰な服薬のため精神的に不安定になってゆく。
    凄絶な日々に懊悩し葛藤する夫。そして、がんの再発……。発病から最期の日

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    2021年02月09日
  • 知の体力(新潮新書)

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    一見面倒そうな、私の苦手なタイプの難しい本なのか?と思いきや、中身素晴らしいです。
    分かりやすく書かれている、バイブル的な本。
    メルカリで売らずにずっと手元に置いときたいです。

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    2021年01月18日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    著名な歌人夫妻であった河野裕子・永田和宏両氏の相聞歌とエッセイをまとめたアンソロジー。お二人の作品ともに幾つか読んできたので、既知のものも多かったけれど、それでもこうして1冊にまとめられることで、出会いから別れまでの軌跡が、これまで以上に胸に迫った。編集の妙といえるだろうか。

    乗り継ぎの電車待つ間の時間ほどのこの世の時間にゆき会ひし君(河野裕子)

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    2021年02月10日
  • 知の体力(新潮新書)

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    世の中には答えしかないと思っており、誰も出してない答えを自分が出せるかもしれない、なんて発想はなかった。小さな疑惑でも、自分で答えを出せるよう、考えたい。

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    2020年12月07日
  • 近代秀歌

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    日本人として是だけは、知っておいてほしいという歌ばかり。という前触れに遜色ない。
    共通の知の前提として、そこから対話を楽しむために。テレビのお笑いや芸能、スポーツでは、会話。意見を聞いて自分の意見を述べて、展開するのが必要だろう。
    対話できなくても生きていけるが、パンのみにいくるにあらず。

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    2020年10月10日
  • 現代秀歌

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    『近代秀歌』の姉妹篇で昭和20年から現在までを扱う。

    自分が生きている時代だからというのもあるのだけれど、
    近代秀歌に比べると時代も価値観も多種多様に感じる。
    改めて短歌というものの懐の広さを感じた。

    そして最後の河野裕子さんの話は泣けた。

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    2020年07月11日
  • 現代秀歌

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    名著だ。今まで現代短歌は難解なものだと思っていたが、この本を読むとこんがらがっていた毛糸がするすると解けるようにその解釈も分かるし、その良さもびんびんと分かるのだ。現代の様々なことにどう短歌が関わって来るのかということもよく分かる。著者の解説は上手い!
    「現代の共有財産として遺された歌の数々にふれてほしい」「日常会話の端々で、あるいはある場所や風景に出会った折に、私たちが受け継いできた歌が、ふと人々の意識と唇の端にのぼる」-こういう気持ちで著者はこの本を書いたそうだ。そう、事象に対する新しい見方、感じ方を示してくれるのが現代短歌なのだ。100人の歌人が紹介されている。

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    2020年06月16日
  • 近代秀歌

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    近代の秀歌を百首選んで、歌の解釈とそれに関わるいろいろな著者の考えや参考歌が書いてあり、懇切丁寧である。人口に膾炙した歌も漏れなく選んであって遺漏はない。歌人の写真が載っていて、ほほうこういう面構えだったんだねと分かって面白い。読み終わって堪能した。同じ著者の「現代秀歌」も読んでみたい。でも、近代の歌ほど分かりやすくはないだろうな。永田氏の解説に期待しよう。永田氏は、河野裕子氏(故人)の旦那さんである。彼女の「たっぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言えり」はいい歌だ。

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    2020年05月06日
  • 歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―

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    歌人である妻の乳がんの宣告、手術と恢復に向けた日々、そして転移・再発を経た死去に至るまでを、同じく歌人・科学者である著者が綴ったエッセイ集。

    随所で妻及び本人の歌が挿入されるが、その中には自身が病苦を抱える中で、自分の痛みを理解してくれないと映った家族をなじるような歌も多い。

    例えば、乳がんの宣告を受けた時期に、夫の表情を描く次のような歌。

    「何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない」(本書p15)

    著者自ら「私のそれまでの人生で、この一首ほど辛い一首はなかったと言ってもいいかもしれない」と言わしめる31文字に込められた重さ。

    夫婦の愛の物語と呼ぶのは陳腐すぎるけれども

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    2020年03月15日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    タイトル通りの本。
    本書の目的も「はじめに」で永田氏が言われている通り。
    分かりやすいし、面白かった。
    続編もあるので、読みたい。

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    2020年01月08日
  • 歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―

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    歌人河野裕子さんを私はこの本で初めて知りました。
    著者の妻である河野さんが胸のしこりに気づいた夜から亡くなるまでの記録。その闘病の過程にはあまりにも生々しい著者との葛藤もあり、読んでいて辛い部分もありました。それでもだんだんと自らの死を受け入れて心の均衡を取り戻していく河野さんの姿の美しいこと。
    最後の数日間は鉛筆を持つ力すらないながらも河野さんが口にする歌を、ご家族が口述筆記されたそうです。
    河野さんの最後の一首は

    手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が

    妻として母として娘として、そしてなにより歌人として、最後までほとばしるように歌を詠みながら生きた河野さんの姿に心

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    2019年12月01日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    羽生善治さんの心構えが書いてあって面白かった。
    羽生さんは何者でもなかった頃はないけど,未だに,
    プロ棋士の中の差はわずかなもので自分を特別だと考えていないことが,向上心を持ち続け慢心しない理由なのかなと思った

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    2019年10月29日
  • 京都うた紀行 歌人夫婦、最後の旅

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    永田和宏さんと河野裕子さんの歌人夫婦が京都の歌枕を訪ねる。歌枕といっても、寺社旧跡だけでなく北大路駅や果ては永田さんの家まで、心に残る歌の舞台を訪れるのだ。それぞれの場所と歌、そしてそれに寄せるご夫婦の思いが美しい。なんといっても感動的なのは、これが夫婦の最後の旅であること。いつかこんな旅をしてみたい。

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    2019年07月04日