永田和宏のレビュー一覧

  • たとへば君 四十年の恋歌

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    本当に涙が止まらず、読んでいてしんどくなるほどだった。
    河野さんと永田さんの出会いから別れまでが短い小説の中に凝縮されていた。
    河野さんの発病から亡くなるまでの描写が丁寧すぎて、当事者になったかのような気持ちになり、とても辛かった。本を読んでいて、早く終わってほしいと思ったのは初めてだった。今も思い出すと涙が出てくる。
    最期まで詩人であった河野さんとそれを見守るご家族の温かさが非常に心に染みた。
    最後、永田さん目線の河野さんの話もあり、多面的に事柄をみることができたことで、物語の厚みを感じられた。

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    2025年11月25日
  • 近代秀歌

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    歌を知ることで日常生活をもっと豊かなものにしてほしいという筆者の願いがありありと感じられた。解説文の中でたびたび触れられていて興味深かった話題は、歌の愛誦性と芸術性の間にあるジレンマについてだ。大衆ウケが良い歌ほど批評家からの評価が下がりやすくなる一方で、あまりにも玄人ウケの芸術性が高い歌だと広く認知はされず後世に残りにくい。これは他の芸術ジャンルとも共通する課題であると思った。そうは言いつつ個人的には愛誦性の高い石川啄木や与謝野晶子の歌がやはり好みであり、要はアララギより明星派が好きなのだと思う。

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    2025年11月22日
  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    資料を読んでいて、どうしても気になる矛盾点があったので質問させてください。

    ① 54ページ
    本文で「コドンGCA=アルギニン(Arg)」と説明されていますが、GCAは通常「アラニン(Ala)」ではないでしょうか?(アルギニンならCGUやCGAなどになるはずです)

    ② 55ページ
    図2-6の流れが、途中から繋がっていないように見えます。 ・左〜中央:Ala - Gly という鎖を作っている ・右(次のステップ):急に Arg - Pro - Ser という鎖に変わっている mRNAの配列も変わっており、時系列の図として成立していないように思うのですが、これは図のミスでしょうか?

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    2025年11月19日
  • 知の体力(新潮新書)

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    10-20ページぐらいで1つのテーマについて著者の経験や考えを紹介されている。テーマが多岐にわたるので飽きずに読み続けられるのが良い。

    中には少し私の考えとは違うところはあるが概ね賛同できる内容+なかなか考えさえる内容です。自分の考えるという能力を高めるにはもってこいの本だと思います。

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    2025年11月15日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    現代の科学者が直面してる問題、役に立つという利益性を求め、知的好奇心を満たすための学術研究が窮地に追いやられているという状況への痛烈な批判。永田先生の文章は言わずもがな、大隈先生の文章も読みやすくて引き込まれた。
    大隈先生の最後の章で日本は「科学技術」という言葉で代表されるように「科学」と「技術」を並列に扱ってしまい、科学を技術的な発明と同じように役立つことを求められてしまう。偉人の言葉を知っていれば日々の出来事の解釈に深みが出るようにある科学的知識を知っていれば日々の生活の見え方が変わってくるという科学の文化的側面を大事にしたい。いやー大当たりの新書。研究意欲が落ちてきたらまた読もう。

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    2025年11月03日
  • 人生後半にこそ読みたい秀歌

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    人生の後半にこそ心にしみる名歌をテーマごとに紹介する。定年、老後と金、老いらくの恋、介護、死別、食や酒のたのしみなど、様々な歌を読むと楽しい。「人生の終わりを徐々に知らしめていよいよ長き晩年がくる」「誰かひとりくらいは来てもよさそうなひとり暮らしの夕ぐれである」「沢瀉は夏の水面の白き花 孤独死をなぜ人はあはれむ」「浅き眠りの父を傍に読みふける介護の歌なき万葉集を」「『空きを待つ』その空きの意味思いけり特別養護老人ホーム」「今しばし死までの時間あるごとくこの世にあはれ花の咲く駅」「死はそこに抗ひがたく立つゆゑに生きてゐる一日一日はいづみ」「どっちみちどちらかひとりがのこるけどどちらにしてもひとり

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    2025年10月16日
  • 僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

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    ・ミスにミスを重ねてしまう原因として「その時点から見る」という視点が欠けてしまうことがある。「今初めてその局面に出会ったのだとしたら」が大切。

    ・我々は世界に接する時に常にある文脈でしか世界に接せない。

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    2025年06月17日
  • 人生後半にこそ読みたい秀歌

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    ここ数日、薬の副作用で体調が悪く本を読めませんでした。
    でも、私は胃腸科では逆流性食道炎があるので「食べてから3時間は横にならないでください」と言われているので寝ているわけにもいかず、二日前からちょっと辛かったですが、この本をがんばって読みました。

    この本は先々週だったか、読売新聞の書評欄でも取り上げられていて、歌集が取り上げられるのは珍しいなと思い、私もちょうど読もうと思って積んでいました。今の私にちょうどぴったりなタイトルだと思います。

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    第一部 人生後半へ

    著者で歌人の永田和宏さんは2022年に後期高齢者になられたそうです。
    中年とは45歳~64歳までだそうです。

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    2025年05月14日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    ネタバレ

    ここ数年で最も心に残った本でした。
    もし本書が短歌集であったならば、恥ずかしながら表題の代表作しか知らないような私は本書に出会えなかったと思います。
    このような形式で二人の道のりと素晴らしい短歌の数々を残してくださったことにありがたい気持ちでいっぱいです。
    短歌はもちろんのこと、他にも胸に響く一節がたくさんありした。

    以下にその一部を引用します。

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    ・蒸留水と井戸水が一緒に暮らして来たのね。私たち。
    ・それまで自意識が裸になって歩いていたけれど、永田和宏という存在が私に薄膜を張ってくれて、生きやすくなりました。
    ・人のこころも体の痛みも、自分自身の、それさえ分かっていないという

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    2025年05月04日
  • 象徴のうた

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    両陛下の歌を通して災害の
    多かった平成の歴史が
    鮮明に浮かび上がる。

    短歌の一つ一つが深いが、
    著者の評によって新たな視点が
    加えられる。

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    2025年03月30日
  • タンパク質の一生 生命活動の舞台裏

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    新書にしては結構専門的な内容。さすが岩波新書。
    専門用語がたくさん出てきてついていくのが少し大変だったが、著者がその都度人間のアナロジーを入れてくれるので分かりやすくはあった。ただメモしながらじゃないとちょっと難しい。高校生物久しぶりにやりたくなった。
    プリオンそのまま体内に吸収されるという記述があったがなぜアミノ酸に分解されてから吸収されないのか、それが疑問で残る。

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    2025年03月29日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    ネタバレ

    曖昧な理解でもやり過ごしてしまう人は、一旦この本の第2部だけでも読んで欲しい。

    3部構成で、第1部は筆者たちがひたすら基礎研究の魅力や何が楽しいか、どんな基礎研究をどう行なってきたか、など基礎研究についてとことん語る。もちろん基礎研究を知らない自分からしたら、ついていけない話題もあった。が筆者たちの楽しそうな語り口のおかげで、楽しく読めた。

    第2部以降は、自分自身胸にグサリと刺さる言葉が多く出てきた。

    役に立つかどうか、効率的かどうか、みたいな観点で現代は物事を判断しがち、と筆者は指摘する。
    また、インターネットも普及して、得たい情報がすぐに手に入ることから、知りたい、という欲求がすぐに

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    2024年11月24日
  • 基礎研究者 真理を探究する生き方

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    会社で研究に携わるとどうしても役に立つかどうかを考えてしまいます。自分の好奇心を大切にしたいと思いました。

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    2024年09月22日
  • 近代秀歌

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    最初は解説が冗長だなと思いながら読み進んだが、膨大な文化的財産を後世に継承するための、現代の若者たちに向けての著者の熱きメッセージであると感じるに至った。
    教養とは人間関係の基盤であり、その共有は喜びであり、何なら礼儀でさえあると説く。その継続こそが文化の継承であると。実に痛み入ります。

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    2024年06月10日
  • 寄り添う言葉(インターナショナル新書)

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    3月に夫を亡くした。覚悟は出来ていたはずなのに。
    気持ちを言葉に出来る人がうらやましい。
    心の中から湧き上がるものを伝えられず、消化出来ない日が続いていたが少し楽になった。
    今は種々の手続きが全て、夫の存在を消していく連続のようで、事務的にこなせずにいる。うずくまっている自分を少し許してもいいかもと思えた。
    同じ立場の人の心が少しでも軽くなりますように

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    2024年05月30日
  • NHK短歌 新版 作歌のヒント

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    「言いたいことは自分で言わず、相手に感じ取ってもらう」のが短歌の本質だそうだ。そして歌を一首作れば、その時の時間に錘がついて、他の時間とは違った意味を持つ、自らの人生時間に押し花のように刻みつけられるもの。ああ短歌って素敵だ。

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    2024年05月03日
  • 京都うた紀行 歌人夫婦、最後の旅

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    短歌を読むようになってから読書のスピードが落ちてしまった。文字数は少ないから早く読めるはずだけど、反芻したり調べたりするから時間がかかるのだ。歌人夫婦二人の最後の共同作業。解説でまた泣かされた。僕も生きている証として地名を入れた歌を詠んでいこうと思う。

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    2024年04月13日
  • 知の体力(新潮新書)

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    ネタバレ

    「勉強をする意味」「本を読む意味」を誰かに聞かれたとしたら、この書籍を薦めると良いかもしれない。一般向けに書かれた物なので読みやすく明解、そして深い。京都大学理学研究科理学部は高校生の頃は自分にとって憧れの大学であり学部であった。そんな大学の名誉教授である永田 和宏氏のエッセイ。
    本書の最後の一文が心に染み渡る。結局は人間でこれなんだよな。

    「どんな大学に入学しても、どんな賞を獲得しても、どんな大会に優勝しても、どんな素晴らしい成功を収めても、心から喜んでくれる人がいなければなんの意味も持たないのとちょうど逆に、ほんのちょっとした自分の行為を心から褒めてくれる存在があるとき、自分がそれまでの

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    2024年03月22日
  • たとへば君 四十年の恋歌

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    じっくりと時間をかけて読ませて頂いた。永田さんと河野さんが出会ったころから、河野さんが亡くなるまでの時間を短歌とエッセイで追体験をさせて頂いた。その間に刺激を受けて僕もいくつか歌を詠んだ。だから読み終えるまで時間がかかったのだ。最後は涙が止まらなかった。

    「手をのべてあなたとあなたに触れたときに息が足りないこの世の息が」

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    2024年03月16日
  • 知の体力(新潮新書)

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    秀作。
    現在日本で知の体力を語るのに相応しい人だと思った。
    院生をいきなり欧米の先端研究大学に送り込む。自分でも出来る自信を付けさせる。これは分かる。大して人の能力に差が無い事に気がつく。
    湯川教授の講義は覚えて無いけど、自信になるのも分かる。
    ただ、世の流れには逆らえない。昔の人の方が手紙が書けるとか、今では無理。でも違う能力が求められている。と私は思う。

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    2024年03月16日