【感想・ネタバレ】タンパク質の一生 生命活動の舞台裏のレビュー

あらすじ

ヒトの体には約60兆個の細胞があり、それぞれなんと80億個のタンパク質を持っているという。日頃意識はしなくとも、生命維持も、遺伝や病気も、私たちの日々の営みはほとんどがこのタンパク質に支えられている! 最先端の科学の現場から、細胞という極小宇宙で休みなく働きつづけている生命活動の主役たちの姿を伝える。

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Posted by ブクログ

資料を読んでいて、どうしても気になる矛盾点があったので質問させてください。

① 54ページ
本文で「コドンGCA=アルギニン(Arg)」と説明されていますが、GCAは通常「アラニン(Ala)」ではないでしょうか?(アルギニンならCGUやCGAなどになるはずです)

② 55ページ
図2-6の流れが、途中から繋がっていないように見えます。 ・左〜中央:Ala - Gly という鎖を作っている ・右(次のステップ):急に Arg - Pro - Ser という鎖に変わっている mRNAの配列も変わっており、時系列の図として成立していないように思うのですが、これは図のミスでしょうか?

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

新書にしては結構専門的な内容。さすが岩波新書。
専門用語がたくさん出てきてついていくのが少し大変だったが、著者がその都度人間のアナロジーを入れてくれるので分かりやすくはあった。ただメモしながらじゃないとちょっと難しい。高校生物久しぶりにやりたくなった。
プリオンそのまま体内に吸収されるという記述があったがなぜアミノ酸に分解されてから吸収されないのか、それが疑問で残る。

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2025年03月29日

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60兆個の細胞、1ミリの100分の1ほどの大きさの細胞それぞれが80億個くらいのタンパク質を持っている!
各細胞の中では毎秒毎秒恐ろしい勢いでタンパク質が作られ続けている。ゆで卵は生卵には戻らないが、細胞の中ではそれに近いことが起こっている。凝集したタンパク質というのはもつれた毛糸玉のようなものだと思えばよい。ドーナツ状の穴の中を通しだんだんとほぐして、等 読んでいてなんかイメージできそうな気がします。

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2021年11月07日

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本当かよ!?というようなことが私たちの細胞内で起きていることを改めて興味深く知ることができた。かつ、まだわかっていないことの追求の楽しさ、喜びを垣間見た。わたしも生涯探究心を失わずにいきたい。

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2021年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかく名著である。なにをもって名著とするか。自分にとっては、読後まで延々と続く鎮めようのない興奮がその証である。身体が打ち震えるかと思うほどの知的興奮だ。

宇宙の誕生が140億年前、太陽系と地球の誕生が46億年前、そのあと6億年が過ぎてようやく生命が誕生し40億年の月日が流れた。淡々とした日々の暮らしの中では、この悠久の時間の流れに思いを馳せることはまずない。40億年の重みを体感するような出来事にそうそう出会わないからだろう。しかし本書を読み痛切にその重み、いや凄みを感じ世界観が一変してしまった。まさに衝撃であった。地味なタイトルで、古本屋でろくに内容をチェックもせずにさくっと買ったものなのに。自分にとっては湯本貴和著の『熱帯雨林』以来の名著との出会いとなった。

著者の永田和宏氏は細胞生物学者で歌人でもある。理系と文系の両刀使いの珍しさゆえか、マス・メディア界での知名度は高い人物だ。現在はJT生命誌研究館の館長。

本書は6章の構成。著者は3章以降を書きたかったと、その執筆動機を明かす。1章と2章はタンパク質が合成される舞台となる細胞やDNAの諸々の説明である。このあたりは生物学の標準的教科書の域を出ない。予備知識がない読者を想定しての前説部分といえよう。続く3章でタンパク質の成熟、4章でその細胞内外への輸送、5章でその終末、6章でその不良品の品質管理を詳説する。まさに「タンパク質の一生」を描き切るわけだ。といっても、全ての謎が解かれたわけではない。「まだよくわからない」と著者は律儀に注釈をつけていく。では逆に、どんなことが解明されているのか。それを辿る前に、そもそもタンパク質がヒトにとってどれだけ重要なものか、またタンパク質が正しく機能するために何が重要かを述べておこう。

ヒトの体内のタンパク質は、遺伝子との対応という観点では2~3万種類、多くて見積もっても5万種類と言われる。その全ての設計図はDNAに書きこまれている。子供が両親から受け継ぐものは、受精卵という細胞と設計図のみである。1個の受精卵が胎児の身体へと成長するにあたり、それ以外のツールは全くないのだ。設計図がタンパク質で出来ていないだけで、細胞においてはタンパク質がタンパク質自身やその他の高分子を合成し、その化学反応を促進するのも酵素と呼ばれるタンパク質、出来上がった化合物を適切な場所に届ける運び屋もタンパク質、さらにその輸送路もタンパク質で出来ており、それを細胞外に押し出すのもタンパク質なのだ。免疫で活躍する抗体も、インシュリンというホルモンもタンパク質である。ヒトの体を構成するモノ、それを円滑に動かすモノ、それらを作るモノさえもほとんどがタンパク質なのだ。

つまりヒトはタンパク質によって生かされている。いや実は生物全てがそうなのである。ヒトはタンパク質という王様の奴隷といっても良い。もしそれがちょっと機嫌を損ねたら、ヒトは簡単に死に至る。とにかく頭に叩きこまねばならないのは、ヒトの身体はタンパク質ワールドであること、そしてタンパク質にこれだけ多様な機能が要求されつつも、それが満足させられる理由は、その立体的な”かたち”によるということだ。

タンパク質が三次元空間に占める”かたち”。それこそが、その機能を決める。自然界と人工界、すなわち世界全体において、一体なにが重要か。抽象的にいえば、それは形と動きなのだ。三次元の空間に”形”がまず在って、その時間経過に沿った”形の変化”が、すなわち”動き”となる。動きが生じるのは自然界に備わる力学の法則や人間の意思による。細胞の世界には意思などない。すべてのイベントは物理的・化学的な法則に従わねばならない。重力が邪魔だからといって、それに逆らった動きを、意思の力で実行することはできない。そのような厳しい制約のもとで、細胞とタンパク質は、いかに豊穣な世界を築いてきたことか。細胞内部は様々な物質がごちゃごちゃにひしめき合って存在し、多様な化学反応が猛烈なスピードで行われる”最新鋭の工場”だ。工場とはあまりに人間的な比喩かもしれない。しかし、そこで行われているイベントを知れば知るほど、どちらが比喩なのか分からなくなる。歴史を振り返れば細胞の活動が先であり、工場がその後なのだから。

で、話を戻そう。タンパク質の一生を、本書に沿って具体的にみていこう。

3章は、タンパク質の立体構造は放って置けば自ずと構築されるのではなく、「分子シャペロン」と呼ばれる一群のタンパク質に介助されながら進むという話である。DNAからの転写と翻訳によって核の外でアミノ酸が連結されポリペプチドが作られる。それを一次構造というが、それが次にらせんになったり、シートになったりと形を作る(ユニットの形成)。この2次構造までは、そんなに手間がかからない。しかし、そのような複数のユニットが立体的に組み立てられるとき、それを三次構造と呼ぶが、様々な制約によって、あるべき形を作れない場合がある。この立体化をフォールディングというが、ミス・フォールディングする不良品がほとんどで、膜のタンパク質などは成功率が2%なのだ。もちろん不良品は、形が崩れているのだから期待される機能が果たせないのは当然である。なので、その成功のために介助役が必要となり、それが分子シャペロンの役割なのだ。例えば、ある分子シャペロンはゆりかごのような形態で、出来立ての一次構造のタンパク質をその中できちんと形をなすまで包んだり、もつれてぐちゃぐちゃになったときは、ドーナツ型の分子シャペロンがその穴にタンパク質を通して一列に揃えたり、また疎水部分が集まったときは、マスクのような形をした分子シャペロンがその部分を保護して水に触れないようにしたりと、まるで至れり尽くせりの世話焼き婆さんのような働きをするのである。もうこれだけの情報量で私はされてしまった。そんな話、今まで聞いたことない!!

ところで無事に立体化したタンパク質は、それだけでは何の役にも立たない。それが本来働くべき場所に行く必要がある。生産場所の近くで働けば良いケースもあるが、核内で仕事したり、細胞自身の骨格になったり、細胞外でホルモンとして機能したり、働く場所は様々である。ところが意思もない、地図もない、自分がどこにいるかも分からないという無い無い尽くしのタンパク質は、目的地にどのようにして辿り着くのだろうか。

4章では、その輸送の仕組みが説明される。これまた、驚嘆すべき精緻なからくりがなのだ。まず核の近くの中心体から微小管という輸送路が放射状に延びている。これもタンパク質で出来ている。そして路線の上を、上昇・下降する貨車のようなモータータンパク質(キネシンとダイニン)が存在し、それがタンパク質やその他の器官を積んで配送するのだ。また輸送の方式には2種類あって、タンパク質自身に行先の情報が書き込まれているハガキ型と、行先が同じ複数の物質をひとつに梱包してバルクで届ける梱包型がある。ハガキ型の場合、行き先の膜に、その住所が記してあり、ハガキの行き先の情報とそれが合致すると、タンパク質がその中に引き込まれる仕組みになっている。ミトコンドリアなどがその実例である。またその他の輸送の実例として、インシュリンやコラーゲンのケースが紹介されるが、そのような個別のケースでもそれぞれに特殊なからくりが備わっており、あまりの精妙なやり口に絶句させられる。いずれにせよタンパク質自身の目印と相手側の膜による受容によって輸送が完結するのであり、いかにかたちが重要かがわかる。

5章では、無事に活躍したタンパク質も、やがてその消滅を迎える様子が描かれる。私はここまで読み進めて、健気に頑張っているタンパク質を愛しく感じ、その死に言及されて少し胸を痛めた。しかし相手はモノである。感情移入してる場合か。それどころかヤツらは強靭かつ柔軟であり、私の悲しみなんて屁とも思わないだろう。というのもタンパク質が死ぬことは、アミノ酸に分解されることを意味するし、それは次のタンパク質の部品になるべく再利用(=リサイクル)されるだけなのだ。死が消滅を意味するのではなくそれは再生なのである。

ヒトは日々200g程度のタンパク質を合成するが、食物からの摂取は70g程度であり、不足する130gのアミノ酸は体内のタンパク質を分解して手に入れるのだ。では、その死(=分解)は、何をきっかけにして起こるのだろうか。2つのケースがある。まず変性したタンパク質が周りに悪影響を及ぼすときであり、次に分解によって別の機能を実現するためである。前者はまあ仕方ないことだし、後者は必須のことである。前者の具体的な例は次の6章で紹介されるので後回しにするとして、後者の例としては体内時計の調節が挙げられる。ここで私はのけぞった。それは以前読んだ本に、睡眠のプロセスには体内時計の働きが必須であると説明されていたものの、「体内時計って何やねん。そんな便利なもの、カラダのどこにあるねん」と、てっきり似非科学のホラ話かと思っていたからだ。しかし今でもWEB上では睡眠について、以下のような記載がある。

「体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。メラトニン(トリプトファンという必須アミノ酸を元に合成されるホルモン)は目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。」

「脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて」かあ。「針が進み」ってさあ、どうなん?相変わらずインチキ臭い表現ではあるが、虚構の存在ではないらしい。というか、「リセット?そんな便利な機能もついとるんかい!」と眉唾度合いがさらに上がる。しかし実はとうの昔に、体内時計という現象を実際に司る時計遺伝子がいくつも発見されているのだ。2017年にはその遺伝子および作動メカニズムの発見に対し、ノーベル生理学・医学賞が与えられているのだ。別にインチキでも、嘘っぱちでもなかったのである。

ちなみに、ヒトの体内時計に基づく1日の周期(=概日リズム)は25時間と言われていたが、その後、より精緻な実験が行われ、今では24時間10分となっている。この10分の意味は、このズレがもし修正(=リセット)されずにいると、30日で300分(=10分×30日)、すなわち5時間ほど周期が後ろにずれることになる。すると仮に22時に眠気に襲われていた人は、30日後には夜中の3時に眠たくなるわけだ。私が常々、疑問に感じていたのは、このリセットのやり方である。

本書ではショウジョウバエの例で、このリセットを説明する。その概略はこうだ。時計遺伝子にa遺伝子とb遺伝子があり、それぞれがAタンパク質とBタンパク質を核外で合成する。それが細胞内で増えてくるとAとBが合体し、核内に戻り、DNAに作用して両タンパク質の合成を止める。そして朝になり眼球に太陽光が入ってくると、その効果で、今まで作られたタンパク質が一斉に”消滅”し、また遺伝子が活性化することで、AとBのタンパク質を作り始めるのだ。この一斉消滅(=タンパク質の分解)こそ、体内時計のリセットを分子レベルで説明することになるのだ。これを知ったときの私の爽快感といったら!「なんだよ、体内時計ってマジもんだったんかあーー」と叫びたくなった。

さてタンパク質の分解の手法には2種類あってオートファジー型とユビキチン・プロテアソーム型がある。前者は不要な物質を一括して膜内にとりこみ、そこにリソソームというタンパク質の分解酵素を大量に含んだ器官が合体し、不要なタンパク質を一網打尽に分解するものだ。ただし分解されたアミノ酸で有用なものは、当然ながらリサイクルする。後者は特定の不良タンパク質に目印をつけそれを分解しにかかる。タンパク質も毒や熱など様々なストレッサーにさらされて変性してしまう。変性とは立体構造が崩壊することだ。するとそれに気づいて元に戻す機構があれば良い。それが不良品の品質管理である。

6章は、細胞がそういった品質管理のために、多段階の修正システムを持っているという凄まじい話である。「あんた、その現場を見たの?」と問い質したくなるほどだ。タンパク質の多くは小胞体という細胞内小器官の内部で作られるが、もし不良品が生じると、その内部に留め置き、それを外部に流出させない仕組みをもつ。ただしその機構はまだ明らかではないらしい。それ以外に4つの対応が考えられる。まずは同種のタンパク質の生産停止、次に不良品の修理、それでもダメなら不良品の解体と部品のリサイクル、最後は製造中止である。細胞の働きでいうと、mRNAからポリペプチドへの翻訳の停止、分子シャペロンによる修正、小胞体関連分解、細胞のアポトーシス(自死)である。この対応も同時に行われるのではなく、この順序で行われるのだから、もう驚くしかない。きちんとそれによって生じるコストとのバランスを考えて、対応策を実行しているのだ。

この品質管理という研究分野は、ヒトにとってとりわけ重要なものになった。不良品の品質管理がうまく働かず、結果としてタンパク質の変性・凝集を引き起こし、それが原因で生じる病気がいくつも発見されたからだ。有名なものでは、白内障やアルツハイマー病、パーキンソン病などがある。特に神経細胞では、内部のタンパク質がなんらかの原因で変性し凝集して細胞が壊死してしまうと、その再生が利かないため病状がどんどん悪化する。人間の細胞の再生能力は個々の器官によって差がある。フルに再生できる肝臓などと違って、心臓と神経はいったんその細胞が死ぬと補充が利かないのが難点であり、細胞の死が致命的となるのである。品質管理の研究が重要なのは、不良タンパク質の修復システムの欠点を明らかにすることが、再生能力のない細胞の危機を救うことに繋がっていくからである。

生命が誕生してからの40億年。悠久の歴史は進化の試行錯誤を通じて驚くべき精緻なシステムを創造した。タンパク質は、それをまざまざと実感させるのに、この上ない素材である。私はその重みに痺れまくって、合理性の極致を感じてしまった。それは私だけだろうか。本書にも登場する吉田賢右氏が、科学の謎について「なぜ、そうなのか。」と執拗に問い続ける人に対し、こう答えている。

「一番簡単な答えは、無計画無作為な物理法則の下でこんな巧妙な調和のとれたものができるはずがない、高度な知性を持った超越者が世界を設計し作成したのだ、というものです。昆虫学者のファーブルなどの科学者もそう考えていましたし、今でもインテリジェント・デザインという超越者の存在を主張する有力な運動が米国にあります。」と。

科学者はもちろん一番簡単な答えに逃げはしない。謎に執拗に挑戦して、これからもどんどん知的興奮を与えてくれることを心から望むばかりだ。

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2021年03月21日

Posted by ブクログ

小さなタンパク質の精巧な生成過程に感動した。 進化論だけではとても説明できないような気がした。 進化の歴史が自分の想像をはるかに超えるほど長いということだろうか。

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2018年10月13日

Posted by ブクログ

細胞の仕組みをそこで働くタンパク質を取り上げてその一生を追いかける。タンパク質の誕生、その成長、その輸送、輪廻転生、そして品質管理。DNAに保存された情報をmRNAに転写し、リボソームはmRNAを端から3塩基ごとに翻訳してアミノ酸を作り出す。そのアミノ酸はペプチド結合で一本のひものようにつながっていく。そしてこのポリペプチドを構造をもった形に整形して機能を持たせる。それでようやくタンパク質となる。どこにでもあるタンパク質であるが、その仕組みを知れば知るほど自然の作り出す精緻な仕組みに驚く。進化と一言でいうが、遺伝子の突然変異などによる試行錯誤と自然選択だけでこれほどの精緻な仕組みが出来上がるのだろうか?多数の試行ととんでもなく長い時間のおかげか。

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2018年10月20日

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今まで読んだ新書の中でいちばん面白かったです!
テーマとなるタンパク質が馴染み深いものであるだけに、聞いた事のある用語も頻出し、簡単に入りこめます。とくに、コナンを読んだことがあるなら始め数ページで興味を持つ事がっちり請け合いです。

タンパク質と人間の生涯の違いは、恋をしないことくらいかもしれません。彼らは淡々と、生まれて育ち、ときに病気になったり間違いを冒したりもしながら、せっせと働きやがて死んでいきます。中には途中で自殺を選ぶものもいます。
タンパク質の生涯はすべて、世界である私たちを保つためのものなのです。感動して涙すら出てしまいます。

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2013年04月28日

Posted by ブクログ

タイトル通りたんぱくの一生について、かなり専門的な部分について解説しながらも、読み手が理解できるところまで噛み砕いて説明している。

自身を(まさに)形作っている細胞の正体について知らないのは、あまりにもずさんすぎるだろうと思い、本書を購入したのだが・・・、読んでみると驚愕の一冊である。

細胞組織のなんと精緻なことか!
しかしそれでいて、彼らの仕事の大雑把なところは人間という特性の最小単位を体現しているようで非常に興味深い。

たしかに、本書は専門的であり、読みにくい。しかし、ペンと紙を用意しイメージを描きながら読み進めることで十二分に本書を理解し楽しむことができるだろう。

本書は、岩波新書の中でも文句なしに名著の部類に入る一冊である。

読み終わった後には、自分の体を多少なりとも尊敬することになるだろう。

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2012年05月23日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
細胞という極小宇宙で繰り広げられる生命活動の主役はタンパク質である。
それぞれに個性的なタンパク質には、その誕生から死まで、私たちヒトの一生にも似た波乱に富んだ興味深いドラマがある。
数々の遺伝病やプリオン病・アルツハイマー病など、タンパク質の異常が引き起こす病気の問題も含め、最先端の科学の現場からレポートする。

[ 目次 ]
第1章 タンパク質の住む世界―細胞という小宇宙
第2章 誕生―遺伝暗号を読み解く
第3章 成長―細胞内の名脇役、分子シャペロン
第4章 輸送―細胞内物流システム
第5章 輪廻転生―生命維持のための「死」
第6章 タンパク質の品質管理―その破綻としての病態

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年05月21日

Posted by ブクログ

平易な文章で、説明もうまく実に読みやすい。
タンパク質という1つのテーマを、一生になぞらえて(というか実際そうなのだが)そのシステムを追っていく。そうすることで、システムの様々な要素が、一つ一つ意味を明確にもち、理解もしやすい。変に教科書的な説明にならない点、実に新書的に素晴らしいと思う。
生物関連の内容を扱った本を読むたびに、そのシステムの複雑さ・巧妙さに驚かされるが、本書ももちろん例外でない。
物理学が自然をシンプルなものに還元していく方向(もちろんその過程の複雑さはある)であるのに対し、生物学は途方もなく複雑なシステムであることを発見していく学問であると言えるのかもしれない。著者も言うように、新たな要素の発見がさらにシステムを複雑・巧妙にしていくということなのだから、それも当然かも知れない。

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2011年04月23日

Posted by ブクログ

タンパク質と言われても三大栄養素の一つくらいの認識だが、本書でそれを更新する。先ず、タンパク質とは「アミノ酸が一列につながったもの」。アミノ酸はタンパク質を構成する基本的な分子である。アミノ酸を作る原子は何でもいいわけではなく、窒素・酸素・炭素・硫黄・水素の五種類。私たちの身体で働くタンパク質を作っているのは20種類のアミノ酸である。

タンパク質は、5~7万種類くらいあるらしく、その寿命も様々。数分という短い寿命しか持たないものもあれば、筋肉を作っているミオシンや、赤血球の主成分で酸素を運搬するヘモグロビン、目のレンズを作っているクリスタリンなどのように、数カ月の寿命を持つものもある。

タンパク質の一生。つまり、体内で「つくられ、働き、壊される」という一連のサイクルについて。強調されるのは、DNAが「設計図」だとしても、実際に生命を形づくり、動かすのはタンパク質に他ならないという事実。

「遺伝子」が生命を規定するが、生命を動かすのはタンパク質である。

そこで本書はより専門的な内容へと踏み込んでいくが、自分自身の理解を深めるためにこんな整理をしてみた。身体単位をプロジェクトで言うと。

プロマネ・設計・方針:DNA
計画書・予算書:RNA
従業員・生産設備:タンパク質
資金・インフラ:水・糖・脂質
情報通信:無機イオン
給与・電気:ミトコンドリア
廃棄処分:リソソーム

「作る」ことと同じくらい「壊す」ことが重要だという。「作る」と「壊す」の循環。役割を終えたタンパク質が潔く分解され、その資源が再利用されることは、生命システムが持つ効率性と持続に必要なプロセスだ。

壊す美学。先に従業員に例えてしまったから意味深だが、自らの身体に学ぶ、身体を学ぶ一冊。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

細胞生物学をシロウト向けにわかりやすく解説した本。ニュースでたまにIPS細胞にことがでたりするが、この本のように素人の基礎になる本を読んでおくと俄然として興味が沸いてくる。自分の仕事にはまったく関係ないのだが、前提知識なしで楽しめた。

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2019年05月10日

Posted by ブクログ

人間はおよそ60兆個の細胞で構成されているとのことですが、細胞という舞台では様々なタンパク質という名の役者が様々な役割を果たして極めて精緻なシステムを稼働させています。本書は、その様子をわかりやすく説明してくれています。細胞のなかで起きているタンパク質の製造工程や品質管理の巧みな仕組みは驚かずにはいられません。とても好奇心をそそられました。

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2018年08月07日

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ミトコンドリア!
元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。

分子シャペロン!
タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。
細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が入れ替わる。
体重の2割弱がタンパク質。

プリオン病(BSE狂牛病)伝播型プリオン
ただタンパク質が細胞に入り込むだけでDNAは全く関わりなく増殖する。簡単にいえば、BSEに感染した牛肉を食べるだけで感染する。プリオンは熱に強く100度で煮沸しても一部が残存する。正常型プリオンは普通に体内に存在していて、それを巻き込んで伝播型プリオンが増殖していく。
怖い病気だ。

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2016年12月10日

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ヒトの身体はその60〜70%が水分であるが、固形成分の約20%はタンパク質である。そして、そのタンパク質の約3%は、毎日古いものから新しいものへと入れ替わり続けている。およそ3ヶ月で体内のタンパク質はすべて入れ替わることになる。ヒトを構成するタンパク質は5〜7万種類。これはDNAの情報に従って20種類のアミノ酸を配列合成したものである。しかし、合成されたタンパク質のうち、正しく機能する(フォールディングする)ものは30%ほどしかないものも少なくない。(中には2%ほどものもある!)では、いかにしてヒトの身体はヒトとして維持されているのか。タンパク質の絶え間ない合成と分解のメカニズム。

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2013年04月01日

Posted by ブクログ

"あのiPS細胞研究室の隣で研究していた人"

【選書理由】
タンパク質について学びたかった。
新書でどのように書かれるのか興味があった。

【感想】
著者のプロフィールを見て驚きました。
永田さんは歌人でもあるのですね。なかなか読みやすかったです。
内容は知っていることが多く、これまでの復習という形で読み進めていきました。
著者が医学系ということで実際の病気に結びつけて解説している項目が多々あり、楽しめました。
分子シャペロンのところは著者の専門とあって詳しく書かれていましたが、難しくはないです。
理系じゃなくても十分読めます。
そして、タンパク質の、生命システムの凄さが分かると思います。

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2011年02月08日

Posted by ブクログ

人の身体は日々、新陳代謝を繰り返しながら新しく生まれ変わっている。ということは、当然ながら体内で生成されたタンパク質も生まれては死んでいくことになる。

本書は体内の20%を占めると言われるタンパク質が、どのようにさまざまな分別を持って生まれて来て、働き、治療され、そして死んでいくのかが非常にわかりやすく描かれている。

遺伝子が建築の設計図に喩えられたなら、タンパク質は素材や部品である。設計図の研究が進んだ結果が応用され、素材や部品に対しての知識が非常に広がって、品質管理やリサイクルといった高度なシステムが明らかになっていっている。本書はその入門として、一端を垣間見せてくれる。

システムがもつ緩さと厳格さの二面性が非常に興味を惹かれた。

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2010年01月11日

Posted by ブクログ

 タンパク質の一生を追いかけることで、タンパク質を理解しましょうという本です。タンパク質の基本から丁寧に抑えていて、理解しやすい本と言えます。特にこの本のハイライトたる分子シャペロンについての記述は、著者が力を入れているだけあって興味深いものがありました。もっとも、DNA、mRNA、tRNAの働きについての記述部分も、個人的にはわかりやすくお気に入りです。
 こんだけ褒めてなぜ5点でないか。それはやはり理解が困難な部分があり、どうしてもそこが気になるからです。しかし、いい本であることは疑いがありません。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

病気ってたんぱく質の異常だったり 異常なタンパク質が 分解されなかったり タンパク質が足りなかったりすることなんだそうか にんげんって タンパク質の固まりかぁ  

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2011年09月20日

Posted by ブクログ

すごいぞ、体。
すごいそ、細胞。
というか、すごいぞ人間!

こんなに高度なシステムなのか、驚愕した。
というか、解析したことがそれ以上にすばらしい。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

DNAからmRNAに遺伝情報が転写されてアミノ酸が合成されるプロセスは学校で習った気もするしよく知られている。本書は、そこから先のタンパク質の振る舞いについても解説した本。誕生−成長−輸送−輪廻転生+品質管理と章立てされている。まさに分子生物学の最前線なのだろう。

・DNAはめちゃコンパクトに折り畳まれているが一本のヒモである。枝分かれなのない一本のヒモなので、そこから作られるアミノ酸の列も一本のヒモになる。情報の保存のためにはこれ大事。

・分子シャペロン。アミノ酸の列=ポリペプチドがきちんと折り畳まれて(フォールディング)タンパク質になるのを手助けするタンパク質。まず、らせん状のαへリックスや平たいβシートを形作ってから、立体的な3次構造を作る。さらにサブユニットが会合して4次構造となる。ポリペプチドはきちんとフォールディングされるとは限らず、結構失敗して分解されたりしている。

・アミノ酸には親水性のものと疎水性のものとがある。基本水分の細胞内部にタンパク質
がうまくなじむには外側を親水性にして、疎水性のアミノ酸は内側に配置しないといけない。また疎水性のアミノ酸同士は凝集しやすいのでそれもまずい。

・システインに含まれる硫黄同士が結合するジスルフィド結合。タンパク質のフォールディングのクリップ的役割。

・分子シャペロンは熱ショックタンパク質(HSP)・ストレスタンパク質としても働く。熱などのストレスがかかった時に誘導されて、タンパク質の変性を防いだりする。また変性したタンパク質を元に戻すシャペロンすらある。

・合成されたタンパク質の輸送には、宛先指定に葉書式と小包式がある。微小管などの繊維が細胞内を走っており、小胞がそれの上を目的地まで走る。複雑。

・アミノ酸はリサイクルされている。数分の寿命しかないタンパク質から、数ヶ月の寿命を持つものまである。時間遺伝子もタンパク質の分解を利用している。ピンで分解するユビキチン・プロテアソーム系と、バルクで分解するオートファジー系とがある。

・品質管理のステップ。生産ラインのストップ→シャペロンによる修理→廃棄処分→細胞アポトーシスすなわち工場ごと閉鎖。うまくいかないとフォールディング異常病に。白内障、アルツハイマー、パーキンソン、プリオン病・・・

まさにミクロコスモス。これが自分の体で起こっていると真剣にイメージすると眩暈がしそうだ。

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2018年11月05日

Posted by ブクログ

 タイトルの通りタンパク質の生成から廃棄までをわかりやすく説明している。特に分子シャペロンと呼ばれる、タンパク質の折り畳みなど正常なタンパク質を生成するのに不可欠な物質に重点を置いた説明が多かった。説明の省略が多いような気もしたが、おそらくこれ以上の説明をしようとすると専門的になりすぎて一般向けの範疇を越えてしまうのだろうと思う。それぐらいにギリギリのラインで理解できる説明となっていた。最後にタンパク質の以上で発生する病気について触れていたが、プリオン病(BSE)がなぜ恐ろしいのか、つまり異常プリオンを取り込むだけで連鎖的に正常なプリオンに異常が起きてしまう、ということがわかりやすく説明されていた。

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2013年03月21日

Posted by ブクログ

だれの一生?

タンパク質の一生。題がおもしろいので買ったはいいが

難しいかった。

タンパク質は、肉や大豆等を思い起こす。

タンパク質は、細胞の一つ一つを構成し、人の命を支える。

たまには、たんぱく質を意識して、食べるか。。。

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2011年10月08日

Posted by ブクログ

面白かったです。とても興味深い内容。細胞、分子の単位でそんな壮大な物語が展開されているとは思わなかったです。後半から少し難しくなり、全てを飲み込めたわけではないですが、知識を深めてもう一度読み直したいと思います。

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2011年09月27日

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