永田和宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
明治以降の歌人が生んだ「日本人ならこれだけは知っていて欲しいと思う歌を集めて,解説し」た本.
久しぶりに短歌を読んだ気がするが,毎日少しずつゆっくり読んで実に楽しい読書だった.もちろん取り上げられている百首もいいのだが,永田和宏さんの歌人の立場からの解説が新鮮でとてもいい.ただ読んでいるだけでは素通りしてしまうようなことにいろいろ気づかされた.
既に知っていたものは四分の一ほど.高校時代に教科書で習った石川啄木とか斎藤茂吉とかはとても懐かしい.与謝野晶子の歌はあまり知らなかったが,骨太でいい歌が多い.若山牧水ももっと読んでみたいと思わされた.
これまで名前しか知らなかった人たちの歌にふれ -
Posted by ブクログ
自分には短歌の鑑賞眼がないなあとよく思う(他のものについてならあるのか?という痛い問いは置いとくとして)。何故というに、私がいいなと思うのは、どう見てもセンチメンタルな歌ばっかりだからだ。散文なんかだと、感傷的な気分がダダ漏れになっているものは忌み嫌っているくせに、短歌だとすぐにぐっとくる。泣いちゃったりする。そもそも短歌というのが、そういう湿った叙情によく合う性質を持っているのだろうが、それにしても、我ながらこの「女学生趣味」はちょっとどうかと思う。
本書の「はじめに」には、日々の暮らしの中で大切なことを大切な人に日常の言葉で伝えるのは絶望的に難しいが、歌でなら伝えられると書かれている。「 -
Posted by ブクログ
難しい書き方はしていないし奇をてらっていないのに、秀歌が多い作者の作品なら、ちゃんと実作の視点に立って「これ」と選歌して紹介しているのがとてもいい。
短歌に親しんだことがなくても何となく耳にしている作品について、改めて鑑賞するというのは、何となく欠けていた自分のピースがちゃんとハマった感じがしてすっきりする。
教科書で習ったきりの文学史・短歌。
そんな風に感じておられる方も、
短歌は好きで色々読んでみたけど、一度スタートに返って
名作というものを気軽に鑑賞しようという方も手に取られると
いいかなと思う。
私自身も、短歌は好きだが、この本でもう一度作品に触れた
ことで、歌集をきちんと読ん -
Posted by ブクログ
ヒトの身体はその60〜70%が水分であるが、固形成分の約20%はタンパク質である。そして、そのタンパク質の約3%は、毎日古いものから新しいものへと入れ替わり続けている。およそ3ヶ月で体内のタンパク質はすべて入れ替わることになる。ヒトを構成するタンパク質は5〜7万種類。これはDNAの情報に従って20種類のアミノ酸を配列合成したものである。しかし、合成されたタンパク質のうち、正しく機能する(フォールディングする)ものは30%ほどしかないものも少なくない。(中には2%ほどものもある!)では、いかにしてヒトの身体はヒトとして維持されているのか。タンパク質の絶え間ない合成と分解のメカニズム。
-
Posted by ブクログ
"あのiPS細胞研究室の隣で研究していた人"
【選書理由】
タンパク質について学びたかった。
新書でどのように書かれるのか興味があった。
【感想】
著者のプロフィールを見て驚きました。
永田さんは歌人でもあるのですね。なかなか読みやすかったです。
内容は知っていることが多く、これまでの復習という形で読み進めていきました。
著者が医学系ということで実際の病気に結びつけて解説している項目が多々あり、楽しめました。
分子シャペロンのところは著者の専門とあって詳しく書かれていましたが、難しくはないです。
理系じゃなくても十分読めます。
そして、タンパク質の、生命システムの凄さが -
Posted by ブクログ
人の身体は日々、新陳代謝を繰り返しながら新しく生まれ変わっている。ということは、当然ながら体内で生成されたタンパク質も生まれては死んでいくことになる。
本書は体内の20%を占めると言われるタンパク質が、どのようにさまざまな分別を持って生まれて来て、働き、治療され、そして死んでいくのかが非常にわかりやすく描かれている。
遺伝子が建築の設計図に喩えられたなら、タンパク質は素材や部品である。設計図の研究が進んだ結果が応用され、素材や部品に対しての知識が非常に広がって、品質管理やリサイクルといった高度なシステムが明らかになっていっている。本書はその入門として、一端を垣間見せてくれる。
シス -
Posted by ブクログ
まさか炉の材質、厚み、高さなど各種寸法から操業の一部始終まで解説されるとは思わなかった。鉧(けら)や銑(ずく)など、読み方も意味も分からない。本書を読んで自分で鉄を作ってみてね、ということなのか… プロト・ヒッタイトで初めて鉄が3700年前に知られて以来、言われてみれば鉄は最も使われている金属だといえそうだ。地球の核も鉄で1/3の質量を占める。鉄は炭素を吸収すると融点が下がり、銅と同じように木炭で溶かすことができた。最初はアナトリアで銅鉱石が少なくなり、硫化鉄を含む硫化銅鉱石を用いたことで偶然に発見されたようだ。取り除いた不純物は石灰と反応してスラグ(ノロ) として分離される。スラグを見れば製
-
Posted by ブクログ
歌人であり細胞生物学者でもある著者。
著者が書いた亡き妻の闘病記を2冊くらい読んでとても感銘を受けた記憶がある。
大変な愛妻家で、ご家族はさぞかし、妻の河野裕子氏が亡くなるときには著者のその後が心配だっただろうなあと。それこそ、当の河野氏も、著者をおいて逝くことが一番の気がかりではなかったかと赤の他人の私ですら思うくらい。
本書は、タイトル通り、様々な歌集や一般の人が詠んだ歌などを引いて、人生の機微を思いめぐらしている。
著名な歌人の格調高い歌も数多くあり、誰もが一度は見たことのある有名な歌もいくつもあるものの、中にはちょっと間の抜けたような、人間のだらしなさのようなものを詠った歌もあり、むし -
Posted by ブクログ
ネタバレ著名な方々(山中伸弥、羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏)の講演・対談集。この著名人の中に興味がある人がいれば楽しめる。何者でもなかった頃、いわゆる若手時代が語られている。自分に響いた箇所は以下。
「どうしたってインターネットで得られないものがある。それは、考え方です。知識をどう使うか。どうやっておもしろいことを見つけ出すか。」
「人間の一番重要な能力は、諦めないということです。動物はできなかったら諦めちゃう。人間はしつこいんです。」「失敗しても失敗しても諦めない。だから人間は空を飛べるようになったし、海中深く潜れるようになったし、様々な道具を発明して、人間の身体以上のことができるよう