永田和宏のレビュー一覧
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ミトコンドリア!
元々何億年も前に、人間の細胞に進入して、そのまま共生するようになったバクテリア。つまり元を辿れば人間と別の生物だった。
分子シャペロン!
タンパク質に関して言えば、およそ3か月でほぼ入れ替わる。
細胞のレベルにおいても、一年経つと身体を構築する全細胞の90%が入れ替わる。
体重の2割弱がタンパク質。
プリオン病(BSE狂牛病)伝播型プリオン
ただタンパク質が細胞に入り込むだけでDNAは全く関わりなく増殖する。簡単にいえば、BSEに感染した牛肉を食べるだけで感染する。プリオンは熱に強く100度で煮沸しても一部が残存する。正常型プリオンは普通に体内に存在していて、それを巻き込んで伝播型プリオンが増殖していく。
怖い病気だ。 -
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夫婦が出会ってから、妻の死までの日々を、二人の文章と、折々の短歌で綴ったアンソロジー。
遺された夫、永田和宏さんの、河野裕子さんへの愛情が今も尽きないことがよくわかる。
病に倒れてからのことが書かれた章は、重い病を得た人の惑乱も、それを近くで見つめる家族のつらさも、どちらも胸が詰まる思いで読んだ。
とりわけ、同じように家族を乳がんで亡くしたことのある身には、残された側の、あの時なぜこうしなかったのか、という後悔は身につまされる。
いつか、今度は病を得て、病の苦しみと、それを受け入れなければならない不条理にのたうち回る立場になる日が来るのだろうけれど...自分や家族はどうなっていくだろう。
「たとへば君」の歌くらいしか知らなかった私には、河野さんの人柄や生い立ちのある程度が知れて、新鮮な思いもした。 -
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明治以降の歌人が生んだ「日本人ならこれだけは知っていて欲しいと思う歌を集めて,解説し」た本.
久しぶりに短歌を読んだ気がするが,毎日少しずつゆっくり読んで実に楽しい読書だった.もちろん取り上げられている百首もいいのだが,永田和宏さんの歌人の立場からの解説が新鮮でとてもいい.ただ読んでいるだけでは素通りしてしまうようなことにいろいろ気づかされた.
既に知っていたものは四分の一ほど.高校時代に教科書で習った石川啄木とか斎藤茂吉とかはとても懐かしい.与謝野晶子の歌はあまり知らなかったが,骨太でいい歌が多い.若山牧水ももっと読んでみたいと思わされた.
これまで名前しか知らなかった人たちの歌にふれられて,ひとつ世界が広がった感じのする読書だった.現代秀歌もぜひ読みたい. -
Posted by ブクログ
自分には短歌の鑑賞眼がないなあとよく思う(他のものについてならあるのか?という痛い問いは置いとくとして)。何故というに、私がいいなと思うのは、どう見てもセンチメンタルな歌ばっかりだからだ。散文なんかだと、感傷的な気分がダダ漏れになっているものは忌み嫌っているくせに、短歌だとすぐにぐっとくる。泣いちゃったりする。そもそも短歌というのが、そういう湿った叙情によく合う性質を持っているのだろうが、それにしても、我ながらこの「女学生趣味」はちょっとどうかと思う。
本書の「はじめに」には、日々の暮らしの中で大切なことを大切な人に日常の言葉で伝えるのは絶望的に難しいが、歌でなら伝えられると書かれている。「歌を表現の手段として持つということは、そのようなどうにも伝えにくい、心のもっとも深いところに発する感情を、定型と文語という基本の枠組みに乗せて、表現させてくれるものなのである」と。
そうであるならば、やっぱり私はつくづく、ロマンティックでセンチメンタルなものが好きなんだろうなあ。この歳になってそうなんだから、こりゃもう仕方がなかろう。
ここでは「近代秀歌」以降の百人の歌人が紹介されている。正直言って、解説を読んで「ふーん」で終わってしまう歌も結構あったのだが(不勉強で面目ない)、女性歌人を中心に心ひかれるものも多かった。馬場あき子さん、栗木京子さん、中条ふみこさん、道浦母都子さん、そして、美智子皇后。やはり私は、どうしてもその実人生と重ね合わせること抜きに歌を読むことはできない。三十一文字の向こうに垣間見える「その人のありよう」が胸を打つ。著者は、過剰に内容や背景に寄りかかった「<意味読み>をしない」と読者を戒められているが、うーん、それはとても難しい。
心に残った歌をいくつか。
「退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都」 栗木京子
「てのひらに君のせましし桑の実のその一粒に重みのありて」 美智子皇后
「かきくらし雪ふりしきり降りしづみ我は眞實を生きたかりけり」 高安国世
「階段を二段跳びして上がりゆく待ち合わせのなき北大路駅」 梅内美華子
「死の側より照明(てら)せばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも」 齋藤 史
「一分ときめてぬか俯す黙禱の「終わり」といへばみな終わるなり」 竹山 広
「夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん」 馬場あき子 -
Posted by ブクログ
難しい書き方はしていないし奇をてらっていないのに、秀歌が多い作者の作品なら、ちゃんと実作の視点に立って「これ」と選歌して紹介しているのがとてもいい。
短歌に親しんだことがなくても何となく耳にしている作品について、改めて鑑賞するというのは、何となく欠けていた自分のピースがちゃんとハマった感じがしてすっきりする。
教科書で習ったきりの文学史・短歌。
そんな風に感じておられる方も、
短歌は好きで色々読んでみたけど、一度スタートに返って
名作というものを気軽に鑑賞しようという方も手に取られると
いいかなと思う。
私自身も、短歌は好きだが、この本でもう一度作品に触れた
ことで、歌集をきちんと読んで鑑賞してみようかなと思ったものがたくさんあった。
自分の好みだけで作品を鑑賞していると、こういう経験が
自分に新しい風を入れてくれる気がする。
例えば
君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
(北原白秋)
人妻をうばはむほどの強さをば持てる男のあれば奪られむ
(岡本かの子)
不来方のお城の空に寝ころびて空に吸はれし十五の心
(石川啄木 『一握の砂』)
ひた走るわが道暗ししんしんと怺へかねたるわが道くらし
(斎藤茂吉)
かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏のゆふぐれ
(若山牧水)
街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る
(木下利玄)
呼吸すれば、胸の中にて鳴る音あり。凩よりもさびしきその音
(石川啄木『悲しき玩具』)
あなたは勝つものと思ってゐましたかと老いたる妻の
さびしげにいふ(土岐善麿『夏草』)
かにかくに祇園はこひし寝るときも枕の下を水のながるる
(吉井勇『酒ほがひ』)
葛の花踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり
(釈迢空『海やまのあひだ』)
くれなひの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる
(正岡子規『竹乃里歌』)
うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花
(若山牧水『山桜の歌』)
牡丹花は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置の確かさ
(木下利玄『一路』)
火の奥に牡丹崩るるさまを見つ(加藤楸邨『火の記憶』)
白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり
(長塚節『長塚節歌集』)
左様ならが言葉の最後耳に留めて心しづかに吾を見給へ
(松村英一『樹氷と氷壁以降』)
試みに、自分が今まで名を知っていても、じっくりと味わった
ことがなかった歌人の作品で、殊に気に入ったものだけを
挙げてみた。
こうすると、やはり好みが自分なりにあることも見えてくる。
正岡子規も石川啄木も若山牧水も、理由もないのに
食わず嫌いをしてきた。
教科書で習ったものや、有名な句が好きでなくても
一度くらい有名な句集くらいはパラパラとめくって
見るのがいいかもしれない。
この本の著者である永田氏が、別書において
「作品というのは1首だけで鑑賞してゆく時と、
句集の中で前後の繋がりの中で味わう
時とは、また違った感想をもたらすので、
ぜひ句集全体を手にとって読んでほしい」
というような意のことを書いていらしたことと
照らし合わせると
やはり名の知られた歌人の有名作品に、
自分の気に入ったものがなくても
それが収録されている歌集を手にとってみると
思いがけず他の歌が気に入ったり、新たな気持で名歌を
鑑賞できるかもしれない。
あるいはこのような鑑賞書を読むことで、その良さに
気付くこともあるし。
短歌や俳句に親しもうと思ったら、好きな句をこうして
抜き書いて、自分だけのアンソロジーを作るのがいい。
何しろ自分好みの作品だけがぎっしり並ぶのだもの。
それにしても、世代を超えた共通の知的な基盤や財産が
ないのは、この本のあとがきにある通り、残念だと思う。
岩波新書や文庫、先生の作ってくださったブックリスト。
それを片っ端から読んでいく。
難しくても、同じようなことをしている友人と
競うように読んで、どれが面白かった
この論考はどうだったと、背伸びして話し合う経験。
大人であっても学業を終えた後、あえてそのようなことを
継続して、喧々諤々と、あるいはひとりでゆったりと。
自分の知らない領域へと、本を繙き旅をする。
そして、家族や友人・恋人と分け合う。
そのぞくぞくする楽しさ。
自分の鼻っ柱を折られ、自分も斬り込んでゆく快感。
それを知らなかったり、忘れてしまうのは勿体無い。
短歌もそうだ。わからない、なんて言わずに。
難しいなら何度も読んだらいい。
わからなかったら、分かるまで付き合ってみたらいい。
ちょっとでも自分の中の何かを揺らしてくれたなら。
そこから新しい世界が広がる。
私は死んでしまうそのきわまで、
そんな世界の旅人でいたい -
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ヒトの身体はその60〜70%が水分であるが、固形成分の約20%はタンパク質である。そして、そのタンパク質の約3%は、毎日古いものから新しいものへと入れ替わり続けている。およそ3ヶ月で体内のタンパク質はすべて入れ替わることになる。ヒトを構成するタンパク質は5〜7万種類。これはDNAの情報に従って20種類のアミノ酸を配列合成したものである。しかし、合成されたタンパク質のうち、正しく機能する(フォールディングする)ものは30%ほどしかないものも少なくない。(中には2%ほどものもある!)では、いかにしてヒトの身体はヒトとして維持されているのか。タンパク質の絶え間ない合成と分解のメカニズム。
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"あのiPS細胞研究室の隣で研究していた人"
【選書理由】
タンパク質について学びたかった。
新書でどのように書かれるのか興味があった。
【感想】
著者のプロフィールを見て驚きました。
永田さんは歌人でもあるのですね。なかなか読みやすかったです。
内容は知っていることが多く、これまでの復習という形で読み進めていきました。
著者が医学系ということで実際の病気に結びつけて解説している項目が多々あり、楽しめました。
分子シャペロンのところは著者の専門とあって詳しく書かれていましたが、難しくはないです。
理系じゃなくても十分読めます。
そして、タンパク質の、生命システムの凄さが分かると思います。 -
Posted by ブクログ
人の身体は日々、新陳代謝を繰り返しながら新しく生まれ変わっている。ということは、当然ながら体内で生成されたタンパク質も生まれては死んでいくことになる。
本書は体内の20%を占めると言われるタンパク質が、どのようにさまざまな分別を持って生まれて来て、働き、治療され、そして死んでいくのかが非常にわかりやすく描かれている。
遺伝子が建築の設計図に喩えられたなら、タンパク質は素材や部品である。設計図の研究が進んだ結果が応用され、素材や部品に対しての知識が非常に広がって、品質管理やリサイクルといった高度なシステムが明らかになっていっている。本書はその入門として、一端を垣間見せてくれる。
システムがもつ緩さと厳格さの二面性が非常に興味を惹かれた。