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職退きて精神は楽になりましたいのちの維持費が少しかかります 大建雄志郎
維持費…毎月いくらぐらいかしら。気になる。
忘れたのではない最初の一字が出ないだけあの人あの人 えーとあの人 永田和宏
私もたまに「あ」から辿って思い出そうとする。
この家に君との時間はどれくらゐ残つているか梁よ答へよ 河野裕子
癌に罹患し、夫である永田和宏との時間はどれほど残っているのか、新築した家の梁に問いかける。
などなど、歳とるとそっかこうなるのか〜、ではなく、すでに身につまされるものばかり。
お酒関係では若山牧水と斎藤茂吉がやはり。
再来年の朝ドラが楽しみ。まだまだ死ねません。
Posted by ブクログ
人生の後半にこそ心にしみる名歌をテーマごとに紹介する。定年、老後と金、老いらくの恋、介護、死別、食や酒のたのしみなど、様々な歌を読むと楽しい。「人生の終わりを徐々に知らしめていよいよ長き晩年がくる」「誰かひとりくらいは来てもよさそうなひとり暮らしの夕ぐれである」「沢瀉は夏の水面の白き花 孤独死をなぜ人はあはれむ」「浅き眠りの父を傍に読みふける介護の歌なき万葉集を」「『空きを待つ』その空きの意味思いけり特別養護老人ホーム」「今しばし死までの時間あるごとくこの世にあはれ花の咲く駅」「死はそこに抗ひがたく立つゆゑに生きてゐる一日一日はいづみ」「どっちみちどちらかひとりがのこるけどどちらにしてもひとりはひとり」
Posted by ブクログ
ここ数日、薬の副作用で体調が悪く本を読めませんでした。
でも、私は胃腸科では逆流性食道炎があるので「食べてから3時間は横にならないでください」と言われているので寝ているわけにもいかず、二日前からちょっと辛かったですが、この本をがんばって読みました。
この本は先々週だったか、読売新聞の書評欄でも取り上げられていて、歌集が取り上げられるのは珍しいなと思い、私もちょうど読もうと思って積んでいました。今の私にちょうどぴったりなタイトルだと思います。
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第一部 人生後半へ
著者で歌人の永田和宏さんは2022年に後期高齢者になられたそうです。
中年とは45歳~64歳までだそうです。
〇中年は人生後半への入り口
中年に「門」を読むのは包丁を研ぎあげて鋭刃にさはるのに似る 高野公彦『水行』
漱石の「門」は私はさっぱりわかりません。
〇老いのユーモア
あかるすぎる秋のまひるま百円の老眼鏡をあちこちに置く 小島ゆかり『雪麻呂』
私よりひと回り年下の接骨院の奥さんが「この老眼鏡百円なの」とおっしゃっていました。
〇老後と金
老衰をわがするまでにかかるという数千万円をかなしく思う 藤島秀憲『オナカシコロ 短歌日記2019』
銀行の監視カメラにお辞儀して嬉しくて下ろす初の年金
三ツ松秀夫 朝日歌壇
〇老いらくの恋・秘めたる恋
斎藤茂吉と永井ふさ子の恋は秘めたる老いらくの恋。50代で28歳年下の女性と恋した茂吉の逸話はかなり可愛らしく感じられました。
斎藤茂吉記念館に行ったこともありますが、全然知りませんでした。
茂吉の歌は後に、母との死別の歌も出てきますが、こちらの話の方が面白かったです。
山なかに心かなしみてわが落す涙を舐むる獅子さへもなし 斎藤茂吉『暁紅』
50代の恋。
第二部 老いの先へ
〇介護の歌
浅き眠りの父を傍に読みふける介護の歌なき万葉集を
笹公人『終楽章』
もっとも、言えてると思いました。昔と今では寿命が違いますから。この歌集で一番共感した歌です。
笹公人さんのこの歌集は読んでみたいです。
〇ケアハウスという場
「空きを待つ」その空きの意味思いけり特別養護老人ホーム 小山年男 朝日歌壇
これも、もっともな歌老いの歌というのは怖いです。
〇死ぬまでの時間
永田和宏さんの奥様の河野裕子さんは、癌で62歳で亡くなられていらっしゃるのは有名です。
あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない 永田和宏『夏・2010』
最後までわたしの妻でありつづけたあなた、ごはんは、とその朝も言へり 同
河野裕子さんが亡くなられた2010年朝日歌壇をはじめとする投稿欄に河野さんの死を悼む歌が千数百通も寄せられたそうです。
第三部 たのしみへ
〇酒のたのしみ
若山牧水ほど酒の歌の多い歌人はなく、短い生涯の8600余首のうち酒の歌は370首あったそうです。
お酒の歌のところで、この本にほむほむが初登場します。
「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」 穂村弘『シンジケート』
〇友ありてこそ
まだ私は60代ではないのですが、栗木京子さんのこの歌は直球ど真ん中でした。
さよならは別れではなく約束と唄えば愉し六十代われら
栗木京子『南の窓から』
来生たかおさんです。
というより私には薬師丸ひろ子さんかな。
〇最後に
孫との日々をたのしむより
ユーコちゃんといふ人が居たと思うだらうか日向道なんかで 河野裕子『母系』
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なんか身につまされる歌多しだったわ。
この本読んで初めて知ったことも多かった。
斎藤茂吉と永井ふさ子との恋愛(不倫)
茂吉53歳、ふさ子25歳と年齢差は28歳
茂吉がふさ子に宛てた手紙の内容にびっくり。
”ふさ子さん、ふさ子さんはなぜこんないい女体なのですか何ともいへないいい女体なおのですか どうか大切にして無理してはいけないと思います”などなど’
あからさますぎ。でもこれら手紙を読んだあとは燃やすように約束してたみたいだから、何通かは燃やしたみたいだけど
ほとんど残していてのちに(茂吉の死後)出版してしまったからそりゃ物議を醸すよね。
でも、ふさ子は生涯独身を通したらしい。
川田順と俊子の老いらくの恋も、川田順は自殺未遂までしてでも最終的には結婚できたみたいで、小説にもなってるらしい、。
若山牧水はアル中で43歳で亡くなっているのも驚きだった。
下記のようなユーモアな歌もあれば介護や死を見据えた歌もあって読み応えあったわ。
好きだった歌
・人に害及ぼすとにはあらねども手帳の置き場所
幾度にて忘る 斎藤茂吉
・忘れたのたのではない最初の一字が出ないだけ
あの人あの人 えーとあの人 永田和宏
・疲労のつもりて引出ししヘルペスなりといふ
八十年生きれば そりやぁあなた 齊藤 史
Posted by ブクログ
短歌とその解説を読み、これから経験するであろう、人生の予習をさせていただきました。
近現代の幅広い歌人の方の中で、斎藤茂吉さんの歌が多く載せられていました。私の知らない姿が歌にありました。50代以降の人目をしのぶ恋、知らなかったなあ。孫を詠んだ歌、とてもユニークでした。
永田和宏さんが、病に苦しむ妻、河野裕子さんを思う歌は、涙なくして読めずという感じで。河野裕子さんの歌も同様です。
悲しみや辛さの中でも、自分自身としっかり向き合って短歌を詠む。ただただ、すごいなあと思いました。歌を詠むことそのものが、生きることであるように感じます。
介護の歌では、2年前に亡くなった父のことが思い出されました。介護真っ只中のときは気持ちの余裕がありませんでした。今回様々な歌を読み触発されて、とりあえず一首作ることができました。
その時々の心の揺れを、31文字で冷凍保存できる短歌。読まれることで解凍し、溶け出して多くの人の心に広がっていく。私もその溶け出したものを、ある時は共感、ある時は驚きとして受け止めました。
子どもの頃、時間は永遠に続くような気がしていました。「最後の時間を意識するからこそ、残された時間を精一杯生きたいとする」という言葉が、心に刺さりました。
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