永田和宏のレビュー一覧
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永田和宏さんの『現代秀歌』がとてもよかったので、こちらは私にはたぶん難しいのではないかと思いましたが拝読しました。
思ったほど難しさは感じられずとてもわかりやすい解説でした。
本書で著者の永田和宏さんは近代以降に作られた歌の中から100首を選んで解説と鑑賞をつけるという作業を行ったそうです。落合直文から土屋文明までの歌を取り上げたそうです。
第一章恋・愛
与謝野晶子、与謝野鉄幹、晶子の元恋人の河野鉄南、鉄幹と三角関係だった山川登美子などの関係がわかりました。
プロの歌人たちにとったアンケートで相聞歌の一番と二番は
<木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな> 前田夕 -
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私には難しいかなと思って読み進めましたが、私にもこの本が大変な名著であることはわかりました。
姉妹編の『近代秀歌』も読んでみたいと思いました。
私も今、自分の健康面をしみじみ考えていたので、第10章の「病と死」、著者の永田和宏さんの奥様の河野裕子さんのことを綴られた「おわりに」が心に響きました。
<一日が過ぎれば一日減っていくきみとの時間 もうすぐ夏至だ> 永田和宏
この歌を永田さんは奥様の前で発表すべきか迷ったそうですが、発表されたそうです。
あとは、作歌する時の心構え(ヒント)として
第3章「新しい表現を求めて」
当たり前のことを当たり前に詠む。
<茂吉像は眼鏡も青銅(ブロ -
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goya626さんのレビューでの「名著」に惹かれてお取り寄せ。
「心のもっとも深いところに発する感情を定型と文語という基本の枠組みに乗せる歌」という短歌の魅力、「歌の力は誰かに読まれることによって、さらにいきいきとした力を発揮する」、「日常生活の場のいろいろな場面において思い出す」ことでほんとうに生きてくるという意識で、テーマごとに短歌の紹介と作られた時代背景や歌人の人生などを交えた解説がなされている。特に「青春」「社会・文化」「旅」の章の歌が印象に残った。巻末に歌人の一覧、歌索引が50音順に示されている。
「さまざまな読みを許容するのがいい歌の条件」「歌の読みに正確はない」「他の人の<感性 -
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ネタバレ「歌に私はなくだらう」は、歌人河野裕子がなくなってまだ生々しい1年後に夫永田和宏によって書かれたもので、哀切きわまりない。同時にすさまじいというか凄い内容です。
癌になってから、河野は 薬の影響もあったのか、精神の変調をきたし、「なぜ自分だけがこんな目に合う」と家族、特にご主人を詰問し、えんえんとなじることがあったそうで、それが続くとご主人も逃げ出したくなる、それがまたよけい河野を傷つける、特に乳がんということで妻として女性として夫に捨てられるのではないかという恐れがあったかもしれなくて、嫉妬が病的になり、ついには娘にまでのろわしい言葉をはくようになったそうです。連日の妻のののしり、ぶちまけら -
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その地を冠して詠まれた古歌およびその場所の、歌枕というらしい。京都・滋賀の近・現代短歌の歌枕を、京都在住の永田和宏・河野裕子の歌人夫婦が訪ね歩くという内容。それぞれが25カ所を紹介し、合計50カ所が収められていると同時に、最後にご夫婦の対談が掲載されている。京都新聞に、2008年7月から2010年7月にかけて連載されたものを書籍化したものである。ご夫婦お二人にとっては、実は、とても大変で重要な時期に連載がなされている。
河野裕子さんは、2000年に乳がんの手術をされている。その後8年間再発が認められず、ご夫婦ともに安心しはじめた2008年に本連載が京都新聞で始まり、連載が始まってすぐに、再発の -
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本書の副題は、「妻・河野裕子 闘病の十年」である。筆者の永田和宏と妻・河野裕子は、いずれも有名な歌人である。河野裕子の場合には、歌人で「あった」というのが正しい。河野裕子は、2000年に乳がんが見つかり手術。それが2008年に再発、そして2010年に亡くなられている。副題にある「闘病の十年」は、乳がんの発見から河野裕子が亡くなるまでの10年間のことである。本書は、「波」という雑誌に、永田和宏が2011年6月号から2012年5月号にかけての1年間連載したものを書籍化したものだ。河野裕子が亡くなったのは2010年の8月のことなので、妻が亡くなってから、おおよそ1年後から、更に1年間をかけて書かれた
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「たとえば君」という書名は、河野裕子の歌からとられている。歌の全体は下記の通りだ。
たとえば君 ガサッと落ち葉すくふように私をさらって行つてはくれないか
河野裕子と永田和宏は夫婦であり、2人ともが歌人である。2人は、学生時代に知り合い、付き合い始めたのであうが、河野にはその時に既に恋人がおり、その恋人と、新たに付き合うようになった永田の間で気持ちが揺らいでいた。そういった背景が、上記の歌にはある。
2人の出会いは1967年である。結婚は、1972年。以降、河野が乳がんの再発で亡くなる2010年まで添い遂げる。出会いから43年目のことである。
河野に乳がんが見つかり手術をしたのが2000年 -
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ネタバレPOLAの及川さんがこの本を紹介している事をきっかけにこの本を手に取った。
学問と学習や最近の大学生の事など私が普段感じている事だらけで、すいすいと読めた。何より驚いたのは、市川康夫先生の事が書かれてあった事。私も学生時代先生の授業を受けていた。いつも笑顔で、私たちに分かりやすく教えてくださるその授業を一瞬で思い出した。
出口治明さんの本を読んだ時も高坂先生の事が書かれており、驚いた。あの方とは縁あって何度かお話しさせてもらった事を思い出す。
そう考えると、私の学生時代は沢山の人に沢山の影響を与えてもらい今がある。学生時代の学びは学問だけでなく多くの方々との出会いも素敵な教材だったんだと感 -
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(備忘録なので大したことは書いていません)
18冊しかない寂しい本棚に、今回はいい本が追加できそうだ。いつ買ったのか、どこで見つけたのか分からないが、最後の人以外を読んでいて放置していたのを思い出して、最後の人を読んだあと、もう1回始めから読み見返す気になった。何かしら教訓もあったかと思うが、基本的には興味深いという方向で最高レベルだったため高評価。
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山中先生
超有名人だが、ほとんどパーソナリティについて知らない。カッコ笑い付きで饒舌に語られる様子が文字から伝わる。ただの文字起こしだが、空気感まで十分に伝わってきた。気になった一節はアメリカでは一生研究者でいられるというもの。飛躍するが -
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先に読んだ続編もそうそうたる人たちだったけど、本書はそれを上回るような山中伸弥、羽生善治、是枝裕和、山極壽一というすごい面々。ま、男性ばかりという点では、女性と男性が2人ずつだった続編のほうがバランス的にいいけどね。
もともとは永田和宏さんが教鞭をとる京都産業大学で学生向けに開いた講演会を本にしたもの。ホストの永田さんはすごい面々に、失敗を語ってほしいと依頼したとか。失敗を語ってもらうことで、学生たちに身近に感じてもらい、そうすることで「この人のようになりたい」というあこがれやロールモデルを見出してもらうようにしたいとの思いから。
そういえば書中で、たしか永田さんが、最近の若い人たちは目指した