【感想・ネタバレ】知の体力(新潮新書)のレビュー

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ネタバレ

「勉強をする意味」「本を読む意味」を誰かに聞かれたとしたら、この書籍を薦めると良いかもしれない。一般向けに書かれた物なので読みやすく明解、そして深い。京都大学理学研究科理学部は高校生の頃は自分にとって憧れの大学であり学部であった。そんな大学の名誉教授である永田 和宏氏のエッセイ。
本書の最後の一文が心に染み渡る。結局は人間でこれなんだよな。

「どんな大学に入学しても、どんな賞を獲得しても、どんな大会に優勝しても、どんな素晴らしい成功を収めても、心から喜んでくれる人がいなければなんの意味も持たないのとちょうど逆に、ほんのちょっとした自分の行為を心から褒めてくれる存在があるとき、自分がそれまでの自分とは違った輝きに包まれているのを感じることができる」

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2024年03月22日

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秀作。
現在日本で知の体力を語るのに相応しい人だと思った。
院生をいきなり欧米の先端研究大学に送り込む。自分でも出来る自信を付けさせる。これは分かる。大して人の能力に差が無い事に気がつく。
湯川教授の講義は覚えて無いけど、自信になるのも分かる。
ただ、世の流れには逆らえない。昔の人の方が手紙が書けるとか、今では無理。でも違う能力が求められている。と私は思う。

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2024年03月16日

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大学という場で学ぶべきことや経験するべきことを含めた幅広い人生訓が書かれている感じ。

特に印象に残ったこと以下。
・落ちこぼれ体験こそが大切
・学生が大学に入ってもっとも経験して欲しいことは、自らの可能性に気づくこと
・評価というものは、それが良ければ自信をもってさらに励み、悪ければ、それを分析して克服できるように対策を練る、そういう使われ方をした場合にのみ意味を持つ
・孤独のなかでしか自分が自分であることの確認はできない
・他者を知ることによって初めて自己というものへの意識が芽生える

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2023年09月25日

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ネタバレ

POLAの及川さんがこの本を紹介している事をきっかけにこの本を手に取った。
学問と学習や最近の大学生の事など私が普段感じている事だらけで、すいすいと読めた。何より驚いたのは、市川康夫先生の事が書かれてあった事。私も学生時代先生の授業を受けていた。いつも笑顔で、私たちに分かりやすく教えてくださるその授業を一瞬で思い出した。
 出口治明さんの本を読んだ時も高坂先生の事が書かれており、驚いた。あの方とは縁あって何度かお話しさせてもらった事を思い出す。
 そう考えると、私の学生時代は沢山の人に沢山の影響を与えてもらい今がある。学生時代の学びは学問だけでなく多くの方々との出会いも素敵な教材だったんだと感じた。
 ぼっちでいる事、SNSで全てを賄える、そんな生活もスマートかもしれないが、私は出会いと刺激の繰り返しが人間を成長させるエッセンスに思えた。

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2022年02月20日

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学ぶとはどういうことか、自分と向き合い自分の可能性に気づくとはどういうことか、そして教えるとはどういうことか、考えさせられました。

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2022年01月30日

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大学の課題としてあまり前向きな気持ちで読みはじめたわけではない一冊だったが、自分がこれまでに得てきた見識を綺麗に言語化されたような、非常に明快で学ぶ意義の本質を絞り出した本だった。
各章どれもが腑に落ちる内容であり、大学入学前にぴったりな一冊だった。

しかしあえてこの本の趣旨に沿って自分なりに疑問点を挙げるとするならば、本文II部4編の自分「らしさ」の捉え方に違和感を感じた。
自分「らしさ」とは、必ずしもそれが自分たらしめるための呪縛ではない。その人の経験の中で気付いた新たな自分の側面を、忘れず取っておくための袋のようなイメージを私は持った。

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2021年03月21日

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1ページとして読み飛ばせない。色々深くて考えさせられて味わい深い1冊。

京都大学は諸君に何も教えません。諸君が自分で求めようとしなければ、大学では何も得られない。

高校までは先生が知っているはずの答えと自分のものが一致すれば正解という世界。
だが、正答は1つしかないと思うのは危険。答えのない質問もある。何一つ絶対的な答えというものがない実社会。問いがあって答えがない、宙吊り状態に耐える知性。答えがないことを前提になんとか自分なりの答えを見つけようとする意思。

小さい子供は〈他者〉を知ることによって初めて〈自己〉というものへの意識が芽生える。「自我の芽生え」は他者によって意識される自己への視線である。自分を外から見るという経験、これはすなわち学ぶと言うことの最初の経験なのである。

以心伝心では伝わらない。あなたは私については何も知らないはずだと懇切丁寧に説明する。
能動的に聞くために質問の量が多くなるのは当然。

勉強や読書は「こんなことも知らなかった自分を知る」「自分を客観的に眺めるための新しい場所を獲得する」「自分では持ち得ない〈他の時間〉を持つ」「過去の多くの時間を所有する」ということ。

科学において「対照」をいかに取るかが重要。科学における実験とは「対照」との間の〈差〉を見出すこと。

十分な知識を身につけてから研究を始めるのではなく、研究をしながら、その都度必要になった知識を仕入れていく。これが最も大切な知識への接近の仕方ではないか。

英語圏で若い時に生活する利点は「世界と自分は同じ地平に立っている」という認識、「なんだ自分でもやれるじゃないか」という実感。ここだけが世界ではない。世界は望みさえすればすぐそこにある。そこに出ていくのを尻込みするか、やってみようと一歩を踏み出せるか、その決断だけである。

安全な方を取るか、面白い方を取るか。どちらを優先するかは、その人間の生き方にとって極めて大きな意味合いを持つ。一回しかない「自分だけの人生」を生きる上で大きな意味を持っている。

自らの可能性に気付く。「らしく」の基準からどうにも収まりきれない部分が糸口では?

自らが得てきた「知」の集積を個々の場合や状況に応じていかに組み替えて、その場に固有の「知」として再構成できるか、それを自らの手で行えるかが「知の体力」。数限りなく繰り返される失敗の中にこそ、将来自らの力で「知」を有効利用できる戦略が隠されている。まさに「果敢な失敗」。失敗の芽を予め摘んでしまうのは、成功への道を閉ざす以外のなにものでもない。
いつも手を差し伸べてなされる成功体験は単に困った時は誰かが助けてくれるという安易な依存体質を形成させるだけ。

ひょっとしたら一生に一度しか使われないかも知れないけれど、その語彙を自分の中に溜め込んでおくことが、生活の豊かさでもある。
短歌では作者の最も言いたいことは敢えて言わないで、その言いたいことこそ読者に感じ取ってもらう。これはかなり高度な感情の伝達。自分の思い、感じたこと、思想などを表現するのに出来るだけ出来合いの言葉を使わずに、自分の言葉によって人に伝えることが大切。

妬みに縁のない人間はいない。しかし妬みは常に〈微差〉に由来している。微差だからこそ、その気になれば自分もその妬んでいる相手と同じ場に立つのは可能だ。妬ましいと思うのはそれが微差だからこそなどだと思えば能動的なアクションや自分の背中を押してやることが可能になる。

孤独を知ることが自立と言うことであり、孤独の中でしか自分が自分であることの確認はできないものだ。孤独を恐れてはならない。常に誰かと一緒に行動していなければ落ち着かないのは自分と言う存在に正面から向き合うのを避けていることでもある。

1つの場所だけしか知らない人間にとってはそこだけが生きる場所。そこで否定されたら他に逃げ込む場所は無い。そこが世界の全てであるように勘違いしてしまうとその中の人間関係、その仲間の評価と好き嫌いだけが絶対となってしまって逃げ場がない。「ここだけが全てでは無い」と知らせることと、将来いつここから抜け出せるかと言う具体的な時間を示してやれること。その時間は君の人生の長さの中のほんの一瞬にも近い短さであると示唆すること。窒息してしまわないように。

コミニケーションはアナログのデジタル化。自分の感情をうまく言い表せない時、言葉と言葉の間にあるはずのもっと適切な表現をめぐって苦闘する。感情含めたアナログ世界をデジタル表現に差し替えようとするのが言語表現。複雑な思考や曖昧な感情などを相手がついに言語化しきれなかった思いや感情を自分の内部に再現する努力、「間」を読み取ろうとする「思いやり」が必要。

相談されると言う事は、答えを与えてくれる人間として自分が選ばれたと言うことである。期待をされている。相手の悩みをじっくり聞く前につい、自分の考えを述べてしまいやすいが、悩みの奥にあるものが何かを把握する前に出す結論は自分の思考の枠組みを押し付けるだけのものである。

そもそも悩んでいる人は人の意見を聞きたいと思いながら人の言葉を容易には受け入れられない状態にある。心を閉ざし閉ざしてしまったことで解決法見失った閉塞状態にある。他からの言葉や思想を受け入れるためには自分をとことん吐き出して一旦空っぽになった上でなければ浸透しない。相談事と言うのは大抵聞いてもらうだけで良いのである。

対話で求められているのは相槌。相手の意見を受け入れることからなされるポジティブな相槌によって、自分のアイデアが展開し、どんどん深くあるいは伸びていくのを実感する時、「結構いいこと考えてるよなぁ」と自分の能力と言うもの蓋が開かれていくのを実感する。自分が全的に受け入れられていると感じることができる時、人間は一歩先の自分に手が届くものである。自分と言う存在が世界に対して開かれていく。相槌でお互いに正のフィードバックをかけ合う。

親はおだて上手であることが必須。子供がある思いつきを話し出したら「それで次はどうするの?」と話を次に進める。1つの思いつきから次のアイディア、手順、経路など様々な可能性について自分で考え進められるように背中を押してやるだけで自信が持てるし、成功体験と同じような効果を持つ。


ある特定の相手の前に立つと自分が最も輝いていると感じられることがあるとすれば、それはすなわち相手を愛していると言うことなのだろう。その相手のために輝いていたいと思うことがすなわち愛すると言うことなのである。輝いていると感じられるのは相手の前で呼ばなくてもいい、生身の自分がさらけ出せると思える時にしか実現しないものだ。後見せたい見て欲しいと言うたから寄せてありのままの等身大の自分でいられる。夜は無いでも自分の1番良い面が現れる、その人の前で話
をすると自分の可能性がどんどん開けていく気がする、それら全ては愛情が後ろから押しているからこそ実現する自己発見である。

愛情の第一歩は一緒にいるのは楽しい、一緒にいることそのものが大切な時間として意識できる、そんな単純な感情であろう。もう一つ一緒にいることによって自分の良い面がどんどん出てくると感じられる相手こそが本当の意味での伴侶となるべき存在なのだと思う。相手の良い面に気づくその意味に気づく自分がうれしく感じられる。どんどん自分が開いていく気がするお互いにそんな存在として相手を感じられる関係こそが伴侶。心から喜んでくれる人がいなければ

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2021年03月21日

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一見面倒そうな、私の苦手なタイプの難しい本なのか?と思いきや、中身素晴らしいです。
分かりやすく書かれている、バイブル的な本。
メルカリで売らずにずっと手元に置いときたいです。

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2021年01月18日

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世の中には答えしかないと思っており、誰も出してない答えを自分が出せるかもしれない、なんて発想はなかった。小さな疑惑でも、自分で答えを出せるよう、考えたい。

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2020年12月07日

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まだ考えがまとまっていないことでも、自分の存在を受け入れてくれている人の相槌で
一人では思い至らなかった思考に発展する可能性がある。
そうして人は一歩先の自分に出会える。

これってけっこう教育の根幹に近い考えじゃないかな?
よく「子どもの可能性を広げる教育を」って言うけど、相手の話に興味を持って相槌をうつことが第一歩。何かを教えるのは動画で充分。相手の持ってる可能性を引き出すには人間の存在が必要。

そのほかにも科学、言語、教育、他者との関わりなどに対する深い考察が覗ける素晴らしい1冊。繰り返し読みたい。

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2020年11月22日

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著者の知への敬意、他者への誠意、読者への愛情を感じる本だった。

研究者、教育者、歌人など様々な立場で考えて生きて来らた背景からなのか、多様性を尊重する姿勢、どんな立場からの意見なのかは明確にしつつも、いきなり否定したり見下したりする物言いではなく、あくまで前向きに生きていくための暖かい、励ましのメッセージが込められていると感じられた。

若者へ向けて、とのことだったが、大学生はもちろん、教育のあり方、伴侶となるべき人とは、という話題にも触れており、結婚・出産・子育てを控える人にもおすすめだと思った。

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2020年07月07日

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細胞生物学者にして歌人の京大名誉教授が、若者へのメッセージ、「生きるヒント」をまとめたもの。易しい文章のなかには、教訓のような堅いものではなく、柔らかな若者へのエールが込められています。著者は70代、若者との思考・志向のズレに戸惑っている印象もありますが、自らの主張を押し付けるのではなく、こういう考え方もあっていいんじゃないかなぁ、というスタンスで読者に語りかけてきます。自分の考え方・視野を広げ、柔軟にしていくことが「知の体力」なのだろうと思いました。また、死別した奥さんへの思いがつづられていて、著者の愛情と優しさを感じます。高校生には是非読んでもらいたい一冊です。

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2020年06月08日

ネタバレ 購入済み

思考のきっかけ

■感想:師からのおすすめ本。簡単な言葉で分かりやすく書かれているが、内容は考えさせられることばかり。娘に一冊贈りたい。教育、価値観、自己同一性。
■学び:現実の場で応用できない知識は、知識としての価値がない。しかし、知識というものは、それが役立つことだけを前提として学ぶものではない。大学からは、問いがあっても答えがない。孤独になる時間を確保すること。ここだけがすべてではない。待つという時間。他者に出会う。
■行動:孤独時間。『時間と自己』を読んでみる。

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2019年11月22日

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高校生に大学へ入る前の心構えとして読んで欲しい内容であり、私も当時読めていたらなと思った。(まぁ当時はそんな余裕なかったが)

高校までは正解が記された教科書通りのことを取り組んでいればよかったが、大学からは自発的に教科書外のことをも学ぶべきである。
著者はいくらか講義を受け持っているが、一応は指定として教科書を用意させるものの、講義にはほぼ教科書は使用しないらしい。なぜなら、教科書の内容は教科書を読めばいいのであって、それを講義で改めてするのは時間の無駄であり、それならば教科書には書かれていないことをすべきだというごもっともな意見である。
教科書には正しいとされた内容のみ掲載されており、未発見・未解決のものはまだ掲載されていない。
この未発見のものこそ面白いのだ、と例をあげて説明しており、確かに面白く、私もこうゆう先生に出会えていたらなと思った。

著者の挫折エピソードも交えながら、子供2人いながらにして退職し研究者を志すという行動力。
面白い方をとるか、安全な方をとるか。
当然個々の生活/家庭事情もあるので一概に言えないが、“人生一度きり“ということを思うと。

評価なんて知ったことか、やりたい奴にはやらせておけ、くらいの気概を持って、自分を敢えて位置づけないのと。p164
自分をとことん吐き出して、いったんからっぽになった上でなければ、人の言葉が浸透する余地がない。p208

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2024年05月16日

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この本は、大学に入る前に出逢いたかった。
大学における知の探求とは、高校までの教育とは異なり、自由であり、教授と言えど、関係はフラット、同じ知の探求者、単なる先達に過ぎないのだ。義務教育での正解のある勉強ではなく、この世のものは、何も正解は無いという中で、知りたいことを数珠つなぎで探求していくことが、本当の知力につながってゆく。

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2024年04月29日

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教育の呪縛
・必ず答えがある
・答えは誰が導いても一つである
・城跡を叩き込む
↓実社会
・答えはないかも
・二つ答えがあるかも
・定石なアプローチだけでは捌けない

高校まで→学習
大学や社会→学問

読書の効果→無知だった自分自身を認知
知の開拓の感動、自己の相対化

科学的な実験
→";対照"との"差"を見出すこと

コラーゲンの経口摂取は無意味。体内でアミノ酸、ペプチドに分解されその後ようやくコラーゲンが生成されるから。肉を食べてた方が良い。

"必要な知識というものは、現場で必要になったときに、調べて仕入れるのがもっとも身につくもので、ただ漫然と机に向かって講義を聞いているだけでは、実践の場におけるほんとうに必要な知識は自分のものにならない"

「教えられる」から「自ら問い、自ら行う」

入学したての学生を3ヶ月間海外の研究室に放り込む→空気感の体感、自分が学問する言葉が最先端と地続きなんだという肌感

"世界は、望みさえすれば、すぐそこにある。そこに出ていくのをしり込みするか、やってみようと一歩を踏み出せるか、その決断だけである"

"安全な方をとるか、面白い方をとるか"

ウンチの固形部分は食べ物の食べかす、小腸などの粘膜細胞の死骸、そして腸内のバクテリアの死骸が3分の1ずつをしめる

時間と自己

相談事は大体「聞いてもらうだけでいい」

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2024年04月29日

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質問の大切さ。どんな先生も同じことを3回掘り下げて聞けば答えられなくなる。質問することを躊躇するようになったら成長のストップのサインなんだろう…
大学の理学の先生だから当然だけど、実学的・社会的というよりは、アカデミアのこと、内省的なことのウェイトが多く若干の古くさい印象も。とはいえ、その価値観自体を押し付けることはなく。あくまで著者の考えや人生を通して感じてきたことが書きとめられた書籍と理解。知に対する謙虚さみたいなところは忘れずに生きていきたいと思えた。

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2024年03月31日

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 現実世界で問題が起きたときに、その局面に対処するために、自分の知識、情報の総体をいかに活用することができるか。それが「知の体力」。

 学校で学んだことは無駄にはならないと思うけれども、「答えは必ずある」という呪縛を解くことが、「知の体力」への第一歩。それ故、大学の果たすべき役割についても言及している。

 さらに生き方についても語る。特に印象的だったのは、①選択の機会が訪れた時に、おもしろい方を選べるか ②自分で自分を評価しない ③「二足のわらじ」という生き方、自分の居場所を複数持つ ④言葉は究極のデジタル。

 著者後書きに記しているように、これからの生き方について考える、ある種のヒントになると思います。

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2023年08月11日

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数学者 岡潔に触れたところが印象に残った。岡潔の授業を受けた朝永振一郎が、”みずからの情熱を研究にささげている、その情熱が学生にも伝わってくる”と述べているとの事。そしてこういうことが微分方程式の解法を教えるといったことよりはるかに重要だ、というところ、共感した。教師の情熱といったことは言葉以外で生徒に伝わり、それが生徒を動かすのだと思う。言葉で伝える内容、言外で伝わる内容があるとし後者が非常に重要だというのは、教育現場に限らずビジネスの世界でもよく感じる事である。

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2023年02月12日

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妬みと羨み、「愛する」こと、もっと早く読んでおけばよかったと思いました。
文学にも生物学にも通ずる著者だからこその視点、言葉の使い方にもっと意識を向けようと思います。

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2023年01月17日

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•社会で生きていくうえでは正解がない事
•言葉はあくまでデジタルでしか無く、相手のして欲しい事は言葉だけでは無くもっと本質を見る
•愛すべきは、相手の欠点を感じない人、相手といると自分が輝いていると感じる人
••••

挙げきれないくらい刺さるテーマが沢山!

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2022年10月27日

Posted by ブクログ

高校生ぐらいの若者向けに書かれた本ですが、年配の方まで、すごくタメになるのではないかと思う。
こういう先生がいいけど…

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2022年09月24日

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知の体力とは何か?
想定外の問題について、自分なりに処理する体力。それには先人がどのようにその知を培ってきたのかを知る必要がある。なぜか?視点の多様性をまなぶこととなり、想定外の出来事に対処できるようになるから。

なぜ学ぶのか?
知らなかったことを知ることで、これまでの自分がいかに知らない存在であるのかを客観視できる。また、未知なる知への好奇心や尊敬も、学ぶからこそ生まれ、モチベートされる

世界は望みさえすれば、すぐそこにある。
If you wish for the world, it’s just right there.

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2022年04月01日

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ネタバレ

受験が終わって大学に入る若い人が読むと特にいい本だと思う。
社会に出ると正解の無い問題に対して落とし所を考え、何とか理解してもらうために説明すると言うことが多々ある。想定外のことでも自分で考えて対応案を判断しないといけない。大学という場所は単に技術やスキルを学ぶだけでなく、正解の無い問題や想定外の内容にどう取り組むかという自分で考えることができる知の体力を鍛える場所だと思う。
最後の伴侶となるべき存在の話は共感した。一緒にいると自分の良い面がどんどん出てくると感じられるということは長く付き合う上で大事なことだと感じた。

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2022年02月19日

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確かに大学が過保護になり過ぎている。薬学部など、国家試験が控えてる学部のほとんどは試験対策の予備校化している気がする。

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2020年12月06日

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細胞生物学者と歌人を生業とする著者の、理性と感性に満ちた言葉の贈り物だった。

人間は1ミクロンほどの細胞60兆個からなる。長さにして60万キロメートル。地球15周。0-1ミリの受精卵が20年足らずで地球15周もできるだけの長さに成長する。知ることの驚きと感動は、自分という存在を見る目に変更を迫る。このまま何も知らずに人生を漫然と送っていてはダメだ。こんな喜びに出会えないなんて損だと、人を学問へ向かわせる。

学んでから始まるより、始めつつ学ぶ。その都度必要になった知識を仕入れていくことが最も大切な知識への接近
の仕方。

なんだ自分でもやれるじゃないか。世界と自分は地続きだと知ること。安全な方を選び続けていく人生はどんどん人生を小さなものにしていく。面白い方を選べば大抵上手くいく。

第三者の評価はその人が勝手にやっていること自分には関係ないと解き放しておく。自分を位置づけない。敢えて宙づり状態の不安のなかに位置づける。その未決定状態こそ、なにかのきっかけがあった時に推進力となる。
もっと自分の可能性を信じて広げていけ。他人の視線や評価で自分の可能性を小さく限定してはダメ。失敗を恐れて安全な方へ行ってはダメ。

ここだけが世界ではない。逃げ場を作る。すぐ横には別の世界があって、別の涼しい風が吹いている。

自分が最も輝いていると感じるなら、それはすなわち相手を愛しているということなのだろう。輝いている自分に出会うには、鎧わなくてもいい、生身の自分がさらけ出せると、自分の可能性がどんどん開けていく。そんな相手が伴侶となるべき存在。心から愛する人を得ることは、自分の最もいい部分を発見すること。だから愛する人を失ったときに痛みとして堪えるのは、その相手の前で輝いていた自分を失ったから。

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2019年03月21日

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2018年の本。高校までの勉強が答えのあるものだった、というのは現在の学習指導要領では必ずしも当てはまらない。ただ、受験勉強に関しては相変わらずなので、そのあたりを考慮して読むことになる。
「真理に対する抑えがたい欲求」を誰もが持っていると思ってしまうのは著者が大学の先生でいらっしゃるからだろう。子どもたちと接すると、知的好奇心には大きな個人差があることを感じる。研究者を目指す人にはとても良い内容だが、全員に当てはまるわけではないので注意。

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2023年11月24日

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大学入学を迎えた学生向けの本。
大学時代にもっといろんな勉強をしておけばよかったという後悔にグサグサと突き刺さった。全体的に不平不満のエッセイという感じなのが、京大の先生っぽくて懐かしかった。

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

私は中学受験をし、現在も好成績を維持しているが、言われてみれば答えのない問いを考えた経験はほとんど皆無と言って良い。私はきっと所謂一流大学に進学するだろうが、そこでも輝けるように今から思考の楽しさを覚えたい。

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2022年10月08日

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20220927 タイトルで購入した。考えるとはどう言うことか。教育の現場からの報告。これから大学を受ける人は一読の価値あり。何か違うと感じている大人もヒントになる話が多いと思う。体力はともかく、知力が落ちないようにしたいと思う。

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2020年09月28日

Posted by ブクログ

教養に関する本は、大抵が文系的なアプローチで書かれているが、この本は筆者が細胞生物学者のため理系的なアプローチからも教養について書かれており、新鮮に感じた。

問題に対する一つの正解を追い求める高校までの学習と、大学においての学問は切り離して考えるべきだという主張はとても頷ける。
何のために大学で勉強するのか、大学で何を勉強するのかを全く理解していなかった大学生の頃の自分がなさけなくなり、できれば大学に入る前に読みたかった。

また、文学の仕事とする著者の視点で興味深かったのが、現代のメールやツイッター、ラインは「思考を断片化」するという主張である。
これらのツールでは、できるだけ文章をすばやく・短く選択することが求められる。それによって万人の共通感覚の表象である形容詞に頼りがちになり、さらに最近では絵文字や顔文字をなどの感情の最大公約数を多用してしまう。
本来であれば書くという行為の中で、自分の考えが徐々に整理されていくことが多いが、短い言葉だけで用を足す生活に慣れすぎると、物事を基本に立ち返って考えるという習慣に乏しくならざるを得ないということらしい。

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2020年07月07日

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