あらすじ
「答えは必ずある」などと思ってはいけない。“勉強”で染みついた呪縛を解くことが、「知の体力」に目覚める第一歩になる。「質問からすべては始まる」「孤独になる時間を持て」「自分で自分を評価しない」「言葉にできないことの大切さとは」――。細胞生物学者にして日本を代表する歌人でもある著者が、これから学ぶ人、一生学び続けたい人たちにやさしく語りかける。自力で生きぬくための本物の「知」の鍛錬法。
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Posted by ブクログ
「勉強をする意味」「本を読む意味」を誰かに聞かれたとしたら、この書籍を薦めると良いかもしれない。一般向けに書かれた物なので読みやすく明解、そして深い。京都大学理学研究科理学部は高校生の頃は自分にとって憧れの大学であり学部であった。そんな大学の名誉教授である永田 和宏氏のエッセイ。
本書の最後の一文が心に染み渡る。結局は人間でこれなんだよな。
「どんな大学に入学しても、どんな賞を獲得しても、どんな大会に優勝しても、どんな素晴らしい成功を収めても、心から喜んでくれる人がいなければなんの意味も持たないのとちょうど逆に、ほんのちょっとした自分の行為を心から褒めてくれる存在があるとき、自分がそれまでの自分とは違った輝きに包まれているのを感じることができる」
Posted by ブクログ
POLAの及川さんがこの本を紹介している事をきっかけにこの本を手に取った。
学問と学習や最近の大学生の事など私が普段感じている事だらけで、すいすいと読めた。何より驚いたのは、市川康夫先生の事が書かれてあった事。私も学生時代先生の授業を受けていた。いつも笑顔で、私たちに分かりやすく教えてくださるその授業を一瞬で思い出した。
出口治明さんの本を読んだ時も高坂先生の事が書かれており、驚いた。あの方とは縁あって何度かお話しさせてもらった事を思い出す。
そう考えると、私の学生時代は沢山の人に沢山の影響を与えてもらい今がある。学生時代の学びは学問だけでなく多くの方々との出会いも素敵な教材だったんだと感じた。
ぼっちでいる事、SNSで全てを賄える、そんな生活もスマートかもしれないが、私は出会いと刺激の繰り返しが人間を成長させるエッセンスに思えた。
思考のきっかけ
■感想:師からのおすすめ本。簡単な言葉で分かりやすく書かれているが、内容は考えさせられることばかり。娘に一冊贈りたい。教育、価値観、自己同一性。
■学び:現実の場で応用できない知識は、知識としての価値がない。しかし、知識というものは、それが役立つことだけを前提として学ぶものではない。大学からは、問いがあっても答えがない。孤独になる時間を確保すること。ここだけがすべてではない。待つという時間。他者に出会う。
■行動:孤独時間。『時間と自己』を読んでみる。